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富山での御縁
25 アマテラス様2
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アマテラス様への説明も終わり、私はビンちゃんを呼びました。
ビンちゃんは名を呼べとの事でしたが、私はビンちゃんの本名を知りません。
だから、呼んだのは「ビンちゃん」と。
これでビンちゃんはポンと現れました。
つまり、彼女の今の名は敬称含めて「ビンちゃん」なのです。
「話が付いたようだの。
で、伯母上の分霊殿。私はこの地に居っても差し支え無いかな?」
ビンちゃんはアマテラス様を見上げて問いました。
アマテラス様、丁寧に頭を下げ乍ら…、
「氏子の個人的守護神ということであれば、私が異を唱えることではありません。
思し召しのままに」
「あ、あの~。さっきから気になっていたのですが、分霊ってどういうことですか?」
棚上げにしていた疑問です。
「あ、え~と、どう説明すれば良いかしら……。
我々神は、肉体の無い霊体です。肉体は二つに分けるなんてことは出来ませんが、霊体は分身を作ることが可能です。
この分身が、分霊です。オリジナルの方は、本霊です」
「え? ちょっと待ってください?!
日本中にアマテラス様をお祀りしている神社って、凄くたくさんありますよね!
それに全部、分霊様がいらっしゃるってことですか?
そんなにたくさんに分かれたら、お一人ずつがトンデモナク小っちゃくなっちゃいません?」
「嫌だ、ハルカったら…。小っちゃく何てなりませんよ。
う~ん、どう説明すれば良いのかしら……」
説明に困っているアマテラス様に代わり、ビンちゃんが口を開きます。
「ハルカよ。火の様なモノだと理解したら良いと思うぞ」
「え? 火?」
「そうだ。伯母上の本霊は、伊勢の宮におわす。
これを大きな焚火の様なモノと考えよ。
ヒトが、自分たちの住む地にも伯母上を祀りたいと、この焚火から火を移して祀る。
これが分霊だ。
で、これで、元の焚火は小さくなるか?」
「い、イヤ…。小さくなりませんね。薪を入れ続ければ……」
「そういうことだ。この場合、薪に当たるのが人々の祈りだ。
それがある限り、本霊が小さくなったり、力を弱めたりするなどということは無い。
いや逆に、分霊が増えると、本霊は更に力を増すのだ。
分霊へ向けられた祈りの一部分は、本霊にも届くからな。
複数であっても、やはり一つでもあるということだ」
う~ん。最後のは、ちょっと難しいけど、まあ、なんとなく分かったような気がします。
そうよね。神様は、人の祈りによって力を増すんでした。
そして、「ここの神様は伊勢の神様と同じ神様だ」って思って祈れば、祈りの一部分は伊勢の方へも届くということかな……。
「流石でございます。
上手い喩えですね。正にその通りです。
我々神社に祀られる神は、焚火ですね。
ならば、神社で出すお札やお守りは、蝋燭に喩えるなんてことも出来ますね」
お札やお守りが、蝋燭?
それはまた、どういうこと?
どっちも神様の力の籠もった物で、人を守ってくれるものだろうけど……。
「焚火は薪をくべることで、どれだけでも燃え続けます。
ですが、お守りやお札は一年限定。
燃え尽きる期間が決まっているモノなのです。
ですから、蝋燭…。
そして、そこへ向けられた祈りは、それ自体の燃料になるのではなく、それらに火を分けた神の元に全て届くのですよ」
お~!! なるほど。そういうことか!
お札やお守りって、そういうアイテムだったんですね…。
だけど、それにしても……。
分霊がたくさんだとヤヤッコシイなあ。
全く同じ神様がいっぱいなんて…。
この事を指摘してみると、アマテラス様の分霊様は…。
「いやいや、全く同じではないのですよ。役割が違いますから。
それぞれの地の守り神として勧請され、祀られてゆくのですし、向けられる祈りも、それぞれ異なります。自然と性格も異なってきます。」
そうか…。それはそうよね。
祈る人も、その数も違うから、性格も、持てる力も違ってくるんだ。
「でも、みなさんアマテラス様はアマテラス様なんですよね。
名前が同じってのは、どう考えても、やっぱりヤヤコシイですよ」
その狭い地域だけのことなら問題ありませんが、何人かアマテラス様が居らっしゃるところであれば、呼んでも誰が呼ばれているのか分からなくなってしまうじゃあないですか。
「まあ、そうですね。
ああ、それでは、私の事はナギと呼んでくださいな。
エース様も、是非、そのように」
「おいおい、私のその呼び方は、もう止めよ。
私は今、ビンちゃんだ。だから、其方もそう呼べ」
「はい、ではビンちゃん様」
「こら、様はいらぬ!
名がビンで、指定敬称がちゃんだ」
「よ、よろしいので?」
「良い!」
「畏まりました。仰せのままに」
アマテラス様、ビンちゃんに向かって丁寧に頭を下げます。
う~ん。氏神様よりも、私についている貧乏神様の方が完全に格上…。
これはイヤハヤ、どういうことなんすかね?
