月の影に隠れしモノは

しんいち

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新たな仲間と、…別れ

152 慎也殿が欲しい!2

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 翌日。当然、雰囲気は最悪である。
 アマは、相変わらず慎也に近づこうとする。しかし、今日は朝から舞衣が、慎也にベッタリくっついている。さとあいもそれに従って、アマを牽制している。

 あいさとは、当然のこととしてアマを敵視していた。
 ところが、意外なことに娘たち全員が同じ考えということでは無かった。

(アマと父様がくっつけば、父様が私たちと一緒に、鬼の村に行ってくれる…)

 直接、それを口には出さないが、つきうたえみさちは、密かにアマを応援している節がある。
 そんなことで、あいさととは別れて、冷戦状態となってしまっていた。



 神社…。アルバイトに来ていた美雪は、不穏な空気を察知した。

「舞衣さん、顔怖い……。 何かありました?」

 不機嫌顔を隠しきれていない舞衣に、戸惑とまどいながらも話しかけてみた。

「アマが、慎也さんを奪おうとしてるの…」

「はあ??」

 舞衣は、何があったか包み隠さず話した。昨日は自分が慎也を独り占めしてしまったことも含めて…。

「だから、言わんこっちゃない…」

 美雪は苦笑いだ。

「でも、舞衣さんって、感覚が異常だと思ってましたけど…。なんか、安心しました。昨日は旦那様を独り占めなんて…」

 いきなりクスクス笑いだす美雪…。

「いや~よ~。美雪ちゃ~ん。お蔭でこっちは、指くわえて寂し~く寝たんだから~!」

 恵美が茶々を入れた。が、本来の妻は舞衣なのであるから、恵美たちが遠慮するのは当然のことと、美雪は思う。
 ちなみに恵美は娘たちの教育係だが、最近はずっと付きっ切りではなく、忙しい時間帯は神社の方を手伝っている。

「そもそもですよ。誰が鬼を連れてくるなんて言い出したんですか?」

「あ・・・」

 舞衣は、恵美を見た。恵美は、きまり悪そうにする。

「やっぱり、恵美さんか…。どう責任取るんですか?」

「でも~、誰も反対しなかったのよ~! 舞衣さんだって~、何も言わなかったじゃないですか~」

 恵美に向かっていた美雪の攻めるような視線が、舞衣にも突き刺さる。

「あの時は、何とも思わなかったのよ…。ごく普通のことだと思ってた…。おかしくなってたのかな?」

「そうそう。絶対おかしいから! 非常識すぎます! もっと、よく考えて行動してくださいね!」

 童顔幼児体型の美雪に、いい大人が叱責しっせきされている光景は、はたから見れば滑稽こっけい以外の何物でもない。そう思いながら、静かに聞いていた早紀が口を開いた。

「で、何か手は思いついてるんですか?」

 舞衣と恵美は、顔を見合わせて、同時に溜息ためいきをついた。

「これ以上何かしたら、宮司さんにお仕置きしてもらうとか…」

「え? 早紀、お仕置きって…」

 美雪が、早紀に斜めの視線を送る。早紀は淡々と答える。

「例の、フィンガーアタックってヤツしかないんじゃないですか?」

 舞衣も、斜めの視線を送りながら、つぶやくように言った。

「フィンガーアタックか~。それで大人しくなるかな……」
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