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第5章 王都アルテア
53.継承権
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「おお、これは一体……?」
風呂上がりで、ひとえが用意した黒のワンピースを着たロラが、修復されているドアや、廊下を見て声を上げている。説明に困るので、とりあえず……
「片付けが完了しましたので、修復を行いました……ちょっとした魔法と思っていただければ……」
「そうなのか。いや、さすが救世主様の魔法だ。こんな奇跡が起こせるんだな」
「はい、この部屋の中だけになりますけどね」
「羨ましい! 私の部屋は雨漏りがなかなか直らなくてな。この部屋の中だけという事は、私の部屋を直したりは……」
「申し訳ありませんが、出来ません」
「そうか、うん、それは仕方が無い」
えらく感心をしてくれた。まぁ、あんだけボロボロだった部屋の中が風呂に入っている間に直ってしまったのだから、驚くよな。
「ところで、この後、どうしましょうか? 私たちは折角なので、ここで休んでから明日の朝、王都へ向かいますが……」
ここからであれば、明るいうちに王都へ入れるはずだ。
「あー、先ほど、ユイカ様から誘われたのだが、もし救世主様がよろしければ、一晩、泊めていただきたいのだが……」
「えー……ひとえ、大丈夫かな?」
「はい、ロラさんが大丈夫なら、どうぞ泊まっていってください」
「という事なので、問題ありません」
「ありがたい。ユイカ! 許可がもらえたぞ」
「やったー! ロラ姉様、リリィ! 今晩は特訓するよ!」
洗面所からユイカが飛び出してきた。
どうやら、話はついていたらしい。一緒に風呂に入ったせいか、ロラとユイカはすっかり打ち解けていた。
----------
夕食後、ロラがリリィに大事な話があると切り出した。
「リリィは、この迎賓部隊の任務を達成するという事はどういう事か解っているのか?」
「はい?」
「救世主様をお連れした後、リリィ自身の立場がどうなるか……という事について、何も聞いていないのか?」
「え? ……いえ、何も聞いてませんが……ロラ姉様?」
「そうか……」
ロラは知っているという事か……俺も少し口を挟む。
「私達はフェロル村やオーレンセで、ファビオ様に襲われました。その事も関係していますか?」
「ファビオ? ああ、コリーノ家の放蕩当主か? あいつに襲われた? どういう事だ?」
あいつ、当主だったのか。かなり偉いんだな……薄っぺらな金髪のチンピラにしか見えなかったが……ロラにはフェロル村とオーレンセでの出来事を簡単に説明する。
「そうか、馬鹿な奴だ。そんな事をして何になると……そうか、マシアス商会の力でゴリ押しするつもりだったのか……」
「それで、リリィが殺されそうになった件や、私の家族が連れ去られそうになった件も含めて、私達を王都に連れて行くという事は、王位継承者にとって、どういった意味を持つのでしょうか?」
リリィが殺されそうになった事の核心に迫る。
「その口ぶりでは、もう、ほとんど解っているのだろう。推察通り、聖地に降臨した救世主を迎え、王都へ連れ帰ったものが、次代の王になるという取り決めが、王と神殿、それに一部の有力貴族の間で決定している」
やはりそうか。オーレンセでファビオが口走っていた内容から、当たりは付けていたが……そう思いながら、リリィの顔を見る。
「え、あ……は? はああああああああああ?」
一瞬、きょとんとしていたが、ようやくロラの話が飲み込めたようで、驚きの声を上げた。
「む、無理です。無理! 無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!」
ここで、いくら喚こうが、俺達が決めた訳でもないしな。
「本来、この件は会議に参加した者だけの秘密のはずなのだが……私も含め、モラン家は勿論、他の王家も同様だろうな。有力な貴族連中も知っている話なので、もはや、公然の秘密と言っても良いだろう」
まだ、青ざめた顔で、ブツブツと何かを呟いているリリィは放っておいて、
「それじゃ、リリィが知らなかったのは?」
「それは……ヒメノ家だしな……会議にも出席する立場でもないし、情報を流してくれる有力貴族とのパイプがあるとも思えん」
「それでは、私達やリリィは、この先も王族に狙われ続けると?」
ロラさん、あんたもかい?
