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第5章
第1話(5)
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彼の好みに合う食材を選んでメニューを考え、食事を作ることが楽しかった。ふたりで食卓を囲むときも、仕事から帰った彼を出迎えるときも、最近はちょっとドキドキして、どこか嬉しかった。
それは、自分に働く場を提供してくれた雇い主への敬慕であり、自分には持ち得ない包容力と見識の深さを兼ね備えた、頼れる大人の男性に対する憧れなのだと思っていた。
けれども、そうではなかったのだといまさらのように思い知る。
もっと口づけてほしい。もっと触ってほしい。もっと抱きしめて、その熱に包みこまれたい。
全身が、強く彼を求めていた。
その望みに応えるようにパジャマのズボンを下着ごと脱がされ、羞恥に頬が熱くなる。それでも、莉音はヴィンセントにその身を預けた。
「莉音、リラックスして」
ヴィンセントに言われても、躰の硬張りを解くことがどうしてもできない。ヴィンセントは、莉音の陰茎を掌で包みこむと、ゆっくりと刺激を与えはじめた。
親指の腹で輪を描くように先端を擦られ、竿の部分を強弱をつけて扱き上げられると、鈴口からはたちまち蜜が溢れ出す。背筋に甘い痺れが絶え間なく奔って、自分でもどうすればいいのかわからず莉音は身悶えた。
「あっ……あっ……、んっ、んん…っ」
ヴィンセントの服を握りしめて、莉音は口唇を噛みしめる。他人に触れられたことのない場所を、巧みな愛撫で翻弄されて、たちまち追い上げられていった。
「やっ、ダメッ、アルフさ……っ、出ちゃ、ぅっ! だめ。手、はなしっ…て……っ」
「大丈夫。いいから、このまま出してごらん」
ヴィンセントの肩口に縋りついて、莉音はイヤイヤと首を横に振った。
「やぁっ、だめっ! イ…く……っ。イッちゃうからっ。出ちゃ……、出ちゃ…うっ――ダメッ、あぁあー……っ!」
背を撓らせ、足を突っ張らせた莉音は、次の瞬間、ビクッと大きく躰を痙攣させるとヴィンセントの掌に精を放っていた。
ハッハッと息を喘がせ、硬直した躰が次第に弛緩していく。全身が気怠くて、手足が重かった。そんな莉音の額に口づけを落としたヴィンセントは、愛しげに頭を撫でた。
「いい子だ、莉音」
囁いたヴィンセントは、身を起こす。枕もとにあったボックスティッシュで莉音の腹部に飛んだ精液を拭うと、みずからの手も拭き取った。
「躰を拭くものを持ってきてあげるから、待っていなさい」
「え? やっ!」
莉音は咄嗟に、ヴィンセントの腕に縋りついていた。ヴィンセントは、驚いたように莉音を見下ろした。
「莉音?」
「嫌、です。お願い。このまま、最後まで……」
それだけを言うのが精一杯だった。
恥ずかしすぎて、顔を上げることができない。こんなことを言う自分を、ヴィンセントはどう思っただろう。そう考えるだけで、顔から火が出そうだった。
「莉音、本気か? だけど君、経験は?」
訊かれて、莉音は俯いたままかぶりを振った。
「……ない、です。一度も」
ふたりのあいだに、沈黙が訪れる。莉音は早くも自分の言動を後悔していた。
恐ろしい目に遭った自分の動揺を鎮めるために、ヴィンセントはその恐怖を取り除く手伝いをしてくれたにすぎない。それなのに、その優しさを真に受けて、縋るような真似をしてしまった。
ヴィンセントの口から、深い吐息が漏れる。
莉音はビクッとして身を縮めた。いっそ、この場から消えてなくなってしまいたかった。
「ご、ごめんなさ……」
「まいったな」
パジャマの襟もとを掻き合わせ、泣きたい気持ちで俯く莉音の傍らで、ヴィンセントは苦々しげに呟いた。
「こんなこと、するつもりはなかったんだが」
