33 / 101
電車に乗って
電車に乗って一
しおりを挟む香織と沙耶が勤める会社から、匠の家まではそう遠くない。
電車で二駅程度だ。
沙耶はほぼ匠の家に入り浸っているため、今は近い。
問題は香織だ。
仲は良いけど家まで知らないのだ。
いつも私が先におりてしまっていたし、外で遊ぶことが多かったから……。
「家まで知らなくて良いでしょ?」
クスクスと笑われる。
「最終にその電車乗ってたって事は乗り換えはないだろうし、今日はその最終電車乗ってみよ」
「うん」
何事もなく最終まで行ってしまったら悲しいが……。
匠の言うとおり家まで知る必要はない。
いつも乗る電車が最終だし、その間に乗り換えするような駅もない。
……私としては匠がいるし、異次元駅に行ってくれない方がいいんどけど。
香織のことを思うといますぐにでも行きたい。
矛盾だ。
だが場所が場所なだけに最早運だろう……。
一応、都市伝説なわけだし。
行ける人間は本当にごく僅かだろうから。
とりあえず時間も早いし会社近くの最寄り駅まで行くことになった。
「………沙耶。飲む?」
無言で考え込んでいた私に、匠はペットボトルを差し出してくる。
中身は家で入れたお茶。
……家庭的だ。
そんな事を思いながら礼を言いそれを受け取った。
私にとっては日常。
だが。
そんな中で狂気が潜んでる事なんて誰も知らない。
この電車だってもしかしたら異次元駅に行ってしまうかも知れないのだ。
誰も気づいてない怪奇が存在する。
現実のすぐ隣り合わせに。
ゾクッとした。
普段考えもしないそれに気づいて。
そう。
気づいてないだけなんだ。
人の死はいつもチラツいてるし、怪奇だって狂気だって隣り合わせ。
いつだってそうなのに、誰も気づかないそれが一番の恐怖だと思った。
意味の分からない恐怖を感じて、ペットボトルを持ちながらジッと外を見据える。
「……………………」
この世に平和なんてない。
そんな事を思って。
10
あなたにおすすめの小説
意味が分かると怖い話(解説付き)
彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです
読みながら話に潜む違和感を探してみてください
最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください
実話も混ざっております
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/6:『とんねるあんこう』の章を追加。2025/12/13の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/5:『ひとのえ』の章を追加。2025/12/12の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/4:『こうしゅうといれ』の章を追加。2025/12/11の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/3:『かがみのむこう』の章を追加。2025/12/10の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/2:『へびくび』の章を追加。2025/12/9の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/1:『はえ』の章を追加。2025/12/8の朝4時頃より公開開始予定。
2025/11/30:『かべにかおあり』の章を追加。2025/12/7の朝8時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】
絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。
下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。
※全話オリジナル作品です。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる