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違和感の理由
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しおりを挟む俺の部屋に、アマナと、ブラン、それにモカがいた。
もう一つの覚悟の呪文を使ったあの日から、俺の部屋で全員寝泊まりしてくれている。
「平和交渉はどうだったかい?」
ブランが、アマナに聞いた。ブランは、アマナの言葉で何か察していたみたいだから、気になったのだろう。
「そうね。グリーン王国が、ブルー王国にもレッド王国にも、新たな供給をすることで決まったわ。防御力を上げて、騎士団員の負傷者を減らすために」
アマナが言った。
緊張から解き放たれたからだろうか、少し投げやりになっている。
ブランは黙って頷いた。
少しの間、沈黙が続いた。
多分、皆、今の段階で何処まで踏み込んで話して良いか分からなかったんだと思う。
「コルっ、グリーン王国はどうでしたかっ!?」
空気を変えるように、モカが明るく言った。
「そうだな……なんだか凄かった。みんな、盾を体につけてるみたいで。後、建物がすごく大きかった。色がみんな同じだから、どれがなんの建物なのか全然分からなかった」
俺は、見たままの感想を言った。
「へぇーっ、グリーン王国は発展している国ですからっ、珍しいものが沢山あったのでしょうねっ!」
モカが楽しそうに言った。
俺は頷いた。本当に、見るもの全てに驚いたから。
アマナが、難しい顔をして考え込んでいる。
「アマナ?」
俺の声で、ハッとなるアマナ。
「ごめんなさい、ぼーっとしてて。何?」
アマナがぼーっとするなんて珍しい。余程考え事をしていたんだろう。
「アマナ、何を考えているんだい?」
俺は、アマナに聞いた。
「ティーサ女王様のことよ。なるべく先入観を持たないようにしていたつもりだったのだけれど、実際に話をしてみて、色々と確信に変わったというか……」
アマナが、複雑な表情をして笑った。
「今はまだ、俺たち聞く時じゃないかな?」
「そうね、もう少し時が来たら、教えてあげる」
俺の言葉に、アマナは笑って答えた。
そして、俺は聞くか迷っていたことを、聞いてみることにした。
「なぁ……今日の平和交渉を聞いていて思ったんだけれど……。魔力供給が、グリーン王国から行われていたことは知っていたんだ。だけれど……武器や、盾を精製する材料も、グリーン王国から買っているのかい?」
「えぇ、そうよ。グリーン王国は魔力の供給源の泉があるから、無限と言って良いほど魔力が溢れている。だから、国も発展しているし、魔力供給がしっかりしているから、武器や盾に使う材料も作れる。それを、貿易としてブルー王国は買っているのよ。レッド王国は、魔獣の森の敷地を借りているわ。グリーン王国には、広い魔獣の森があるから。これも貿易でね」
アマナが、俺を見ながら答えた。
じゃあ、交渉中に俺が感じた違和感は、間違っていないのだろうか……。
ちらりとアマナを見たけれど、アマナはこの話題を続ける気はないようだ。きっと、必要になったら教えてくれるだろう。
「それにしても、王族の人と同じ場所にいるのは居心地が悪かったな……」
俺はぼそっと言った。
そこから、難しい話題には触れず、今日乗った馬車のことや、エリノア姫について話しをして、夜は更けていった。
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