僕の彼女には残機があるらしい

鹿尾菜 ケイ

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僕の彼女

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その日僕は大切な人を失った……


「東雲ーーー!!!」

キキーッドンッ



数分前…



「空くん!もうすぐ付き合って3ヶ月目だね」

「何かお祝いとかする?」

僕達はいつものように たわいもない話をしていた

だけどそんな幸せがこんなことで壊れるなんて……



「あれ?あのおばあさん大丈夫かな?」

東雲の目線の方に目をやると おばあさんが道の真ん中で立ち止まっていた

「うわっ…車来たら不味くない…??」

「……。私行ってくる!!」

鞄を投げ走っていく

「えっ!?危ないよ!」

後を追いかけていると 遠くからトラックがやってくる

「おばあさん危ない!!」

「ふぉ?」


おばあさんを突き飛ばす形になったけど 奥に植え込みがあったので多分大丈夫だろう…救急車呼ばなきゃな~

なんて……



「東雲ーーー!!!」

キキーッドンッ

「あ、ああ……そんな……」

膝から崩れ落ちる

大切な人だった…僕にとって……

「うっ……うう……そんな…」

残酷だなぁ…死体も残らないなんて……

「空くん」

「ははっ……東雲の幻聴が聞こえる……」

本当だったら僕が行くべきだったんだ……なんで僕がここにいるんだよっ…

「空くんってば!」

「うるさい幻聴だなぁ………え?」

不機嫌に顔を上げると東雲がいた

「なん、で……?」

「言ってなかったっけ?私……残機があるの」

…ざ…残機??

ティローン♪

「あ、今ちょうど残機が1回復したわ」

いい事をすると増えるみたい

「な、何言ってるの?」

「ちなみに限度は100みたい。何回試しても100は超えないの」

ちょ……

「ちょっと待って!!どういうこと??残機とか回復とか……」

「私……死んでも生き返るの。説明、それじゃダメ?」

ダメというか……ええ…

……

「あ、うん…しゅごいね…さすが東雲だ……」

僕はきっとこの時に考えるのをやめた

「空くんならそう言ってくれると思ったよ」

彼女の満面の笑みを見て僕は何故か安堵した

東雲は東雲なんだなぁ……と


その後も何度か死んでいたが東雲は今日も元気です

「そう言えば残機あとどれくらいなの?」


「まずいわ…29しかないの」

少なっ

「え、今日何回お亡くなりに……」

「5回……くっ…私に異能力でもあればっ」

悔しそうにしている東雲を見て思う


「うーん、残機あるのって異能力じゃない?」


「違うでしょ」

えぇ……なんでそんなにハッキリ…


まあ、付き合って3ヶ月記念日は無事祝えたのでいい事にしよう

「次は付き合って1年記念にしようか」

「それまでに残機増やしとくね♡」

そんな『それまでにプレゼント買っとくね♡』みたいに言われても……

まあ……

「いっぱいあると安心だもんね。いい事いっぱいしようか」

東雲が幸せならいいか…
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