心の中でそう呟き、警戒レベルを上げる。だが……
「いや、王族の中でも王になりたいと思っている連中など、少ないはずだぞ」
「へ?」
あれ、思っていたのと違う。
「いや、王になっても、良い事なんて無いしな。王になった瞬間から王都から出る事が出来なくなるし、朝から晩まで、自由がなくなる。今回の決定で、王太子以下、王の子供や孫達が騒いで無いのは、王位継承者じゃなくなるのが、ラッキーくらいにしか考えて無いと思うけどな」
そんなものなのか?。
王様になれば、やりたい放題……なんて独裁者モードではなく、象徴的なものなんでしょうか?
「それでも、確かに、マシアスみたいな貴族からすると旨味はあるはずだ。王の親族ともなれば、議会へ働きかけ易くはなる……だが、王になるファビオには、待っているのは、体のいい軟禁生活だ。私からすれば、1/92の籤を引き当ててしまったリリィが哀れでならない」
「え、王って、王様になるって、そんなモノなんですか?」
俯いていたリリィが顔をあげる。
「ああ、そうだ。確かに全臣民の命を背負って立つという気概は必要だが、直接的に臣民のために活動するような事は難しいし、実際には軍の方がよっぽど臣民の役に立っている。王としての権力は確かにあるが、実態として、この国を動かしているのは議会を牛耳っている貴族連中だ。我々王族が、王になるメリットなぞ、ほとんど無い」
ファビオは何に踊らされているんだ?
「ファビオは、遊びで使った金の借金がかなりあるみたいだし、どうせ借金を棒引きするとでも言われているんじゃないか? 多分、他に王になりたいという奴がいれば、多かれ少なかれ、ファビオと同じような事情だと思う」
借金持ちか……やっぱり、あいつは薄っぺらい金髪のチンピラで良かったな。
「さて、リリィ。私は姉としてお前の事が心配だ。だが、これは神託でもあり、実際に救世主様が降臨された事も考えれば、お前が王になるというのは、神が望んだ事なのだろう。長く続いたダビド王朝からヒメノ王朝へ私が生きている時代に変わるというのも面白い。私は全力でお前の事を見守ろうと思う」
「ね、姉様。まだ、次代の王になるなんて……え、えー……どうしよう……王になったら生活は困らなくなりそうだけど……ああ……あ! お婿さんを議会で見つけてもらえれば……でも、好みもあるし、むしろ相手が逆玉になるんだから、こっちは選びたい放題! あ、やっぱり恋愛結婚の方が……どうしましょう……どうしましょう……」
リリィが、顔を伏せて、またブツブツ言いだした。
「……どうしましょう……どうしましょう! 奥様!」
今度は、顔を上げて、ひとえに向かって助けを求める。
「し、知らない……」
「そ、そんな……奥様、リリアナは、奥様だけが頼りなのに……」
「リリィ、私を姉として頼ってくれてもいいんだぞ……」
ひとえは顔を背けた。冷たいな。ロラは頼ってもらえなくて寂しそうだ。だが、そもそも、この国がどんな国かも解っていない俺達にアドバイスを求められても困る話だ。それよりも、目下の問題は……
「そうなると、やはり問題はファビオとマシアス商会か……」
「そうだな。救世主様がリリィと一緒に王都に着いて困るのはマシアス商会……」
「危ないのはマシアス商会だけですか?」
「それは、マシアス商会が今回の件で、どの程度、他の貴族を抱き込んでいるか次第だろう。並行で議会工作も進めているはずだ。それなりの金をばら撒いているだろう……まともな王族が相手をするとは思えないが……他の貴族連中がどう動くか読めん」
王都アルテア……ややこしい事にならなきゃいいけど……どうしよう……もう帰るか?
