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おやすみなさい、また明日
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ずっと 泣いていました
朝も 昼も 夜になっても
今日は一日 泣いていました
なんだか無性に悲しくて
訳もないのにやりきれなくて
ただひたすらに 泣いていました
突然の電話があって
あなたの優しい声が聞こえて
「もしもし、今、何をしてる?」なんて問われて
それがあんまり胸に痛くて
泣くために ひたすら泣いているのだと
本当のことなんて教えたくないから
「別に何も」と応えたけれど
急に涙は止まらないのです
震える声に気付かないフリして
あなたはわざとふざた様子で
明るい声で冗談を紡ぐのです
冗談と呼ぶには
大きな爆弾に似た戯言ばかりで
おかしくて おかしくて
やっぱり泣けるばかりで
あなたがあんまり優しいから
お腹が痛いと言い訳しながら
思い切り笑ってみたけど
涙は全然止まらないのです
ただ泣くために泣いていたけど
今度はあなたを想う涙になって
意味もなく優しいのは嫌いなのだと
自分で自分に言い訳するほど
やっぱり今夜は泣くしかなくて
甘えるのは大嫌い
優しい人は大嫌い
あなたなんて大嫌い
そんな嘘をつく天邪鬼な私も大嫌い
何度も「大嫌い」だと唱えてみたけど
私の「大嫌い」は「大嫌い」の意味を持たなくて
理由もないあなたの優しさに
やっぱり涙は止まりそうもないのです
今夜だけでいいのです
こころゆくまで泣きたいのです
あなたは何にも気付かないフリして
涙をこぼすほど笑わせてください
素直でも正直でもない私だけど
明日は心から笑えるでしょう
ありがとうの代わりに
「おやすみなさい。また明日」
朝も 昼も 夜になっても
今日は一日 泣いていました
なんだか無性に悲しくて
訳もないのにやりきれなくて
ただひたすらに 泣いていました
突然の電話があって
あなたの優しい声が聞こえて
「もしもし、今、何をしてる?」なんて問われて
それがあんまり胸に痛くて
泣くために ひたすら泣いているのだと
本当のことなんて教えたくないから
「別に何も」と応えたけれど
急に涙は止まらないのです
震える声に気付かないフリして
あなたはわざとふざた様子で
明るい声で冗談を紡ぐのです
冗談と呼ぶには
大きな爆弾に似た戯言ばかりで
おかしくて おかしくて
やっぱり泣けるばかりで
あなたがあんまり優しいから
お腹が痛いと言い訳しながら
思い切り笑ってみたけど
涙は全然止まらないのです
ただ泣くために泣いていたけど
今度はあなたを想う涙になって
意味もなく優しいのは嫌いなのだと
自分で自分に言い訳するほど
やっぱり今夜は泣くしかなくて
甘えるのは大嫌い
優しい人は大嫌い
あなたなんて大嫌い
そんな嘘をつく天邪鬼な私も大嫌い
何度も「大嫌い」だと唱えてみたけど
私の「大嫌い」は「大嫌い」の意味を持たなくて
理由もないあなたの優しさに
やっぱり涙は止まりそうもないのです
今夜だけでいいのです
こころゆくまで泣きたいのです
あなたは何にも気付かないフリして
涙をこぼすほど笑わせてください
素直でも正直でもない私だけど
明日は心から笑えるでしょう
ありがとうの代わりに
「おやすみなさい。また明日」
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