真の敵は愛にあり

Emi 松原

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チームの結成

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俺たちは、書類作成のために寮に戻った。
 丁度戦闘時間で、新人の団員しかいなかったのが幸いだった。
 ……今この瞬間争いが行われていると実感したけれど……。
 俺たちが四人でいることで、新人の団員は色々と察したのだと思う。
 遠巻きに俺たちを見て、俺たちが何かを言われることはなかった。
 こうして、俺たちは三人でチーム結成の書類を作り始めた。
 アマナも、進言書を作っていた。
 ここで問題になったのが、誰がチームのリーダーになるかということだった。
「ブラン、俺はブランが良いと思う。君は、判断能力に優れているし」
「俺は、コルが良いと思う。コルが俺たちを集めたんだぞ。俺たちは、コルの夢に向かって歩く。その先頭を行くのは君であるべきだ」
「でも、俺にそんな能力あるかなぁ……」
「君は勧誘者だろう。勧誘者はもっと傲慢なのかと思っていたが、計算外だったようだな。アマナ、モカ、君たちはどう思う?」
「私はっ!どちらがリーダーになっても、素敵だと思いますっ!だけれどっ……コルには、勧誘者としての建前があるのでは……」
「えっ、俺は勧誘者だからって、特別扱いされる気はないよ。なぁ、アマナ?」
「そうね……私は、コルが良いと思うわ。コルを特別扱いしているわけではない。ブラン、あなたは状況を読む能力に長けている。きっと戦闘中、冷静な判断ができる。それで、モカちゃんとしっかり連携をとって、モカちゃんが指示をだす。一見すると、ブランがリーダーに向いているかもしれない。だけれど、状況が分かるが上に、何か決断することがあった時に、答えが出せないことがあるかもしれない。コルは、普段はおとなしいけれど、いざという時のとっさの決断力があるわ。最終的な決断はリーダーに委ねられる場合が多い。だから、私はコルが良いと思うの」
 アマナの言葉に、ブランが頷く。
「アマナの言うと通りだ。俺は、どうしても頭で計算することが先に来る。普段はそれで良いんだろうが、決断力に欠けているのはわかっている」
「アマナちゃん、さすがですっ!」
 モカが、尊敬のまなざしでアマナを見ている。
「アマナがそう言うなら……」
 こうして、リーダーは俺になったのだった。
 俺たちが書類を書き終わった時には、戦闘時間は終わっていた。
 俺たちは書類を、後方支援部隊の係の人に持っていくことにした。
 誰かに絡まれるかと思ったけれど、噂が広がったのだろうか、それとも、戦闘でそれどことじゃなかったのか……俺はまた遠巻きに視線を感じながら、書類を無事に提出した。
 これで、正式に俺たちはチームだ。
「じゃあ、明日からチーム訓練を始めようか」
 ブランの言葉に、俺たちは頷いた。
「おう!合同訓練だな。どこに配属されるか分からないけれど、今できることを精一杯やっておこう」
 俺がそう言うと、四人で手を重ねた。
「じゃあ、また明日」
 そう言うと、手を離して、俺たちは自分たちの寮へと戻って眠りについたのだった。

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