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33、選択
ディートハルトとの婚約が破談になった時は、すぐにハインツとの婚約が決まった。だからもうすでに父はあれこれと候補者を頭の中で絞り、最終的な決定を下そうとしているはずだ。
今度はどんな相手だろう。さすがに二度も違う男性と身体を繋げた身だ。若い男性は嫌厭するだろう。あるいはそういったことを上手く隠して付き合えと言われるかもしれない。
それかそんなこと些細な問題だというような事情のある男――うんと年の離れた男性のもとへ嫁がされるか。早くに妻を亡くして、子どももいて、あとは自分の老後の世話をさせるためだけの女性を探している相手とか……。
誰でもよかった。どうせ、みんな同じだ。ハインツ以外、みんな……
「イレーネ様」
イレーネはメイドの声にのろのろと顔を上げた。そしてその顔に、今気づいたというように眉根を下げた。
「あなた、あの時のメイドよね……ごめんなさい。わたしのせいでお父様に罰せられて……」
ハインツと二人きりにさせた監督不行き届きだとして、しばらくの間減給と、イレーネの世話を外されていたのだ。
「いいえ、それは構わないのです。……それより、イレーネ様にお会いしたいという方から言伝を預かっております」
「えっ?」
メイドはこっそりとイレーネの耳元に口を寄せ、数日後、散歩を装って庭の小屋へ行くよう囁いた。
父が商談で留守にしている間、イレーネは「お父様がいない間、少しの間でいいから気分転換に外を歩きたいの」と家令にお願いした。無理矢理婚約を解消されたことを知っている家令はイレーネに同情してか、メイドがそばにいることを条件に許してくれた。そのメイドはもちろん、数日前にイレーネに小屋へ行くことを告げたメイドであった。
イレーネは庭に咲いた花を楽しむ余裕もなく、ただ周りの目を気にして、それでも足早に小屋へと向かった。メイドが近くで見張りながら、イレーネは一人、小屋の扉を開けた。そこには――
「イレーネ!」
「ハインツ様!」
イレーネは彼の姿を見るなりばっと抱き着いていた。ハインツもぎゅうと強く抱きしめ返して、イレーネの名を何度も呼んだ。
「もう、お会いできないと思っておりました」
目に涙を浮かべながらそう述べると、憔悴しきった顔で、それでもハインツは笑って見せた。
「今度は地面に額を擦りつけても許してくれなかったからさ。おまえのメイドに無理言って引き受けてもらったんだ」
「そう、だったんですか」
「うん……」
彼はイレーネに会えて今までの緊張の糸が切れたのか、ずるずると床に座り込んだ。支えきれず、イレーネも一緒になって下へと落ちた。
「弟がさ、俺のせいだって言うんだよ。今まで通り道楽者でいてくれればよかったのに、急に真面目ぶって勉強なんかし始めるから、だから僕の将来の居場所がなくなるって……」
ハインツはそこまで言うと、乾いた声で笑った。
「親父もさ、おまえに今さらやる気を出してもらっても、困るって……結局、後で俺の日頃の素行とか出来の悪さを理由にして、アドリアンに家を継がせるつもりだったんだ……だから、俺が邪魔になったから、とうとう、捨てられちまった……」
「ハインツ様……」
イレーネはハインツの打ちひしがれた様子がまるで泣いているように見えて、気づけば頭をかき抱き、自身の身体へ抱き寄せていた。
ハインツはしばらくイレーネのされるがままになっていたが、時間を気にしてか、やがて身体を離した。イレーネは黙って、ハインツを見つめた。彼は弱々しい笑みを浮かべ、イレーネの頬をくすぐった。
「なぁ、イレーネ。俺と、逃げないか」
彼女は息を呑んだ。
「逃げるって……」
「どこか遠くの町で、俺と一緒に暮らすってこと」
「そのために、ここへいらしたんですか」
「いいや……最初は、せめて顔だけでも見て、別れの言葉を言いたいって思った……だっていきなり別れろって言われても、はいそうですかって納得できないし、あんまりだろ。だから一言だけでも……でも、なんかおまえの顔見たら、やっぱ無理って思って……」
つまり突発的に思いついたことらしい。
