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11、王の激昂
「ねぇ、ヴェロニカ様」
ある日カトリーナがひどく思いつめた表情でヴェロニカの名を呼んだ。
「なんでしょうか」
「ハロルドは……」
夫の名を出され、どきりとする。カトリーナが言うと、いつもそうだ。
「ハロルドがどうかなされましたか」
「いつも、あんな感じなのですか」
「あんな感じ、とは?」
「貴女に対して、とても……砕けた様子だから」
ヴェロニカとハロルドは夫婦だ。気安い物言いをするのはそんなにおかしなことだろうか。
「カトリーナ様に対しては、違ったのですか」
「わたくしに対しては……」
聞きたくない。知りたくない。
ヴェロニカの心の叫びが聞こえたわけではないだろうが、カトリーナは「いいえ、やっぱりやめしょう」と言った。
「変なことを言ってしまいましたわ。どうか忘れてちょうだい」
「……はい、忘れます」
ヴェロニカの返事にカトリーナは安堵の表情を見せ、また別の話題を探し始める。ヴェロニカもしばらく付き合っていたが、頃合いを見計らってずっと思っていたことを口にする。
「あの、そろそろ家へ帰りたいと思うのですが」
笑みを浮かべていたカトリーナの顔がしばし固まった。ティーカップを握る指の先がわずかに震えている。
「もう少し、ここにいらしてはいかが?」
「いいえ、もう十分すぎるほど、もてなしてもらいました。これ以上いては迷惑がかかります」
「そんなことないわ」
いいえ、とヴェロニカは首を振った。
「それに私が子どもに会いたいのです」
カトリーナならわかるはずだ。同じ子を産んだ母ならば。
「……そうね。そうよね。子どもが気がかりよね。愛する人との間に生まれた子どもだもの」
「カトリーナ様?」
「貴女が、羨ましい」
聞こえぬほどの小さな声を、ヴェロニカは確かに聞いた。聞いてしまった。
視線を下げていたカトリーナがヴェロニカの顔を見る。浮かべた表情はまるで――
「カトリーナ!」
ハッとヴェロニカが振り返る。ジュリアンだった。そして彼の後ろにはハロルドもいた。なぜかヴェロニカは来てはいけないと思った。
「少し時間ができてな。ハロルドも呼んで一緒に様子を見に来た」
ジュリアンがカトリーナに微笑む。けれど反応がないと気づくと、どうしたと肩に触れようとした。
その手を、カトリーナが振り払ったのだ。
一瞬の出来事であった。ジュリアンが大きく息を呑み、ヴェロニカもハロルドも目を瞠った。カトリーナはそんな乱暴な振る舞いをする女性ではないからだ。彼女はきっと自分の夫と気づかなかっただけなのだ。
「陛下。もう、いいでしょう?」
けれどカトリーナはその手がジュリアンだということにきちんと気づいていた。気づいた上で振り払ったのだ。ジュリアンの顔が硬く強張る。
「どういう意味だ」
「陛下、」
振り払われた手で再度王妃の肩を強く握り、ハロルドの声も無視してジュリアンは強引にカトリーナを振り向かせた。
「カトリーナ。もういいとはどういう意味だ」
「それは陛下がよくご存知のはずです」
先ほどまで朗らかに微笑んでいた彼女の顔は何の感情も浮かべていなかった。
「わざわざわたくしの願いを聞き入れる振りをして、セヴェランス家の奥方を呼び出して、わたくしと毎日話をするよう勧めた。彼らと一緒に夕食を共にするよう命じた。ハロルドの前で、ヴェロニカ様を庇うよう仕組んだ。ヴェロニカ様からわたくしの知らないハロルドのことを語らせようとした。それがどれほど、わたくしの心を傷つけると知っておきながら!」
「カトリーナ!」
何を、彼女は言っているのだろう。それではまるで……
(カトリーナ様が、ハロルドのこと好きみたい)
