文字の大きさ
大
中
小
111 / 231
4章 港湾都市アイラ編
177話 覚悟
クレイス邸からシンが出てゆき、残された2人はしばし見つめ合い──
「……タレイア、俺は──」
「クレイス……いや、ロイスと言えばいいのか?」
「いや……クレイスで構わない」
「そうか、良かった。私はクレイスと呼ばれているキミしか知らないからな」
そう話すタレイアの顔は晴れやかで、それは心から愛している者にしか向けない、素敵な笑顔だった。
タレイアの拘束を解いたクレイスは、椅子に座ったままのその腿に顔を埋めて肩を震わせ、タレイアに許しを請う。
「済まない、私は──私は──」
──君を俺の復讐に巻き込んだ──
ただそれだけの事が言えない自分の不甲斐なさに、クレイスはまた涙する。
「クレイス、ありがとう──」
「────!?」
ガバッ──!
顔を上げたクレイスは、今ここで聞ける筈の無い言葉に耳を疑い、自分を優しく見つめるタレイアを見つめ返す。
「どうして──?」
「私は子供の頃から父の背中ばかりを見て育った……為政者として辣腕家の父を。そして同時に自分にはそんな真似は到底出来ないとも思っていたんだ──」
父の代わりになどなれない──しかし問題は無かった。彼女には兄がいた、父の跡を継ぐべき者は他にいたから。
後継者がそれを放棄した時、タレイアに圧し掛かるものの大きさを理解してくれる者はおらず、またタレイア本人もあえて気丈に振舞うことで不安から逃れようと必死だった。
そんな彼女に救いの手を差し伸べてくれたのがクレイスであり、無理に父の背中を追う必要など無い、自分が正しいと信じる政策を行えばいいのだと諭してくれた。
父親が治める第4都市群しか知らないタレイアに、クレイスが示した統治の一例──前領主の政策を見た時、父とは違う政治理念を知った時、彼女はこれを推し進め成功させる事で初めて、父の呪縛から解放されると信じ、突き進む。
「クレイスがいなければ私は父の重圧に押し潰され、一人殻に閉じこもっていただろう。結果として私のやった事は多くの人を不幸にしたかもしれない、それでも私には充実感があった、父とは違う私の目指す街づくりをクレイス、キミと一緒に行うことが出来た、私は幸せだ……」
「タレイア、まさかキミは……」
「裁かれるなら諸共に、どうせ巨悪として裁かれる運命なら、全てを巻き込むのも面白いじゃないか。それに、今は無理でも10年後、20年後に私達が目指した理想に賛同してくれる人がいるかもしれない、その為にも多くの人の記憶、記録に残るような事をしてみないか?」
タレイアの晴れやかな笑顔は、死すら受け入れ、その上でなお、愛する男の力になろうとする殉教者のようでもあった。
「────────────」
タレイアの視線から逃れるように黙考したクレイスは、目を開けるとタレイアの視線を真正面から受け止め、そして顔を左右に振る。
「──処刑台に上がるのは俺一人で充分だ。タレイア、君をそこに連れて行くわけにはいかない」
「──!! どうして!?」
「そんな当たり前の事を言わせないでくれ──タレイア、君に生きて欲しいからに決まってる」
「クレイス、私は──!!」
反論しようとするタレイアの口を自らの口で塞いだクレイスは、驚く彼女をそのままゆっくりと立たせ、抱きしめる。
優しく背中をさすりながら、タレイアから固さが抜けたのを判断したクレイスは口付けを止め、タレイアに向き合う。
「処刑台で俺たちが何を喚こうが悪党の戯言で終わることだろう。失う命は少ない方がいい、タレイア、きみは生きて──」
クレイスはそこで言葉を切り、一つ深呼吸をすると、
「──そして、俺達の目指した街を、社会を、作り上げてくれ」
「クレイス、キミは何を?」
突然のクレイスの言葉にタレイアは困惑する。
そんな彼女にクレイスは続ける。
「あの男──シンも、俺達の敵ではあったが俺達の理想を間違ってるとは言わなかった、ただシーラッドにはそぐわないのだと。だったら、それに相応しい街は、世界はどこかにある! タレイア、キミは生きて、それを目指して欲しい」
