ショートショート 恋重ね

真朱マロ

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私とワルツを

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またため息の素がやってきちゃった

いつものごとく
もう嫌だって弱音を吐いて

いつものように
気にしないって言葉をもらう

あなたはちっとも
迷惑がったりしないけど
朝まで安らかに眠れと笑い
いつだって 私を子供扱いするの

あなたの速度が速すぎて
太陽のあるうちは追いつけない
やっと立ち止まるのは
いつも星屑の降りしきる夜

月を見上げる
あなたの視線が高すぎて
あなたの慈しむ景色が
私にはわからない

だけど
背伸びはしたくないの
つま先立ちで近づきたくないの

ちゃんとちゃんと
右足と左足の交互に踏みしめ
一歩一歩近づいて
あなたの前で
優雅に一礼してみたい

赤いハイヒール
桜色のドレスをまとえば
私だって小さな淑女

あどけないふりをして
手を伸ばすから
叶わない望みだと笑わないで

せめて
月の光の下で
ワルツを踊ってください
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