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63、尋問*
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その後も宣言した通り、ディートハルトはイレーネを抱いて、行為に溺れた。彼は自分ばかりが動くのではなく、イレーネにも動くことを命じた。彼女は言われた通り、仰向けになった彼の身体に跨り、硬く反り返った男根を自ら蜜口にあてがって奥まで押し込んだ。
そして前後に動かして、または尻を持ち上げて、ディートハルトのものを締めつけて、蜜襞を擦らせた。自然と切ない息が口から零れ、身体の奥底から淫水がじんわりと湧き出す。
「――ハインツにも、そうやって腰を振ってやったのか」
目を瞑って心地よいところを探っていたイレーネはぎくりと固まった。目を開くと、ディートハルトがじっと自分を見上げている。
「あ……」
イレーネは忘れていた。本来自分はこんなふうに男に跨って色欲を満たす人間ではないことを。――少なくとも、ディートハルトの前では違った。
(どうしよう……)
彼女は失敗したというように顔を青ざめさせた。一日ならまだしも、何日もディートハルトと二人きりで過ごしてすっかり思考が鈍っていた。
「……いいえ。ただわたしが、そうしたいと思っただけです」
冷静を装ってそう答えたが、ディートハルトは騙されてくれない。
「嘘だな」
そう言って起き上がり、胡坐をかいた膝の上にイレーネを乗せる。至近距離で見つめられ、中のものをきゅっと締めつけてしまう。何度も吸われてひりひりする唇をそっと指でなぞられ、どきどきと胸が高鳴った。甘い恋のそれではなく、ひどいことをされるのではないかという恐怖で。
「ごめんなさい」
「別に責めていない」
唇を舐められ、そのまま舌を入れられる。イレーネは機嫌を取るように招き入れ、舌を絡ませていった。ディートハルトはしばらく夢中で貪ると、やがて顔を離し、イレーネの後頭部を優しく引き寄せて、そっと抱きしめた。額が彼の肩口に当たり、髪を撫でられ――
「他には、どんなことを教えられた?」
イレーネは即座に首を振った。こればかりは絶対に教えたくなかった。でもそんな頑なな態度がますますディートハルトを無表情にさせ、何としてでも言わせようと躍起にさせる。
「なぁ、イレーネ。教えてくれ」
声は不自然なほど優しかった。
「うっ、ぁっ……」
揺さぶられ、またあの甘い地獄に突き落とされる。それでも、イレーネは耐えた。夫婦の閨事を他人に――もう今はディートハルトが自分の夫だとしても、教えたくなかった。大聖堂で愛を誓っても、心の奥底では、イレーネはディートハルトを自分の伴侶だとは認めていないのだ。
ディートハルトはそんなイレーネの気持ちを見抜いている。だからこの七日間で完全に降伏させようとしているのだ。今の方法がだめなら、別の方法を試すまでだと。
「――きみが教えてくれないなら、薬を使おうか」
いつしか後ろから抱き抱えられる体勢になっており、裸になった胸の飾りを執拗に弄りまわされている時だった。か細い声で喘ぎながら必死に抗っていたイレーネはその言葉に衝撃を受ける。振り返れば、ぞっとするほど冷たい目をして彼は自分を見ていた。そのくせ口元には笑みを浮かべているのだからイレーネは震え上がった。
「い、いや……それだけは嫌です……」
「では教えてくれ」
「……」
「俺はきみたちのことが知りたいんだ」
ディートハルトは耳朶を甘く噛んで、指先は蜜で濡れて柔らかくなった花芯をなぞりながら、あくまでもきみが悪いんだぞという口調で諭した。
「俺たちはもう夫婦だ。隠し事はすべきじゃない。妻のことを知りたいと思うのは至極当然の感情だろう」
耳元で低く囁かれる声。くちゅくちゅと鳴らされる水音に思考が溶けそうになりながら、イレーネは首を横に振った。
「あなただって……はぁ、たくさん、わたしに隠していることがあるわ……んっ、わたしだけ、というのは違う……不公平よ……」
「俺のことも知りたいのか? なら、教えよう。マルガレーテといつから付き合って、どんなふうに彼女を抱いたのか、なんで彼女と別れるに至ったのか、ぜんぶ、詳しく教えよう」
知りたくない。そんなの聞きたくない。
イレーネがまた首を振ったので、くすりとディートハルトが笑った。
「ほら。きみは知りたくない。だから俺は教えなかった。――きみは、俺のことは何も知らないでいいと思っている」
「そんなこと、」
「それとも、俺のことを聞けば、流れでハインツのことも聞かれると思っているからか?」
どきりとする。
「死んだ夫のこと――今でも愛している男のことを俺に聞かれたくない。俺に話したくない。だからきみは無関心を貫く。俺たちはいつまでたってもお互いのことを知らない、肉欲を満たすためだけの夫婦だ」
イレーネは沈黙を突き通した。
それでいいじゃないか、という気持ちが湧いた。実際婚約者であった時もディートハルトはそうしてきた。イレーネの身体だけ、望んでいた。余計な詮索を拒んだのは彼の方が先だ。
