真の敵は愛にあり

Emi 松原

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アマナの授業

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俺は、騎士団と特別騎士団について教えて貰うために、アマナの部屋にいた。
「では、授業を始めます」
 本を沢山開いて、楽しそうなアマナ。
「はい、お願いします」
 俺も乗っかって、頭を下げる。
「まずは、騎士団についてね。騎士団は、第一騎士団をはじめとして構成されているわ。番号が少なくなる程、地位が高くなって、命令の権力も強くなるわ。つまり、騎士団の中では、第一騎士団が一番偉くて、戦場の最前線で戦う。ここまでは分かっているわね?」
「うん。例えば、俺が第二騎士団に所属になったと仮定したら、普段は第二騎士団長の命令に従うけれど、もし第一騎士団長が違う指示をだしたら、そっちに従わないといけないんだろう?」
「そう。そして、騎士団とは別の組織として構成されていて、何よりも騎士団が優先して命令をきかなければいけない集団、それが、特別騎士団」
「俺が目指すものだ」
 俺は、アマナの方に体を乗り出して、本を見ながら答えた。
「じゃあ、ここからは、まだコルに話したことがないことも交えて話すわね。今から話すことは、全て閲覧に制限がある本に書いてあったことよ。まず、特別騎士団は、結成当初は三人だった。最年長者で、レッド王国とブルー王国のハーフのハヤテさん。そして、ハヤテさんより二つ年下の、エミルさんとヨネルさん。ヨネルさんも、ハーフよ。エミルさんは……」
 アマナが言葉を切って、少し複雑な顔をした。
「アマナ?」
「コル……あなたの夢を、私は応援したい。だけれど、聞いたら、コルが悩んでしまうこともあると思う。だから、知ることには覚悟がいると思うし、その重さを背負わないといけなくなる。……それでも、聞く?」
 アマナの言葉に、俺は、ゆっくりと頷いた。この前の決闘で、覚悟は決めた。綺麗事だけじゃ、俺の夢は叶わないと。
「じゃあ、エミルさんについては、この国の身分からおさらいしましょう。この国には、上流貴族が一番地位の高い国民として存在している。その次が貴族。そして、私たち庶民に……その下があるけれど……名前はつけられていない。エミルさんとヨネルさんは、元々上流貴族だった。特にエミルさんは、国王の娘、エリノア姫と仲が良いほど、王国の人間に近かった。だけれど、戦争が始まったときに、その身分を取り上げられ、名前のない最下位の地位に落とされたの。エミルさんのお姉さんのミリさんが、レッド王国の人と結婚を控えていたという理由で。そしてヨネルさんも、ハーフという理由で……」
 アマナの言葉に、俺は黙って頷いた。
「この三人、特にエミルさんは、強大な個人能力を持っていた。特別騎士団ができたのはね、元々は、この強大な力が、国への復讐へ使われることを防ぐためなの。国の騎士団で一番高い地位を与える。王族との交流も持ち、権限も与える。それによって、国への復讐心を押さえようとしたのよ」
「でも、王族と近い場所にいたら、復讐がしやすくなってしまうんじゃ……」
「そう。そこで出てくるのが、覚悟の魔法。忠誠の魔法とも言われているわ。エミルさんはレッド王国の血が入っていないから、かけられていないはずなんだけれど、ハヤテさんとヨネルさんのような、ハーフの人にはかけられている。詳細は分からないんだけれど、国への裏切り行為をできないようにしていることは確かよ」
「…………」
 俺は黙って、アマナの授業を聞いた。
「エミルさんは次に、上流貴族で、同じ年のシルクさんを特別騎士団に入れた。……エミルさんとシルクさんは、元恋人同士。だけれど、エミルさんの地位が落ちたことで、別れざるを得なくなったの。エミルさん、ヨネルさん、シルクさんは幼なじみで、三人で過ごすことが、強大な力を得ることに繋がったと言われている。今は……エミルさんとヨネルさんが恋人同士だと公表されているわ」
 俺は、続きを促すように、黙って頷く。
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