ヴェロニカはハロルドを見た。彼は呆然とした様子でカトリーナを見ている。そしてヴェロニカの視線に気づくと、動揺を晒した。
まるでヴェロニカの心の内を認めたように。
「もう、十分ですわ。これ以上、わたくしのお願いを叶える必要はありません。ヴェロニカ様をセヴェランス家へ帰して差し上げて……」
カトリーナは怒りを露わにしながらも、ジュリアンに懇願していた。苦痛で顔を歪ませ、もう解放してくれと、許してくれと叫んでいた。
「……そうか。認めるんだな」
「陛下?」
ジュリアンの顔からも感情が抜け落ちる。ぞっとするほど暗い目をしていた。
「ならばおまえなど、もう私の妃ではない」
ここから出て行け、と彼は静かに告げた。
「陛下。何をおっしゃっているんですか」
ハロルドはあくまでも冷静に、ジュリアンを諫めようとした。けれど王の肩を掴む力は強く、夫の主君に対する苛立ちが抑えきれていないように見えた。
「何を? カトリーナがずっと好きだった相手のことを忘れられないというから、思い出させ、はっきりさせたのではないか」
顔を歪ませ、ジュリアンは笑う。
「カトリーナはそなたのことをずっと愛しているのだ」
ハロルドが息を呑む。
「それは、」
「違います。陛下」
カトリーナがとっさに反論するも、その声は震えて、ずっと隠し続けていた罪が暴かれたように怯えていた。
「何が違う。ならばなぜもう許してなど言った。やましい気持ちがなければ、ヴェロニカとずっといたいと言えるはずだろう。ハロルドのことを、そんな目で見たりしないはずだ……!」
私が気づかないとでも思っていたのか、とジュリアンの目はぎらぎらと怒りと憎しみで燃え滾っていた。そのままカトリーナに手をかけてしまいそうな殺気があった。王妃が怯える。ヴェロニカも動けなかった。怖かった。誰か――夫に助けて欲しいと思った。
けれど彼はヴェロニカではなく、カトリーナの前へ踏み出し、彼女を庇うように背を向けた。
状況から考えれば当然かもしれないが、ヴェロニカは裏切られたような気持ちになって息が止まった。
「はっ、その様子では貴様も同じ気持ちだったというわけか。二人して、私をずっと謀っていたというわけだな」
「陛下、誤解です。私とカトリーナ様の間に、やましい関係は一切ありませんでした。神に誓って言えます。彼女は貴方だけを愛しておられる」
「嘘を言うな!!」
ヴェロニカはびくっと身体を震わせた。夫の視線がちらりと向けられる。けれどすぐに王へ戻り、「陛下」と冷静な声で続けた。
「きっと何かしらの行き違いがあるのでしょう。落ち着いて話し合うべきです」
「話し合った結果がこれだ」
「このままではカトリーナ様のお心を本当に失ってしまいますよ」
ふっとジュリアンは笑った。
「そうか。それならいっそ、こちらから手放した方がいいかもしれないな」
そう言うと彼は、今の今まで存在が目に入っていなかったヴェロニカを視界に映した。ヴェロニカは醜態を晒してしまいそうで、でもそれだけはしたくなくて、ぎゅっと痛いほど自身の手を握りしめた。
「ヴェロニカ」
はっきり返事をしたつもりだけど、自分の声はみっともなく震えてしまった。
「私がそなたをここへ呼び出したのは願いを叶えてもらうため……以前私がそう言ったことを覚えているかい?」
困惑しながらも、はいと答える。
「けれどそれは、カトリーナ様と一緒にお茶会をすること、ではありませんの?」
彼の願いはすでに達成されたはずだ。
「いいや、それはカトリーナの願いだ。私の願いではない」
カトリーナの横顔はハロルドの影になっていて、よく見えない。怒りを抱いているのか、恐怖で震えているのか、何一つわからない。ただ自身の夫の言葉に、彼女は何の反論も述べようとしなかった。
「では、一体何ですの?」
