巻き込まれ召喚娘の大逆転!? ~転移者柚奈は、超絶理不尽な扱いを受けました~

しんいち

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45 事後処理、そして・・・

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 旧キャロト王国領の疫病対策、かなり大変でしたよ。
 薬があると舐め切っていた彼の国。他の対策を取らず、国中に疫病を広めてしまっていました。
 薬の効果が無いと分かったときにはもう遅い。犠牲になった庶民も尋常じゃない数。
 助けられる人は、可能な限り助けましたけどね。やはり、空気感染する殺人ウイルスの使用は非人道的でした。
 これは、私ってばカナリの恨みを買ってますよね。
 …チェリル女王、あなたはホントに賢い人ですよ。

 まあ、ベッツに私は恨まれたところでなんてことないですし!
 ブスッと背後から心臓刺されても、上から植木鉢落とされて脳天パッカンたたき割られても、私は死にませんからね。
 全然、平気ですヨ~ダ。
 それに、最初に同じコトをしてきた向こうさんの方が悪いんですからね!
 私は、けっして悪くない!!

 そんなことよりも、約束ですよ。
 コトが終わったら、私は奴隷身分から解放。晴れて自由の身となるはずなんです。
 女王、確かに言いましたもんね。ヘレーナが証人ですからね。


 で、引き籠りを決め込んでいた女王との謁見の日となりました。ヘレーナと、彼女の伯父様のグランドル公爵も一緒です。
 謁見の間。女王は王冠を着けての正装。立派な玉座に坐っています。
 私と同い年ですが、トッテモ似合っているし、威厳もある。やはり女王は彼女しかあり得ませんよ。

 私たちは一段下がった位置に跪いています。

 まず、女王代理の私から。
 無事に解決したことを報告し、敵国に対する処置に関してという条件であった女王代理の任を解かれました。なんてったって、その敵国が消滅しましたからね。
 女王からは一応ねぎらいの言葉がありましたが、ちょっとそっけない感じですかね。
 喧嘩みたいな感じで押し付けられましたからね。まあ仕方ないですよ。私も口が過ぎました。反省です。

 続いて、女王からのお達し。
 一緒に謁見しているヘレーナが、その場で公爵に叙せられました。伯父様のグランドル公爵とは別枠で、です。
 これは、最高の忠臣である彼女には相応しい待遇ですね。

 更に、グランドル公爵は筆頭公爵となり、以後は宰相として国の政治を主導することになりました。
 女王自身は主に儀式・儀礼に専念し、直接政治には関わらないつもりのようです。どこまでも逃げるつもりだな、チェリル女王。この引き籠り女め!

 ちなみに、今回の件で反逆者とされたセトリバ公爵家は廃絶。(まあ、一家全員、死に絶えていますけど……)
 何の役にも立たなかった3公爵家は、伯爵に2段格下げされました。

 レンカ・ストンヒル侯爵は軍務卿として王国の軍事の責任者に就任。
 但し、敵対国が消滅ましたので、仕事としては特に無いかも? あ、いや、不安定な旧敵国領の治安維持の仕事があるか…。

 カール・アールン伯爵は、一段昇格で侯爵に叙せられました。
 これは生贄になって亡くなったラーラの功績に報いたものでもあります。先代伯爵の聖女殺害の件を考慮に入れても、断然、功績の方が大きいですよね。

 ハナさんのガンランド家は、永世男爵家となって平民に落とされる心配は消えました。
 これも、生贄として自らの命を差し出したハナさんの功績により、です。

 ということで、これで謁見が終わってしまいそうな雰囲気になってきましたよ。
 それは、ちょっと拙いです。私の地位はどうなっている?

