わたしを捨てたはずの婚約者様からは逃げられない。

りつ

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25、諦めている婚約者*

 ハインツはイレーネが従順で、基本喘ぐ以外無口なのが気に入らない――というか飽きたのか、行為の最中わざとイレーネに喋らせるようになった。

「なぁっ、ディートハルトとは、こういう体位、やったことあるか?」
「んっ、ぁっ、んっ、ん、あんっ」
「アンアン言ってちゃ、わかんねぇって、」

 イレーネは四つん這いにさせられ、まるで獣のように後ろからハインツに犯されていた。パンパンと肉がぶつかる音が響き、正常位よりも深く奥を抉られる。

「はぁ、なぁっ、イレーネ、教えてくれよっ」
「あぁっ――」

 ぶちゅっと花芽を指で押しつぶされると同時に最奥を強く突かれ、イレーネは背中を弓なりにして、絶頂した。がくがくと身体を震わせ、力尽きてそのままシーツに身体を沈める。尻だけはハインツに支えられ、高く持ち上げられた状態で実にはしたない姿を晒しているとわかっても、力が入らなかった。

 ぐったりと横たわるイレーネに、ハインツがのしかかってきて、繋がったままごろんと横になる。ゆっくりとであるが抽挿を続け、何も身につけていないイレーネの胸に手を回し、やわやわと柔らかな膨らみを揉みながら汗ばんだ肌を密着させてくる。

「なぁ、イレーネ、さっきの、まだきちんと答えてないぞ……」
「んっ、いやぁ……もう、やめて……」
「おまえが教えてくれたら、やめてやる」

 だから言え、とハインツはイレーネの耳朶を甘噛みして、促す。イレーネはびくびく身体を震わせながら、やったことがないと伝えた。

「マジで?」

 ハインツは意外そうな声を上げた。

「後背位、やらなかったの? ああいうタイプはお姫様以外の顔、見たくないって感じだったから、てっきりいつもバックでやってる、って思ってた」
「あなたみたいに……ベッドで寝そべってはやりません、でした……」
「どういうこと?」
「立って、壁に手をついて……」
「立ちバックってこと? はぁ~……座らせもしねぇのかよ、さすが腐る程女が寄ってくる男は違うなぁ」

 正確に述べるなら、座ってやったこともある。でもイレーネはわざわざ訂正するのもおかしな気がして、またそんなこと言っている余裕もなかった。ハインツの方も、俺ならそんなもったいないことはしないのに、と言いながらイレーネの胸の頂きをキュッと摘まんだ。

「あんっ」
「はぁっ、また締まった……おまえ、マジで感度いいなぁ……」

 違うと首を振れば、ハインツは笑って、さらにねちっこく弄り回す。彼はイレーネの嫌がることを率先してやった。

「じゃあさ、今やってるやつは?」
「やって、ない……」
「まじ? やった」

 ハインツは嬉しげに言うと、イレーネの中をかき回した。片方の太股を上げ、イレーネに犬が用を足すような格好をさせながら、これもあるかと尋ねてくる。もちろんないと羞恥心から正直に答えれば、これまた喜んだ様子で中のものを膨らませ、硬くさせた。

「ははっ、がばがばになるくらい使いこまれて、もう調教済みって思ってたけど、別にそうでもないんだな。むしろすげえきつくて……うぅっ、俺もまだ、遊べるなっ」

 最低の台詞を吐きながら、ハインツは起き上がり、腰を激しく振り始めた。

「あっ、ぁっん……んっ、はぁっ、あん……」
「はぁ、イレーネ、なか、どんな感じ?」
「どんな、って……やぁっ」
「俺に教えて、おまえの言葉で、ほら、ほら」

 イレーネはしばらく黙秘を続けたが、ハインツはかえって燃えたようで、わざと焦らすように、奥をねっとりと犯してきた。最初は堪えても、イレーネの腹の底には徐々にもどかしい熱が溜まっていき、中途半端に弾けては身体を震わせ、やがて完全に敗北した。

「あつい……」
「ん?」
「ふぅっ、あつくて、絡みついて……あ、ぅ」
「絡みついて?」
「きもち、いい、です……」
「そっか。じゃあ、もうこれで、終わった方がいい?」

 何も考えず首を横に振っていた。それを見て、荒い息を吐いていたハインツはほくそ笑んだ。

「じゃあ、どうしてほしいんだ?」
「……もっと、」
「もっと?」
「もっと、ほしいっ……」

 どちゅんと一気に根元まで挿入されたかと思うと、素早く抜き差しを繰り返され、イレーネは悲鳴にも似た嬌声をあげ続け、肉がぶつかる打擲音も一緒に激しく鳴り響いた。

「あっ、はっ、んっ、ふぅ、う、ぁっ、あぁっん」
「はぁっ、やば、そろそろ、でるっ――」

 ハインツの呻き声と共に、イレーネも限界を迎えた。もう何度目かわからない高みに昇らされ、頭の中が白く弾け飛ぶ。どくどくと熱い飛沫が中に注がれている感覚に雌の本能が喜び、もっと搾り取ろうと収縮を繰り返す。

 これ以上はもう動けないと、ぐったり目を閉じて呼吸を整えるイレーネに、ハインツもようやく満足したのか、自身のものを引き抜いた。

「うっわ、自分でも引くほどめっちゃ出てる……」

 イレーネの太股に、中からあふれたものが伝うのがわかった。急に空っぽになった蜜洞に寂しさを感じる。

「こりゃ、近いうちにできるかもな」

 だがその言葉に一気に頭が冷えた。注ぎ込まれている時は雌として喜ぶ自分がいたが、理性を取り戻した今では急激な焦りを覚え、嫌だと思う自分がいた。

 ハインツはそのへんの布で互いの身体に飛び散った精液やらなにやらを綺麗に拭うと、イレーネの隣にどさりと寝っ転がってきた。仰向けになり、満足した様子で目を瞑る彼の方を恐る恐る振り返る。そしてしばらくその横顔をじっと見ていると、ぱちりとハインツは目を開けて、横目で「なに」と億劫そうに尋ねてきた。

「……あなたは、わたしに子どもを産ませたいのですか」
「産ませたいっていうか、産まないといけないんだろ? そのためにおまえの親父さんは俺みたいなやつを婿に選んだんだろうし」

 そこにハインツの意思はないと言いたげであった。

「俺はしょせん、種馬よ。ま、血筋と容姿の良さは多少考慮されてるかもしれねぇけど、結局中身はどうでもいいってことなんだろ」

 ハインツには弟がいる。彼と違いとても優秀で、性格も品行方正で、信頼されていた。

「俺は別に種馬でもなんでもいいよ。これが仕事だっていうなら、安いもンじゃねえか」

 ごろりとこちらに向きを変え、ハインツはイレーネの髪を指に巻きつけ、弄った。イレーネはただされるがまま、彼の指先を見ていた。そのまま疲れて、いつの間にか眠ってしまっていた。

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