ジュリアンが微笑む。歪な笑みだった。
「私の願いはね、カトリーナをそなたの夫にもらって欲しいんだよ」
ある日カトリーナがひどく思いつめた表情でヴェロニカの名を呼んだ。
「なんでしょうか」
「ハロルドは……」
夫の名を出され、どきりとする。カトリーナが言うと、いつもそうだ。
「ハロルドがどうかなされましたか」
「いつも、あんな感じなのですか」
「あんな感じ、とは?」
「貴女に対して、とても……砕けた様子だから」
ヴェロニカとハロルドは夫婦だ。気安い物言いをするのはそんなにおかしなことだろうか。
「カトリーナ様に対しては、違ったのですか」
「わたくしに対しては……」
聞きたくない。知りたくない。
ヴェロニカの心の叫びが聞こえたわけではないだろうが、カトリーナは「いいえ、やっぱりやめしょう」と言った。
「変なことを言ってしまいましたわ。どうか忘れてちょうだい」
「……はい、忘れます」
ヴェロニカの返事にカトリーナは安堵の表情を見せ、また別の話題を探し始める。ヴェロニカもしばらく付き合っていたが、頃合いを見計らってずっと思っていたことを口にする。
「あの、そろそろ家へ帰りたいと思うのですが」
笑みを浮かべていたカトリーナの顔がしばし固まった。ティーカップを握る指の先がわずかに震えている。
「もう少し、ここにいらしてはいかが?」
「いいえ、もう十分すぎるほど、もてなしてもらいました。これ以上いては迷惑がかかります」
「そんなことないわ」
いいえ、とヴェロニカは首を振った。
「それに私が子どもに会いたいのです」
カトリーナならわかるはずだ。同じ子を産んだ母ならば。
「……そうね。そうよね。子どもが気がかりよね。愛する人との間に生まれた子どもだもの」
「カトリーナ様?」
「貴女が、羨ましい」
聞こえぬほどの小さな声を、ヴェロニカは確かに聞いた。聞いてしまった。
視線を下げていたカトリーナがヴェロニカの顔を見る。浮かべた表情はまるで――
「カトリーナ!」
ハッとヴェロニカが振り返る。ジュリアンだった。そして彼の後ろにはハロルドもいた。なぜかヴェロニカは来てはいけないと思った。
「少し時間ができてな。ハロルドも呼んで一緒に様子を見に来た」
ジュリアンがカトリーナに微笑む。けれど反応がないと気づくと、どうしたと肩に触れようとした。
その手を、カトリーナが振り払ったのだ。
一瞬の出来事であった。ジュリアンが大きく息を呑み、ヴェロニカもハロルドも目を瞠った。カトリーナはそんな乱暴な振る舞いをする女性ではないからだ。彼女はきっと自分の夫と気づかなかっただけなのだ。
「陛下。もう、いいでしょう?」
けれどカトリーナはその手がジュリアンだということにきちんと気づいていた。気づいた上で振り払ったのだ。ジュリアンの顔が硬く強張る。
「どういう意味だ」
「陛下、」
振り払われた手で再度王妃の肩を強く握り、ハロルドの声も無視してジュリアンは強引にカトリーナを振り向かせた。
「カトリーナ。もういいとはどういう意味だ」
「それは陛下がよくご存知のはずです」
先ほどまで朗らかに微笑んでいた彼女の顔は何の感情も浮かべていなかった。
「わざわざわたくしの願いを聞き入れる振りをして、セヴェランス家の奥方を呼び出して、わたくしと毎日話をするよう勧めた。彼らと一緒に夕食を共にするよう命じた。ハロルドの前で、ヴェロニカ様を庇うよう仕組んだ。ヴェロニカ様からわたくしの知らないハロルドのことを語らせようとした。それがどれほど、わたくしの心を傷つけると知っておきながら!」
「カトリーナ!」
何を、彼女は言っているのだろう。それではまるで……
(カトリーナ様が、ハロルドのこと好きみたい)
ヴェロニカはハロルドを見た。彼は呆然とした様子でカトリーナを見ている。そしてヴェロニカの視線に気づくと、動揺を晒した。
