きさらぎ駅

水野華奈

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”さんず”から”やみ”へ

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足元さえもまともに照らせない。


携帯の灯りが弱いなどと言うのは全く理由になってない。


此処は恐らくそういう場所なのだ。





光の存在が許されない場所……。





そう思うと恐ろしい。


香織が会った男性はその闇に慣れていて、香織と合流した。


不慣れな私達はどうしようもない。




ソッと匠の服を手探りで掴む。




離れないように。




…………見失わないように。




駅内はまだ明るい。


だが問題はその外だ。


無人の改札を抜けて一歩外に出れば、真っ暗。
踏み出した途端、沈んでしまうかと錯覚する程の闇。


闇は無条件で怖い。





普段。
この平成の世、闇なんてものはそうそう体験しない。


昔の人はよく言ったものだ。


闇にはこの世の者じゃない者が潜んでると…。


人の想像力にこれほど嫌気がさしたことはない。
そんなものがなければ、闇に恐怖するなんて事はないだろう。


人は見えないことに恐怖する。



想像力を掻き立てられてはありもしないものを怖がる生き物だ。


暗いというだけで何もない場所が心霊スポットになったりする。


此処はそんな恐怖を含んでいて、そして実際に居るのだ……。




この世の者じゃないものが。




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感想 1

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