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きらめきの星の奇跡
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しおりを挟むその日は、雲一つない快晴だった。
舞踏会が行われたあの場所の上に創られた、特別な会場で、エリィ姫様と、シーク王子様の王位継承の儀式は、なんの問題もなく、両国の国民に祝われて行われた。
リルは、エリィ姫様の弟子として、儀式の中で重要な役を任されていた。
あの舞踏会の時のように、お姫様のような格好をして堂々としているリルを見ながら、俺の心は、あの時を思い出して色んな感情が混ざって、でも、それが今は心地よかった。
そして、夜になると同時に、儀式は無事に終わった。
空には、星が輝いていた。
古来より、創造神様の出発は昼に、破壊神様の出発は夜にと言われている。それと同時に、ウエディングストーンは、夜の方が綺麗に見える。
だから、エミリィ様の結婚式は夜になったのだ。
俺は、一番前の席で、アクアマリンのウエディングストーンを握りしめて、緊張しながらその時を待った。
右側には、お姫様のようなリルが。左側には、キラさんがいる。
エリィ姫様、シーク王子様は、新しい王と女王として、一緒に座っている。
ユーク様はどこだろう……。そう思って見渡してみると、何故か、一番高いところの、会場の上にのんびりと座っていた。
一応国にとって重要な行事なのに、良いのだろうか……。そう思って見ていると、ユーク様と目が合った。
ユーク様は俺の気持ちが分かったのか、ウインクしてくる。
俺はよく分からなかったけれど、頷いて返した。
ついに、結婚式が始まった。
髪を下ろして、ドレス姿のエミリィ様は、今までに見たことのないくらい綺麗だった。
不機嫌な顔で出てくるかと思ったけれど、その顔は、恥ずかしそうで、でも嬉しそうに微笑んでいた。
隣にいるラネンさんも、惚れ惚れする姿だ。
キラさんが、もう声を抑えて泣いていた。
当たり前か。だって、もう抑えられないのは、俺も同じだったから。
いつも恐れられて、遠ざけられていたエミリィ様の結婚式に、二つの国中の人が集まって、祝おうとしている。
そしてそれに答えるように、エミリィ様は微笑んでいる。
俺の視界が、涙で歪む。
「もう、ルト、ウエディングストーンを飛ばすのはこれからよ」
そう言ったリルの顔も、涙で濡れている。
俺が涙で何も見えなくなっている間に、結婚式は進み、ウエディングストーンを飛ばすときが来た。
エリィ姫様とシーク王子様が立ち上がった。
そして、二人が先導するように、俺の創ったウエディングストーンを空に飛ばした。
それはどこまでも高く登っていき、どんな星よりも輝いている。
次々と、青いバラのウエディングストーンが飛ばされる。数え切れないくらい多くのウエディングストーンが、空高く登り、光り輝く。
ウエディングストーンは、想いを込めれば込めるほど、空高く上がり光り輝く。不可能から、奇跡になった青いバラが、眩い光景を創り出す。
俺も、リルも、泣きながら、だけれど誰よりも笑顔で、ウエディングストーンを空に飛ばした。
どんどん上に上がって光り輝く青いバラを見ながら、ふとキラさんを見ると、キラさんはまだウエディングストーンを飛ばしていなかった。
不思議に思って見ると、その目はユーク様に向けられている。二人が、頷き合うのが分かった。
そしてそれと同時に、キラさんの手からウエディングストーンが飛んだ。
それは……俺の創ったアクアマリンの青いバラと……キラさんの生誕指輪の石であり、ベリル王国の人の生誕指輪の石でもある、ピンクのベリルで創られた、バラのウエディングストーンだった。
それを合図にするかのように、会場から離れた場所から、次々と、ベリルのバラのウエディングストーンが飛び始める。
どこまで出てくるのか分からない俺の涙が、また溢れ出した。
それと同時に、ユーク様が、数個のウエディングストーンを同時に飛ばした。
クリソプレーズ、ラベンダーアメシスト、それに、ラピスラズリのバラのウエディングストーン……!?
どうして……。
そう思うと同時に、グリーンクウォーツ王国から、次々と、三つのウエディングストーンが飛んだ。
そして、会場から最も離れた場所からは、チャロアイトの一番大きなバラのフラワーストーンが空高く上がり、輝き始めた。
アーサさん……。
世界中から飛ばされるウエディングストーンに驚いているのは、エミリィ様も同じだった。
だって、俺たちには、ホワイトクウォーツ王国の人用の、青いバラのウエディングストーンしか知らされていなかったのだから。
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