まるでヴェロニカの心の内を認めたように。
「もう、十分ですわ。これ以上、わたくしのお願いを叶える必要はありません。ヴェロニカ様をセヴェランス家へ帰して差し上げて……」
カトリーナは怒りを露わにしながらも、ジュリアンに懇願していた。苦痛で顔を歪ませ、もう解放してくれと、許してくれと叫んでいた。
「……そうか。認めるんだな」
「陛下?」
ジュリアンの顔からも感情が抜け落ちる。ぞっとするほど暗い目をしていた。
「ならばおまえなど、もう私の妃ではない」
ここから出て行け、と彼は静かに告げた。
「陛下。何をおっしゃっているんですか」
ハロルドはあくまでも冷静に、ジュリアンを諫めようとした。けれど王の肩を掴む力は強く、夫の主君に対する苛立ちが抑えきれていないように見えた。
「何を? カトリーナがずっと好きだった相手のことを忘れられないというから、思い出させ、はっきりさせたのではないか」
顔を歪ませ、ジュリアンは笑う。
「カトリーナはそなたのことをずっと愛しているのだ」
ハロルドが息を呑む。
「それは、」
「違います。陛下」
カトリーナがとっさに反論するも、その声は震えて、ずっと隠し続けていた罪が暴かれたように怯えていた。
「何が違う。ならばなぜもう許してなど言った。やましい気持ちがなければ、ヴェロニカとずっといたいと言えるはずだろう。ハロルドのことを、そんな目で見たりしないはずだ……!」
私が気づかないとでも思っていたのか、とジュリアンの目はぎらぎらと怒りと憎しみで燃え滾っていた。そのままカトリーナに手をかけてしまいそうな殺気があった。王妃が怯える。ヴェロニカも動けなかった。怖かった。誰か――夫に助けて欲しいと思った。
けれど彼はヴェロニカではなく、カトリーナの前へ踏み出し、彼女を庇うように背を向けた。
状況から考えれば当然かもしれないが、ヴェロニカは裏切られたような気持ちになって息が止まった。
「はっ、その様子では貴様も同じ気持ちだったというわけか。二人して、私をずっと謀っていたというわけだな」
「陛下、誤解です。私とカトリーナ様の間に、やましい関係は一切ありませんでした。神に誓って言えます。彼女は貴方だけを愛しておられる」
「嘘を言うな!!」
ヴェロニカはびくっと身体を震わせた。夫の視線がちらりと向けられる。けれどすぐに王へ戻り、「陛下」と冷静な声で続けた。
「きっと何かしらの行き違いがあるのでしょう。落ち着いて話し合うべきです」
「話し合った結果がこれだ」
「このままではカトリーナ様のお心を本当に失ってしまいますよ」
ふっとジュリアンは笑った。
「そうか。それならいっそ、こちらから手放した方がいいかもしれないな」
そう言うと彼は、今の今まで存在が目に入っていなかったヴェロニカを視界に映した。ヴェロニカは醜態を晒してしまいそうで、でもそれだけはしたくなくて、ぎゅっと痛いほど自身の手を握りしめた。
「ヴェロニカ」
はっきり返事をしたつもりだけど、自分の声はみっともなく震えてしまった。
「私がそなたをここへ呼び出したのは願いを叶えてもらうため……以前私がそう言ったことを覚えているかい?」
困惑しながらも、はいと答える。
「けれどそれは、カトリーナ様と一緒にお茶会をすること、ではありませんの?」
彼の願いはすでに達成されたはずだ。
「いいや、それはカトリーナの願いだ。私の願いではない」
カトリーナの横顔はハロルドの影になっていて、よく見えない。怒りを抱いているのか、恐怖で震えているのか、何一つわからない。ただ自身の夫の言葉に、彼女は何の反論も述べようとしなかった。
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