6 / 49
幸せが崩れる音がした
EP5 初めまして
しおりを挟む私は早速バッグから私達が待ち合わせした理由である香流さんの携帯を取り出して渡した。
「どうぞ」
「ありがとうございます!本当に助かりました!!」
「いえ!お礼を言うのはこちらの方です…!あの時は助けていただきありがとうございました…!」
頭を下げる男性に私は慌ててそう言った。
「いえいえ!元気そうでなによりです!」
香流さんとそんなような会話を少ししてから私は
「…では、失礼します」
と言ってその場を去ろうと背を向ける。
「待って」
歩き出そうとしたところで香流さんに腕を掴まれる。
「!?」
「あ、ごめんなさい!」
香流さんは謝罪して慌てて私の腕を離すと気まずそうに口を開く。
「その、、
この後何か予定とかあります?」
「ないですけど…」
「それならお礼としてご馳走させてくれませんか、、?」
私は香流さんから返ってきた言葉にまた驚かされる。
「え!そんな!大丈夫ですよ!私も助けてもらったのでお互い貸し借りはなしです」
「…貸し借りとかの問題じゃなくて、、普通にあなたと食事したいなって思ったんですけど、、ダメですか?」
「え」
その言葉に固まり、気付いた頃には
「…ダメじゃないです」
そう答えていた。
あとから考えれば人見知りの私がほぼ初対面のような人と、それも男性と一緒に食事に行くなんて有り得なかった。
それを呆気なく許可したのは、1人になるとまたリョウの事ばかり考えてしまう事が嫌で、今は誰でもいいからそばにいてほしい。
そんな事を心のどこかで思っていたからなのかもしれない。
* * * * *
「何頼みましょうか?」
近くのレストランに入った私達はメニューを眺めながらなにでお腹を満たそうかと選ぶ。
「…じゃあ私はオムライス!」
「お、奇遇ですね?僕もそれにしようかなって思ってました」
店内に入ってもなおサングラスとマスクを外さない彼の表情は見えないけれど笑っているような気がした。
香流さんがウェイトレスを呼び、オムライスを2つと注文してくれる。
「…ところで」
ウェイトレスが去ると彼の方から口を開く。
「…お名前を聞いても?」
「あ…」
その言葉に自己紹介をしていなかったことを今更気づく。
「…私は園田めぐといいます」
「めぐさん、、」
「えっと、確か香流詩音さんでしたよね?」
「そうです!覚えててくれたんですね」
「はい、珍しい苗字だったので、、」
「あはは、よく言われます。
…ところでめぐさんはおいくつなんですか?」
「私は22歳です。詩音さんは、、?」
「え!同い年です!」
「ホントに…!?」
「はい!僕の事は詩音って呼んでください、、って会ったばっかなのに馴れ馴れしいですよね」
言ってから慌てたようにマスクの上から口を塞ぐ香流さん。
その様子が何だかおかしくて自然と笑みがこぼれる。
「いえ、じゃあ私の事はめぐって呼んでください…どうせなら敬語もなしにしませんか?」
「!!はい!じゃなくて、うん!」
私はまた笑った。
今だけリョウの事なんて忘れて。
0
あなたにおすすめの小説
溺愛ダーリンと逆シークレットベビー
吉野葉月
恋愛
同棲している婚約者のモラハラに悩む優月は、ある日、通院している病院で大学時代の同級生の頼久と再会する。
立派な社会人となっていた彼に見惚れる優月だったが、彼は一児の父になっていた。しかも優月との子どもを一人で育てるシングルファザー。
優月はモラハラから抜け出すことができるのか、そして子どもっていったいどういうことなのか!?
思い出のチョコレートエッグ
ライヒェル
恋愛
失恋傷心旅行に出た花音は、思い出の地、オランダでの出会いをきっかけに、ワーキングホリデー制度を利用し、ドイツの首都、ベルリンに1年限定で住むことを決意する。
慣れない海外生活に戸惑い、異国ならではの苦労もするが、やがて、日々の生活がリズムに乗り始めたころ、とてつもなく魅力的な男性と出会う。
秘密の多い彼との恋愛、彼を取り巻く複雑な人間関係、初めて経験するセレブの世界。
主人公、花音の人生パズルが、紆余曲折を経て、ついに最後のピースがぴったりはまり完成するまでを追う、胸キュン&溺愛系ラブストーリーです。
* ドイツ在住の作者がお届けする、ヨーロッパを舞台にした、喜怒哀楽満載のラブストーリー。
* 外国での生活や、外国人との恋愛の様子をリアルに感じて、主人公の日々を間近に見ているような気分になれる内容となっています。
* 実在する場所と人物を一部モデルにした、リアリティ感の溢れる長編小説です。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
**2026.01.02start~2026.01.17end**
フローライト
藤谷 郁
恋愛
彩子(さいこ)は恋愛経験のない24歳。
ある日、友人の婚約話をきっかけに自分の未来を考えるようになる。
結婚するのか、それとも独身で過ごすのか?
「……そもそも私に、恋愛なんてできるのかな」
そんな時、伯母が見合い話を持ってきた。
写真を見れば、スーツを着た青年が、穏やかに微笑んでいる。
「趣味はこうぶつ?」
釣書を見ながら迷う彩子だが、不思議と、その青年には会いたいと思うのだった…
※他サイトにも掲載
一億円の花嫁
藤谷 郁
恋愛
奈々子は家族の中の落ちこぼれ。
父親がすすめる縁談を断り切れず、望まぬ結婚をすることになった。
もうすぐ自由が無くなる。せめて最後に、思いきり贅沢な時間を過ごそう。
「きっと、素晴らしい旅になる」
ずっと憧れていた高級ホテルに到着し、わくわくする奈々子だが……
幸か不幸か!?
思いもよらぬ、運命の出会いが待っていた。
※エブリスタさまにも掲載
人質王女の恋
小ろく
恋愛
先の戦争で傷を負った王女ミシェルは顔に大きな痣が残ってしまい、ベールで隠し人目から隠れて過ごしていた。
数年後、隣国の裏切りで亡国の危機が訪れる。
それを救ったのは、今まで国交のなかった強大国ヒューブレイン。
両国の国交正常化まで、ミシェルを人質としてヒューブレインで預かることになる。
聡明で清楚なミシェルに、国王アスランは惹かれていく。ミシェルも誠実で美しいアスランに惹かれていくが、顔の痣がアスランへの想いを止める。
傷を持つ王女と一途な国王の恋の話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる