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暗闇の中の建物
八
しおりを挟む微睡みの中、ぼんやりする視界には天井一色しかうつせず頭は働かない。
「あぁ……起きたんだ」
クスリと笑む声が耳をかすめた。
「調子はどう?」
答えたくても答えられず、視界の中にひょっこり顔を出した人物はあの時私の名前を呼んだ男だった。
笑顔の、男性。
少なくとも、彼はまともそうに見える。
見た目は普通だった。
異質なものじゃない。
「答えたくても答えられないよね、体調は問題なさそうだけどもう少しゆっくりしてるといいよ」
「………………」
「動けないだろうから、そのまま呼吸を楽にして」
始終笑顔の彼は、私を見据えながらそういった。
「沙耶はこの香り、昔嗅いだことがあるだろ?」
貴方は誰_____?
「君の記憶はまだ眠ってるよね。俺を知らないよね?ここに覚えはないよね?」
貴方は...誰?
私は____なに?
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