月の影に隠れしモノは

しんいち

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帰還、そして出産

102 神子誕生 …出産間近…

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 舞衣たちのお腹の子は順調に成長してゆき、膨らんだ腹部が目立つようになってくる。特に、細身の恵美は際立きわだち、巫女姿で神社受付に坐るのがはばかられるようになった。
 そういったこともあり、夏休みと、九月からの土曜・日曜は、美雪がアルバイト巫女として手伝いに来てくれるようになっていた。
 美雪は、田中総代の孫娘であり、神社にも元から頻繁ひんぱんに顔を出している。また、彼女は舞衣の大ファンであり、舞衣と一緒に居られるだけで幸せと言っている。
 しかし、慎也は少し心配だ。この神社に居るということは、それだけで自分の愛人のような目で見られてしまうのではないかと…。本人と祖父は全く心配していないようだが、世間の目はどうなのか…。

 もっとも、これは慎也の杞憂きゆうだった。全くそういう目が無いわけでは無いだろうが、忙しくなった神社がアルバイトを雇ったという正しい認識で見られているようである。
 美雪が童顔幼児体型で、高校生というよりは中学生、いや、もしかすると小学生…といった見た目なのも幸いした。
 さらに、この神社に対して悪口を言うような猛者もさは、もういない。皆、『神罰』は怖い。思っていても、それを口にするなど、滅相めっそうも無いことだ。


 お腹が大きくなれば、前に亜希子に指摘されたように、夜の生活も考え直さなければならない。八月からは三日に一回、九月に入って一週間に一回となった。
 しかし、それでも一日に全員の相手をさせられる。
 慎也としては、一日一人にして、順番にする形が望ましい。だが、女性陣は、他の妻がしてもらっていて自分はお預けの日があるというのは許せないというのだ。変なプライド(?)は捨てて欲しいところだが、多数決でかなわない。
 特に舞衣は、自分が見ている所以外で慎也が他の女性と交わっているというのが、許せないようだ。正妻の意向とあれば、多数決でなくても慎也は従わざるを得ない。

 この女性陣、不思議なことに誰も悪阻つわりは無く、元気いっぱいだ。
 身籠っているのが普通の子ではないからなのか、龍の祝部と交わっているからか、この点は不明である。
 出産予定日は、恵美の祖母の話によれば、妊娠から五か月後の満月。つまり十月十四日。
 さすがに十月に入ると、亜希子からのドクターストップで、夜の生活は中断となった。お腹が大きく張っていても性欲が衰えない困った妻たちも、これには大人しく従った。



 ところで、夏休みで美雪がアルバイトに入っていたある日。舞衣は一つ、ポカをやらかしてしまった。
 この頃には、参拝者もだいぶ落ち着いてきていて、平日は、それほど忙しくはなくなっていた。さらに、この日の天気は雨。境内に参拝者は見当たらない。受付には舞衣と美雪。奥の部屋に恵美が居た。
 何がきっかけだったか…。舞衣と美雪の間で、慎也と舞衣たち妻の関係の話になった。その時、舞衣はうっかり、自分たちを「妻六人」と言ってしまったのだ。杏奈と環奈も妾であるということは内緒だったのに……。

「ま、舞衣さん!六人っていうことは、やっぱり杏奈さんと環奈さんも……」

 鋭い美雪は、決して聞き逃さなかった。美雪は、口に手を当てて、疑惑の目で舞衣を問い詰めた。
 すかさず、後ろの部屋から恵美がヒョコッと顔を出して、舞衣に白い目を向ける。

「あ~あ。舞衣さ~ん。やらかしちゃいましたね~。こうなったら、全部話すしかないですよ~。はい交代、二人とも奥に行って~」

 舞衣は恵美に受付を追い立てられてしまい、鼻息を荒くしている美雪に奥の部屋へ連行されて行く。
 恵美は代わりに受付へ坐り、困り顔で奥へ行く舞衣に、追い打ちをかけた。

「あ~、それから、舞衣さん!今晩はお仕置きですからね~。フィンガーアタック~!」

「嫌だ~!」

 舞衣は振り返って恵美をにらむが、シッシと奥へ追いやられる…。境内に人はいないし、雨音で外から聞かれる心配も無い。恵美も受付で見張っていてくれている。観念して、奥の部屋で、美雪に全て説明をした。

 仙界のこと。神子のこと。山本姉妹が総理の孫だということ。美月の事件と伊勢での新婚旅行のこと。ついでに、自分たちの異能のことも……。

 美雪は真剣な表情で聴き入っていた。

「そんな、すごいことになっていたのですね…。教えてもらって有難うございます。私、口は堅いですから大丈夫ですよ。だけど……」

「えっ、何?」

「あ、あの~。恵美さんの言ってた『フィンガーアタック~』ってなんですか?」

「え、え~と……」

 舞衣が説明に困っていると、障子がスーッと開き、また恵美がヒョコッと顔をだした。

「お姉さんが教えてあげますね~」

 サッと部屋に入って美雪に近寄り、耳元でゴニョゴニョと説明する。
 美雪は気まずそうにしている舞衣を見ながら聴いていたが、徐々にその顔が赤くなっていった……。
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