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5章 イズナバール迷宮編
249話 困惑
………………………………。
なんてこと!!
まさかジンがあの時の少年、いや、使徒様だったなんて!
これじゃアタシもゲンマを馬鹿なんていってられない……ていうかゲンマ、なんでアンタは未だに気付いていないのよ?
アタシは目の前でボロボロになりながらも辛うじて命を繋いでいる青年の、それでもなお内側から漏れ出す荒々しい気配に思わず身震いする。
普段目にしていた銀灰色の髪の青年は、町中だろうと迷宮の中だろうとどこか気の抜けた表情を浮かべるばかりの飄々とした青年で、黒髪になり苦痛に顔を歪めているのを見て初めて、あの時の少年と面影が重なる。
使徒シンドゥラ──女神ティアリーゼ様の現世における神威の代行者。
そして「戦巫女」であるアタシ以下神殿仕えをする者にとって、場合によっては「筆頭剣士」であるゲンマよりも優先しなくてはならない御方。
……なのに、なんたる失態!
シンドゥラ様の正体にも気付かずあまつさえ、あのヴリトラを前にお一人で立ち向かわせるなんて!! ……5年前もお一人で討伐なさったけども。
しかもリオンさん、アタシやゲンマよりも強い戦士だと思っていた彼女の正体は南大陸で最強と呼ばれる魔竜、大地の魔竜だという。
最近、邪道士ニールセンなる人物と共に傭兵国家のカドモスを滅ぼした、なんて話が流れてきたけど、まさかここ東方大陸でも同様に暴れるつもりでやってきたのだろうか?
……でもそれじゃあヴリトラを止めるために飛んで行った理由がわからない。
しかし、そうなるとこの少年は? この子も何かあるの?
まさか……姿を偽っているけどこの少年こそが邪道士!?
……イヤ、まさかね……
ああもう! 何が何だか分からない!!
とにかく、シンドゥラ様! この方を死なせるわけにはいかない!!
──シュアアアア
そんな事を考えているとあの子──ルディがシンドゥラ様の身体に体力回復薬を降りかけている、ご自分で飲む事すら出来ない状態なのね。
「ん……んん……」
「意識は戻ったね、はい、シン」
ルディはシンドゥラ様をジンではなくシンと呼びながら新しいポーションを手渡している……さて、どっちなのかしら?
ムクリと起き上がるシンドゥラ様にルディ少年とよく似た子、エルが泣きながら抱きついている。
そうだ、この光景に騙された。いくら子供とはいえあのシンドゥラ様のお側に誰かが寄り添うなど、以前のご様子を覚えているアタシに想像できるはずが無い。
抜き身の刃が全身から生えているような佇まい、何者も寄せ付けず、横に並ぶ事はおろかその背を追う事すら認めなかったあの方が……よもや、屋台で甘味を売り、懐いている子供に優しい兄のように振る舞い、同行者の女性達にボロカスのように扱われてもヘラヘラしているなんて……本当にシンドゥラ様よね? アレ?
あのユアンとか言うのだって、ヘタすりゃ会ったその日に切り捨てられてもおかしく無い程の暴挙を繰り返しておきながら、結局お仲間も一人も殺さずにしていた……5年の間に何があったのかしら?
とはいえ、あの場でアレをヴリトラだと断じた事、咆哮を受け誰も動けない中ただ一人行動を起こした事、あの頃から得意にしていた空間制御の魔法で私達を退避させた事、そして……あの邪竜と1対1で戦い、まだ死んでいない事。
シンドゥラ様以外の誰が出来るものか。
アタシはシンドゥラ様のお側まで寄って正座をすると手をつき、地面に付くほどに頭を下げて恭順の意を示す、恭しく見えたかしら?
シンドゥラ様は、
「あー……それは何のおつもりで?」
……凄い不機嫌だ、いや、不快と言うより困窮と言う感じかしら。
「御身に気付かなかった無礼をお許し下さい、ヴリトラ討伐の英雄、シンドゥラ様」
とりあえず使徒である事は伏せよう、当時もこの方はそう呼ばれるのを殊の外嫌っていた、おそらく今もそうだと思う。
「シン……ドゥラ? あの、ジンさん?」
エルちゃん、あまりシンドゥラ様にくっつかないで、もしかしたらそういうご趣味なんじゃないかと疑ってしまいそうで困るのよ……。
「ジン」ではなく、リオンさんやルディが呼んでいた「シン」でもなく「シンドゥラ」、その言葉を聞いたシンドゥラ様は、ゲンマがよく見せる「やらかした!」と嘆く時と同じ表情を浮かべながら天を仰ぐ──。
──────────────
──────────────
──くそ、今まで上手く誤魔化してきてたのに、最後の最後でパーになった。
全部あのクソッタレのせいだ、心の底から許せねえ、あのクソトカゲ!
