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2、ヴェロニカの初恋
夫のハロルド・セヴェランスとは親同士の繋がりで紹介されたが、初めて会った時から彼女は夫に恋に落ちた。
柔らかなブラウンの髪に優しそうな緑の目。整った顔立ちなのに、親しみを感じさせる雰囲気。でも決して粗野ではない。高貴で知性を感じさせる話し方と教養を持っていた。緊張して上手く話せないヴェロニカに怒ったりせず、優しく話しかけてくれた。ヴェロニカの周りにはいないタイプだった。
この人の妻になりたい。
胸の内から湧き出た感情。直観や本能。生まれて初めての恋だった。
話はとんとん拍子に決まり、ヴェロニカは十六歳で二歳上のハロルドと結婚した。好きな人に口づけしてもらうことがこんなにも甘く胸を満たし、身体を繋げた時の痛みも一緒になれた喜びが勝って、ヴェロニカは涙を流しながらハロルドに何度も好きだと伝えた。
幸せで、彼が好きで、嫌いになって欲しくなくて、最初のうちは必死に可憐な奥様を演じていたと思う。深窓の令嬢。儚げな美少女。そういうのを彼は――王都の殿方は好むと思ったからだ。
でも野山を駆けずり回って育ったヴェロニカにはやはり演じ切ることはできず、すぐにぼろが出てしまった。茶会で作法を誤って年上の夫人に笑われたのだ。
ヴェロニカの住んでいた場所は国境に近く、作法は隣国に則ったものが多く、自国のものとは違っていた。だから厳密に言えば、文化の違いに当たっただけである。
けれどその時のヴェロニカは冷静さを欠いていて、自分の育ちのせいだと思って頭の中が真っ白になった。その態度が余計に夫人の目には滑稽に映ったのだろう。伯爵夫人としていかがなものか、と遠回しな嫌味を止めのように言われてしまった。
傷ついて落ち込んでいる妻に夫は言った。
「無理をしなくていい。あなたはあなたのままでいいから」
愚かなヴェロニカはハロルドの言葉に見限られたと思って、火のように怒って、泣き喚いた。見知らぬ土地に嫁いできて、何もかもすべて上手くやらねばならないというプレッシャーに追い詰められていた状況もある。
「どうせ私のこと、役に立たない女って思ってるんでしょ!」
馬鹿にしないでよ! とヴェロニカはハロルドを睨みつけた。夫の驚き、呆気にとられた表情にますますヴェロニカは追いつめられ、ぼろぼろ涙を零した。夫は混乱しつつも、落ち着いた口調で話しかける。
「ヴェロニカ。なにもそんなに泣かなくていいだろう」
「だって、もう終わりだわ……!」
「あの夫人は意地悪なんだ。ほんの些細な間違いでも、大罪のように言う癖がある。あなたが気にする必要はないし、次から気をつければいいだけの話さ」
だからもう泣くな、と彼は興奮するヴェロニカを抱き寄せ、背中を優しく叩いた。彼女はぐすぐすと鼻を鳴らしながら夫を見上げる。
「ほんとう? 私、あなたの妻に相応しくないって思われたりしない?」
「しないよ。そんなこと言う者は俺が絶対許さない。だから安心しなさい」
その言葉にようやくヴェロニカは許された気がして、ごめんなさいと泣きながら夫に抱きついた。
今思い出しても、顔から火が出るほど恥ずかしい醜態であった。それからはようやく少し落ち着いて、ヴェロニカは周囲の意見にも耳を傾けながら屋敷を切り盛りしていった。
もともと辺境の地、大きな城で使用人も兄弟も大勢いる環境で育った彼女である。人を使うことには長けていた。
ハロルドのことは、一緒にいればいるほど、その愛おしさは募っていった。彼の正義感が強くて真面目な性格が好きだ。誰に対しても平等で優しい性格が好きだ。彼の穏やかな話し方が好きだ。涼やかな目つきが好きだ。ヴェロニカを呼ぶ声が好きだ。
つまり全部好きであった。
彼と結婚できて、自分は誰よりも幸せだと思っている。その想いは出会った時から変わらない。けれど……
「これで理解できただろう?」
寝室に入るやいなや寝台に押し倒され、真っ裸にされ、身体の隅々まで検査されたハロルドはヴェロニカを見上げながら問いかける。
少し呆れた、満足した? という表情にヴェロニカはばつが悪くなって目を見られない。
「ええ。……疑ってごめんなさい」
ぎゅっと夫に抱きついて、猫のように頭を彼の胸へと押し付けた。不貞を疑った妻に怒ることもせず、ハロルドはヴェロニカの黒い髪を優しく撫でてくれる。
「いいさ。嫉妬してくれほど、俺のことを愛してくれているんだろう?」
「……ええ、好き。大好き」
ハロルドは決して妻以外の女性と関係を持つ性格ではない。それでもヴェロニカは夫が女と会ったかと思うと、嫉妬でおかしくなってしまいそうだった。
