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4章 港湾都市アイラ編
177話 覚悟
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クレイス邸からシンが出てゆき、残された2人はしばし見つめ合い──
「……タレイア、俺は──」
「クレイス……いや、ロイスと言えばいいのか?」
「いや……クレイスで構わない」
「そうか、良かった。私はクレイスと呼ばれているキミしか知らないからな」
そう話すタレイアの顔は晴れやかで、それは心から愛している者にしか向けない、素敵な笑顔だった。
タレイアの拘束を解いたクレイスは、椅子に座ったままのその腿に顔を埋めて肩を震わせ、タレイアに許しを請う。
「済まない、私は──私は──」
──君を俺の復讐に巻き込んだ──
ただそれだけの事が言えない自分の不甲斐なさに、クレイスはまた涙する。
「クレイス、ありがとう──」
「────!?」
ガバッ──!
顔を上げたクレイスは、今ここで聞ける筈の無い言葉に耳を疑い、自分を優しく見つめるタレイアを見つめ返す。
「どうして──?」
「私は子供の頃から父の背中ばかりを見て育った……為政者として辣腕家の父を。そして同時に自分にはそんな真似は到底出来ないとも思っていたんだ──」
父の代わりになどなれない──しかし問題は無かった。彼女には兄がいた、父の跡を継ぐべき者は他にいたから。
後継者がそれを放棄した時、タレイアに圧し掛かるものの大きさを理解してくれる者はおらず、またタレイア本人もあえて気丈に振舞うことで不安から逃れようと必死だった。
そんな彼女に救いの手を差し伸べてくれたのがクレイスであり、無理に父の背中を追う必要など無い、自分が正しいと信じる政策を行えばいいのだと諭してくれた。
父親が治める第4都市群しか知らないタレイアに、クレイスが示した統治の一例──前領主の政策を見た時、父とは違う政治理念を知った時、彼女はこれを推し進め成功させる事で初めて、父の呪縛から解放されると信じ、突き進む。
「クレイスがいなければ私は父の重圧に押し潰され、一人殻に閉じこもっていただろう。結果として私のやった事は多くの人を不幸にしたかもしれない、それでも私には充実感があった、父とは違う私の目指す街づくりをクレイス、キミと一緒に行うことが出来た、私は幸せだ……」
「タレイア、まさかキミは……」
「裁かれるなら諸共に、どうせ巨悪として裁かれる運命なら、全てを巻き込むのも面白いじゃないか。それに、今は無理でも10年後、20年後に私達が目指した理想に賛同してくれる人がいるかもしれない、その為にも多くの人の記憶、記録に残るような事をしてみないか?」
タレイアの晴れやかな笑顔は、死すら受け入れ、その上でなお、愛する男の力になろうとする殉教者のようでもあった。
「────────────」
タレイアの視線から逃れるように黙考したクレイスは、目を開けるとタレイアの視線を真正面から受け止め、そして顔を左右に振る。
「──処刑台に上がるのは俺一人で充分だ。タレイア、君をそこに連れて行くわけにはいかない」
「──!! どうして!?」
「そんな当たり前の事を言わせないでくれ──タレイア、君に生きて欲しいからに決まってる」
「クレイス、私は──!!」
反論しようとするタレイアの口を自らの口で塞いだクレイスは、驚く彼女をそのままゆっくりと立たせ、抱きしめる。
優しく背中をさすりながら、タレイアから固さが抜けたのを判断したクレイスは口付けを止め、タレイアに向き合う。
「処刑台で俺たちが何を喚こうが悪党の戯言で終わることだろう。失う命は少ない方がいい、タレイア、きみは生きて──」
クレイスはそこで言葉を切り、一つ深呼吸をすると、
「──そして、俺達の目指した街を、社会を、作り上げてくれ」
「クレイス、キミは何を?」
突然のクレイスの言葉にタレイアは困惑する。
そんな彼女にクレイスは続ける。
「あの男──シンも、俺達の敵ではあったが俺達の理想を間違ってるとは言わなかった、ただシーラッドにはそぐわないのだと。だったら、それに相応しい街は、世界はどこかにある! タレイア、キミは生きて、それを目指して欲しい」
「イヤだ! 私一人じゃそんな事無理に決まってる! 私はクレイスが側にいたから今まで頑張って来れたんだ! キミのいない世界、一人で頑張れるはずが無い……」
「一人じゃない」
「……え?」
「キミを決して一人にはしない、例え処刑台に上がり命を落とそうとも、直ぐにキミの元へ戻ってくるから、だから……待ってて欲しい」
「クレイス……」
2人はそのままベッドに倒れこみ、睦み合い、そして笑い、涙を流して眠りに付く。
──翌日、アリオス率いる連合防衛隊がクレイスの邸宅に踏み込んだ時そこには、全ての支度を整えて覚悟を決めた2人の姿があったと言う。