「え、シンドゥラ? ジンじゃなくて? てかシンドゥラつったら使──ぶあっ!?」
黙れアホゲンマ、俺はすかさず地面の砂を掬うと色々と迂闊そうな男の顔面に投げつける。
てめえ今、使徒って言おうとしやがっただろう?
おかげで反対側に立ってた神官のカレンが肩をビクッて大きく振るわせるわ、イレーネが身体を強張らせるわ……ほんと頭が痛い。
悶絶するゲンマを視界の外にやると、俺は一応の配慮をしてくれたシュナに釘を刺す。
「シュナさん、誰かとお間違えでは?」
「申し訳ございません、いかなる事情によるものか、私如きにそれを推し量る事は出来ませんが、今は偽りの身分を捨て本来のあなた様にお戻りになられますよう伏してお願い申し上げます」
「………………………………」
「むろん、己の気に入らぬ事を強要される事を殊の外嫌うシンドゥラ様のご気性は、重々存じ上げてございます。わたくしの無理を聞き入れて下さるのであれば不肖ながらこの身を如何様にして下さって構いません、だから何卒!」
「シュナ!?」
「マジで止めて!!」
ホント止めて下さいお願いします!! ルディも面白そうに笑ってんじゃねえよ!
俺はいまだ理解の追いつかずに混乱している半数の表情を伺い、とりあえず後で厳重に口止めしようと固く誓う。
……まあ、ルフトは大丈夫だろうし、エル達も秘密を漏らして俺と帝国の関係をこれ以上拗らせる度胸は無いと信じたい。
問題はそんなの関係ないこの2人か……。
しゃあない。
「ライゼンの「戦巫女」シュナ、ならびに「筆頭剣士」ゲンマ。この地この時において我が名はジン、それ以外の名で俺を呼ぶことはまかりならん」
「「──ははっ!!」」
はぁ、面倒な……てかなんでチョット嬉しそうなんだよ、2人とも。
俺は首だけ動かしデイジー達に目を向けると、勢いよく頭を縦に振る2人と、それを見てなんとなく頷く3人の姿があった。よし、こっちは了承と取ったからな、破ると地獄だと思えよ?
ルフトは……ホントありがたい、この人がコミュニティの代表で本当に幸せだわ、アイツら。
「シンさん……ジンさん?」
「出来ればジンでお願いできますかね、エル坊」
「……わかりました」
はぁ……まったく、
「この一件が終わったら少しくらいは身の上話を聞かせてあげますから、それまでは大人しく言う事を聞いてくださいな」
「────ハイ!!」
無事再会できたとはいえ、子供の身でヴリトラの咆哮を浴びるわ、そこいらで人が焼けるわ溶けるわの地獄絵図、とどめに全身ボロ雑巾の姿を見せられたら心細くなるのも当然といえば当然なんだが……ホント、甘くなったもんだと自分でも思うな。
まあいいさ、俺が全てを捨てたのは10歳の時だ。だったらそれ以下の子供には出来るだけ優しくしてやるべきだろう。
「それじゃあ生き延びないといけないねえ、ジン?」
「逃げるって選択肢は無いもんですかねえ、若さん?」
「リオンがヴリトラに勝てるよう、お祈りでもしとく?」
…………………………。
無理だろ、ただでさえ向こうの方が格上なのに加え、今のアイツは俺に力の一部を分け与えてるんだ。せいぜい時間稼ぎが関の山だ。
「……しゃあねえな」
俺は立ち上がると、2体が飛んで行ったバスカロン連山、いやその麓にある湖イズナバールを睨みつける。
「やる気になった?」
「貴重な巨乳美女を死なせる訳にはいかないんでね」
全く、まだ思う存分揉んでもいないのに死なれてたまるか!
ルディはニヤニヤと笑うと、預けていた異空間バッグを投げて寄越す。
そうだな、アレを使うしかヴリトラを一撃で殺すのは無理か……。
だったら、手伝いが必要だな。
「ルフトさん、それにシュナさんにゲンマさんも、ちょっと手伝ってもらえませんかね」
「ジン……一体何をするつもりなのだ?」
「大した事はしませんよ……とりあえず3人とも、”竜殺し”の称号でも手に入れに行きましょうか」
『はあぁっ!?』
おお、3人の声が見事にハモった──。
なんてこと!!