ハロルドは近衛騎士として王家に仕えている。国王陛下の信頼も厚く、頻繁にそばにいるらしい。それだけならいい。国王が好色家で常に女をそばに侍らせているような者でなければ、ヴェロニカはまだ心の余裕を持てただろう。
(この国の王様がもっと普通の人だったら私もこんなに心配したりしないわ)
国王のジュリアンには三人の妻がいる。隣国の姫や、国内の高位貴族の令嬢、従姉妹の娘。それだけでは飽き足らず、後宮を作り、ただ享楽のためだけに女を貪っている。
(いろんな事情があるんでしょうけど、やっぱり奥方が三人もいるなんて……しかも他にも女を作るなんて、不潔だわ……)
夫一筋であり、愛人断固反対のヴェロニカからすればとんでもない世界であった。
女性関係にはだらしない王であるが、意外にも政務はきちんとこなし、野心もあった。使えない臣下は切り捨て、政的となる貴族は容赦なく潰しにかかった。
女性を貪るのはその反動だろうか。ろくに話したこともないヴェロニカには詳細はわからぬが、いい迷惑だと心底思う。
「知っています? 陛下が臣下の前で乱れたこと」
「まぁ、はしたない」
「時には娘の一人を臣下に下げ渡すそうよ」
「断ると王の命が聞けないのかと反感を買ってしまうから、周囲の人間もほとほと困り果てているそうよ」
そうした話を茶会で聞く度にひやひやする。王の気紛れでいつ夫にも女を差し向けられるか。いや、もう言われているかもしれない。
ハロルドのことだから、妻が嫉妬深いから、などと言い訳して上手く乗り切っているとは思うけれど……
実際ヴェロニカは関係した女を生かしておくつもりはないと夫を何度も脅している。そこまで言えばさすがに女の方もお相手を辞退するだろうし、王も引くしかない。
自分は何と言われようと構わないから逃げ切って欲しい。誰にも触らせないで欲しい。
ヴェロニカはハロルドのことが大好きだ。だからこそ、苦しくてたまらない。本当は王宮での仕事などやめて、もっと女とは無縁の職に就いて欲しい。
でもそれは自分の勝手な我儘だともわかっているので、理解ある妻を必死で演じている。……女の影を少しでも感じると激しく問い詰めてしまうが。
「ハロルド。好き……あなたが好きなの……」
ヴェロニカは何度もそう呟き、ハロルドの額や頬に口づけを落とした。彼は面と向かって囁かれる愛の言葉に慣れないのか、今でも照れた顔を見せる。
でも目を細め、熱い手でヴェロニカの腰を引き寄せ、「俺もだ……」と返してくれた。それだけでヴェロニカは泣きそうな心地になってしまう。
そしてやっぱり誰にも渡したくない、と強く思うのだった。
柔らかなブラウンの髪に優しそうな緑の目。整った顔立ちなのに、親しみを感じさせる雰囲気。でも決して粗野ではない。高貴で知性を感じさせる話し方と教養を持っていた。緊張して上手く話せないヴェロニカに怒ったりせず、優しく話しかけてくれた。ヴェロニカの周りにはいないタイプだった。
この人の妻になりたい。
胸の内から湧き出た感情。直観や本能。生まれて初めての恋だった。
話はとんとん拍子に決まり、ヴェロニカは十六歳で二歳上のハロルドと結婚した。好きな人に口づけしてもらうことがこんなにも甘く胸を満たし、身体を繋げた時の痛みも一緒になれた喜びが勝って、ヴェロニカは涙を流しながらハロルドに何度も好きだと伝えた。
幸せで、彼が好きで、嫌いになって欲しくなくて、最初のうちは必死に可憐な奥様を演じていたと思う。深窓の令嬢。儚げな美少女。そういうのを彼は――王都の殿方は好むと思ったからだ。
でも野山を駆けずり回って育ったヴェロニカにはやはり演じ切ることはできず、すぐにぼろが出てしまった。茶会で作法を誤って年上の夫人に笑われたのだ。
ヴェロニカの住んでいた場所は国境に近く、作法は隣国に則ったものが多く、自国のものとは違っていた。だから厳密に言えば、文化の違いに当たっただけである。
けれどその時のヴェロニカは冷静さを欠いていて、自分の育ちのせいだと思って頭の中が真っ白になった。その態度が余計に夫人の目には滑稽に映ったのだろう。伯爵夫人としていかがなものか、と遠回しな嫌味を止めのように言われてしまった。
傷ついて落ち込んでいる妻に夫は言った。
「無理をしなくていい。あなたはあなたのままでいいから」
愚かなヴェロニカはハロルドの言葉に見限られたと思って、火のように怒って、泣き喚いた。見知らぬ土地に嫁いできて、何もかもすべて上手くやらねばならないというプレッシャーに追い詰められていた状況もある。
「どうせ私のこと、役に立たない女って思ってるんでしょ!」
馬鹿にしないでよ! とヴェロニカはハロルドを睨みつけた。夫の驚き、呆気にとられた表情にますますヴェロニカは追いつめられ、ぼろぼろ涙を零した。夫は混乱しつつも、落ち着いた口調で話しかける。
「ヴェロニカ。なにもそんなに泣かなくていいだろう」
「だって、もう終わりだわ……!」
