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13. 夫の愛
イレーナはそれからマリアンヌと生まれたばかりの赤ん坊に対してできるだけのことをしてやった。乳母の手が足りていないというのならば、家令に増やすよう指示し、マリアンヌを世話する使用人がいないと聞けば、イレーナのメイドを数名手伝いに行くよう命じた。
「あの荒れ放題の庭を、早く何とかしないといけないわね」
子どもが元気に駆け回る姿を想像し、イレーナはそんなことをシエルに零した。彼ははいと穏やかな表情で頷いた。あれから、イレーナの心は静かだった。赤ん坊の声が遠くから聞こえたと思っても、恐怖で身を竦ませることなく、いつも通りの自分でいられる。それはきっとシエルのおかげだった。
シエルがそばにいるとイレーナは落ち着いた。逆に彼がいないと、どうしているのか、何かあったのではないかと彼で心がいっぱいになる。きっと、イレーナもシエルのことが嫌いではないのだ。
しかしそれをシエルに告げることはできなかった。イレーナはダヴィドの妻だったから。
「――ああ、イレーナ! 会いたかった!」
数週間ぶりに会う伯爵はどこか疲れているようにも見えた。待望の跡取りが生まれて、嬉しくないのだろうか。イレーナは気になったものの、伯爵に微笑んだ。
「お久しぶりです、ダヴィド様」
「貴女に会いたかった」
抱きしめんばかりの勢いで近づいてくるダヴィドにイレーナは笑みを崩さぬまま距離を置いた。伯爵は一瞬足を止め、瞠目する。
「イレーナ……」
「お茶を用意させますわ。どうぞお座りになって」
「……ああ」
カチャカチャと食器の触れ合う音だけが二人の間に流れ、どこか緊張した雰囲気に包まれる。気まずいとも言えた。イレーナは勇気を出して、ダヴィドに明るく切り出した。
「マリアンヌ様もご子息も、お元気ですか?」
「あ、ああ。ノエル……息子の名前だが、健やかに育っている。そう言えば貴女が乳母を寄こすよう手配してくれたんだな。ありがとう」
「いいえ。大切なお二人の子どもですもの」
嫌味ではなく、素直な気持ちだった。だがダヴィドの顔はかたく強張った。
「……すまない」
「あ、いえ。違うのです。本当に、私、感謝していますわ」
「感謝?」
「はい。マリアンヌ様がダヴィド様の子を産んでくれて」
「……それはどういう意味だ?」
心なしかダヴィドの機嫌が悪くなった気がする。イレーナは慌てて違うのですと言った。
「私、子どもが苦手で、自分の子を育てる自信がなかったんです。愛せるかどうかも……だからマリアンヌ様が代わりにあなたとの子を産んでくれて、感謝しているということですわ。彼女ならば、私と違って子を大切にして、愛してくれるでしょうから」
いくら過去の自分を許せたとしても、赤ん坊が好きかどうかはまた別問題だった。急にその存在が好きだと思えるわけではなかった。
だからマリアンヌの子どもにも、産んでくれた彼女にも感謝している。イレーナはそう伯爵に伝えようとしたが、彼はなぜか違うように受け取ったそうだ。
「貴女は私との間に子は産んでくれないのか」
どこか傷ついた表情をするダヴィドに、イレーナは困惑する。なぜ彼がそんなことを言うのかイレーナにはわからなかった。
「……あなたはマリアンヌ様を愛しているのでしょう?」
ならば自分を愛する必要はない。子など、作る必要もない。
「私は……」
ダヴィドは口ごもり、だが意を決したようにイレーナの目を見つめた。
「貴女は以前マリアンヌの子を跡継ぎとして認めてくれるよう私に頼んだな?」
「はい」
「貴女がひどく慈悲深い人間だということはわかった。……だが彼女は私の正式な妻ではなく、生まれた子はあくまでも庶子とみなされる。よって、跡継ぎとして認めるつもりはない」
その言葉に、イレーナは雷に撃たれたかのように固まった。
「そんな……」
「私の跡継ぎとして認められるのは、貴女の血が流れた子でなければならない」
ダヴィドの手が、そっとイレーナに伸ばされる。
「貴女ともう一度、やり直したい。そしてどうか……私の子を産んでほしい」
ダヴィドの子を……。
無理だとイレーナは気づけば首を振っていた。ダヴィドの表情に陰りが生じる。
「私のことが嫌いか?」
「そういうことでは、ありません……」
「ではどういうことだ」
教えてくれ、とダヴィドが焦がれたように立ち上がった。そのままイレーナのもとへ駆け寄り、床へと跪く。
「イレーナ。私は貴女が好きだ。最初はあんなに冷たいと思っていたのに、今は貴女のことばかり考えている自分がいる。どうか私と本当の夫婦になってくれ」
呆然とするイレーナを見上げ、ダヴィドは自身の想いを告白した。頬を上気させ、目はまるで少年のように輝いていた。
(伯爵が私のことを好き……?)
