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 アイリスはラビと話し合ってサポーターになることにした。魔物の知識や常識を学ぶためだ。
 相手はあの三人組。お嬢様とフィルとライラ。お嬢様の名前は知らないけど、傭兵ギルドで彼女達のサポーターになりたいと言ったら教えてくれた。お嬢様の名前はマナリア。
 ギルドで三人組を待って、頭を下げて頼んだ。彼女達は驚いたあと、受け入れてくれた。

 受付で手続きをする。短い紐のついた銅製のネームタグをもらった。サポーターであることの証明で、これを街の門で見せれば税を払うことなく入れる。傭兵の場合は銀製。どっちも無くしたら再発行にお金がかかる。無くさないよう後で長い紐をつけて首にかけよう。

 サポーターの仕事は前に聞いたように荷運びと雑用だった。
 行きはロープや布、水や食料など野営の道具を持ち、帰りはそれらに加えて魔物の討伐証明を持つ。荷運びはそれほど大変ではなかった。それよりも覚えることがたくさんあって頭に叩き込むことが大変だった。

 フィルからはロープの使い方や、装備の点検と簡単な補修方法、罠についても教わった。訓練相手として模擬戦もした。
 ライラからは道具や食料を買うお店、主に料理を教わった。彼女は持参した食料に自生しているキノコや野草を加えてとてもおいしい料理を作る。
 マナリアからは魔物について教わった。弱い魔物、強い魔物、弱いけど厄介な魔物、さまざまだ。魔物だけでなく、肉屋に持っていけば買い取ってもらえる動物も教えてくれた。

 そして、ラビからは魔法を教わった。 
 ラビはサポーターにならずに街に残ったので、教わるのはサポーターの仕事が終わって宿に帰ってからだ。火や水だけでなく、土魔法、治癒魔法、姿を隠す魔法。どれも効果は小さい。姿を隠す魔法は全くできなかった。唯一、身体強化だけは上達が早い。
 三人組には魔法を使えることを隠さなかった。三人は驚いたものの、騒ぎにはならなかった。傭兵にはたまに魔法を使える人間がいるらしい。アイリスくらいの年で複数使えるのは珍しいが。

 サポーターとして日々を過ごし、一ヶ月ぐらいかけて街の周辺の魔物について学び終わった頃、ダンジョンについて教わることになった。
 
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