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第三章 邂逅する者たち
第22話 掴めなかった情報
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改めて事務所に集合した冬夜たち三人は、その奥にある冬夜とコハクの自宅へと移動する。
それから少し志季を待たせて先ほど出来上がった夕飯は、魚をメインにしたシンプルな和食だった。
「オレもコハくんに聞くまで考えもしなかったわ」
とうとう暑さにやられたかな、と志季が唸りながら、味噌汁の椀に口をつける。
「コハクが連絡してくれなかったら、今もずっと幽霊探ししてたかもしれないよね」
冬夜も志季の正面で苦笑を漏らすと、
「ホントにな。あー、汗かいて疲れた身体に水分と塩分が染み渡るわー」
志季はそう言いながら、味噌汁を何口も飲み込んだ。
夕飯の支度ができるまでの間にも、スポーツドリンクをがぶ飲みしていた志季だったが、それでもまだ足りないらしい。
「ボク、お役に立てましたか?」
冬夜の隣に座って、箸で魚の煮つけをつついていたコハクが顔を上げ、首を傾げる。
「もちろん。コハクのおかげで余計な体力使わなくて済んだからね」
「それならよかったです」
微笑む冬夜の姿に、コハクは満足そうな表情を浮かべ、煮つけを一口頬張った。
「それにしても、幽霊がいない理由はわかったけど、まったく情報が掴めないのは困ったよねぇ」
大きな溜息をついて嘆く冬夜に、志季がきっぱりと言う。
「ガセだったんじゃねーの?」
「でも、あの子が嘘をついてるようには見えなかったよ。もし嘘だったら、この辺の幽霊全員で俺たちを騙してることになるし」
わざわざそんなことするメリットなんてあるかな、と冬夜が問えば、
「確かにそれはそうだけどさ」
志季は一言そう答えて箸を止め、天井を仰いだ。
それにつられるようにして、冬夜とコハクも一緒に箸を止める。
無言になった三人は一斉に考え込んだ。
冬夜は少女の幽霊が来た時のことを振り返る。
幻妖が狂暴になって困っている、自身の前でそう話す少女の手は確実に震えていた。
(あれは演技とかじゃなかったと思うんだよなぁ)
自分たちを困らせるメリットは、きっとどこにもない。逆に除霊や浄霊をされるデメリットの方が大きいはずだ。
ならば、やはり嘘などではなく、実際に幻妖が狂暴化している可能性の方が高い。
志季とコハクも上を向いたり、下を向いたりとそれぞれが懸命に考えているようだったが、辿り着く結論はおそらく冬夜と同じだろう。
(幽霊を見つけられないなら、人間と接触した幻妖を探した方が早いかな……? いや、でもそれはかなり危険かもしれないし。ああもう、こういうのってこの事務所には難しいんだよ!)
沈黙の流れる食卓で、冬夜はさらに深く考えながら、心の中で大声を張り上げた。
その時、テーブルに置いていたスマホが鳴る。冬夜のものだ。
聞き覚えのある着信音が鳴り止む前に、冬夜はすぐさま画面に視線を走らせる。
その瞳に映ったのは、すでに見慣れた『協会』の二文字だった。
それから少し志季を待たせて先ほど出来上がった夕飯は、魚をメインにしたシンプルな和食だった。
「オレもコハくんに聞くまで考えもしなかったわ」
とうとう暑さにやられたかな、と志季が唸りながら、味噌汁の椀に口をつける。
「コハクが連絡してくれなかったら、今もずっと幽霊探ししてたかもしれないよね」
冬夜も志季の正面で苦笑を漏らすと、
「ホントにな。あー、汗かいて疲れた身体に水分と塩分が染み渡るわー」
志季はそう言いながら、味噌汁を何口も飲み込んだ。
夕飯の支度ができるまでの間にも、スポーツドリンクをがぶ飲みしていた志季だったが、それでもまだ足りないらしい。
「ボク、お役に立てましたか?」
冬夜の隣に座って、箸で魚の煮つけをつついていたコハクが顔を上げ、首を傾げる。
「もちろん。コハクのおかげで余計な体力使わなくて済んだからね」
「それならよかったです」
微笑む冬夜の姿に、コハクは満足そうな表情を浮かべ、煮つけを一口頬張った。
「それにしても、幽霊がいない理由はわかったけど、まったく情報が掴めないのは困ったよねぇ」
大きな溜息をついて嘆く冬夜に、志季がきっぱりと言う。
「ガセだったんじゃねーの?」
「でも、あの子が嘘をついてるようには見えなかったよ。もし嘘だったら、この辺の幽霊全員で俺たちを騙してることになるし」
わざわざそんなことするメリットなんてあるかな、と冬夜が問えば、
「確かにそれはそうだけどさ」
志季は一言そう答えて箸を止め、天井を仰いだ。
それにつられるようにして、冬夜とコハクも一緒に箸を止める。
無言になった三人は一斉に考え込んだ。
冬夜は少女の幽霊が来た時のことを振り返る。
幻妖が狂暴になって困っている、自身の前でそう話す少女の手は確実に震えていた。
(あれは演技とかじゃなかったと思うんだよなぁ)
自分たちを困らせるメリットは、きっとどこにもない。逆に除霊や浄霊をされるデメリットの方が大きいはずだ。
ならば、やはり嘘などではなく、実際に幻妖が狂暴化している可能性の方が高い。
志季とコハクも上を向いたり、下を向いたりとそれぞれが懸命に考えているようだったが、辿り着く結論はおそらく冬夜と同じだろう。
(幽霊を見つけられないなら、人間と接触した幻妖を探した方が早いかな……? いや、でもそれはかなり危険かもしれないし。ああもう、こういうのってこの事務所には難しいんだよ!)
沈黙の流れる食卓で、冬夜はさらに深く考えながら、心の中で大声を張り上げた。
その時、テーブルに置いていたスマホが鳴る。冬夜のものだ。
聞き覚えのある着信音が鳴り止む前に、冬夜はすぐさま画面に視線を走らせる。
その瞳に映ったのは、すでに見慣れた『協会』の二文字だった。
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