「イヤだ! 私一人じゃそんな事無理に決まってる! 私はクレイスが側にいたから今まで頑張って来れたんだ! キミのいない世界、一人で頑張れるはずが無い……」
「一人じゃない」
「……え?」
「キミを決して一人にはしない、例え処刑台に上がり命を落とそうとも、直ぐにキミの元へ戻ってくるから、だから……待ってて欲しい」
「クレイス……」
2人はそのままベッドに倒れこみ、睦み合い、そして笑い、涙を流して眠りに付く。
──翌日、アリオス率いる連合防衛隊がクレイスの邸宅に踏み込んだ時そこには、全ての支度を整えて覚悟を決めた2人の姿があったと言う。
………………………………………………
………………………………………………
──数日後──
「このクソ野郎!!」
「ウチの人を帰してよ!!」
「てめえのせいで俺の家が、村が──!!」
政都の広場にてクレイスの処刑が執り行われる。
罪状はシーラッド転覆を図った反逆罪。
アイラの執政官を薬物を使って意のままに操り市場を混乱、異変に気付いた政都側の行動を先回りし、策謀を練って海竜を激怒させ、その怒りで海岸線上の漁村を壊滅、さらに盗賊団と結託して第4都市群を襲わせる計画も立てていたと言う。
シーラッド始まって以来の大罪人は、法廷でその罪状を述べられる間も無言を貫き、終始どこふく風とふてぶてしい態度だった。
判決はその場で下り火刑、なお刑の執行は公開で執り行われる事となった。
稀代の悪党を、そしてその処刑を一目見ようと広場には見学者が押し寄せ、人の波が出来るほどであり、中にはまるでイベント事の様に屋台を出す者も現れた。
手足を鎖で繋がれたクレイスは、収監されていた独房から火刑台までの道程を兵士に囲われながら徒歩で進み、その姿を見物人は嫌悪・憎悪・好奇、様々な視線で見送った。
たまにクレイスに向かって石を投げる人もいた。しかし兵士も「止めろ」とおざなりに口頭で述べるのみであえて止める事もしなかったため、投石をする者が次第に増える。
そしてそれを止めたのは、石が当たり頭部から血を垂らすクレイスの一睨みだった。
苦痛に顔を歪めるでもなく、悲鳴をあげるでもなく、ただ遠巻きに石を投げる衆人を睥睨する──ただそれだけで人々の気勢を削いだクレイスは、まさに大罪人に相応しい風格をもって街道を歩く。
火刑台に到着し、磔にされる間も終始無言、全てを受け入れたクレイスの態度はある種殉教者の様でもあり、人々を黙らせるに充分であった。
そして火にかけられたクレイスは──
「ぎゃああああああああああ!!」
「助けてえええええ──!!」
「死にたく、死にたくないぃぃぃぃぃぃぃ!!」
先程の態度とは一変して泣き叫び、命乞いをする姿に周囲の人間はまた呆気にとられる。
──そして、
「「ぎゃーーーーーっははははは!!」」
「ザマあねえな、この悪党が!!」
「みっともない姿見せんじゃねえよ、さっきみたくカッコよく決めてみろや!」
見物人の嘲笑を受け、それでも最後、事切れる瞬間までクレイスは惨めな悪党を演じきった。
その姿は、まさに悪党の末路に相応しく、惨めで、被害者の悲しみや憎しみを和らげるに足る光景だったと言う──。
「……タレイア、俺は──」
「クレイス……いや、ロイスと言えばいいのか?」
「いや……クレイスで構わない」
「そうか、良かった。私はクレイスと呼ばれているキミしか知らないからな」
そう話すタレイアの顔は晴れやかで、それは心から愛している者にしか向けない、素敵な笑顔だった。
タレイアの拘束を解いたクレイスは、椅子に座ったままのその腿に顔を埋めて肩を震わせ、タレイアに許しを請う。
「済まない、私は──私は──」
──君を俺の復讐に巻き込んだ──
ただそれだけの事が言えない自分の不甲斐なさに、クレイスはまた涙する。
「クレイス、ありがとう──」
「────!?」
ガバッ──!