イレーナはただ伯爵に告げられた言葉を頭の中で繰り返し、理解することを拒んでいた。
たしかに一時期ダヴィドが自分に向ける目は熱を帯びていた。だがそれは子を宿したマリアンヌに向けられない代わりのもの、あるいは今までずっと無視してきた妻にほんの少しだけ興味がわいただけ――とにかく一過性のものだと思っていた。
母となったマリアンヌにダヴィドも父として自覚が生まれ、彼はまた彼女に惜しみない愛情を捧げるだろうと、イレーナはこの瞬間まで考えていた。何なら今も彼の言葉は自分を驚かせるための嘘だと告げられたら、疑いもなく信じることができた。そちらの方がずっとあり得ることだった。
「イレーナ」
けれどダヴィドはイレーナを見ている。焦がれるような黒い瞳が、イレーナに愛していると告げている。
(私はどうすれば……)
いや、答えなど決まっている。
「ダヴィド様。私は……私には、あなたの愛を受け入れることはできませんわ」
「なぜ」
「だって……あなたには、マリアンヌ様がいらっしゃる。彼女には、子どもも……私があなたを受け入れるということは、彼女たちを裏切るということですわ」
イレーナのまるで子どものような無垢さで問いかける姿に、伯爵は罪悪感がせり上がってきたように視線を逸らす。だがそれもほんのわずかな間で、すぐにまたイレーナを見上げる。
「彼女たちを放っておくわけではない。見捨てることなど決してしない。きちんと面倒もみる。ノエルにも、跡取りにはできないが、最大限の援助と教育を与えるつもりだ。あなたが心配することは何もない」
「でも……」
「あなたは私の妻となった。妻としての役目を果たすべきではないのか?」
――妻としての役目。
脅しのように言われ、イレーナは息を呑んだ。だが一方でその通りだと目が覚める自分がいた。
どんなにマリアンヌという存在を叫ぼうが、彼女は愛人に過ぎない。イレーナが寛大な態度を示し、跡取りにしたいと述べたところで、主人であるダヴィドが否と答えれば、それが決定となる。イレーナが今まで考えてきたことは、すべてダヴィドがマリアンヌを愛し続けるという前提のもとに成り立つ仮定であった。
もしダヴィドが妻であるイレーナを愛したら――
そんなもう一つの可能性を、イレーナははなからあり得ないと振り払ってきた。考えないようにしていた。
「ダヴィド様。私は……」
「イレーナ。どうか私を受け入れてくれ」
見上げていた視線がいつの間にか同じ高さにあり、すぐ目の前に迫っていた。イレーナはとっさに顔を背けようとしたが、伯爵の大きな掌がそれを遮った。
「っ……」
柔らかな感触にイレーナは目を見開いた。分厚い肩を押し戻そうとするも、それに抗うようにダヴィドはイレーナの腰を引き寄せた。無理矢理椅子から立ち上がらされ、そのはずみでテーブルの食器がカタカタと揺れた。
一度押しつけられた唇はもう一度、角度を変えて何度もイレーナのと触れ合った。
「いやっ……」
必死で顔を背けるも、伯爵は許してくれなかった。荒い息が首筋をなぞり、むき出しの肌へと口づけされる。ぞわりと皮膚が粟立ち、イレーナは渾身の力を込めてもがいた。
「イレーナ。貴女は私の妻だ。逃げることは許されない……!」
自分は目の前の男の妻。逃げることは許されない。
イレーナは心のどこかでわかっていたはずだと自嘲した。結婚する時、どんな酷い目に遭っても、それが自分の運命なのだと。逃げることなど、できはしないのだと。
(ああ、それでも……)
大人しくなったイレーナを、ダヴィドが再度優しく頬を撫でた。
「イレーナ、愛している……」
うっとりと、かつてマリアンヌに囁いたかのような甘い声で、ダヴィドはイレーナの唇をなぞった。イレーナには、もう抵抗できなかった。角度を変えて何度唇が触れ合おうと、舌で嬲られようと、彼女は夫を受け入れねばならなかった。
