152 / 167
新たな仲間と、…別れ
152 慎也殿が欲しい!2
しおりを挟む
翌日。当然、雰囲気は最悪である。
アマは、相変わらず慎也に近づこうとする。しかし、今日は朝から舞衣が、慎也にベッタリくっついている。里と愛もそれに従って、アマを牽制している。
愛と里は、当然のこととしてアマを敵視していた。
ところが、意外なことに娘たち全員が同じ考えということでは無かった。
(アマと父様がくっつけば、父様が私たちと一緒に、鬼の村に行ってくれる…)
直接、それを口には出さないが、月、歌、咲、幸は、密かにアマを応援している節がある。
そんなことで、愛、里とは別れて、冷戦状態となってしまっていた。
神社…。アルバイトに来ていた美雪は、不穏な空気を察知した。
「舞衣さん、顔怖い……。 何かありました?」
不機嫌顔を隠しきれていない舞衣に、戸惑いながらも話しかけてみた。
「アマが、慎也さんを奪おうとしてるの…」
「はあ??」
舞衣は、何があったか包み隠さず話した。昨日は自分が慎也を独り占めしてしまったことも含めて…。
「だから、言わんこっちゃない…」
美雪は苦笑いだ。
「でも、舞衣さんって、感覚が異常だと思ってましたけど…。なんか、安心しました。昨日は旦那様を独り占めなんて…」
いきなりクスクス笑いだす美雪…。
「いや~よ~。美雪ちゃ~ん。お蔭でこっちは、指くわえて寂し~く寝たんだから~!」
恵美が茶々を入れた。が、本来の妻は舞衣なのであるから、恵美たちが遠慮するのは当然のことと、美雪は思う。
ちなみに恵美は娘たちの教育係だが、最近はずっと付きっ切りではなく、忙しい時間帯は神社の方を手伝っている。
「そもそもですよ。誰が鬼を連れてくるなんて言い出したんですか?」
「あ・・・」
舞衣は、恵美を見た。恵美は、きまり悪そうにする。
「やっぱり、恵美さんか…。どう責任取るんですか?」
「でも~、誰も反対しなかったのよ~! 舞衣さんだって~、何も言わなかったじゃないですか~」
恵美に向かっていた美雪の攻めるような視線が、舞衣にも突き刺さる。
「あの時は、何とも思わなかったのよ…。ごく普通のことだと思ってた…。おかしくなってたのかな?」
「そうそう。絶対おかしいから! 非常識すぎます! もっと、よく考えて行動してくださいね!」
童顔幼児体型の美雪に、いい大人が叱責されている光景は、傍から見れば滑稽以外の何物でもない。そう思いながら、静かに聞いていた早紀が口を開いた。
「で、何か手は思いついてるんですか?」
舞衣と恵美は、顔を見合わせて、同時に溜息をついた。
「これ以上何かしたら、宮司さんにお仕置きしてもらうとか…」
「え? 早紀、お仕置きって…」
美雪が、早紀に斜めの視線を送る。早紀は淡々と答える。
「例の、フィンガーアタックってヤツしかないんじゃないですか?」
舞衣も、斜めの視線を送りながら、呟くように言った。
「フィンガーアタックか~。それで大人しくなるかな……」
アマは、相変わらず慎也に近づこうとする。しかし、今日は朝から舞衣が、慎也にベッタリくっついている。里と愛もそれに従って、アマを牽制している。
愛と里は、当然のこととしてアマを敵視していた。
ところが、意外なことに娘たち全員が同じ考えということでは無かった。
(アマと父様がくっつけば、父様が私たちと一緒に、鬼の村に行ってくれる…)
直接、それを口には出さないが、月、歌、咲、幸は、密かにアマを応援している節がある。
そんなことで、愛、里とは別れて、冷戦状態となってしまっていた。
神社…。アルバイトに来ていた美雪は、不穏な空気を察知した。
「舞衣さん、顔怖い……。 何かありました?」
不機嫌顔を隠しきれていない舞衣に、戸惑いながらも話しかけてみた。
「アマが、慎也さんを奪おうとしてるの…」
「はあ??」
舞衣は、何があったか包み隠さず話した。昨日は自分が慎也を独り占めしてしまったことも含めて…。
「だから、言わんこっちゃない…」
美雪は苦笑いだ。
「でも、舞衣さんって、感覚が異常だと思ってましたけど…。なんか、安心しました。昨日は旦那様を独り占めなんて…」
いきなりクスクス笑いだす美雪…。
「いや~よ~。美雪ちゃ~ん。お蔭でこっちは、指くわえて寂し~く寝たんだから~!」
恵美が茶々を入れた。が、本来の妻は舞衣なのであるから、恵美たちが遠慮するのは当然のことと、美雪は思う。
ちなみに恵美は娘たちの教育係だが、最近はずっと付きっ切りではなく、忙しい時間帯は神社の方を手伝っている。
「そもそもですよ。誰が鬼を連れてくるなんて言い出したんですか?」
「あ・・・」
舞衣は、恵美を見た。恵美は、きまり悪そうにする。
「やっぱり、恵美さんか…。どう責任取るんですか?」
「でも~、誰も反対しなかったのよ~! 舞衣さんだって~、何も言わなかったじゃないですか~」
恵美に向かっていた美雪の攻めるような視線が、舞衣にも突き刺さる。
「あの時は、何とも思わなかったのよ…。ごく普通のことだと思ってた…。おかしくなってたのかな?」
「そうそう。絶対おかしいから! 非常識すぎます! もっと、よく考えて行動してくださいね!」
童顔幼児体型の美雪に、いい大人が叱責されている光景は、傍から見れば滑稽以外の何物でもない。そう思いながら、静かに聞いていた早紀が口を開いた。
「で、何か手は思いついてるんですか?」
舞衣と恵美は、顔を見合わせて、同時に溜息をついた。
「これ以上何かしたら、宮司さんにお仕置きしてもらうとか…」
「え? 早紀、お仕置きって…」
美雪が、早紀に斜めの視線を送る。早紀は淡々と答える。
「例の、フィンガーアタックってヤツしかないんじゃないですか?」
舞衣も、斜めの視線を送りながら、呟くように言った。
「フィンガーアタックか~。それで大人しくなるかな……」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
76
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる