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第2章
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「お話自体はとてもありがたいです。ご存じのとおり、いま、ちょうど職探しの真っ最中だったので」
「そうですか、ならばよかったです。こちらにとっても好都合ということで。ひとまず日給一万でということでしたけれども、大丈夫そうですか? 金額に問題があるようでしたら、直接ヴィンセントに交渉してください。こちらからのお願いなので、ある程度融通は利かせられると思いますよ」
「えっ!?」
思いもよらない金額を提示されて、ひっくり返った声が出てしまった。
「あ、少ないです? であれば、もうちょっと色をつけることも可能ですから、ご希望の額をヴィンセントに――」
「ちっ、違いますっ。違いますから! 逆です!」
莉音は顔のまえで忙しなく両手を振った。
「そうじゃなくてっ、あの、早瀬さん、僕の仕事って掃除とか食事の支度とか、そういうことですよね? ほかになにか、特殊な内容とかも含まれてたりするんですか?」
「特殊な内容、とは?」
「えっと、つまり、その……、一般的な家事代行の仕事のほかに、よ、夜のお相手?的なことまで含む、とか」
しばしきょとんとした顔で莉音を見つめていた早瀬は、直後にブフッと吹き出して口許を押さえた。笑わないようにと努力してくれているのはわかるが、深く俯いて表情が見えないようにしているものの、ずっと肩が小刻みに揺れつづけている。
「あ、あの……」
「失礼。いや、あまりにも想定外のお尋ねだったので」
その反応から、完全な早とちりだったとわかってカッと頬が熱くなった。
「あっ、す、すみませんっ。いまのっ、聞かなかったことにしてください。っていうか、忘れてください!」
「いやいや、どうしてそんなふうに思われたのかわかりませんけれども、とりあえず誤解だけは解いておきましょうか。大丈夫ですよ、そういうことはいっさい含まれてませんから」
「す、すみませんでした、ほんとに。すごく失礼でしたよね。でも、提示された金額が、仕事内容と噛み合ってなかったので」
「日給一万って、変でした?」
「家事代行で、普通そんなにはもらえないです。専門のノウハウを叩きこまれたプロならともかく、僕みたいな素人ならなおのこと。たぶん、その半分くらいでももらいすぎなんじゃないかと」
「あー、高すぎるって意味ですか!」
なにをいまさら、と思ったが、どうやらお金に対する価値観が違うようである。
「あの、伺ったかぎりだと、九時五時みたいなフルタイムというわけでもなさそうですし、仮にそうだとしても、時給千円で換算したとして、一万円にはならないかと。それに、それだけもらうのって、肉体労働的な日雇いでもそんなにはない気がするんですけど」
「そういうものですかね?」
真面目に訊かれて、返答に詰まった。先程会社の待遇がいいと言っていたのは、言葉どおりであることが世事に疎い莉音でも、その反応からよくわかった。
「そうですか、ならばよかったです。こちらにとっても好都合ということで。ひとまず日給一万でということでしたけれども、大丈夫そうですか? 金額に問題があるようでしたら、直接ヴィンセントに交渉してください。こちらからのお願いなので、ある程度融通は利かせられると思いますよ」
「えっ!?」
思いもよらない金額を提示されて、ひっくり返った声が出てしまった。
「あ、少ないです? であれば、もうちょっと色をつけることも可能ですから、ご希望の額をヴィンセントに――」
「ちっ、違いますっ。違いますから! 逆です!」
莉音は顔のまえで忙しなく両手を振った。
「そうじゃなくてっ、あの、早瀬さん、僕の仕事って掃除とか食事の支度とか、そういうことですよね? ほかになにか、特殊な内容とかも含まれてたりするんですか?」
「特殊な内容、とは?」
「えっと、つまり、その……、一般的な家事代行の仕事のほかに、よ、夜のお相手?的なことまで含む、とか」
しばしきょとんとした顔で莉音を見つめていた早瀬は、直後にブフッと吹き出して口許を押さえた。笑わないようにと努力してくれているのはわかるが、深く俯いて表情が見えないようにしているものの、ずっと肩が小刻みに揺れつづけている。
「あ、あの……」
「失礼。いや、あまりにも想定外のお尋ねだったので」
その反応から、完全な早とちりだったとわかってカッと頬が熱くなった。
「あっ、す、すみませんっ。いまのっ、聞かなかったことにしてください。っていうか、忘れてください!」
「いやいや、どうしてそんなふうに思われたのかわかりませんけれども、とりあえず誤解だけは解いておきましょうか。大丈夫ですよ、そういうことはいっさい含まれてませんから」
「す、すみませんでした、ほんとに。すごく失礼でしたよね。でも、提示された金額が、仕事内容と噛み合ってなかったので」
「日給一万って、変でした?」
「家事代行で、普通そんなにはもらえないです。専門のノウハウを叩きこまれたプロならともかく、僕みたいな素人ならなおのこと。たぶん、その半分くらいでももらいすぎなんじゃないかと」
「あー、高すぎるって意味ですか!」
なにをいまさら、と思ったが、どうやらお金に対する価値観が違うようである。
「あの、伺ったかぎりだと、九時五時みたいなフルタイムというわけでもなさそうですし、仮にそうだとしても、時給千円で換算したとして、一万円にはならないかと。それに、それだけもらうのって、肉体労働的な日雇いでもそんなにはない気がするんですけど」
「そういうものですかね?」
真面目に訊かれて、返答に詰まった。先程会社の待遇がいいと言っていたのは、言葉どおりであることが世事に疎い莉音でも、その反応からよくわかった。
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