(ごめんなさい、シエル……)
一体自分が何に対して謝っているのかもわからず、イレーナはただ涙を零した。
「あの荒れ放題の庭を、早く何とかしないといけないわね」
子どもが元気に駆け回る姿を想像し、イレーナはそんなことをシエルに零した。彼ははいと穏やかな表情で頷いた。あれから、イレーナの心は静かだった。赤ん坊の声が遠くから聞こえたと思っても、恐怖で身を竦ませることなく、いつも通りの自分でいられる。それはきっとシエルのおかげだった。
シエルがそばにいるとイレーナは落ち着いた。逆に彼がいないと、どうしているのか、何かあったのではないかと彼で心がいっぱいになる。きっと、イレーナもシエルのことが嫌いではないのだ。
しかしそれをシエルに告げることはできなかった。イレーナはダヴィドの妻だったから。
「――ああ、イレーナ! 会いたかった!」
数週間ぶりに会う伯爵はどこか疲れているようにも見えた。待望の跡取りが生まれて、嬉しくないのだろうか。イレーナは気になったものの、伯爵に微笑んだ。
「お久しぶりです、ダヴィド様」
「貴女に会いたかった」
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「イレーナ……」
「お茶を用意させますわ。どうぞお座りになって」
「……ああ」
カチャカチャと食器の触れ合う音だけが二人の間に流れ、どこか緊張した雰囲気に包まれる。気まずいとも言えた。イレーナは勇気を出して、ダヴィドに明るく切り出した。
「マリアンヌ様もご子息も、お元気ですか?」
「あ、ああ。ノエル……息子の名前だが、健やかに育っている。そう言えば貴女が乳母を寄こすよう手配してくれたんだな。ありがとう」
「いいえ。大切なお二人の子どもですもの」
嫌味ではなく、素直な気持ちだった。だがダヴィドの顔はかたく強張った。
「……すまない」
「あ、いえ。違うのです。本当に、私、感謝していますわ」
「感謝?」
「はい。マリアンヌ様がダヴィド様の子を産んでくれて」
「……それはどういう意味だ?」
心なしかダヴィドの機嫌が悪くなった気がする。イレーナは慌てて違うのですと言った。
「私、子どもが苦手で、自分の子を育てる自信がなかったんです。愛せるかどうかも……だからマリアンヌ様が代わりにあなたとの子を産んでくれて、感謝しているということですわ。彼女ならば、私と違って子を大切にして、愛してくれるでしょうから」
いくら過去の自分を許せたとしても、赤ん坊が好きかどうかはまた別問題だった。急にその存在が好きだと思えるわけではなかった。
だからマリアンヌの子どもにも、産んでくれた彼女にも感謝している。イレーナはそう伯爵に伝えようとしたが、彼はなぜか違うように受け取ったそうだ。
「貴女は私との間に子は産んでくれないのか」
どこか傷ついた表情をするダヴィドに、イレーナは困惑する。なぜ彼がそんなことを言うのかイレーナにはわからなかった。
「……あなたはマリアンヌ様を愛しているのでしょう?」
ならば自分を愛する必要はない。子など、作る必要もない。
「私は……」
ダヴィドは口ごもり、だが意を決したようにイレーナの目を見つめた。
「貴女は以前マリアンヌの子を跡継ぎとして認めてくれるよう私に頼んだな?」
「はい」
「貴女がひどく慈悲深い人間だということはわかった。……だが彼女は私の正式な妻ではなく、生まれた子はあくまでも庶子とみなされる。よって、跡継ぎとして認めるつもりはない」
その言葉に、イレーナは雷に撃たれたかのように固まった。
「そんな……」
「私の跡継ぎとして認められるのは、貴女の血が流れた子でなければならない」
ダヴィドの手が、そっとイレーナに伸ばされる。