………………………………………………
………………………………………………
──数日後──
「このクソ野郎!!」
「ウチの人を帰してよ!!」
「てめえのせいで俺の家が、村が──!!」
政都の広場にてクレイスの処刑が執り行われる。
罪状はシーラッド転覆を図った反逆罪。
アイラの執政官を薬物を使って意のままに操り市場を混乱、異変に気付いた政都側の行動を先回りし、策謀を練って海竜を激怒させ、その怒りで海岸線上の漁村を壊滅、さらに盗賊団と結託して第4都市群を襲わせる計画も立てていたと言う。
シーラッド始まって以来の大罪人は、法廷でその罪状を述べられる間も無言を貫き、終始どこふく風とふてぶてしい態度だった。
判決はその場で下り火刑、なお刑の執行は公開で執り行われる事となった。
稀代の悪党を、そしてその処刑を一目見ようと広場には見学者が押し寄せ、人の波が出来るほどであり、中にはまるでイベント事の様に屋台を出す者も現れた。
手足を鎖で繋がれたクレイスは、収監されていた独房から火刑台までの道程を兵士に囲われながら徒歩で進み、その姿を見物人は嫌悪・憎悪・好奇、様々な視線で見送った。
たまにクレイスに向かって石を投げる人もいた。しかし兵士も「止めろ」とおざなりに口頭で述べるのみであえて止める事もしなかったため、投石をする者が次第に増える。
そしてそれを止めたのは、石が当たり頭部から血を垂らすクレイスの一睨みだった。
苦痛に顔を歪めるでもなく、悲鳴をあげるでもなく、ただ遠巻きに石を投げる衆人を睥睨する──ただそれだけで人々の気勢を削いだクレイスは、まさに大罪人に相応しい風格をもって街道を歩く。
火刑台に到着し、磔にされる間も終始無言、全てを受け入れたクレイスの態度はある種殉教者の様でもあり、人々を黙らせるに充分であった。
そして火にかけられたクレイスは──
「ぎゃああああああああああ!!」
「助けてえええええ──!!」
「死にたく、死にたくないぃぃぃぃぃぃぃ!!」
先程の態度とは一変して泣き叫び、命乞いをする姿に周囲の人間はまた呆気にとられる。
──そして、
「「ぎゃーーーーーっははははは!!」」
「ザマあねえな、この悪党が!!」
「みっともない姿見せんじゃねえよ、さっきみたくカッコよく決めてみろや!」
見物人の嘲笑を受け、それでも最後、事切れる瞬間までクレイスは惨めな悪党を演じきった。
その姿は、まさに悪党の末路に相応しく、惨めで、被害者の悲しみや憎しみを和らげるに足る光景だったと言う──。
「……タレイア、俺は──」
「クレイス……いや、ロイスと言えばいいのか?」
「いや……クレイスで構わない」
「そうか、良かった。私はクレイスと呼ばれているキミしか知らないからな」
そう話すタレイアの顔は晴れやかで、それは心から愛している者にしか向けない、素敵な笑顔だった。
タレイアの拘束を解いたクレイスは、椅子に座ったままのその腿に顔を埋めて肩を震わせ、タレイアに許しを請う。
「済まない、私は──私は──」
──君を俺の復讐に巻き込んだ──
ただそれだけの事が言えない自分の不甲斐なさに、クレイスはまた涙する。
「クレイス、ありがとう──」
「────!?」
ガバッ──!
顔を上げたクレイスは、今ここで聞ける筈の無い言葉に耳を疑い、自分を優しく見つめるタレイアを見つめ返す。
「どうして──?」
「私は子供の頃から父の背中ばかりを見て育った……為政者として辣腕家の父を。そして同時に自分にはそんな真似は到底出来ないとも思っていたんだ──」
父の代わりになどなれない──しかし問題は無かった。彼女には兄がいた、父の跡を継ぐべき者は他にいたから。
後継者がそれを放棄した時、タレイアに圧し掛かるものの大きさを理解してくれる者はおらず、またタレイア本人もあえて気丈に振舞うことで不安から逃れようと必死だった。
そんな彼女に救いの手を差し伸べてくれたのがクレイスであり、無理に父の背中を追う必要など無い、自分が正しいと信じる政策を行えばいいのだと諭してくれた。
父親が治める第4都市群しか知らないタレイアに、クレイスが示した統治の一例──前領主の政策を見た時、父とは違う政治理念を知った時、彼女はこれを推し進め成功させる事で初めて、父の呪縛から解放されると信じ、突き進む。
「クレイスがいなければ私は父の重圧に押し潰され、一人殻に閉じこもっていただろう。結果として私のやった事は多くの人を不幸にしたかもしれない、それでも私には充実感があった、父とは違う私の目指す街づくりをクレイス、キミと一緒に行うことが出来た、私は幸せだ……」
「タレイア、まさかキミは……」
「裁かれるなら諸共に、どうせ巨悪として裁かれる運命なら、全てを巻き込むのも面白いじゃないか。それに、今は無理でも10年後、20年後に私達が目指した理想に賛同してくれる人がいるかもしれない、その為にも多くの人の記憶、記録に残るような事をしてみないか?」