「あの~、御約束は忘れていませんよね。女王様」

 跪いた姿勢のまま顔だけ上げ、恐る恐る伺いますと・・・。

「約束? 何のことかしら?」

 おいおい、しらばっくれちゃあ、嫌ですよ。

「その、奴隷身分から解放してもらえるというお話は・・・」

「あ、ああ、そういえば、そうでしたね。良いでしょう。柚奈、あなたを奴隷身分から解放いたします」

「有難き幸せ」

 やった、これで私は自由の身だ。

「これから、どうしたい?」

とは、女王陛下からの私に対する御下問。君主からの下問です。すぐにお答えを…。

「はい。折角自由の身になれましたので、取り敢えずはあちこち旅でもして、ゆっくりノンビリ、この世界で過ごさせて頂けましたれば、などと考えております」

 一応、公式の場ですからね。ちょっと畏まった感じで答えたつもりですが、慣れないから難しい。御無礼がありましたらお許しください。
 まあ、一緒に異世界にも行った仲ですから、大丈夫でしょう。

「そう、旅・・・。ゆっくりノンビリね・・・」

 へえっ?? ナニその、怖い笑顔。

「柚奈、そうは参りませんよ。ヘレーナ、柚奈を拘束!」

 こ、拘束ですって! それ、どういう事!?

 あっと言う間に私は、隣に控えていたヘレーナに後ろ手を取られ、罪人の如く床に押さえつけられます。
 ひ、酷いよ、ヘレーナ。顔を床に押し付けないでってば。痛いって!

「あなたのような者を自由になどとトンデモナイ。奴隷からは開放しましたが、自由なんて、認めません」

 いやいや、意味わかんない。意味わかんない。
 奴隷から解放なら、自由の身でしょうに!!

「柚奈。勝手は許されませんよ。不死身でありかつ、知人遠隔視能力などとトンデモナイ能力も持つあなたは、危険人物なのです。自覚してください」

 私を押さえつけながら言うヘレーナ。
 そして、玉座から立ち上がり、私を上段から鋭く見下ろす女王…。

「そうです。あなたのような危険なモノを野に放つなんて、絶対ありえません」

「私をどうするつもり? また地下室へ押し込んで、解剖実習にでも使うというの?」

「さ~て、どうしましょうかね~。あなたの所為せいで、私は異界にまで行くことになって、トッテモひどい目に会ったのよね~。その代償はキッチリ支払ってもらわないとね~」

 うそ、うそ、うそ。酷いよ、酷過ぎる!
 それ、私の所為じゃない!!

「取り敢えず、あなたに自由なんてありえませんからね。嫌がる私を女王にして私の自由を奪ってしまったんですからね。せめて私が王位にある内は、付き合ってもらいます」

「へ?」

 付き合う…って??

「あなたは異世界の人間で、自分はこの世界に関係ない者と思っているのかもしれませんが、帰るつもりが無いのなら、もう、この世界の人間です。既に十分すぎるほど、この世界に関わっているのですよ。今更他人事では済まされないのです。覚悟なさい。」

 ど、ど、どういうこと??

「あなたに、新爵位、大公爵の地位を与えます。公爵の上、王の次の立場です。そして、とりあえず、私の代の通常の政務はあなたに全委任します。あなた、どうせ400年以上の寿命あるんでしょ。せめて、私が死ぬまでは私の面倒みなさいよ」

「えっ?! 政務? 全委任?? 嘘でしょ?! そんなの、嫌だあ~」

「大公爵閣下、諦めてください。王命です。宰相として伯父も輔弼しますので、ご安心を。勿論、私も」

 とは、私の拘束を解き、私に対して跪いたヘレーナ。グランドル公爵もその後ろで跪いて笑って頷いています。
 そう、宰相はあくまで宰相なんですよ。王権の代行者ではなくて、政務補佐役。儀礼に専念するという女王の代行は別人物。つまり、わ・た・し。

「う、うっそだ~」

 こうして私は、大公爵=この国の政治上の責任者という、トンデモ地位を押し付けられてしまったのでした。
 まったくもって、酷い話ですよ。私、こんなの望んでない!
 しかし、やはり私の拒否権など認められない。諦めて御命令に従うしかありません。


 いや、それにしてもですね。チェリル女王の代って何年間よ?
 オマケに、それで終わる保証って・・・絶対ないよね。

 私に対するこの理不尽な仕打ちってば、いつまで続くのでしょうかね。
 いい加減、勘弁して欲しい。

 トホホですよ~!!
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