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エピローグ
第1話(4)
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「首はもう据わってるから、普通に片方の腕で躰を支えるように受け止めれば大丈夫だよ」
様子を見にやってきた早瀬にアドバイスされて、先程のリサと早瀬の抱く姿を思い出しながら見よう見まねで抱いてみる。
「そうそう、すごく上手です」
「リオン、とってもジョーズ!」
赤ん坊の両親にそろって褒められて、リオンは嬉しくなった。
「すごい、やわらかい。あったかくてミルクのいい匂いがする」
ぎこちないはずの莉音に抱かれても、泣き出すこともなくご機嫌な赤ん坊に莉音はたちまち心を奪われ、満面の笑みを浮かべた。
「アルフさん、見て見て。すごく可愛い」
ヴィンセントに自分が抱いている甥っ子の姿を見せると、彼はなぜか、ひどく真剣な顔で早瀬を顧みた。
「宗一郎、早く二人目を作れ」
「え? なんです、急に」
「生まれたら、うちの養子にする」
唐突な発言に、莉音はびっくりしてヴィンセントを見上げた。
「えっ、ちょっ、アルフさんっ!? ダメですよ、そんな! 急になに言い出すんですか!」
リサも兄の突飛な発言に、グレイがかった碧眼をきょとんと見開いている。だが早瀬は、落ち着き払った態度で口許に薄い笑みを刷いた。
「いいですよ、お望みなら。二人目でも三人目でも、ご要望どおりに作りましょう。莉音くんが宗太を抱いてる姿見て、ますます惚れなおしちゃったんでしょう」
「ちょ、早瀬さっ――」
「けど、いいんですか?」
あわてふためく莉音を後目に、早瀬は余裕たっぷりに言った。
「莉音くんは人一倍愛情深い子ですからね。赤ん坊を養子としてこの家に迎えたら、子育てに夢中になって、あなたのことは顧みられなくなりますよ?」
言われた途端、ヴィンセントはぐっと詰まった。
「……それは困る」
なにやら本気で悩んでいるらしいヴィンセントに、莉音はもう、と苦笑いをした。
「僕、無理です。来年からまた学生に戻るのに」
ですよね、と早瀬は笑った。
「こと、莉音くんのことになると、普段の沈着冷静で知性の塊のような人が、瞬時にお猿さん並みのレベルになっちゃうんだから困ったものです」
「うるさい、宗一郎」
不機嫌な顔で睨まれても、日頃からヴィンセントをあしらい慣れている敏腕秘書は、どこ吹く風と涼しい顔で受け流している。平然とした様子でさらりと躱して莉音に向きなおった。
「でも偉いですね。これだけ料理上手なのに、また一から勉強しなおすなんて」
感心しきりと言わんばかりに褒められて、莉音はとんでもないとかぶりを振った。
「僕のはまだ全然、素人の趣味の領域を出ていないので。就職して実地で、とも思ったんですけど、それよりもまず、基礎からきちんと学びたいなと思って。前回は一年で中退しちゃったし、中途半端なままだったので」
「学費も自分で出すんでしょう?」
「自分でって言っても、もともと母さんが僕のために用意してくれていた蓄えでしたから」
莉音ははにかんだように笑った。
様子を見にやってきた早瀬にアドバイスされて、先程のリサと早瀬の抱く姿を思い出しながら見よう見まねで抱いてみる。
「そうそう、すごく上手です」
「リオン、とってもジョーズ!」
赤ん坊の両親にそろって褒められて、リオンは嬉しくなった。
「すごい、やわらかい。あったかくてミルクのいい匂いがする」
ぎこちないはずの莉音に抱かれても、泣き出すこともなくご機嫌な赤ん坊に莉音はたちまち心を奪われ、満面の笑みを浮かべた。
「アルフさん、見て見て。すごく可愛い」
ヴィンセントに自分が抱いている甥っ子の姿を見せると、彼はなぜか、ひどく真剣な顔で早瀬を顧みた。
「宗一郎、早く二人目を作れ」
「え? なんです、急に」
「生まれたら、うちの養子にする」
唐突な発言に、莉音はびっくりしてヴィンセントを見上げた。
「えっ、ちょっ、アルフさんっ!? ダメですよ、そんな! 急になに言い出すんですか!」
リサも兄の突飛な発言に、グレイがかった碧眼をきょとんと見開いている。だが早瀬は、落ち着き払った態度で口許に薄い笑みを刷いた。
「いいですよ、お望みなら。二人目でも三人目でも、ご要望どおりに作りましょう。莉音くんが宗太を抱いてる姿見て、ますます惚れなおしちゃったんでしょう」
「ちょ、早瀬さっ――」
「けど、いいんですか?」
あわてふためく莉音を後目に、早瀬は余裕たっぷりに言った。
「莉音くんは人一倍愛情深い子ですからね。赤ん坊を養子としてこの家に迎えたら、子育てに夢中になって、あなたのことは顧みられなくなりますよ?」
言われた途端、ヴィンセントはぐっと詰まった。
「……それは困る」
なにやら本気で悩んでいるらしいヴィンセントに、莉音はもう、と苦笑いをした。
「僕、無理です。来年からまた学生に戻るのに」
ですよね、と早瀬は笑った。
「こと、莉音くんのことになると、普段の沈着冷静で知性の塊のような人が、瞬時にお猿さん並みのレベルになっちゃうんだから困ったものです」
「うるさい、宗一郎」
不機嫌な顔で睨まれても、日頃からヴィンセントをあしらい慣れている敏腕秘書は、どこ吹く風と涼しい顔で受け流している。平然とした様子でさらりと躱して莉音に向きなおった。
「でも偉いですね。これだけ料理上手なのに、また一から勉強しなおすなんて」
感心しきりと言わんばかりに褒められて、莉音はとんでもないとかぶりを振った。
「僕のはまだ全然、素人の趣味の領域を出ていないので。就職して実地で、とも思ったんですけど、それよりもまず、基礎からきちんと学びたいなと思って。前回は一年で中退しちゃったし、中途半端なままだったので」
「学費も自分で出すんでしょう?」
「自分でって言っても、もともと母さんが僕のために用意してくれていた蓄えでしたから」
莉音ははにかんだように笑った。
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