顔を上げたクレイスは、今ここで聞ける筈の無い言葉に耳を疑い、自分を優しく見つめるタレイアを見つめ返す。
「どうして──?」
「私は子供の頃から父の背中ばかりを見て育った……為政者として辣腕家の父を。そして同時に自分にはそんな真似は到底出来ないとも思っていたんだ──」
父の代わりになどなれない──しかし問題は無かった。彼女には兄がいた、父の跡を継ぐべき者は他にいたから。
後継者がそれを放棄した時、タレイアに圧し掛かるものの大きさを理解してくれる者はおらず、またタレイア本人もあえて気丈に振舞うことで不安から逃れようと必死だった。
そんな彼女に救いの手を差し伸べてくれたのがクレイスであり、無理に父の背中を追う必要など無い、自分が正しいと信じる政策を行えばいいのだと諭してくれた。
父親が治める第4都市群しか知らないタレイアに、クレイスが示した統治の一例──前領主の政策を見た時、父とは違う政治理念を知った時、彼女はこれを推し進め成功させる事で初めて、父の呪縛から解放されると信じ、突き進む。
「クレイスがいなければ私は父の重圧に押し潰され、一人殻に閉じこもっていただろう。結果として私のやった事は多くの人を不幸にしたかもしれない、それでも私には充実感があった、父とは違う私の目指す街づくりをクレイス、キミと一緒に行うことが出来た、私は幸せだ……」
「タレイア、まさかキミは……」
「裁かれるなら諸共に、どうせ巨悪として裁かれる運命なら、全てを巻き込むのも面白いじゃないか。それに、今は無理でも10年後、20年後に私達が目指した理想に賛同してくれる人がいるかもしれない、その為にも多くの人の記憶、記録に残るような事をしてみないか?」
タレイアの晴れやかな笑顔は、死すら受け入れ、その上でなお、愛する男の力になろうとする殉教者のようでもあった。
「────────────」
タレイアの視線から逃れるように黙考したクレイスは、目を開けるとタレイアの視線を真正面から受け止め、そして顔を左右に振る。
「──処刑台に上がるのは俺一人で充分だ。タレイア、君をそこに連れて行くわけにはいかない」
「──!! どうして!?」
「そんな当たり前の事を言わせないでくれ──タレイア、君に生きて欲しいからに決まってる」
「クレイス、私は──!!」
反論しようとするタレイアの口を自らの口で塞いだクレイスは、驚く彼女をそのままゆっくりと立たせ、抱きしめる。
優しく背中をさすりながら、タレイアから固さが抜けたのを判断したクレイスは口付けを止め、タレイアに向き合う。
「処刑台で俺たちが何を喚こうが悪党の戯言で終わることだろう。失う命は少ない方がいい、タレイア、きみは生きて──」
クレイスはそこで言葉を切り、一つ深呼吸をすると、
「──そして、俺達の目指した街を、社会を、作り上げてくれ」
「クレイス、キミは何を?」
突然のクレイスの言葉にタレイアは困惑する。
そんな彼女にクレイスは続ける。
「あの男──シンも、俺達の敵ではあったが俺達の理想を間違ってるとは言わなかった、ただシーラッドにはそぐわないのだと。だったら、それに相応しい街は、世界はどこかにある! タレイア、キミは生きて、それを目指して欲しい」
「イヤだ! 私一人じゃそんな事無理に決まってる! 私はクレイスが側にいたから今まで頑張って来れたんだ! キミのいない世界、一人で頑張れるはずが無い……」
「一人じゃない」
「……え?」
「キミを決して一人にはしない、例え処刑台に上がり命を落とそうとも、直ぐにキミの元へ戻ってくるから、だから……待ってて欲しい」
「クレイス……」
2人はそのままベッドに倒れこみ、睦み合い、そして笑い、涙を流して眠りに付く。
──翌日、アリオス率いる連合防衛隊がクレイスの邸宅に踏み込んだ時そこには、全ての支度を整えて覚悟を決めた2人の姿があったと言う。
………………………………………………
………………………………………………
──数日後──
「このクソ野郎!!」
「ウチの人を帰してよ!!」
「てめえのせいで俺の家が、村が──!!」
政都の広場にてクレイスの処刑が執り行われる。
罪状はシーラッド転覆を図った反逆罪。
アイラの執政官を薬物を使って意のままに操り市場を混乱、異変に気付いた政都側の行動を先回りし、策謀を練って海竜を激怒させ、その怒りで海岸線上の漁村を壊滅、さらに盗賊団と結託して第4都市群を襲わせる計画も立てていたと言う。
シーラッド始まって以来の大罪人は、法廷でその罪状を述べられる間も無言を貫き、終始どこふく風とふてぶてしい態度だった。
判決はその場で下り火刑、なお刑の執行は公開で執り行われる事となった。
稀代の悪党を、そしてその処刑を一目見ようと広場には見学者が押し寄せ、人の波が出来るほどであり、中にはまるでイベント事の様に屋台を出す者も現れた。
手足を鎖で繋がれたクレイスは、収監されていた独房から火刑台までの道程を兵士に囲われながら徒歩で進み、その姿を見物人は嫌悪・憎悪・好奇、様々な視線で見送った。
たまにクレイスに向かって石を投げる人もいた。しかし兵士も「止めろ」とおざなりに口頭で述べるのみであえて止める事もしなかったため、投石をする者が次第に増える。
そしてそれを止めたのは、石が当たり頭部から血を垂らすクレイスの一睨みだった。
