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残虐非道なる異世界生活
20 生贄立候補の理由
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その後、少しの間、巫女から私への質問タイムが設けられました。
これは、付き添っていたラーラからの申し出にアルマ神官からのお許しが出たのです。
まずは、そのラーラから問われます。
「あの、首を斬られるのって、どんな感覚なのですか?直ぐに意識は無くなるんですか?」
なるほど、それは知りたい事でしょうね。普通はそのまま死んでしまうので、自分で体験しないと分からないコトですからね。
「私は特殊な体をしていますので、普通の人と感覚が違うかもしれませんけど…。切られても少しの間は意識があります。首に強い衝撃と痛みが来て、クルッと景色が回って床に落ちる感触あって、後は痛いというよりジーンと痺れた感じですね。意識が途切れるまでは、痙攣して血を噴いている自分の体を見ているってことになります。20秒くらいのことですかね」
「痺れた感じ…。ということは、首を切り離されれば、すぐに死なないにしても痛くはなくなるってことで間違いないですよね」
と言うのはハナさん。次の生贄ですからね。不安よね。
「そういうことですね。でも多分、普通の人なら切断された時点で意識がなくなるんじゃないかな」
「手早く生殖器を取り出して、すぐ首を斬りやすい体勢を取ればよいのですね」
「そうね。後はあの衛兵長さん次第だけど、まあ、今日2回切ってるから、少しは慣れたでしょう。大丈夫だと思いますよ」
「はい、そう願いたいです」
折角の機会ですから、私の方からも訊いてみたいな…。
「えっと、私からも訊いちゃってよいでしょうか?」
「はい、どうぞ」
ハナさん可愛らしく首を傾げます。なんでしょうというポーズです。
「なぜあなたは、自ら生贄になろうと?」
こんな可憐な子が生贄立候補だなんて、どうしても分からない…。
ついさっき、アルマ神官が教えてくれました。生贄は建前上、中央神殿の巫女から選ばれることになっているそうです。・・・が、あくまで、これは建前上のこと。
他から「生贄」として選ばれてきて、巫女に任命された上で即実行というのが普通みたいなんです。
つまり、生贄には中央神殿巫女身分が与えられるというコトなんですね。そうじゃないと、巫女の志望者が居なくなっちゃうでしょうしね・・・。
だから、今回のような、現役巫女からの生贄立候補というのは、珍しいことみたいなんです。
ハナさん、一瞬固まりましたが、ポツリポツリと話してくれました。
彼女の家は男爵家ですが、お爺様の代からなんだそうで、それまでは平民。お爺様は強い魔法力を有していましたが、次のお父様は、大した魔法は使えなかった。
彼女は6人兄弟。そのうち、魔法が使えるのは長兄と次兄の2人だけ。それも、お父様と同じで大した魔法が使えない。このままでは爵位返上しなければならなくなるかも…。
だけど、儀式の生贄を出せば、国の為に大きな働きをしたことになって、取り敢えず次の代までは大丈夫だって同僚のラーラから教えてもらった…。
だから、兄弟の一番末で魔法力も無い上、丁度中央神殿巫女をしていた彼女が、その役に立候補したのだと。
家の為なんですね。なんか、哀れ…。
ついでに、付き添っていたラーラさんにも訊いてみました。
「あなたも、立候補したりする気ってあるのですか」って…。
「そうですね。私の家は伯爵家で、私は2人兄弟ですけど、家は魔法力に優れた兄が継ぎますので、家としての必要に迫れられてはいません。
ですが、お国の為になる名誉なことですし、ハナさんの次の儀式では私が生贄立候補するつもりです。貴族に産まれたからには、常にお国の為というコトを考えなければなりませんから」
う……。
私より年下なのに、しっかりしてるし、肝が据わっているね。
なるほど、だから付き添いとして下見に来たというコトなんですね。