タレイアの晴れやかな笑顔は、死すら受け入れ、その上でなお、愛する男の力になろうとする殉教者のようでもあった。
「────────────」
タレイアの視線から逃れるように黙考したクレイスは、目を開けるとタレイアの視線を真正面から受け止め、そして顔を左右に振る。
「──処刑台に上がるのは俺一人で充分だ。タレイア、君をそこに連れて行くわけにはいかない」
「──!! どうして!?」
「そんな当たり前の事を言わせないでくれ──タレイア、君に生きて欲しいからに決まってる」
「クレイス、私は──!!」
反論しようとするタレイアの口を自らの口で塞いだクレイスは、驚く彼女をそのままゆっくりと立たせ、抱きしめる。
優しく背中をさすりながら、タレイアから固さが抜けたのを判断したクレイスは口付けを止め、タレイアに向き合う。
「処刑台で俺たちが何を喚こうが悪党の戯言で終わることだろう。失う命は少ない方がいい、タレイア、きみは生きて──」
クレイスはそこで言葉を切り、一つ深呼吸をすると、
「──そして、俺達の目指した街を、社会を、作り上げてくれ」
「クレイス、キミは何を?」
突然のクレイスの言葉にタレイアは困惑する。
そんな彼女にクレイスは続ける。
「あの男──シンも、俺達の敵ではあったが俺達の理想を間違ってるとは言わなかった、ただシーラッドにはそぐわないのだと。だったら、それに相応しい街は、世界はどこかにある! タレイア、キミは生きて、それを目指して欲しい」
「イヤだ! 私一人じゃそんな事無理に決まってる! 私はクレイスが側にいたから今まで頑張って来れたんだ! キミのいない世界、一人で頑張れるはずが無い……」
「一人じゃない」
「……え?」
「キミを決して一人にはしない、例え処刑台に上がり命を落とそうとも、直ぐにキミの元へ戻ってくるから、だから……待ってて欲しい」
「クレイス……」
2人はそのままベッドに倒れこみ、睦み合い、そして笑い、涙を流して眠りに付く。
──翌日、アリオス率いる連合防衛隊がクレイスの邸宅に踏み込んだ時そこには、全ての支度を整えて覚悟を決めた2人の姿があったと言う。
………………………………………………
………………………………………………
──数日後──
「このクソ野郎!!」
「ウチの人を帰してよ!!」
「てめえのせいで俺の家が、村が──!!」
政都の広場にてクレイスの処刑が執り行われる。
罪状はシーラッド転覆を図った反逆罪。
アイラの執政官を薬物を使って意のままに操り市場を混乱、異変に気付いた政都側の行動を先回りし、策謀を練って海竜を激怒させ、その怒りで海岸線上の漁村を壊滅、さらに盗賊団と結託して第4都市群を襲わせる計画も立てていたと言う。
シーラッド始まって以来の大罪人は、法廷でその罪状を述べられる間も無言を貫き、終始どこふく風とふてぶてしい態度だった。
判決はその場で下り火刑、なお刑の執行は公開で執り行われる事となった。
稀代の悪党を、そしてその処刑を一目見ようと広場には見学者が押し寄せ、人の波が出来るほどであり、中にはまるでイベント事の様に屋台を出す者も現れた。
手足を鎖で繋がれたクレイスは、収監されていた独房から火刑台までの道程を兵士に囲われながら徒歩で進み、その姿を見物人は嫌悪・憎悪・好奇、様々な視線で見送った。
たまにクレイスに向かって石を投げる人もいた。しかし兵士も「止めろ」とおざなりに口頭で述べるのみであえて止める事もしなかったため、投石をする者が次第に増える。
そしてそれを止めたのは、石が当たり頭部から血を垂らすクレイスの一睨みだった。
苦痛に顔を歪めるでもなく、悲鳴をあげるでもなく、ただ遠巻きに石を投げる衆人を睥睨する──ただそれだけで人々の気勢を削いだクレイスは、まさに大罪人に相応しい風格をもって街道を歩く。
火刑台に到着し、磔にされる間も終始無言、全てを受け入れたクレイスの態度はある種殉教者の様でもあり、人々を黙らせるに充分であった。
そして火にかけられたクレイスは──
「ぎゃああああああああああ!!」
「助けてえええええ──!!」
「死にたく、死にたくないぃぃぃぃぃぃぃ!!」
先程の態度とは一変して泣き叫び、命乞いをする姿に周囲の人間はまた呆気にとられる。
──そして、
「「ぎゃーーーーーっははははは!!」」
「ザマあねえな、この悪党が!!」
「みっともない姿見せんじゃねえよ、さっきみたくカッコよく決めてみろや!」
見物人の嘲笑を受け、それでも最後、事切れる瞬間までクレイスは惨めな悪党を演じきった。
その姿は、まさに悪党の末路に相応しく、惨めで、被害者の悲しみや憎しみを和らげるに足る光景だったと言う──。
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