好きだと言われて、初めて気づくこともある。

りつ

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変化

 リーナ・エヴァンスという女性は生徒会にも所属しているらしい。気立てがよく、明るい髪色は日の光に当たると金色に見える、はにかんだ表情がとっても可愛いらしい伯爵令嬢。生徒会はもちろん、教室でも大勢の人間から慕われる存在だ。

 その素晴らしさからぜひ王太子の婚約者に、とまで望まれているそうだ。けれど彼女の方はそんなつもりはこれっぽっちもないだろう。だってもし王妃になるつもりなら、ヒューバートが好きなどという愚かな発言はするまい。

 それに王太子のクライド殿下はなかなかのプレイボーイで噂になる女性の名を次々と変えていくことで有名だ。貞操観念の強い女性ならば、あまりお近づきになりたいとは思わないだろう。もっとも、王太子という身分に逆らうことはなかなか難しいことであるが。

「お嬢様。何か考え事ですか」

 読書もせず、ただぼんやりと考え事していたわたしにメイドのメアリが声をかけてきた。

「ちょっとね」
「あ! ひょっとしてヒューバート様のことですね」

 絶対そうですね、と言わんばかりにメアリは目を輝かせた。彼女はわたしに例の恋愛小説を勧めてくれた侍女で、恋愛のあれこれが気になって仕方がないらしい。

「そうね。そういうところかしら」

 きゃあ、と自分の予想が当たって嬉しいのかメアリは手で口を覆った。

「お嬢様ってば普段そういうのどうでもいいって顔してましたから、ひょっとしてヒューバート様との婚約に乗り気ではないのかと心配していたんですが、ちゃんと想いあっていたんですね。よかったです!」

 メアリはわたしを置いてけぼりにしたまま自分の考えを述べ、紅茶を運んできた他のメイドに叱られていた。わたしはカップに口をつけながら、周りからはそう見えていたのか、と思った。

 たしかにわたしはあまり周囲に関心がない。ヒューバートが誰と付き合おうと、それは彼の勝手であり、わたしが一々口出すのは品がない行動だと思っていた。わたし自身も他人から干渉されるのはあまり好きではない。

 でもこの先、彼と一緒になっても、無関心を貫き通せるだろうか。できるとは言えない自分の変化に、わたしは戸惑い、少しの煩わしさを感じた。


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