私なら、絶対イヤだよ、こんなの。一つしかない自分の命を差し出すんですよ。
御貴族様は御貴族様で、タイヘンですね。
これは、付き添っていたラーラからの申し出にアルマ神官からのお許しが出たのです。
まずは、そのラーラから問われます。
「あの、首を斬られるのって、どんな感覚なのですか?直ぐに意識は無くなるんですか?」
なるほど、それは知りたい事でしょうね。普通はそのまま死んでしまうので、自分で体験しないと分からないコトですからね。
「私は特殊な体をしていますので、普通の人と感覚が違うかもしれませんけど…。切られても少しの間は意識があります。首に強い衝撃と痛みが来て、クルッと景色が回って床に落ちる感触あって、後は痛いというよりジーンと痺れた感じですね。意識が途切れるまでは、痙攣して血を噴いている自分の体を見ているってことになります。20秒くらいのことですかね」
「痺れた感じ…。ということは、首を切り離されれば、すぐに死なないにしても痛くはなくなるってことで間違いないですよね」
と言うのはハナさん。次の生贄ですからね。不安よね。
「そういうことですね。でも多分、普通の人なら切断された時点で意識がなくなるんじゃないかな」
「手早く生殖器を取り出して、すぐ首を斬りやすい体勢を取ればよいのですね」
「そうね。後はあの衛兵長さん次第だけど、まあ、今日2回切ってるから、少しは慣れたでしょう。大丈夫だと思いますよ」
「はい、そう願いたいです」
折角の機会ですから、私の方からも訊いてみたいな…。
「えっと、私からも訊いちゃってよいでしょうか?」
「はい、どうぞ」
ハナさん可愛らしく首を傾げます。なんでしょうというポーズです。
「なぜあなたは、自ら生贄になろうと?」
こんな可憐な子が生贄立候補だなんて、どうしても分からない…。
ついさっき、アルマ神官が教えてくれました。生贄は建前上、中央神殿の巫女から選ばれることになっているそうです。・・・が、あくまで、これは建前上のこと。
他から「生贄」として選ばれてきて、巫女に任命された上で即実行というのが普通みたいなんです。
つまり、生贄には中央神殿巫女身分が与えられるというコトなんですね。そうじゃないと、巫女の志望者が居なくなっちゃうでしょうしね・・・。
だから、今回のような、現役巫女からの生贄立候補というのは、珍しいことみたいなんです。
ハナさん、一瞬固まりましたが、ポツリポツリと話してくれました。
彼女の家は男爵家ですが、お爺様の代からなんだそうで、それまでは平民。お爺様は強い魔法力を有していましたが、次のお父様は、大した魔法は使えなかった。
彼女は6人兄弟。そのうち、魔法が使えるのは長兄と次兄の2人だけ。それも、お父様と同じで大した魔法が使えない。このままでは爵位返上しなければならなくなるかも…。
だけど、儀式の生贄を出せば、国の為に大きな働きをしたことになって、取り敢えず次の代までは大丈夫だって同僚のラーラから教えてもらった…。
だから、兄弟の一番末で魔法力も無い上、丁度中央神殿巫女をしていた彼女が、その役に立候補したのだと。
家の為なんですね。なんか、哀れ…。
ついでに、付き添っていたラーラさんにも訊いてみました。
「あなたも、立候補したりする気ってあるのですか」って…。
「そうですね。私の家は伯爵家で、私は2人兄弟ですけど、家は魔法力に優れた兄が継ぎますので、家としての必要に迫れられてはいません。
ですが、お国の為になる名誉なことですし、ハナさんの次の儀式では私が生贄立候補するつもりです。貴族に産まれたからには、常にお国の為というコトを考えなければなりませんから」
う……。
私より年下なのに、しっかりしてるし、肝が据わっているね。
なるほど、だから付き添いとして下見に来たというコトなんですね。
私なら、絶対イヤだよ、こんなの。一つしかない自分の命を差し出すんですよ。
御貴族様は御貴族様で、タイヘンですね。
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