「どこへ、逃げるんですか」
「それは……」
「まずどうやって逃げるんですか。」
「……わかんね」
「……」
「でも! おまえと離れたくないんだ! だから――」
「ハインツ様」
イレーネは落ち着いた声で彼の言葉を遮った。
「無理ですわ」
ハインツは傷ついたような顔をした。顔を歪め、ぐっと歯を食いしばって、下を向いて笑った。
「そうだよな……おまえは俺と逃げる道なんか、選ばないよな」
力尽きたようにハインツは腕を床へと下した。
「じゃあさ、最後に一度だけやらせてよ……イレーネのこと忘れたくないから。それで、一生の思い出にするから、なぁ、それくらいなら、」
「ハインツ様」
「やっぱだめか? でも俺、もうおまえと会えなくなると思うと、何を糧に生きていけばいいかわかんねぇんだよ、今までみたいに、まぁいいっか、ってなんないんだよ。もう、おまえがいないと、」
「ハインツ様」
わたしを見て、とイレーネは彼の両頬を挟んで無理矢理顔を上げさせた。驚きで見開かれる青い目を真っ直ぐと見つめる。
「今はそんなことしている暇はありません。逃げるなら、きちんと計画を立てないと」
「……は?」
ポカンと呆けた面を晒すハインツに、イレーネは悪戯っぽく微笑んだ。
「わたしと一緒に、逃げてくれるんでしょう?」
「いや、そうだけど、え? でもさっき無理だって……」
「行き先も逃げる方法も決まっていない今のやり方では無理だと言ったんです」
「いや、そんなん、おまえ……」
ハインツはまだどこか放心した様子で、譫言みたいなことを呟いていたが、やがて「はぁー……」と顔を覆ってため息をついた。
「なんだよ、もう、俺もう死んだ方がマシっていう心地になったよ……びっくりさせるなよ……」
「ごめんなさい」
「いや、生き返ったからいいんだけど……でも、本当にいいんだな?」
顔を上げて、両手を握られる。
「俺と逃げて、一緒に生きてくれるか」
ハインツの言葉に、イレーネは躊躇いなく頷いた。
「ほんとに? もう家族にも会えねぇし、途中で捕まったらひどい罰与えられるかもしれねぇ……運よく逃げきれても、今までみたいに裕福な暮らしはできないだろうし……それでも、いいのか」
「ええ、わかっています」
それでも、と思うのだ。
「どんな辛いことが待っていようと……今までの生活をすべて捨てることになっても、あなたと離れたくないんです」
「イレーネ……」
どうせこのまま何もしなければ、ハインツ以外の人間と結婚する羽目になる。だったら、やるだけのことはやってみよう。
(こんなふうに私が思うようになったのも、ハインツ様の影響かも……)
そんなことをイレーネが思っていると、ハインツは急にやる気になったように背筋を伸ばした。
「わかった。じゃあ、いつにする? 今から?」
「さすがにそれはちょっと……でも、なるべく早く決行しましょう」
そうでないとイレーネの次の婚約者が決まり、また家へ押しかけられるか、今度こそ一歩も外へ出してもらえなくなる可能性がある。
「じゃあ、準備ができしだい日を決めて、それで夜がいいよな……俺がこっそりここまで来て……おまえ、夜に抜け出せる?」
「ええ、たぶん、大丈夫だと思います」
最悪シーツを繋ぎ合わせて窓から糸のように垂らして下りればいい。
「それで、とにかく遠くに逃げないとな……ああ、でも街の外へ行くには見張りがいるんだよな……運よく出られたとしても、それから朝までどこまで行けるか……馬も手配して……」
取り留めもなく語られるハインツの計画をイレーネは聞きながら、きっと自分たちだけでは限界があると冷静に思い始めていた。
「――ハインツ様。わたしに一人、力を貸してくれるかもしれない人がいるんです」
驚いたように彼はイレーネを見た。
「そんな人間いるのかよ」
「力を貸してくれるかどうかは、まだわかりません」
なにせ彼女はとても気紛れで、顔見知りだからといって手を貸してくれるとは限らない。でも、全く相手にしないということもしないはずだ。
「ハインツ様にも、口添えしてほしいのです」
今までのことを踏まえれば、きっと彼女は自分たちに興味を持つだろう。だから……頼んでみる価値はある。
「なんかこえーな……誰なんだよ、そいつ」