「す…みま、せ……。僕のせいで……」
「莉音、そうじゃない。私は自分に腹を立てている」
いたたまれない気持ちで謝罪する莉音に、ヴィンセントは言い含めるように言葉を紡いだ。
それは、自分に働く場を提供してくれた雇い主への敬慕であり、自分には持ち得ない包容力と見識の深さを兼ね備えた、頼れる大人の男性に対する憧れなのだと思っていた。
けれども、そうではなかったのだといまさらのように思い知る。
もっと口づけてほしい。もっと触ってほしい。もっと抱きしめて、その熱に包みこまれたい。
全身が、強く彼を求めていた。
その望みに応えるようにパジャマのズボンを下着ごと脱がされ、羞恥に頬が熱くなる。それでも、莉音はヴィンセントにその身を預けた。
「莉音、リラックスして」
ヴィンセントに言われても、躰の硬張りを解くことがどうしてもできない。ヴィンセントは、莉音の陰茎を掌で包みこむと、ゆっくりと刺激を与えはじめた。
親指の腹で輪を描くように先端を擦られ、竿の部分を強弱をつけて扱き上げられると、鈴口からはたちまち蜜が溢れ出す。背筋に甘い痺れが絶え間なく奔って、自分でもどうすればいいのかわからず莉音は身悶えた。
「あっ……あっ……、んっ、んん…っ」
ヴィンセントの服を握りしめて、莉音は口唇を噛みしめる。他人に触れられたことのない場所を、巧みな愛撫で翻弄されて、たちまち追い上げられていった。
「やっ、ダメッ、アルフさ……っ、出ちゃ、ぅっ! だめ。手、はなしっ…て……っ」
「大丈夫。いいから、このまま出してごらん」
ヴィンセントの肩口に縋りついて、莉音はイヤイヤと首を横に振った。
「やぁっ、だめっ! イ…く……っ。イッちゃうからっ。出ちゃ……、出ちゃ…うっ――ダメッ、あぁあー……っ!」
背を撓らせ、足を突っ張らせた莉音は、次の瞬間、ビクッと大きく躰を痙攣させるとヴィンセントの掌に精を放っていた。
ハッハッと息を喘がせ、硬直した躰が次第に弛緩していく。全身が気怠くて、手足が重かった。そんな莉音の額に口づけを落としたヴィンセントは、愛しげに頭を撫でた。
「いい子だ、莉音」
囁いたヴィンセントは、身を起こす。枕もとにあったボックスティッシュで莉音の腹部に飛んだ精液を拭うと、みずからの手も拭き取った。
「躰を拭くものを持ってきてあげるから、待っていなさい」
「え? やっ!」
莉音は咄嗟に、ヴィンセントの腕に縋りついていた。ヴィンセントは、驚いたように莉音を見下ろした。
「莉音?」
「嫌、です。お願い。このまま、最後まで……」
それだけを言うのが精一杯だった。
恥ずかしすぎて、顔を上げることができない。こんなことを言う自分を、ヴィンセントはどう思っただろう。そう考えるだけで、顔から火が出そうだった。
「莉音、本気か? だけど君、経験は?」
訊かれて、莉音は俯いたままかぶりを振った。
「……ない、です。一度も」
ふたりのあいだに、沈黙が訪れる。莉音は早くも自分の言動を後悔していた。
恐ろしい目に遭った自分の動揺を鎮めるために、ヴィンセントはその恐怖を取り除く手伝いをしてくれたにすぎない。それなのに、その優しさを真に受けて、縋るような真似をしてしまった。
ヴィンセントの口から、深い吐息が漏れる。
莉音はビクッとして身を縮めた。いっそ、この場から消えてなくなってしまいたかった。
「ご、ごめんなさ……」
「まいったな」
パジャマの襟もとを掻き合わせ、泣きたい気持ちで俯く莉音の傍らで、ヴィンセントは苦々しげに呟いた。
「こんなこと、するつもりはなかったんだが」
「す…みま、せ……。僕のせいで……」
「莉音、そうじゃない。私は自分に腹を立てている」
いたたまれない気持ちで謝罪する莉音に、ヴィンセントは言い含めるように言葉を紡いだ。
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