まさかジンがあの時の少年、いや、使徒様だったなんて!
これじゃアタシもゲンマを馬鹿なんていってられない……ていうかゲンマ、なんでアンタは未だに気付いていないのよ?
アタシは目の前でボロボロになりながらも辛うじて命を繋いでいる青年の、それでもなお内側から漏れ出す荒々しい気配に思わず身震いする。
普段目にしていた銀灰色の髪の青年は、町中だろうと迷宮の中だろうとどこか気の抜けた表情を浮かべるばかりの飄々とした青年で、黒髪になり苦痛に顔を歪めているのを見て初めて、あの時の少年と面影が重なる。
使徒シンドゥラ──女神ティアリーゼ様の現世における神威の代行者。
そして「戦巫女」であるアタシ以下神殿仕えをする者にとって、場合によっては「筆頭剣士」であるゲンマよりも優先しなくてはならない御方。
……なのに、なんたる失態!
シンドゥラ様の正体にも気付かずあまつさえ、あのヴリトラを前にお一人で立ち向かわせるなんて!! ……5年前もお一人で討伐なさったけども。
しかもリオンさん、アタシやゲンマよりも強い戦士だと思っていた彼女の正体は南大陸で最強と呼ばれる魔竜、大地の魔竜だという。
最近、邪道士ニールセンなる人物と共に傭兵国家のカドモスを滅ぼした、なんて話が流れてきたけど、まさかここ東方大陸でも同様に暴れるつもりでやってきたのだろうか?
……でもそれじゃあヴリトラを止めるために飛んで行った理由がわからない。
しかし、そうなるとこの少年は? この子も何かあるの?
まさか……姿を偽っているけどこの少年こそが邪道士!?
……イヤ、まさかね……
ああもう! 何が何だか分からない!!
とにかく、シンドゥラ様! この方を死なせるわけにはいかない!!
──シュアアアア
そんな事を考えているとあの子──ルディがシンドゥラ様の身体に体力回復薬を降りかけている、ご自分で飲む事すら出来ない状態なのね。
「ん……んん……」
「意識は戻ったね、はい、シン」
ルディはシンドゥラ様をジンではなくシンと呼びながら新しいポーションを手渡している……さて、どっちなのかしら?
ムクリと起き上がるシンドゥラ様にルディ少年とよく似た子、エルが泣きながら抱きついている。
そうだ、この光景に騙された。いくら子供とはいえあのシンドゥラ様のお側に誰かが寄り添うなど、以前のご様子を覚えているアタシに想像できるはずが無い。
抜き身の刃が全身から生えているような佇まい、何者も寄せ付けず、横に並ぶ事はおろかその背を追う事すら認めなかったあの方が……よもや、屋台で甘味を売り、懐いている子供に優しい兄のように振る舞い、同行者の女性達にボロカスのように扱われてもヘラヘラしているなんて……本当にシンドゥラ様よね? アレ?
あのユアンとか言うのだって、ヘタすりゃ会ったその日に切り捨てられてもおかしく無い程の暴挙を繰り返しておきながら、結局お仲間も一人も殺さずにしていた……5年の間に何があったのかしら?
とはいえ、あの場でアレをヴリトラだと断じた事、咆哮を受け誰も動けない中ただ一人行動を起こした事、あの頃から得意にしていた空間制御の魔法で私達を退避させた事、そして……あの邪竜と1対1で戦い、まだ死んでいない事。
シンドゥラ様以外の誰が出来るものか。
アタシはシンドゥラ様のお側まで寄って正座をすると手をつき、地面に付くほどに頭を下げて恭順の意を示す、恭しく見えたかしら?
シンドゥラ様は、
「あー……それは何のおつもりで?」
……凄い不機嫌だ、いや、不快と言うより困窮と言う感じかしら。
「御身に気付かなかった無礼をお許し下さい、ヴリトラ討伐の英雄、シンドゥラ様」
とりあえず使徒である事は伏せよう、当時もこの方はそう呼ばれるのを殊の外嫌っていた、おそらく今もそうだと思う。
「シン……ドゥラ? あの、ジンさん?」
エルちゃん、あまりシンドゥラ様にくっつかないで、もしかしたらそういうご趣味なんじゃないかと疑ってしまいそうで困るのよ……。
「ジン」ではなく、リオンさんやルディが呼んでいた「シン」でもなく「シンドゥラ」、その言葉を聞いたシンドゥラ様は、ゲンマがよく見せる「やらかした!」と嘆く時と同じ表情を浮かべながら天を仰ぐ──。
──────────────
──────────────
──くそ、今まで上手く誤魔化してきてたのに、最後の最後でパーになった。
全部あのクソッタレのせいだ、心の底から許せねえ、あのクソトカゲ!
