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第二話
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この謎な状況に真樹の頭の中はパニック状態だ。この距離は疎い真樹でもわかる。恋人同士の距離感だ。親友同士の距離ではない。
(これじゃ僕達BLになっちゃうよ……)
専門外の状況になっている為、どう対処したらいいのかわからない。とりあえず真樹に絡みつく腕をほどこうとして、カイを起こさないようそっと腕を持ち上げようとした時だった。
「う、うわぁ!」
グッと力を込めたカイは、自身の方に真樹を引き寄せる。先ほどよりも更に近い距離感に真樹の心臓がバクバクだ。
「ちょ、ちょっと!カイ……」
すやすやと眠るカイは全く起きる気配がない。それどころかカイの唇は真樹の耳に着きそうな程で、真樹の耳元でカイの寝息が聞こえる。
「カ、カイ……」
これは困った事になった。本人が起きるまでは絶対に放さない状況だ。腹を括ってカイが目覚めるのを待つしかない。とりあえず振り向く事だけはしないようにしよう。この距離だと振り返った瞬間に事故が起きてしまう。心臓がバクバクのまま、早く起きろと念じるだけだ。
一度目が覚めるとなかなか寝付けないのも困ったもので、あれから数分。いや、一時間は経っただろうか。カイに抱きしめられたままの真樹は、心臓が寿命数年分を縮めるのではという勢いで早鐘を打ち続けている。おまけに外は強い雨が降っているし、カイが施してくれた暖炉の炎も徐々に小さくなっている。
このままでは辺りが真っ暗になるし、せっかく温まった室温も下がるだろう。せめて暖炉に薪だけでも放り込みたい。
「カイ……本当にそろそろ起きて……」
「んん……」
やはり起きない。困ったなと思っていると、雨降る外が一瞬フラッシュした。「えっ?」と驚いた時にはゴロゴロドーンという音が聞こえた。
「ひぃっ!」
突然鳴り出した雷に真樹は手で耳を抑える。だが鳴り始めた雷はこれからしばらく鳴り続ける。それを考えたら真樹は変な汗が流れ始めた。
真樹は雷が大の苦手だ。特に雷に関して何かあったわけではないが、子供のころから苦手だった。だがこの雷が幸いしたのか、ようやくカイが目を覚ました。
「真樹……?」
「うぅ……カイ……」
耳に手を置き震える真樹を見たカイは窓の外を見る。ピカピカとフラッシュしながら鳴る雷に「あぁ」と理解したようだ。
ようやく真樹を解放したカイだが、あの状況に関しては何も言わない。その代わりに真樹を起こし再び抱きしめる。
「大丈夫だよ。オレがいるから怖くない」
ポンポンと真樹の頭を優しく叩くカイ。そういえば小さい頃、よくカイにこうしてもらっていた気もする。そんなカイの優しさにホッと安堵していた真樹だった。だがどこからか聞いた事のない声が聞こえた。
『僕の目の前でいちゃつくな!』
「えっ?何?」
その声はカイにも聞こえたのか、二人は周囲をきょろきょろと見渡す。だが声の主はどこにもいない。
「い、今の声って何?」
「わからない。けどオレ達をここに呼んだ誰かかもな」
可能性としては高いが、姿が見えない。用心する二人だが真樹はついに見てしまった。雷がフラッシュした瞬間、窓際にフードらしきものを被った人影がいたのだ。
「ひ、ひえぇ!出たぁ!」
(これじゃ僕達BLになっちゃうよ……)
専門外の状況になっている為、どう対処したらいいのかわからない。とりあえず真樹に絡みつく腕をほどこうとして、カイを起こさないようそっと腕を持ち上げようとした時だった。
「う、うわぁ!」
グッと力を込めたカイは、自身の方に真樹を引き寄せる。先ほどよりも更に近い距離感に真樹の心臓がバクバクだ。
「ちょ、ちょっと!カイ……」
すやすやと眠るカイは全く起きる気配がない。それどころかカイの唇は真樹の耳に着きそうな程で、真樹の耳元でカイの寝息が聞こえる。
「カ、カイ……」
これは困った事になった。本人が起きるまでは絶対に放さない状況だ。腹を括ってカイが目覚めるのを待つしかない。とりあえず振り向く事だけはしないようにしよう。この距離だと振り返った瞬間に事故が起きてしまう。心臓がバクバクのまま、早く起きろと念じるだけだ。
一度目が覚めるとなかなか寝付けないのも困ったもので、あれから数分。いや、一時間は経っただろうか。カイに抱きしめられたままの真樹は、心臓が寿命数年分を縮めるのではという勢いで早鐘を打ち続けている。おまけに外は強い雨が降っているし、カイが施してくれた暖炉の炎も徐々に小さくなっている。
このままでは辺りが真っ暗になるし、せっかく温まった室温も下がるだろう。せめて暖炉に薪だけでも放り込みたい。
「カイ……本当にそろそろ起きて……」
「んん……」
やはり起きない。困ったなと思っていると、雨降る外が一瞬フラッシュした。「えっ?」と驚いた時にはゴロゴロドーンという音が聞こえた。
「ひぃっ!」
突然鳴り出した雷に真樹は手で耳を抑える。だが鳴り始めた雷はこれからしばらく鳴り続ける。それを考えたら真樹は変な汗が流れ始めた。
真樹は雷が大の苦手だ。特に雷に関して何かあったわけではないが、子供のころから苦手だった。だがこの雷が幸いしたのか、ようやくカイが目を覚ました。
「真樹……?」
「うぅ……カイ……」
耳に手を置き震える真樹を見たカイは窓の外を見る。ピカピカとフラッシュしながら鳴る雷に「あぁ」と理解したようだ。
ようやく真樹を解放したカイだが、あの状況に関しては何も言わない。その代わりに真樹を起こし再び抱きしめる。
「大丈夫だよ。オレがいるから怖くない」
ポンポンと真樹の頭を優しく叩くカイ。そういえば小さい頃、よくカイにこうしてもらっていた気もする。そんなカイの優しさにホッと安堵していた真樹だった。だがどこからか聞いた事のない声が聞こえた。
『僕の目の前でいちゃつくな!』
「えっ?何?」
その声はカイにも聞こえたのか、二人は周囲をきょろきょろと見渡す。だが声の主はどこにもいない。
「い、今の声って何?」
「わからない。けどオレ達をここに呼んだ誰かかもな」
可能性としては高いが、姿が見えない。用心する二人だが真樹はついに見てしまった。雷がフラッシュした瞬間、窓際にフードらしきものを被った人影がいたのだ。
「ひ、ひえぇ!出たぁ!」
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いつもありがとうございます。
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閲覧ありがとうございます。
m(_ _)m
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反応ありがとうございます。
とても嬉しいです。
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(^O^)
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