巻き込まれ召喚娘の大逆転!? ~転移者柚奈は、超絶理不尽な扱いを受けました~

しんいち

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残虐非道なる異世界生活

17 生贄屠殺

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 さあ、今日の仕事は何でしょう。またフロア先生夫妻の相談事なんかだと嬉しいな。再生するとはいえ、切られるのは痛いのですよ。
 連れて行かれたのはお屋敷を出てすぐの、というか、隣接の神殿。私が召喚された場所です。その召喚儀式の際のゴツイ儀式場の隣の、比較的こじんまりした部屋へ通されます。
 ここは何するところ? なんか、変な器具がある…。

「ようこそ、柚奈さん。今日は、よろしく」

 ヘレーナ以外で私を名前で呼んでくれるこの人は、女性神官さん。
 たしか、大神官の次の位の人だったかなって思い出していたら、ヘレーナが教えてくれました。お名前はアルマ・ドライベル。大神官のお孫さんで、チェリル王女の母方の従姉ですって。
 大神官職は世襲で、お父様が早く亡くなられたので、お若いですが現在は次席神官の位になっているそうです。

「今日は、儀式に必要な生贄屠殺の練習台になってもらいます」

 い、生贄屠殺いけにえとさつですって?!

 アルマ神官に紹介されたのは、一緒に部屋にいた3人の女性。
 1人は神殿及び大神官邸を警備する女性衛兵長。この神殿や大神官邸内部は、通常は女性衛兵によって警備されているのです。そのトップの人ですね。お名前はテレーゼ・プルグラン。子爵令嬢だそうです。大柄で体つきはガッシリしていますが、なんかちょっと、おどおどした感じ。大丈夫?このヒト…。
 あと2人は神殿の巫女。小柄で細身の可憐な女子、ハナ・ガンランドさん。それから、美人顔だけど少し目がキツイ感じのラーラ・アールンさん。
 ハナさんは男爵令嬢。ラーラさんは伯爵令嬢ですって。みんな御貴族様か…。

 生贄の命を絶つ役は女性衛兵長の仕事なんだけど、ちょうど衛兵長は交代したばかり。
 ……なんでかっていうと、例の聖女殺害事件の責任を取って、前任者が自害しちゃったのですって。
 中央神殿及び大神官邸の警備責任者なんですからね。そこで大切な聖女様が殺害されたのですから、自ら責任をとったってことみたいです。

 で、新たに就任したばかりで屠殺執行しなければならなくなったテレーゼさん。全く自信が無いし、引継ぎも無かったから、やり方も分からない。どうすれば良いかとアルマ神官に泣きつき、今日の予行練習となったそうなんです。
 ついでに事前説明と打ち合わせも兼ねて、次の儀式の生贄に立候補したハナさんも来てもらったって、・・・うへええ~!生贄って立候補するモノなんだ。ビックリ!
 あ、あと、少し心細いという生贄のハナさんに、同僚巫女のラーラさんが付き添っているというコトでした。

 つまり、これはですね。治癒能力保持者がいなくなってしまったので、もう一回召喚儀式をするってことですよ。
 いや~、勘弁して欲しいですね。また私みたいな巻き込まれが無ければよいけど・・・。
 いやそれ以前に、前任者は殺されてますよ。犯人って捕まったの?
 召喚しても、また殺されたりしない??

 まあ、そんなことを私が考えていても仕方ないこと。私は単なる奴隷。発言権も何もない。命じられるまま、殺され役をするしかありませんね。



 アルマ神官の説明によりますと、生贄の屠殺は、召喚の儀の1時間前に行われるそうです。生贄の命を絶って、それと同時に召喚!ということではないんですね。
 儀式に必要とされるのは、生贄の生首と、子宮と、血液の3つ。
 なんで子宮?と思ったら、理由はこう。
 …子宮は新しい生命を生み出すところで、みんな例外なく、そこから産まれて来る。異界人にとっては、この世界に産まれ直すようなモノ(実際は転移してくるだけなんだけど…)だから、命を生み出す器官である子宮が必要…なんですって。
 そう説明されると、何となく分かったような、いや、分からないような・・・。

 切り取った生贄の生首に自らの子宮を咥えさせ、祭壇に供える。更に儀式壇には血を満たす。生贄の首に満月の光が当たると同時に、血を満たされている儀式壇に召喚者が現れ、生贄の首や血なんかは消滅するってことみたい。
 なんとおぞましい儀式でしょう…。

 それに、この可憐な少女ハナさんは、自ら生贄になることを立候補しただなんて…。信じられないよ。何でそんなことを・・・。


 生贄となる巫女は、事前にキッチリ排泄を済ませます。そうしておかないと、屠殺の時に漏らしてしまい、汚れてしまうからですね。
 体の外側も洗って完全に清められた生贄は、裸のまま、自ら屠殺台に乗ります。
 先にお腹を切って子宮を摘出し、次に衛兵長によって首を切断される。
 頭部を無くした胴体は即刻吊り下げられ、全ての血が抜かれて桶に溜められる。
 直ぐに隣の儀式場へ運ばれてゆき、儀式の準備を開始し、召喚儀式へ…という流れだそうです。

 で、その子宮の出し方には2通りあって、生贄本人が選べるということ。
 どういうことかというと、自分で出すか、人に出してもらうかという…。
 いや~、そんなの出してあげてくださいよ。自分でするなんて…と思いました。その時は・・・。

「どっちにする?」

 とアルマ神官に訊かれたハナさん、絶句します。
 当然でしょう。立候補するくらいだから、自分でという気もあるかも知れませんが、こんないたいけな少女が自分のお腹を切って自分の生殖器を摘出するなんて、無理に決まってる。それ、切腹ですからね。

「うん、そうよね。迷うよね。なら、両方見せてもらおっか。実際に見てから決めてね」

 ということで、私が両方をして見せ、決めてもらうことに。
 トホホ・・・。
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