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グリーン王国へ
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しおりを挟む「俺……戦争をなくしたいって夢は変わらない。その為に、何をしたいのかも、分かった気がするんだ。俺、エミルさんの……特別騎士団の人の手助けがしたい。エミルさん達が双方が納得する形で戦争を終わらせようとしていることが分かったから。俺は、俺にできることでその力になりたい」
俺の言葉に、三人が頷いた。
「コル、俺たちは、君の夢に向かって歩くために、俺の見たかった世界を見るために同じチームになった。俺も、できることはなんでもしたい。兄が見ていた世界を、少しだけでも感じることができた恩返しがしたい」
ブランが、俺の顔を見ながらはっきりと言った。
「私はっ!シルクさんのようになりたいという曖昧な夢しか持っていませんでしたっ。そこに、二人を応援したいという新たな夢ができたのですっ!これからも、私は、二人と一緒に歩いて行きたいですっ!」
モカが、泣きながら言った。
俺は、アマナの顔を見た。アマナは、いつもと変わらず、優しく頷いて、俺を抱きしめてくれた。
しばらく、俺はアマナに身を任せていた。
俺が落ち着いているのを確認してから、アマナから、グリーン王国の平和交渉に行くことを知らされた。
「平和交渉に連れて行かれるって言われても……俺はアマナと違って、交渉の知識なんて持ってないよ」
少し慌てて俺は言った。
エミルさんにはきっと考えがあるんだろうけれど、俺はブルー王国を出たことがない。その上、平和交渉にはあのティーサ女王が同席すると言う。慌てないわけがない。
「エミルさん達は、見せたいんだと思うわ。それに、ラオンくんも同席するそうよ。あなたが自分の進むべき道を決めた今、迷うことなんてないはずよ」
アマナが、俺の背中を押すように言った。
「だけど……最低限の知識くらいないといけないよなぁ……」
俺はぼんやりとつぶやいた。
「ねぇ、コル。この戦争で、一番得をしているのは誰でしょうね?」
アマナの突然の言葉に、俺は驚いて、固まった。
そんなこと、考えたことがない。戦争で得をする?そんなことがあるのか?
俺が今まで見てきたのは、町の人が苦しむ姿、エミルさんの姉、ミリさんがあんなにやつれて苦しんでいる姿。それに、エミルさんやヨネルさん、シルクさんも、特別騎士団の人たちも苦しんでいるはずだ。得をする人なんて……。
「……わからないよ。得をする人なんているのか……?」
俺はどうしても分からずに、アマナを見た。
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