真の敵は愛にあり

Emi 松原

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アマナのノート

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魔術暦1020術、一つの大きな国を統べていた国王が、自らの死期が近いことを悟り、この国を三つに分けると言い始めた。これは、国王の三人の子供である、長女のティーサ、双子の長男次男のアルトとカナトに、平等に国を分け与え、なおかつ三人の適正に合った区域を任せようとするという考えだった。
 そして三人で協力して、国を豊かにして欲しい。それが国王の願いだった。
 魔力の泉が湧き出ていて、魔力供給に長けている区域を、愛の深いティーサに。この地域は、髪の毛と瞳の色が緑色の者が多いことから、グリーン王国と名付けられた。
 魔獣召喚魔法が得意で、魔獣を自由に操ることに長けている区域を、アルトに。この地域は、髪の毛と瞳が赤い者が多いことから、レッド王国と名付けられた。
 精製魔法が得意で、個々の魔法の能力に長けている区域を、カナトに。この地域は、髪の毛と瞳が青い者が多いことから、ブルー王国と名付けられた。

魔術暦1030術、国王がこの世を去った。そして、三人が本格的にそれぞれの国を統べる、女王と国王になった。
長女のティーサは、国を独立させた後、国民が他の国と交流することを禁止にして、閉鎖的な国となった。魔力の泉を持つ者は、中立的でなくてはならない。ティーサの考えの元だった。
レッド王国とブルー王国は盛んに交流をして、お互いの国を尊重し、アルトとカナトは仲良くお互いの国を統べていた。

 魔術暦1032術、突然、レッド王国とブルー王国が戦争を始めた。本当に突然のことで、国民の誰もが戸惑った。
 戦争が始まる前日の夜に、姉弟三人での交流の晩餐会があったばかりだった。この時に何があったのか、誰にも分からないことから、謎の晩餐会と呼ばれている。
 ブルー王国は、レッド王国の者を国外追放、もしくは幽閉した。そして、上流貴族にあたる者にレッド王国の近親者がいる場合、国での階級を一番低い者として落とし、上流社会から追い出した。
 戦争をするにあたって、騎士団の強化がなされた。個人能力を重視していたブルー王国は、騎士団を四部隊に分けて、さらにそのうちの三部隊から三人一組のチームを組ませる方法をとった。
 先陣をきって、その能力で直接攻撃をして戦うアタッカー部隊。
 後方を守る為に攻撃を受ける盾となり、中距離、遠距離攻撃をするシューター部隊。
 後方から、魔力供給と治癒を行うヒーラー部隊。
 この三つの部隊から、三人一組が組まれる。
 四つ目は、情報収集や、戦術を考え、指示を出す後方部隊。
 こうして騎士団は、国を守る為に戦う者として強化された。
 騎士団には、レッド王国とブルー王国のハーフの人間も入ることができたが、ブルー王国に忠誠を誓う証として、覚悟の魔法がかけられている。(覚悟の魔法の詳細は不明)
 そして、特に国の中でもずば抜けて力の優れた者を、騎士団より地位の高い特別騎士団として選別した。特別騎士団がこの国で一番強い者達の集まりで、王族との交流もある。
 特別騎士団団長のエミルをはじめとして、六名で結成されていた特別騎士団だが、現在は五人で活動している。
 そのうちの三人がレッド王国とブルー王国のハーフであることから、ブルー王国のハーフへ対する差別意識は薄れたと言われている。
 レッド王国は、得意の魔獣召喚をし、魔獣を使って攻撃をしてくるという方法をとっている。
 グリーン王国のティーサは、レッド王国にも、ブルー王国にも、貿易として魔力供給を行っている。そして、仲介という立場で、話し合いのたびに戦争についての制約を定めていった。
 現在は、戦闘時間、戦闘区域が定められている。
 国民を巻き込まない素晴らしい考えだと、ティーサはどの国の人間からも慕われる女王である。
 こうして、現在も戦争は続き、ブルー王国では武器の精製、召喚、治癒、戦闘の教育が義務となっているのである。

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