イレーネが口にした名前に、ハインツは今日一番の驚いた顔を見せたのだった。
今度はどんな相手だろう。さすがに二度も違う男性と身体を繋げた身だ。若い男性は嫌厭するだろう。あるいはそういったことを上手く隠して付き合えと言われるかもしれない。
それかそんなこと些細な問題だというような事情のある男――うんと年の離れた男性のもとへ嫁がされるか。早くに妻を亡くして、子どももいて、あとは自分の老後の世話をさせるためだけの女性を探している相手とか……。
誰でもよかった。どうせ、みんな同じだ。ハインツ以外、みんな……
「イレーネ様」
イレーネはメイドの声にのろのろと顔を上げた。そしてその顔に、今気づいたというように眉根を下げた。
「あなた、あの時のメイドよね……ごめんなさい。わたしのせいでお父様に罰せられて……」
ハインツと二人きりにさせた監督不行き届きだとして、しばらくの間減給と、イレーネの世話を外されていたのだ。
「いいえ、それは構わないのです。……それより、イレーネ様にお会いしたいという方から言伝を預かっております」
「えっ?」
メイドはこっそりとイレーネの耳元に口を寄せ、数日後、散歩を装って庭の小屋へ行くよう囁いた。
父が商談で留守にしている間、イレーネは「お父様がいない間、少しの間でいいから気分転換に外を歩きたいの」と家令にお願いした。無理矢理婚約を解消されたことを知っている家令はイレーネに同情してか、メイドがそばにいることを条件に許してくれた。そのメイドはもちろん、数日前にイレーネに小屋へ行くことを告げたメイドであった。
イレーネは庭に咲いた花を楽しむ余裕もなく、ただ周りの目を気にして、それでも足早に小屋へと向かった。メイドが近くで見張りながら、イレーネは一人、小屋の扉を開けた。そこには――
「イレーネ!」
「ハインツ様!」
イレーネは彼の姿を見るなりばっと抱き着いていた。ハインツもぎゅうと強く抱きしめ返して、イレーネの名を何度も呼んだ。
「もう、お会いできないと思っておりました」
目に涙を浮かべながらそう述べると、憔悴しきった顔で、それでもハインツは笑って見せた。
「今度は地面に額を擦りつけても許してくれなかったからさ。おまえのメイドに無理言って引き受けてもらったんだ」
「そう、だったんですか」
「うん……」
彼はイレーネに会えて今までの緊張の糸が切れたのか、ずるずると床に座り込んだ。支えきれず、イレーネも一緒になって下へと落ちた。
「弟がさ、俺のせいだって言うんだよ。今まで通り道楽者でいてくれればよかったのに、急に真面目ぶって勉強なんかし始めるから、だから僕の将来の居場所がなくなるって……」
ハインツはそこまで言うと、乾いた声で笑った。
「親父もさ、おまえに今さらやる気を出してもらっても、困るって……結局、後で俺の日頃の素行とか出来の悪さを理由にして、アドリアンに家を継がせるつもりだったんだ……だから、俺が邪魔になったから、とうとう、捨てられちまった……」
「ハインツ様……」
イレーネはハインツの打ちひしがれた様子がまるで泣いているように見えて、気づけば頭をかき抱き、自身の身体へ抱き寄せていた。
ハインツはしばらくイレーネのされるがままになっていたが、時間を気にしてか、やがて身体を離した。イレーネは黙って、ハインツを見つめた。彼は弱々しい笑みを浮かべ、イレーネの頬をくすぐった。
「なぁ、イレーネ。俺と、逃げないか」
彼女は息を呑んだ。
「逃げるって……」
「どこか遠くの町で、俺と一緒に暮らすってこと」
「そのために、ここへいらしたんですか」
「いいや……最初は、せめて顔だけでも見て、別れの言葉を言いたいって思った……だっていきなり別れろって言われても、はいそうですかって納得できないし、あんまりだろ。だから一言だけでも……でも、なんかおまえの顔見たら、やっぱ無理って思って……」
つまり突発的に思いついたことらしい。
「どこへ、逃げるんですか」
「それは……」
「まずどうやって逃げるんですか。」
「……わかんね」
「……」
「でも! おまえと離れたくないんだ! だから――」
「ハインツ様」
イレーネは落ち着いた声で彼の言葉を遮った。