苦痛に顔を歪めるでもなく、悲鳴をあげるでもなく、ただ遠巻きに石を投げる衆人を睥睨する──ただそれだけで人々の気勢を削いだクレイスは、まさに大罪人に相応しい風格をもって街道を歩く。
火刑台に到着し、磔にされる間も終始無言、全てを受け入れたクレイスの態度はある種殉教者の様でもあり、人々を黙らせるに充分であった。
そして火にかけられたクレイスは──
「ぎゃああああああああああ!!」
「助けてえええええ──!!」
「死にたく、死にたくないぃぃぃぃぃぃぃ!!」
先程の態度とは一変して泣き叫び、命乞いをする姿に周囲の人間はまた呆気にとられる。
──そして、
「「ぎゃーーーーーっははははは!!」」
「ザマあねえな、この悪党が!!」
「みっともない姿見せんじゃねえよ、さっきみたくカッコよく決めてみろや!」
見物人の嘲笑を受け、それでも最後、事切れる瞬間までクレイスは惨めな悪党を演じきった。
その姿は、まさに悪党の末路に相応しく、惨めで、被害者の悲しみや憎しみを和らげるに足る光景だったと言う──。
感想 497
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました
放浪人政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。
だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。
「彼女は可哀想なんだ」
「この子を跡取りにする」
そして人前で、平然と言い放つ。
――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」
その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。
「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」
「子を産めない妻はいらない」と離縁されたので、七人の孤児がいる辺境伯家に嫁ぎます~なぜか全員に懐かれました
ゆぷしろん「子を産めない妻はいらない」
七年尽くした夫にそう告げられ、伯爵夫人アメリアは若い愛人にすべてを奪われた。
手元に残ったのは、わずかな生活費と母の形見だけ。居場所を失った彼女のもとへ届いたのは、北の辺境伯グレンからの求婚状だった。
そこに記されていたのは、前夫が一度も見ようとしなかったアメリアの功績。求められたのは跡継ぎを産む妻ではなく、戦争で荒れた領地と屋敷を共に守る伴侶だった。
だが、嫁ぎ先で待っていたのは、親を失い心に傷を抱えた七人の孤児たち。
反発する少年、言葉を閉ざした幼子、飢えを恐れる少女。アメリアは叱るのではなく、一人ずつ寄り添っていく。
やがて子どもたちは彼女を「かあさま」と呼び始める。
そんな幸せを取り戻しかけたある日、彼女を捨てた前夫が再び現れて――。
「お姉様の刺繍は素人ね」と笑った義妹の婚礼衣装——裏地を見た女官十二人が、一斉に針を置いた
歩人(あゆと)「お姉様の刺繍は、素人の手習いに見えますわね」――王太子妃となる異母妹アデリーナは、王宮女官たちの前で姉ローゼを笑った。翌週の婚礼の朝。式典装の最終確認のため、十二人の女官が衣装の裏地を検めた瞬間――一人、また一人と、針を置いた。裏地に縫い込まれていたのは、女官たちが十二年間ずっと探していた一筆の銀糸。即位式の絹外套、二人の王女の婚礼ドレス、亡き王太后の弔意の喪服。王家儀礼衣装のすべての裏地に、同じ手で、同じ糸で、同じ銀の花が縫い込まれていた。「アデリーナ様、これは――あなた様の手では、ございません」縫い手は、ずっと一人だった。それを十二年間、誰の名でも呼べなかっただけのこと。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
由香皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます
六山葵生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。
彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。
優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。
それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。
その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。
しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。
※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。
詳細は近況ボードをご覧ください。
魔王を倒した手柄を横取りされたけど、俺を処刑するのは無理じゃないかな
七辻ゆゆ「では罪人よ。おまえはあくまで自分が勇者であり、魔王を倒したと言うのだな?」
「そうそう」
茶番にも飽きてきた。処刑できるというのなら、ぜひやってみてほしい。
無理だと思うけど。
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。