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本編
5.虫に刺された疑惑※
旦那様と結婚してから数日、僕の身体に異変が起きた。
「んんー…」
いつも通り、旦那様に抱き締められて眠ろうとしていたのに。今夜の僕はなんかおかしい。
「ルミエル…?どうかしたか?」
「なんか、変なんです…風邪ひいた?違うな…」
「具合が悪いのか?」
なんと言えばいいのか、悩んだけど僕には解決出来そうにない。今まで経験したことのない異変が起きている。
しかし、言うのを躊躇う部位なのが問題だ。
どうしたものかと寝転がったまま旦那様の顔を見上げると、隣に座った旦那様はとても心配そうに僕を見ていた。
「…その、申し上げにくいことなんですけど、その、万が一…おもらし、とか…しちゃったらいけないので、その…」
「……トイレ、か?」
すごく小さい声でおもらしって言ったけど聞こえちゃったみたい。やっぱり恥ずかしいな…でもトイレに行きたいわけじゃなくって…
「そうじゃなくて、えぇと、僕、なんでかココが、痛くて、ですね」
「痛い?!どこが痛いんだ!」
あぁ、説明が悪い。旦那様が大慌てになってしまった。
これを放っておくと大事になってしまう。この数日でしっかり学んだことだ。
僕は意を決して異変を伝えることにした。
「あの!ここです、ここが、なんでか固くなってて、痛いんです!」
「………おぉ」
お股を抑えながら訴える僕を前に、世界中の時計が止まったかのような静寂が訪れた。旦那様にもよく分からなかったのかもしれない。僕もう泣きそう。
「…あのですね、寝ようとしてたんです。寝たかったんですけど、旦那様に包まれて、旦那様の匂い好きだなって、落ち着くなって思ってたらなんでかここが熱くなって、こうなっちゃって……病気でしょうか?こんなこと初めてで」
「好き…」
「最初は少し熱いなって思ったんですけど直ぐに膨れ上がって、少し痛いんです。うぅ…」
下着が擦れてもゾワゾワするくらい敏感になってる。虫に刺された時みたいだ。
ま、まさか、こんなところ、噛まれた…?!確かに少し痒い気もしてきた。
「…ルミエル、ひとつ確認したいんだが。精通がきてから今まで処理してきたことあるか?」
「せいつう?処理するんですか?出来るんですか?」
経験のない違和感にモジモジと腰を揺らしていると、何故かゴクリと喉を鳴らした旦那様が僕の顔を大きな両手で包み込んだ。
月明かり程度しか光のない薄暗い寝室で分かりにくいけど、旦那様の顔はいつもより少し赤くなっている気がする。少しカサついた親指が僕の唇を撫でた。
「ルミエルは、俺の事が好きか?」
「ん、好きです。こんなに幸せだったことは生まれて初めてで…」
言い終わる前に、旦那様の顔が近付いて、お互いの唇が重なった。旦那様は案外せっかちだ。いや、僕の話をゆっくりと聞いてくれる事もあるけど…時々こうして言葉を遮られる。
唇から感じる旦那様の体温は、僕より少し熱いかもしれない。でも嫌じゃないなと思った。
「…誓いのキス、ですか?」
「うん?」
「結婚式の時。互いを信じ、死ぬまで愛す事を神に証明する為に最後に誓いのキスをするんですよ。あの時は必要最低限の儀式だったから省いたんでしょうけど…」
「…そうか」
「んっ」
もう一度、ゆっくりと重ねられる。旦那様に永遠の愛を誓われたら、幸せすぎて溶けてしまいそうだ。なんて考えていたらまた股間のあたりが疼いて少し痛くなった。
「うぅ、痛い…」
「…今から誓っても、遅くないか?」
「へ?」
なんだろう。旦那様の声が切羽詰まってるように聞こえる。
僕のお股が痛い話から何が起きてるんだ。
「ルミエルに永遠の愛を誓うことを、許してくれないか?」
「……」
月明かりでも分かる、旦那様の切実な声と、切実な顔。
びっくりして答えない僕に何度もキスをして、何度目かの接触で熱い舌が僕の口の中に入り込んだ。
こんな事は初めてなのに、少しも抵抗がない自分にびっくりするし、僕の舌にぬるぬると絡み付く旦那様の舌を感じているうちに僕は全身の力が抜けていた。
どんどん長く深くなるキスが苦しくて、鼻で息をすると旦那様の息と混じり合ってまた僕の中に入り込んできている気がした。なんか、凄い。誓いのキスやばい。