「なぁ、だが先に俺に身体の関係を持ちかけたのは、きみの方だぞ?」
忘れているみたいだが、と言って、彼はイレーネの家へ招かれた時に薬を盛られたことを思い出させた。初めて、彼に処女を散らされた――
そして前後に動かして、または尻を持ち上げて、ディートハルトのものを締めつけて、蜜襞を擦らせた。自然と切ない息が口から零れ、身体の奥底から淫水がじんわりと湧き出す。
「――ハインツにも、そうやって腰を振ってやったのか」
目を瞑って心地よいところを探っていたイレーネはぎくりと固まった。目を開くと、ディートハルトがじっと自分を見上げている。
「あ……」
イレーネは忘れていた。本来自分はこんなふうに男に跨って色欲を満たす人間ではないことを。――少なくとも、ディートハルトの前では違った。
(どうしよう……)
彼女は失敗したというように顔を青ざめさせた。一日ならまだしも、何日もディートハルトと二人きりで過ごしてすっかり思考が鈍っていた。
「……いいえ。ただわたしが、そうしたいと思っただけです」
冷静を装ってそう答えたが、ディートハルトは騙されてくれない。
「嘘だな」
そう言って起き上がり、胡坐をかいた膝の上にイレーネを乗せる。至近距離で見つめられ、中のものをきゅっと締めつけてしまう。何度も吸われてひりひりする唇をそっと指でなぞられ、どきどきと胸が高鳴った。甘い恋のそれではなく、ひどいことをされるのではないかという恐怖で。
「ごめんなさい」
「別に責めていない」
唇を舐められ、そのまま舌を入れられる。イレーネは機嫌を取るように招き入れ、舌を絡ませていった。ディートハルトはしばらく夢中で貪ると、やがて顔を離し、イレーネの後頭部を優しく引き寄せて、そっと抱きしめた。額が彼の肩口に当たり、髪を撫でられ――
「他には、どんなことを教えられた?」
イレーネは即座に首を振った。こればかりは絶対に教えたくなかった。でもそんな頑なな態度がますますディートハルトを無表情にさせ、何としてでも言わせようと躍起にさせる。
「なぁ、イレーネ。教えてくれ」
声は不自然なほど優しかった。
「うっ、ぁっ……」
揺さぶられ、またあの甘い地獄に突き落とされる。それでも、イレーネは耐えた。夫婦の閨事を他人に――もう今はディートハルトが自分の夫だとしても、教えたくなかった。大聖堂で愛を誓っても、心の奥底では、イレーネはディートハルトを自分の伴侶だとは認めていないのだ。
ディートハルトはそんなイレーネの気持ちを見抜いている。だからこの七日間で完全に降伏させようとしているのだ。今の方法がだめなら、別の方法を試すまでだと。
「――きみが教えてくれないなら、薬を使おうか」
いつしか後ろから抱き抱えられる体勢になっており、裸になった胸の飾りを執拗に弄りまわされている時だった。か細い声で喘ぎながら必死に抗っていたイレーネはその言葉に衝撃を受ける。振り返れば、ぞっとするほど冷たい目をして彼は自分を見ていた。そのくせ口元には笑みを浮かべているのだからイレーネは震え上がった。
「い、いや……それだけは嫌です……」
「では教えてくれ」
「……」
「俺はきみたちのことが知りたいんだ」
ディートハルトは耳朶を甘く噛んで、指先は蜜で濡れて柔らかくなった花芯をなぞりながら、あくまでもきみが悪いんだぞという口調で諭した。
「俺たちはもう夫婦だ。隠し事はすべきじゃない。妻のことを知りたいと思うのは至極当然の感情だろう」
耳元で低く囁かれる声。くちゅくちゅと鳴らされる水音に思考が溶けそうになりながら、イレーネは首を横に振った。
「あなただって……はぁ、たくさん、わたしに隠していることがあるわ……んっ、わたしだけ、というのは違う……不公平よ……」
「俺のことも知りたいのか? なら、教えよう。マルガレーテといつから付き合って、どんなふうに彼女を抱いたのか、なんで彼女と別れるに至ったのか、ぜんぶ、詳しく教えよう」
知りたくない。そんなの聞きたくない。
イレーネがまた首を振ったので、くすりとディートハルトが笑った。
「ほら。きみは知りたくない。だから俺は教えなかった。――きみは、俺のことは何も知らないでいいと思っている」
「そんなこと、」
「それとも、俺のことを聞けば、流れでハインツのことも聞かれると思っているからか?」
どきりとする。
「死んだ夫のこと――今でも愛している男のことを俺に聞かれたくない。俺に話したくない。だからきみは無関心を貫く。俺たちはいつまでたってもお互いのことを知らない、肉欲を満たすためだけの夫婦だ」
イレーネは沈黙を突き通した。
それでいいじゃないか、という気持ちが湧いた。実際婚約者であった時もディートハルトはそうしてきた。イレーネの身体だけ、望んでいた。余計な詮索を拒んだのは彼の方が先だ。
「なぁ、だが先に俺に身体の関係を持ちかけたのは、きみの方だぞ?」
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