「貴女ともう一度、やり直したい。そしてどうか……私の子を産んでほしい」
ダヴィドの子を……。
無理だとイレーナは気づけば首を振っていた。ダヴィドの表情に陰りが生じる。
「私のことが嫌いか?」
「そういうことでは、ありません……」
「ではどういうことだ」
教えてくれ、とダヴィドが焦がれたように立ち上がった。そのままイレーナのもとへ駆け寄り、床へと跪く。
「イレーナ。私は貴女が好きだ。最初はあんなに冷たいと思っていたのに、今は貴女のことばかり考えている自分がいる。どうか私と本当の夫婦になってくれ」
呆然とするイレーナを見上げ、ダヴィドは自身の想いを告白した。頬を上気させ、目はまるで少年のように輝いていた。
(伯爵が私のことを好き……?)
イレーナはただ伯爵に告げられた言葉を頭の中で繰り返し、理解することを拒んでいた。
たしかに一時期ダヴィドが自分に向ける目は熱を帯びていた。だがそれは子を宿したマリアンヌに向けられない代わりのもの、あるいは今までずっと無視してきた妻にほんの少しだけ興味がわいただけ――とにかく一過性のものだと思っていた。
母となったマリアンヌにダヴィドも父として自覚が生まれ、彼はまた彼女に惜しみない愛情を捧げるだろうと、イレーナはこの瞬間まで考えていた。何なら今も彼の言葉は自分を驚かせるための嘘だと告げられたら、疑いもなく信じることができた。そちらの方がずっとあり得ることだった。
「イレーナ」
けれどダヴィドはイレーナを見ている。焦がれるような黒い瞳が、イレーナに愛していると告げている。
(私はどうすれば……)
いや、答えなど決まっている。
「ダヴィド様。私は……私には、あなたの愛を受け入れることはできませんわ」
「なぜ」
「だって……あなたには、マリアンヌ様がいらっしゃる。彼女には、子どもも……私があなたを受け入れるということは、彼女たちを裏切るということですわ」
イレーナのまるで子どものような無垢さで問いかける姿に、伯爵は罪悪感がせり上がってきたように視線を逸らす。だがそれもほんのわずかな間で、すぐにまたイレーナを見上げる。
「彼女たちを放っておくわけではない。見捨てることなど決してしない。きちんと面倒もみる。ノエルにも、跡取りにはできないが、最大限の援助と教育を与えるつもりだ。あなたが心配することは何もない」
「でも……」
「あなたは私の妻となった。妻としての役目を果たすべきではないのか?」
――妻としての役目。
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どんなにマリアンヌという存在を叫ぼうが、彼女は愛人に過ぎない。イレーナが寛大な態度を示し、跡取りにしたいと述べたところで、主人であるダヴィドが否と答えれば、それが決定となる。イレーナが今まで考えてきたことは、すべてダヴィドがマリアンヌを愛し続けるという前提のもとに成り立つ仮定であった。
もしダヴィドが妻であるイレーナを愛したら――
そんなもう一つの可能性を、イレーナははなからあり得ないと振り払ってきた。考えないようにしていた。
「ダヴィド様。私は……」
「イレーナ。どうか私を受け入れてくれ」
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「っ……」
柔らかな感触にイレーナは目を見開いた。分厚い肩を押し戻そうとするも、それに抗うようにダヴィドはイレーナの腰を引き寄せた。無理矢理椅子から立ち上がらされ、そのはずみでテーブルの食器がカタカタと揺れた。
一度押しつけられた唇はもう一度、角度を変えて何度もイレーナのと触れ合った。
「いやっ……」
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