「無理ですわ」
ハインツは傷ついたような顔をした。顔を歪め、ぐっと歯を食いしばって、下を向いて笑った。
「そうだよな……おまえは俺と逃げる道なんか、選ばないよな」
力尽きたようにハインツは腕を床へと下した。
「じゃあさ、最後に一度だけやらせてよ……イレーネのこと忘れたくないから。それで、一生の思い出にするから、なぁ、それくらいなら、」
「ハインツ様」
「やっぱだめか? でも俺、もうおまえと会えなくなると思うと、何を糧に生きていけばいいかわかんねぇんだよ、今までみたいに、まぁいいっか、ってなんないんだよ。もう、おまえがいないと、」
「ハインツ様」
わたしを見て、とイレーネは彼の両頬を挟んで無理矢理顔を上げさせた。驚きで見開かれる青い目を真っ直ぐと見つめる。
「今はそんなことしている暇はありません。逃げるなら、きちんと計画を立てないと」
「……は?」
ポカンと呆けた面を晒すハインツに、イレーネは悪戯っぽく微笑んだ。
「わたしと一緒に、逃げてくれるんでしょう?」
「いや、そうだけど、え? でもさっき無理だって……」
「行き先も逃げる方法も決まっていない今のやり方では無理だと言ったんです」
「いや、そんなん、おまえ……」
ハインツはまだどこか放心した様子で、譫言みたいなことを呟いていたが、やがて「はぁー……」と顔を覆ってため息をついた。
「なんだよ、もう、俺もう死んだ方がマシっていう心地になったよ……びっくりさせるなよ……」
「ごめんなさい」
「いや、生き返ったからいいんだけど……でも、本当にいいんだな?」
顔を上げて、両手を握られる。
「俺と逃げて、一緒に生きてくれるか」
ハインツの言葉に、イレーネは躊躇いなく頷いた。
「ほんとに? もう家族にも会えねぇし、途中で捕まったらひどい罰与えられるかもしれねぇ……運よく逃げきれても、今までみたいに裕福な暮らしはできないだろうし……それでも、いいのか」
「ええ、わかっています」
それでも、と思うのだ。
「どんな辛いことが待っていようと……今までの生活をすべて捨てることになっても、あなたと離れたくないんです」
「イレーネ……」
どうせこのまま何もしなければ、ハインツ以外の人間と結婚する羽目になる。だったら、やるだけのことはやってみよう。
(こんなふうに私が思うようになったのも、ハインツ様の影響かも……)
そんなことをイレーネが思っていると、ハインツは急にやる気になったように背筋を伸ばした。
「わかった。じゃあ、いつにする? 今から?」
「さすがにそれはちょっと……でも、なるべく早く決行しましょう」
そうでないとイレーネの次の婚約者が決まり、また家へ押しかけられるか、今度こそ一歩も外へ出してもらえなくなる可能性がある。
「じゃあ、準備ができしだい日を決めて、それで夜がいいよな……俺がこっそりここまで来て……おまえ、夜に抜け出せる?」
「ええ、たぶん、大丈夫だと思います」
最悪シーツを繋ぎ合わせて窓から糸のように垂らして下りればいい。
「それで、とにかく遠くに逃げないとな……ああ、でも街の外へ行くには見張りがいるんだよな……運よく出られたとしても、それから朝までどこまで行けるか……馬も手配して……」
取り留めもなく語られるハインツの計画をイレーネは聞きながら、きっと自分たちだけでは限界があると冷静に思い始めていた。
「――ハインツ様。わたしに一人、力を貸してくれるかもしれない人がいるんです」
驚いたように彼はイレーネを見た。
「そんな人間いるのかよ」
「力を貸してくれるかどうかは、まだわかりません」
なにせ彼女はとても気紛れで、顔見知りだからといって手を貸してくれるとは限らない。でも、全く相手にしないということもしないはずだ。
「ハインツ様にも、口添えしてほしいのです」
今までのことを踏まえれば、きっと彼女は自分たちに興味を持つだろう。だから……頼んでみる価値はある。
「なんかこえーな……誰なんだよ、そいつ」
イレーネが口にした名前に、ハインツは今日一番の驚いた顔を見せたのだった。
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