「リリィ、大丈夫! わたしが付いているから!」
ここまでの話を聞いていたユイカが自信満々に宣言した。
「ユイカ様……なんて優しい言葉を……ありがとうござ……」
「アイドルで王様! なんて斬新な組み合わせ! わたしには見えるよ! リリィが国民の前で歌って踊っている姿が!」
風呂上がりで、ひとえが用意した黒のワンピースを着たロラが、修復されているドアや、廊下を見て声を上げている。説明に困るので、とりあえず……
「片付けが完了しましたので、修復を行いました……ちょっとした魔法と思っていただければ……」
「そうなのか。いや、さすが救世主様の魔法だ。こんな奇跡が起こせるんだな」
「はい、この部屋の中だけになりますけどね」
「羨ましい! 私の部屋は雨漏りがなかなか直らなくてな。この部屋の中だけという事は、私の部屋を直したりは……」
「申し訳ありませんが、出来ません」
「そうか、うん、それは仕方が無い」
えらく感心をしてくれた。まぁ、あんだけボロボロだった部屋の中が風呂に入っている間に直ってしまったのだから、驚くよな。
「ところで、この後、どうしましょうか? 私たちは折角なので、ここで休んでから明日の朝、王都へ向かいますが……」
ここからであれば、明るいうちに王都へ入れるはずだ。
「あー、先ほど、ユイカ様から誘われたのだが、もし救世主様がよろしければ、一晩、泊めていただきたいのだが……」
「えー……ひとえ、大丈夫かな?」
「はい、ロラさんが大丈夫なら、どうぞ泊まっていってください」
「という事なので、問題ありません」
「ありがたい。ユイカ! 許可がもらえたぞ」
「やったー! ロラ姉様、リリィ! 今晩は特訓するよ!」
洗面所からユイカが飛び出してきた。
どうやら、話はついていたらしい。一緒に風呂に入ったせいか、ロラとユイカはすっかり打ち解けていた。
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夕食後、ロラがリリィに大事な話があると切り出した。
「リリィは、この迎賓部隊の任務を達成するという事はどういう事か解っているのか?」
「はい?」
「救世主様をお連れした後、リリィ自身の立場がどうなるか……という事について、何も聞いていないのか?」
「え? ……いえ、何も聞いてませんが……ロラ姉様?」
「そうか……」
ロラは知っているという事か……俺も少し口を挟む。
「私達はフェロル村やオーレンセで、ファビオ様に襲われました。その事も関係していますか?」
「ファビオ? ああ、コリーノ家の放蕩当主か? あいつに襲われた? どういう事だ?」
あいつ、当主だったのか。かなり偉いんだな……薄っぺらな金髪のチンピラにしか見えなかったが……ロラにはフェロル村とオーレンセでの出来事を簡単に説明する。
「そうか、馬鹿な奴だ。そんな事をして何になると……そうか、マシアス商会の力でゴリ押しするつもりだったのか……」
「それで、リリィが殺されそうになった件や、私の家族が連れ去られそうになった件も含めて、私達を王都に連れて行くという事は、王位継承者にとって、どういった意味を持つのでしょうか?」
リリィが殺されそうになった事の核心に迫る。
「その口ぶりでは、もう、ほとんど解っているのだろう。推察通り、聖地に降臨した救世主を迎え、王都へ連れ帰ったものが、次代の王になるという取り決めが、王と神殿、それに一部の有力貴族の間で決定している」
やはりそうか。オーレンセでファビオが口走っていた内容から、当たりは付けていたが……そう思いながら、リリィの顔を見る。
「え、あ……は? はああああああああああ?」
一瞬、きょとんとしていたが、ようやくロラの話が飲み込めたようで、驚きの声を上げた。
「む、無理です。無理! 無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!」
ここで、いくら喚こうが、俺達が決めた訳でもないしな。
「本来、この件は会議に参加した者だけの秘密のはずなのだが……私も含め、モラン家は勿論、他の王家も同様だろうな。有力な貴族連中も知っている話なので、もはや、公然の秘密と言っても良いだろう」
まだ、青ざめた顔で、ブツブツと何かを呟いているリリィは放っておいて、
「それじゃ、リリィが知らなかったのは?」
「それは……ヒメノ家だしな……会議にも出席する立場でもないし、情報を流してくれる有力貴族とのパイプがあるとも思えん」
「それでは、私達やリリィは、この先も王族に狙われ続けると?」
ロラさん、あんたもかい?