「え、シンドゥラ? ジンじゃなくて? てかシンドゥラつったら使──ぶあっ!?」
黙れアホゲンマ、俺はすかさず地面の砂を掬うと色々と迂闊そうな男の顔面に投げつける。
てめえ今、使徒って言おうとしやがっただろう?
おかげで反対側に立ってた神官のカレンが肩をビクッて大きく振るわせるわ、イレーネが身体を強張らせるわ……ほんと頭が痛い。
悶絶するゲンマを視界の外にやると、俺は一応の配慮をしてくれたシュナに釘を刺す。
「シュナさん、誰かとお間違えでは?」
「申し訳ございません、いかなる事情によるものか、私如きにそれを推し量る事は出来ませんが、今は偽りの身分を捨て本来のあなた様にお戻りになられますよう伏してお願い申し上げます」
「………………………………」
「むろん、己の気に入らぬ事を強要される事を殊の外嫌うシンドゥラ様のご気性は、重々存じ上げてございます。わたくしの無理を聞き入れて下さるのであれば不肖ながらこの身を如何様にして下さって構いません、だから何卒!」
「シュナ!?」
「マジで止めて!!」
ホント止めて下さいお願いします!! ルディも面白そうに笑ってんじゃねえよ!
俺はいまだ理解の追いつかずに混乱している半数の表情を伺い、とりあえず後で厳重に口止めしようと固く誓う。
……まあ、ルフトは大丈夫だろうし、エル達も秘密を漏らして俺と帝国の関係をこれ以上拗らせる度胸は無いと信じたい。
問題はそんなの関係ないこの2人か……。
しゃあない。
「ライゼンの「戦巫女」シュナ、ならびに「筆頭剣士」ゲンマ。この地この時において我が名はジン、それ以外の名で俺を呼ぶことはまかりならん」
「「──ははっ!!」」
はぁ、面倒な……てかなんでチョット嬉しそうなんだよ、2人とも。
俺は首だけ動かしデイジー達に目を向けると、勢いよく頭を縦に振る2人と、それを見てなんとなく頷く3人の姿があった。よし、こっちは了承と取ったからな、破ると地獄だと思えよ?
ルフトは……ホントありがたい、この人がコミュニティの代表で本当に幸せだわ、アイツら。
「シンさん……ジンさん?」
「出来ればジンでお願いできますかね、エル坊」
「……わかりました」
はぁ……まったく、
「この一件が終わったら少しくらいは身の上話を聞かせてあげますから、それまでは大人しく言う事を聞いてくださいな」
「────ハイ!!」
無事再会できたとはいえ、子供の身でヴリトラの咆哮を浴びるわ、そこいらで人が焼けるわ溶けるわの地獄絵図、とどめに全身ボロ雑巾の姿を見せられたら心細くなるのも当然といえば当然なんだが……ホント、甘くなったもんだと自分でも思うな。
まあいいさ、俺が全てを捨てたのは10歳の時だ。だったらそれ以下の子供には出来るだけ優しくしてやるべきだろう。
「それじゃあ生き延びないといけないねえ、ジン?」
「逃げるって選択肢は無いもんですかねえ、若さん?」
「リオンがヴリトラに勝てるよう、お祈りでもしとく?」
…………………………。
無理だろ、ただでさえ向こうの方が格上なのに加え、今のアイツは俺に力の一部を分け与えてるんだ。せいぜい時間稼ぎが関の山だ。
「……しゃあねえな」
俺は立ち上がると、2体が飛んで行ったバスカロン連山、いやその麓にある湖イズナバールを睨みつける。
「やる気になった?」
「貴重な巨乳美女を死なせる訳にはいかないんでね」
全く、まだ思う存分揉んでもいないのに死なれてたまるか!
ルディはニヤニヤと笑うと、預けていた異空間バッグを投げて寄越す。
そうだな、アレを使うしかヴリトラを一撃で殺すのは無理か……。
だったら、手伝いが必要だな。
「ルフトさん、それにシュナさんにゲンマさんも、ちょっと手伝ってもらえませんかね」
「ジン……一体何をするつもりなのだ?」
「大した事はしませんよ……とりあえず3人とも、”竜殺し”の称号でも手に入れに行きましょうか」
『はあぁっ!?』
おお、3人の声が見事にハモった──。
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