「あの夫人は意地悪なんだ。ほんの些細な間違いでも、大罪のように言う癖がある。あなたが気にする必要はないし、次から気をつければいいだけの話さ」
だからもう泣くな、と彼は興奮するヴェロニカを抱き寄せ、背中を優しく叩いた。彼女はぐすぐすと鼻を鳴らしながら夫を見上げる。
「ほんとう? 私、あなたの妻に相応しくないって思われたりしない?」
「しないよ。そんなこと言う者は俺が絶対許さない。だから安心しなさい」
その言葉にようやくヴェロニカは許された気がして、ごめんなさいと泣きながら夫に抱きついた。
今思い出しても、顔から火が出るほど恥ずかしい醜態であった。それからはようやく少し落ち着いて、ヴェロニカは周囲の意見にも耳を傾けながら屋敷を切り盛りしていった。
もともと辺境の地、大きな城で使用人も兄弟も大勢いる環境で育った彼女である。人を使うことには長けていた。
ハロルドのことは、一緒にいればいるほど、その愛おしさは募っていった。彼の正義感が強くて真面目な性格が好きだ。誰に対しても平等で優しい性格が好きだ。彼の穏やかな話し方が好きだ。涼やかな目つきが好きだ。ヴェロニカを呼ぶ声が好きだ。
つまり全部好きであった。
彼と結婚できて、自分は誰よりも幸せだと思っている。その想いは出会った時から変わらない。けれど……
「これで理解できただろう?」
寝室に入るやいなや寝台に押し倒され、真っ裸にされ、身体の隅々まで検査されたハロルドはヴェロニカを見上げながら問いかける。
少し呆れた、満足した? という表情にヴェロニカはばつが悪くなって目を見られない。
「ええ。……疑ってごめんなさい」
ぎゅっと夫に抱きついて、猫のように頭を彼の胸へと押し付けた。不貞を疑った妻に怒ることもせず、ハロルドはヴェロニカの黒い髪を優しく撫でてくれる。
「いいさ。嫉妬してくれほど、俺のことを愛してくれているんだろう?」
「……ええ、好き。大好き」
ハロルドは決して妻以外の女性と関係を持つ性格ではない。それでもヴェロニカは夫が女と会ったかと思うと、嫉妬でおかしくなってしまいそうだった。
ハロルドは近衛騎士として王家に仕えている。国王陛下の信頼も厚く、頻繁にそばにいるらしい。それだけならいい。国王が好色家で常に女をそばに侍らせているような者でなければ、ヴェロニカはまだ心の余裕を持てただろう。
(この国の王様がもっと普通の人だったら私もこんなに心配したりしないわ)
国王のジュリアンには三人の妻がいる。隣国の姫や、国内の高位貴族の令嬢、従姉妹の娘。それだけでは飽き足らず、後宮を作り、ただ享楽のためだけに女を貪っている。
(いろんな事情があるんでしょうけど、やっぱり奥方が三人もいるなんて……しかも他にも女を作るなんて、不潔だわ……)
夫一筋であり、愛人断固反対のヴェロニカからすればとんでもない世界であった。
女性関係にはだらしない王であるが、意外にも政務はきちんとこなし、野心もあった。使えない臣下は切り捨て、政的となる貴族は容赦なく潰しにかかった。
女性を貪るのはその反動だろうか。ろくに話したこともないヴェロニカには詳細はわからぬが、いい迷惑だと心底思う。
「知っています? 陛下が臣下の前で乱れたこと」
「まぁ、はしたない」
「時には娘の一人を臣下に下げ渡すそうよ」
「断ると王の命が聞けないのかと反感を買ってしまうから、周囲の人間もほとほと困り果てているそうよ」
そうした話を茶会で聞く度にひやひやする。王の気紛れでいつ夫にも女を差し向けられるか。いや、もう言われているかもしれない。
ハロルドのことだから、妻が嫉妬深いから、などと言い訳して上手く乗り切っているとは思うけれど……
実際ヴェロニカは関係した女を生かしておくつもりはないと夫を何度も脅している。そこまで言えばさすがに女の方もお相手を辞退するだろうし、王も引くしかない。
自分は何と言われようと構わないから逃げ切って欲しい。誰にも触らせないで欲しい。
ヴェロニカはハロルドのことが大好きだ。だからこそ、苦しくてたまらない。本当は王宮での仕事などやめて、もっと女とは無縁の職に就いて欲しい。
でもそれは自分の勝手な我儘だともわかっているので、理解ある妻を必死で演じている。……女の影を少しでも感じると激しく問い詰めてしまうが。
「ハロルド。好き……あなたが好きなの……」
ヴェロニカは何度もそう呟き、ハロルドの額や頬に口づけを落とした。彼は面と向かって囁かれる愛の言葉に慣れないのか、今でも照れた顔を見せる。
でも目を細め、熱い手でヴェロニカの腰を引き寄せ、「俺もだ……」と返してくれた。それだけでヴェロニカは泣きそうな心地になってしまう。
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