心の中でそう呟き、警戒レベルを上げる。だが……
「いや、王族の中でも王になりたいと思っている連中など、少ないはずだぞ」
「へ?」
あれ、思っていたのと違う。
「いや、王になっても、良い事なんて無いしな。王になった瞬間から王都から出る事が出来なくなるし、朝から晩まで、自由がなくなる。今回の決定で、王太子以下、王の子供や孫達が騒いで無いのは、王位継承者じゃなくなるのが、ラッキーくらいにしか考えて無いと思うけどな」
そんなものなのか?。
王様になれば、やりたい放題……なんて独裁者モードではなく、象徴的なものなんでしょうか?
「それでも、確かに、マシアスみたいな貴族からすると旨味はあるはずだ。王の親族ともなれば、議会へ働きかけ易くはなる……だが、王になるファビオには、待っているのは、体のいい軟禁生活だ。私からすれば、1/92の籤を引き当ててしまったリリィが哀れでならない」
「え、王って、王様になるって、そんなモノなんですか?」
俯いていたリリィが顔をあげる。
「ああ、そうだ。確かに全臣民の命を背負って立つという気概は必要だが、直接的に臣民のために活動するような事は難しいし、実際には軍の方がよっぽど臣民の役に立っている。王としての権力は確かにあるが、実態として、この国を動かしているのは議会を牛耳っている貴族連中だ。我々王族が、王になるメリットなぞ、ほとんど無い」
ファビオは何に踊らされているんだ?
「ファビオは、遊びで使った金の借金がかなりあるみたいだし、どうせ借金を棒引きするとでも言われているんじゃないか? 多分、他に王になりたいという奴がいれば、多かれ少なかれ、ファビオと同じような事情だと思う」
借金持ちか……やっぱり、あいつは薄っぺらい金髪のチンピラで良かったな。
「さて、リリィ。私は姉としてお前の事が心配だ。だが、これは神託でもあり、実際に救世主様が降臨された事も考えれば、お前が王になるというのは、神が望んだ事なのだろう。長く続いたダビド王朝からヒメノ王朝へ私が生きている時代に変わるというのも面白い。私は全力でお前の事を見守ろうと思う」
「ね、姉様。まだ、次代の王になるなんて……え、えー……どうしよう……王になったら生活は困らなくなりそうだけど……ああ……あ! お婿さんを議会で見つけてもらえれば……でも、好みもあるし、むしろ相手が逆玉になるんだから、こっちは選びたい放題! あ、やっぱり恋愛結婚の方が……どうしましょう……どうしましょう……」
リリィが、顔を伏せて、またブツブツ言いだした。
「……どうしましょう……どうしましょう! 奥様!」
今度は、顔を上げて、ひとえに向かって助けを求める。
「し、知らない……」
「そ、そんな……奥様、リリアナは、奥様だけが頼りなのに……」
「リリィ、私を姉として頼ってくれてもいいんだぞ……」
ひとえは顔を背けた。冷たいな。ロラは頼ってもらえなくて寂しそうだ。だが、そもそも、この国がどんな国かも解っていない俺達にアドバイスを求められても困る話だ。それよりも、目下の問題は……
「そうなると、やはり問題はファビオとマシアス商会か……」
「そうだな。救世主様がリリィと一緒に王都に着いて困るのはマシアス商会……」
「危ないのはマシアス商会だけですか?」
「それは、マシアス商会が今回の件で、どの程度、他の貴族を抱き込んでいるか次第だろう。並行で議会工作も進めているはずだ。それなりの金をばら撒いているだろう……まともな王族が相手をするとは思えないが……他の貴族連中がどう動くか読めん」
王都アルテア……ややこしい事にならなきゃいいけど……どうしよう……もう帰るか?
「リリィ、大丈夫! わたしが付いているから!」
ここまでの話を聞いていたユイカが自信満々に宣言した。
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「アイドルで王様! なんて斬新な組み合わせ! わたしには見えるよ! リリィが国民の前で歌って踊っている姿が!」
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