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第二話
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歪みの中に入ると、目の前には先ほどと似たような森が広がっていた。しかし違和感はすぐに訪れる。
「あれ?レティは?フェイもいない……」
先へ行ったはずの二人の姿がどこにもない。むしろ湖から見た幻影の森が延長線にあるようにしか見えないのだ。
「これ、本当に二人と同じ道なのか?」
「こ、怖い事言わないでよ!」
まさか別々の場所に繋がっていたとは思いたくもないが、この状況ではそうとしか思えない。
「これ以上は危険だな。真樹、とりあえず戻ろう」
「戻るって?」
「この先は何があるかわからないし危険だ。元の場所にいた方がまだ安心する」
「そ、そうだね……」
鬱蒼と生えている木々や草。日の光はあまり通していないのか、辺りは薄暗い。不気味な雰囲気のこの場所から離れようと、真樹とカイは潜ってきた歪みをもう一度潜ろうとした。しかし……
「なあ、ここに空間の歪みがあったよな?」
「うん……」
「ないんだけど」
「えっ!」
これでは元に戻れない。むしろこのまま真っ直ぐ行けと言わんばかりの空気だ。
「オレはフェイやレティほど詳しくはないが、誰かがオレ達を二人から離したんだよな」
「そ、そんな……何で?」
「それは知らないが、こんな事をした奴が何処かにいるには違いないだろ」
確かにこういう状況はよく漫画なんかで見た事がある。きっと先に進んだところにボスがいて、倒せば元に戻れるアレだ。
「状況からするに、巻き込まれたのはオレ達だろうな」
「どうするの?」
「動きたくはないが、動かないと終わらない気もする。仕方ないから進むしかないな」
それ以外の選択肢がないのだから仕方ない。真樹とカイは道なき道を歩く事にした。
「なんだろ……ちょっと寒くなってきたかも……」
ぶるりと身を震わせた真樹。
二人はあれから歩き続けた。森には動物の影もない。しかし何かがいるという気配だけはわかる。
そして日没などの時間軸は同じなのか、徐々に周囲が暗くなり始めた。それと同時にひんやりとした空気も立ち込めている。
「これ以上は危険かもな。どこか暖がとれる場所を探そう」
もう間も無く夜になる。そうなると冒険者でもない二人には目利きが出来なくなる。急ぎ足で休める場所を探す。
(……だよねぇ。ベタだよねぇ……)
この場合の定番中の定番なのか、少し歩くと開けた場所に出た。そしてそこには一軒のロッジのような木造家屋がある。
「これ、絶対罠だよ」
「オレもそう思う……けど」
寒さが増していく中、真樹はカタカタと震えている。それを見たカイは、背に腹は変えられない。罠だとしても無いよりマシと決心する。
「行こう」
「えっ?」
「罠だけど、このままじゃ凍死だ。それに中にこの状況を作り出した親分がいるなら手っ取り早い。さっさと始末して二人の元に戻ろう」
確かにこのままではラチがあかない。真樹は大人しく「うん」とだけ答え、二人は罠の中へと入って行く。
「すみません……」
扉を開けてみると、中は真っ暗で誰もいない。
「とりあえず火を起こすから座って」
「うん」
周囲を見渡して見るが、テーブルにイス、暖炉と、普通の家と何も変わらない。それどころか敵の姿が見えない。
「あれ?レティは?フェイもいない……」
先へ行ったはずの二人の姿がどこにもない。むしろ湖から見た幻影の森が延長線にあるようにしか見えないのだ。
「これ、本当に二人と同じ道なのか?」
「こ、怖い事言わないでよ!」
まさか別々の場所に繋がっていたとは思いたくもないが、この状況ではそうとしか思えない。
「これ以上は危険だな。真樹、とりあえず戻ろう」
「戻るって?」
「この先は何があるかわからないし危険だ。元の場所にいた方がまだ安心する」
「そ、そうだね……」
鬱蒼と生えている木々や草。日の光はあまり通していないのか、辺りは薄暗い。不気味な雰囲気のこの場所から離れようと、真樹とカイは潜ってきた歪みをもう一度潜ろうとした。しかし……
「なあ、ここに空間の歪みがあったよな?」
「うん……」
「ないんだけど」
「えっ!」
これでは元に戻れない。むしろこのまま真っ直ぐ行けと言わんばかりの空気だ。
「オレはフェイやレティほど詳しくはないが、誰かがオレ達を二人から離したんだよな」
「そ、そんな……何で?」
「それは知らないが、こんな事をした奴が何処かにいるには違いないだろ」
確かにこういう状況はよく漫画なんかで見た事がある。きっと先に進んだところにボスがいて、倒せば元に戻れるアレだ。
「状況からするに、巻き込まれたのはオレ達だろうな」
「どうするの?」
「動きたくはないが、動かないと終わらない気もする。仕方ないから進むしかないな」
それ以外の選択肢がないのだから仕方ない。真樹とカイは道なき道を歩く事にした。
「なんだろ……ちょっと寒くなってきたかも……」
ぶるりと身を震わせた真樹。
二人はあれから歩き続けた。森には動物の影もない。しかし何かがいるという気配だけはわかる。
そして日没などの時間軸は同じなのか、徐々に周囲が暗くなり始めた。それと同時にひんやりとした空気も立ち込めている。
「これ以上は危険かもな。どこか暖がとれる場所を探そう」
もう間も無く夜になる。そうなると冒険者でもない二人には目利きが出来なくなる。急ぎ足で休める場所を探す。
(……だよねぇ。ベタだよねぇ……)
この場合の定番中の定番なのか、少し歩くと開けた場所に出た。そしてそこには一軒のロッジのような木造家屋がある。
「これ、絶対罠だよ」
「オレもそう思う……けど」
寒さが増していく中、真樹はカタカタと震えている。それを見たカイは、背に腹は変えられない。罠だとしても無いよりマシと決心する。
「行こう」
「えっ?」
「罠だけど、このままじゃ凍死だ。それに中にこの状況を作り出した親分がいるなら手っ取り早い。さっさと始末して二人の元に戻ろう」
確かにこのままではラチがあかない。真樹は大人しく「うん」とだけ答え、二人は罠の中へと入って行く。
「すみません……」
扉を開けてみると、中は真っ暗で誰もいない。
「とりあえず火を起こすから座って」
「うん」
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