壊れたあとでまた始めよう

赤月紅葉

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幸せが崩れる音がした

EP5 初めまして

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私は早速バッグから私達が待ち合わせした理由である香流さんの携帯を取り出して渡した。





「どうぞ」





「ありがとうございます!本当に助かりました!!」





「いえ!お礼を言うのはこちらの方です…!あの時は助けていただきありがとうございました…!」




頭を下げる男性に私は慌ててそう言った。




「いえいえ!元気そうでなによりです!」





香流さんとそんなような会話を少ししてから私は




「…では、失礼します」




と言ってその場を去ろうと背を向ける。




「待って」



歩き出そうとしたところで香流さんに腕を掴まれる。



「!?」




「あ、ごめんなさい!」





香流さんは謝罪して慌てて私の腕を離すと気まずそうに口を開く。



「その、、



この後何か予定とかあります?」






「ないですけど…」





「それならお礼としてご馳走させてくれませんか、、?」





私は香流さんから返ってきた言葉にまた驚かされる。








「え!そんな!大丈夫ですよ!私も助けてもらったのでお互い貸し借りはなしです」





「…貸し借りとかの問題じゃなくて、、普通にあなたと食事したいなって思ったんですけど、、ダメですか?」




「え」




その言葉に固まり、気付いた頃には




「…ダメじゃないです」




そう答えていた。




あとから考えれば人見知りの私がほぼ初対面のような人と、それも男性と一緒に食事に行くなんて有り得なかった。




それを呆気なく許可したのは、1人になるとまたリョウの事ばかり考えてしまう事が嫌で、今は誰でもいいからそばにいてほしい。



そんな事を心のどこかで思っていたからなのかもしれない。



* * * * *



「何頼みましょうか?」




近くのレストランに入った私達はメニューを眺めながらなにでお腹を満たそうかと選ぶ。



「…じゃあ私はオムライス!」




「お、奇遇ですね?僕もそれにしようかなって思ってました」




店内に入ってもなおサングラスとマスクを外さない彼の表情は見えないけれど笑っているような気がした。




香流さんがウェイトレスを呼び、オムライスを2つと注文してくれる。





「…ところで」




ウェイトレスが去ると彼の方から口を開く。




「…お名前を聞いても?」


「あ…」



その言葉に自己紹介をしていなかったことを今更気づく。





「…私は園田めぐといいます」





「めぐさん、、」




「えっと、確か香流詩音さんでしたよね?」





「そうです!覚えててくれたんですね」





「はい、珍しい苗字だったので、、」





「あはは、よく言われます。
…ところでめぐさんはおいくつなんですか?」




「私は22歳です。詩音さんは、、?」





「え!同い年です!」





「ホントに…!?」





「はい!僕の事は詩音って呼んでください、、って会ったばっかなのに馴れ馴れしいですよね」




言ってから慌てたようにマスクの上から口を塞ぐ香流さん。




その様子が何だかおかしくて自然と笑みがこぼれる。




「いえ、じゃあ私の事はめぐって呼んでください…どうせなら敬語もなしにしませんか?」




「!!はい!じゃなくて、うん!」




私はまた笑った。




今だけリョウの事なんて忘れて。
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