私、この後、どうなってしまうんでしょうね……。
ビンちゃんは名を呼べとの事でしたが、私はビンちゃんの本名を知りません。
だから、呼んだのは「ビンちゃん」と。
これでビンちゃんはポンと現れました。
つまり、彼女の今の名は敬称含めて「ビンちゃん」なのです。
「話が付いたようだの。
で、伯母上の分霊殿。私はこの地に居っても差し支え無いかな?」
ビンちゃんはアマテラス様を見上げて問いました。
アマテラス様、丁寧に頭を下げ乍ら…、
「氏子の個人的守護神ということであれば、私が異を唱えることではありません。
思し召しのままに」
「あ、あの~。さっきから気になっていたのですが、分霊ってどういうことですか?」
棚上げにしていた疑問です。
「あ、え~と、どう説明すれば良いかしら……。
我々神は、肉体の無い霊体です。肉体は二つに分けるなんてことは出来ませんが、霊体は分身を作ることが可能です。
この分身が、分霊です。オリジナルの方は、本霊です」
「え? ちょっと待ってください?!
日本中にアマテラス様をお祀りしている神社って、凄くたくさんありますよね!
それに全部、分霊様がいらっしゃるってことですか?
そんなにたくさんに分かれたら、お一人ずつがトンデモナク小っちゃくなっちゃいません?」
「嫌だ、ハルカったら…。小っちゃく何てなりませんよ。
う~ん、どう説明すれば良いのかしら……」
説明に困っているアマテラス様に代わり、ビンちゃんが口を開きます。
「ハルカよ。火の様なモノだと理解したら良いと思うぞ」
「え? 火?」
「そうだ。伯母上の本霊は、伊勢の宮におわす。
これを大きな焚火の様なモノと考えよ。
ヒトが、自分たちの住む地にも伯母上を祀りたいと、この焚火から火を移して祀る。
これが分霊だ。
で、これで、元の焚火は小さくなるか?」
「い、イヤ…。小さくなりませんね。薪を入れ続ければ……」
「そういうことだ。この場合、薪に当たるのが人々の祈りだ。
それがある限り、本霊が小さくなったり、力を弱めたりするなどということは無い。
いや逆に、分霊が増えると、本霊は更に力を増すのだ。
分霊へ向けられた祈りの一部分は、本霊にも届くからな。
複数であっても、やはり一つでもあるということだ」
う~ん。最後のは、ちょっと難しいけど、まあ、なんとなく分かったような気がします。
そうよね。神様は、人の祈りによって力を増すんでした。
そして、「ここの神様は伊勢の神様と同じ神様だ」って思って祈れば、祈りの一部分は伊勢の方へも届くということかな……。
「流石でございます。
上手い喩えですね。正にその通りです。
我々神社に祀られる神は、焚火ですね。
ならば、神社で出すお札やお守りは、蝋燭に喩えるなんてことも出来ますね」
お札やお守りが、蝋燭?
それはまた、どういうこと?
どっちも神様の力の籠もった物で、人を守ってくれるものだろうけど……。
「焚火は薪をくべることで、どれだけでも燃え続けます。
ですが、お守りやお札は一年限定。
燃え尽きる期間が決まっているモノなのです。
ですから、蝋燭…。
そして、そこへ向けられた祈りは、それ自体の燃料になるのではなく、それらに火を分けた神の元に全て届くのですよ」
お~!! なるほど。そういうことか!
お札やお守りって、そういうアイテムだったんですね…。
だけど、それにしても……。
分霊がたくさんだとヤヤッコシイなあ。
全く同じ神様がいっぱいなんて…。
この事を指摘してみると、アマテラス様の分霊様は…。
「いやいや、全く同じではないのですよ。役割が違いますから。
それぞれの地の守り神として勧請され、祀られてゆくのですし、向けられる祈りも、それぞれ異なります。自然と性格も異なってきます。」
そうか…。それはそうよね。
祈る人も、その数も違うから、性格も、持てる力も違ってくるんだ。
「でも、みなさんアマテラス様はアマテラス様なんですよね。
名前が同じってのは、どう考えても、やっぱりヤヤコシイですよ」
その狭い地域だけのことなら問題ありませんが、何人かアマテラス様が居らっしゃるところであれば、呼んでも誰が呼ばれているのか分からなくなってしまうじゃあないですか。
「まあ、そうですね。
ああ、それでは、私の事はナギと呼んでくださいな。
エース様も、是非、そのように」
「おいおい、私のその呼び方は、もう止めよ。
私は今、ビンちゃんだ。だから、其方もそう呼べ」
「はい、ではビンちゃん様」
「こら、様はいらぬ!
名がビンで、指定敬称がちゃんだ」
「よ、よろしいので?」
「良い!」
「畏まりました。仰せのままに」
アマテラス様、ビンちゃんに向かって丁寧に頭を下げます。
う~ん。氏神様よりも、私についている貧乏神様の方が完全に格上…。
これはイヤハヤ、どういうことなんすかね?
私、この後、どうなってしまうんでしょうね……。
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