綺麗な青色の瞳は瞼で覆われて見えなくて、でも今までで1番近くで見る旦那様の顔は非の打ち所がないくらい綺麗だ。角度を変えながら何度も重なり合う唇と旦那様の顔に夢中になっていると、ふ、と瞼が開かれて僕を見る青い瞳に僕はドキリとした。
「ルミエル、俺の妻、ルミエル…」
「だんなさま?あっ、そこは!」
「愛を誓い合った夫婦は初夜を迎えるんだ。ルミエル、俺が好きか?」
「あっ、あっ、旦那様っ、旦那様、好きだけど、初夜って?!」
あろう事か張り詰めた僕の股間を寝間着のズボン越しに撫でられて初めて得る刺激にどうしたらいいか分からなくなる。
「旦那様、待って!なにか、出そうですっ!」
「ルミエル、名前を呼んでくれ。」
「あっぅ…んんっ」
──あっという間の事だった。
僕の寝間着は旦那様の手の下でぐちゃぐちゃになっているのだろう。ねっとりとした不快感と、漏らしてしまった羞恥心でいっぱいなのに、心臓がバクバクと大きく脈打って息も絶え絶えと何から反応したらいいのか分からなくて僕の体は呼吸で上下する胸以外が硬直していた。
「ルミエル。お前は可愛すぎる」
「旦那様…」
「俺の名前は忘れたか?」
「あ…フィニスさま、あの、僕は一体…んぅ」
チュ、と音を立てて唇を吸われた。
「フィニス、だ。お前の夫、ただのフィニスだ。」
「フィニス」
名前で呼ばれた事に満足したのか旦那様…フィニスはまた執拗なくらい唇を重ねて僕を食べる気なんじゃないかってくらい口の中まで蹂躙し始めた。
少し苦しい。でも、何故だか胸の奥が満たされるような、じんわりとした心地良さがある。
フィニスが僕の口の中を舐めるように、僕もフィニスの口の中を舐めたらどんな感じだろうって思って舌を伸ばしてみたらフィニスの前歯に舌先が触れて少しくすぐったかった。
「ッ…ルミエル」
「?…はぁっ」
僕の舌にびっくりしたのか顔が少し離れたと思ったら、制止していた手が僕のズボンの中に入り込んだ。
案の定、漏らした僕の下半身はぐしょぐしょに濡れているのに構いもせず、僕の、僕の…性器、を直接撫でてきたもんだから僕こそ本気でびっくりした。
「あぁ、ルミエルは元気だな。一度出したくらいじゃ動じていない硬さだ」
「な?!な、なにを、なにをしてるんですか!あっ、待ってフィニス!」
さっきとは違ってそっと僕の性器を握り込まれ、そのままゆるゆると手を動かされた。
あっという間に僕はまた何かを漏らし、そうしてぐったりとしているとフィニスは手際よく僕の汚れた寝間着を脱がしてしまう。
そのままでは寝れないから脱ぐのは間違っていないけど、気付いたら僕は裸になってるし、服が汚れていないフィニスまで裸になっていた。
やはり僕と比べ物にならないくらい鍛えられた分厚い身体をしているが、薄暗い中でも傷跡だらけなのが分かる。僕とは違う。沢山戦ってきた勇敢な身体だ。
「あの、フィニス…僕は、たった数日の付き合いだけど、フィニスは優しくて、とても強いのに、その力を少しも僕に向けない事はわかってます」
「…あぁ。」
「その、何をしているのか、これからどうするのか僕には分からないけど…フィニスを信じてるから怖くなくて、」
「…」
「だからですね、何をしていてもいいけど…誓いのキスが、その…嬉しいから、…もっとしたいです」
しどろもどろになりながらも、僕が言い終わるなりフィニスが顔を寄せてきたので少し口を開けて僕も迎え入れる。
フィニスがしてくれたように僕も舌を動かすし、離れたくないんだって意思表示するように両腕をフィニスの首の後ろへと伸ばしてしがみついた。
フィニスのゴツゴツした指は僕のお尻を撫で、普段は排泄だけに使う穴へと辿り着く。それは流石に汚いと思う。でも信じてると言ったからね。僕は有言実行をなるべくしようって方針で生きてるから。
「んぅ…」
「初めは違和感が強いと思うが…少し我慢してくれ」
僕の体液を塗りつけるようになぞり、指先がほんの少しだけ穴を出入りしている。確かに違和感は感じるけど、長い長いキスで僕の頭はボーッとしてきていた。
「フィニス」
「ん、キツいか?」
「フィニス、だいすきです」
だからキスしてくださいって意味を込めて舌を出してフィニスにアピールする。
それを見たフィニスは驚いたのか目を見開いて、勢いよく顔を寄せてきて唇ごと全部食べられたと思ったが、いつの間にか意識を失ってしまったらしく翌朝起きた僕はこの後の事を覚えていなかった。
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