7 / 108
匠と沙耶
七
しおりを挟む匠の作ってくれた朝食。
いつも作ろう、作ろうって思いながら起きれずに作って貰う始末。
毎度ながらお礼と謝罪を言えば、クスリと笑われた。
「随分律儀だな」
「………………」
爆笑するのを我慢してるらしくて顔を覆いながら顔を逸らして肩を震わせる匠。
いつもの朝。
変わらない。
だけどしこたま笑った後、匠は真面目に私を見据えてきた。
「沙耶が寝てるときに少しネットを弄って調べてみたんだ。見返せば見落としてた部分がわかると思って……」
「うん。何かわかった?」
「嫌。だけど最初の投稿者”はすみ”って子は七年後に無事に帰ってきたらしい」
七年後という言葉に言葉を飲んで目を見開いた。
「まるで神隠しみたい……」
無意識に呟いたそれに、匠が一つ頷いた。
「恐らくそれに近い。彼女にとってそれは数日の事だったらしいし」
「香織……そんな場所に?」
呟いた声が震える。
無意識だ。
匠に心配かけたくはない。
こうして自分の友達のことで巻き込むのも気が引けるのに。
「それが作り話じゃなければの話だ。メッセを送ってみた、彼女が気付くかはわからないが……きさらぎ駅の伝説の創設者だから、きっと何か知ってるはず」
「……返事…くるかな?」
「待とう。今はそれしかできない」
それきり無言で、朝食を口に運ぶ。
暗い雰囲気。
でも少しだけ手掛かりが見つかった。
何が何でも”はすみ”さんとコンタクトをとること。
それがきさらぎ駅を知る一番の手掛かりだ。
10
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
M性に目覚めた若かりしころの思い出
kazu106
青春
わたし自身が生涯の性癖として持ち合わせるM性について、それをはじめて自覚した中学時代の体験になります。歳を重ねた者の、人生の回顧録のひとつとして、読んでいただけましたら幸いです。
一部、フィクションも交えながら、述べさせていただいてます。フィクション/ノンフィクションの境界は、読んでくださった方の想像におまかせいたします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
洒落にならない怖い話【短編集】
鍵谷端哉
ホラー
その「ゾワッ」は、あなたのすぐ隣にある。
意味が分かると凍りつく話から、理不尽に追い詰められる怪異まで。
隙間時間に読める短編ながら、読後の静寂が怖くなる。 洒落にならない実話風・創作ホラー短編集。
百物語 厄災
嵐山ノキ
ホラー
怪談の百物語です。一話一話は長くありませんのでお好きなときにお読みください。渾身の仕掛けも盛り込んでおり、最後まで読むと驚くべき何かが提示されます。
小説家になろう、エブリスタにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる