異世界にお引越し! - 訳あり物件でした -

でもん

文字の大きさ
69 / 78
第6章 Call your name

62.モラン家

しおりを挟む
===== Kota =====

 セグンダという中心から2番目の壁を越えると、そこは王宮でした。王宮の外に馬を繋ぎ、自転車を置いて、僕とロラは王宮に入る事になったんだけど……

 ドドドドドドッ!

 大きな足音が遠くから響いてきて、白いゆったりとした服を着ている3人の男の人が僕たちの前に現れた。

「わわわ、何? 何?」
「コータ、大きい人です!」

 思わずびっくりした僕とミントだったけど、ロラだけは落ち着いていた。

「父上! 大兄上おおあにうえ小兄上ちいあにうえ! ただいま戻りました」

 3人の大きい人……僕たち家族からすると大きいロラが、小さく見えるほどの巨人3人の男は、キキーっと音を立てるような感じで、僕たちの前で止まった。

「ロ、ロラ! ……おかえりなさい」

 顔にシワが多いので、多分、ロラのお父さん。この人が最初にロラに話しかけ、

「ロラ! よく戻った!」
「ロラ! 変わりは無いか?」

 ロラのお兄さんと思われる二人も口々にロラが帰ってきた事を喜んでいる。

「して……その子か……ふむ、ここじゃ話しにくい。まずは、うちに帰るぞ!」
「えっ?」

 僕とミントはロラのお父さんに抱き上げられ、ロラは二人のお兄さんに持ち上げられ……もの凄いスピードで元来た道を走る。ロラのお父さんは僕を怖がらせないよう、優しく抱えてくれてはいたんだけど、とにかく高い。

「怖い! 怖いです! ヒィィー」
「コータ……お世話になりました……ガクッ」
「兄上、恥ずかしいです。おろしてくださ……」

 ガンッ!

「い、いたーい!」

 僕とミントは騒ぎながら、ロラはどこかにぶつかりながら、僕らは知らない屋敷まで連れて行かれた。

----------

「「「おかえり、我が家へ」」」

 あっという間にロラの家まで連れて行かれてしまった。ロラは大きく溜息をつくと、

「もっとのんびりと帰宅させて欲しいものなんだが……」
「だが、そんな事を言っていると、ロラはいつも家に寄らずに出発しちゃうじゃないか」
「俺も久ぶりにロラと遊びたいんだよ!」
「兄上は2年前に遊んだだろ……次は俺の番だ!」

「「「それに!」」」

 そこで3人が声を揃えて……

「「「ロラに子供が出来たって聞いて居ても立ってもいられなくなったんだ!」」」

 あ、あー。僕が余計な事を言ったのが伝わったのかな?

「ロラ、その子が……その子がわしの孫なのか……」
「伯父さんと呼んでくれないか」
小伯父ちいおじさんと、俺の事は呼んでくれ!」

 ロラのお父さんとお兄さん達が僕に迫ってくる。怖い……

ガン! ガン! ガン!

 ロラが拳骨で殴りつけた。

「いい加減にしてください。こんな大きな子供がいるわけ無いじゃないですか!」
「そ、そうなのか? 俺の孫だから、すぐ大きくなったかと……」
「なるか! コータは12歳ですよ! 私が9歳の頃に産んだとでも?」

 ようやく、そこでロラのお父さんも理解してくれたようだ。よかった。

「す、すまん。マルティナが王宮に駆け込んできて、『ロラが子供を連れてきた!』と騒いだのでな……てっきり」
「冷静に考えれば分かるはずです」
「「「すみません」」」

 やっとみんな落ち着いた。

「変な騒ぎになってゴメンなさい。僕はタナカ・コータです。こいつはミントです」

 ミントもぺこりと頭を下げる。

「ロラの父、セリノ・モランだ。この二人がわしの息子だ」

 そう言って、セリノさんがロラのお兄さんも紹介してくれた。

「さっき、僕がロラの事をふざけてお母さんって呼んじゃったんです。でも、こんなに大きいおじいちゃんや伯父さんがいたら面白かったな」

 日本のおじいちゃん、おばあちゃん……元気かな。伯父さんにぃにぃや、従兄弟たちにも会いたいな。僕は家の事を思い出して鼻の奥がツンとしてきたんだけど、

「お、おじいちゃん……」
「お、おじ……」

 僕の様子には気がつかず、セリノさんと二人のお兄さんは顔が真っ赤になり、フニャフニャな表情になってしまった。

「い、いいぞ。ここにいる間は、わしの事をおじいちゃんと呼んでくれても! この際、モラン家の子供になるか? モラン家の財産、すべてやっても良いぞ!」
「お、伯父さんともう1回呼んでくれ! モラン家の財産なんて、ほとんど無いが、俺の分もやる!」
「兄上だけズルい! 俺も、俺もおじさんと呼んでくれ! 俺の小遣いだったら、全部やるから!」

 なんか、ロラによく似た家族でした。

----------

「よし、わかった! 問題ない、コータはロラの子供で、わしの孫じゃ。このまま一緒に王宮に向かおう!」

 どう説明するか悩んだんだけど、ロラが大丈夫だ、任せておけって、そのまま僕たち家族の話をしてしまった。セリノさんは、それを聞いて、僕とロラを王宮まで連れて行く事になった。

 ちなみに、その話の間、僕はセリノさんの膝の上でずっと座らせられていた。

「お前たちもいいな。俺たちモラン家は王位に就く気持ちなんかサラサラないが、コリーノ家の出来損ないを王位に就ける訳もいかん。この国のため、そしてわし達の可愛い家族のため、全力をもって協力しよう!」
「問題ありません父上!」
「はい!」

 セリノさん……どうやら、僕はセリノさんの孫という事に成ったので、セリノおじいちゃんと呼ぶ事にしたんだけど……セリノおじいちゃんは、リリィが王様になるのは嫌じゃないみたいだ。

 という事で、僕は改めてセグンダの内側に入って王宮の中へ入りました。

「ああ、久しぶり……ん? さっきあったか。まぁよい。ほれ……この子は可愛いだろう。わしの孫じゃ!」

 セリノおじいちゃんは、会う人会う人に僕を紹介してくれた。みんなニコニコしながら挨拶をしてくれる。でも正直、止めて欲しい。

「もうすぐ王宮の中にある聖地ヒドロシノ神殿だ。王宮の中なので、そんなに大きくは無いが……」

 そう言いながら歩い行くと前から、男の人が歩いてきた。

「此れは此れはモラン殿下。ロラ殿下。ご無沙汰をしております。今日は……神殿にご用ですか?」
「これはカニ殿、いや、わしの孫が王宮を見学したいと言っての。いろいろ見せて回っているんじゃよ」
「ほう」
「ほれ、コータ。挨拶しろ。司教のカニ殿だ」

 孫として挨拶しろって事なんだろうな。

「こんにちは! コータです。祖父と母がいつもお世話になっています」
「聡明そうなお子さんですね。この先はヒドロシノの神殿しか無いのですが……聖地もご覧になっていきますか?」
「是非、そうしようと思っていた所なんじゃよ」

 真っ赤な顔をしていたセリノおじいちゃんはすぐ表情を戻して、カニさんに返事をした。

「そうですか……」

 カニさんは少し考え、

「待機していた王族も、救世主様発見のご連絡を受け戻られましたし、今は誰もいないと思いますが、誰か呼んできましょうか? あと、コータ殿下、その……犬は可愛いのですが……できるだけ見つからないように」
「どうかお構いなく、わしらも少し見てすぐ戻るから」
「ごめんなさい、ちゃんと抱っこしておくので、ご迷惑はお掛けしません」

「そうですか。それでは……はて、モラン家のお孫さんとは……?」

 カニさんは頭を下げ首を傾げならが、歩いて行った。

「あいつはマシアス商会側の人間だから、コータも注意しろよ」
「はい」

 カニさんが見えなくなった後、おじいちゃんが厳しい顔で僕に教えてくれた。そんなに悪い人には見えなかったんだけど、人は見かけによらないって事なのかな。カニさんて変な名前だ。

 僕たちはそのまま神殿の中に入り、奥にある光のカーテンの前まで来た。

「おじいちゃん、ありがとう」
「すぐ戻ってくるんじゃろ。必要な事があれば何でも言ってくれ。そうだな……そこの……」

 そう言って、光のカーテンのすぐ横に机にある壺を指差す。

「壺の中にでも手紙でも入れておいてくれれば、わしに届くよう手配しておこう」
「ありがとうございます!」
「何、可愛い孫のためじゃ。ロラはコータや、コータのご家族に最後まで付き合ってやれ」
「もとより、そのつもりです」
「そうだろうな。お前にとっても可愛い息子だろ」
「父上……」

 ロラが顔を真っ赤にしている。

「落ち着いたら、コータの父君、母君、姉君にも会いたいものだ。是非、みんなで遊びに来てくれ」
「はい!」

 こうして僕とミント、そしてロラは一緒に光のカーテンの中へ入った。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

ぽっちゃり女子の異世界人生

猫目 しの
ファンタジー
大抵のトリップ&転生小説は……。 最強主人公はイケメンでハーレム。 脇役&巻き込まれ主人公はフツメンフツメン言いながらも実はイケメンでモテる。 落ちこぼれ主人公は可愛い系が多い。 =主人公は男でも女でも顔が良い。 そして、ハンパなく強い。 そんな常識いりませんっ。 私はぽっちゃりだけど普通に生きていたい。   【エブリスタや小説家になろうにも掲載してます】

【完結】前世の不幸は神様のミスでした?異世界転生、条件通りなうえチート能力で幸せです

yun.
ファンタジー
~タイトル変更しました~ 旧タイトルに、もどしました。 日本に生まれ、直後に捨てられた。養護施設に暮らし、中学卒業後働く。 まともな職もなく、日雇いでしのぐ毎日。 劣悪な環境。上司にののしられ、仲のいい友人はいない。 日々の衣食住にも困る。 幸せ?生まれてこのかた一度もない。 ついに、死んだ。現場で鉄パイプの下敷きに・・・ 目覚めると、真っ白な世界。 目の前には神々しい人。 地球の神がサボった?だから幸せが1度もなかったと・・・ 短編→長編に変更しました。 R4.6.20 完結しました。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから

渡里あずま
ファンタジー
安藤舞は、専業主婦である。ちなみに現在、三十二歳だ。 朝、夫と幼稚園児の子供を見送り、さて掃除と洗濯をしようとしたところで――気づけば、石造りの知らない部屋で座り込んでいた。そして映画で見たような古めかしいコスプレをした、外国人集団に囲まれていた。 「我々が召喚したかったのは、そちらの世界での『学者』や『医者』だ。それを『主婦』だと!? そんなごく潰しが、聖女になどなれるものか! 役立たずなどいらんっ」 「いや、理不尽!」 初対面の見た目だけ美青年に暴言を吐かれ、舞はそのまま無一文で追い出されてしまう。腹を立てながらも、舞は何としても元の世界に戻ることを決意する。 「主婦が役立たず? どう思うかは勝手だけど、こっちも勝手にやらせて貰うから」 ※※※ 専業主婦の舞が、主婦力・大人力を駆使して元の世界に戻ろうとする話です(ざまぁあり) ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

白い結婚を言い渡されたお飾り妻ですが、ダンジョン攻略に励んでいます

時岡継美
ファンタジー
 初夜に旦那様から「白い結婚」を言い渡され、お飾り妻としての生活が始まったヴィクトリアのライフワークはなんとダンジョンの攻略だった。  侯爵夫人として最低限の仕事をする傍ら、旦那様にも使用人たちにも内緒でダンジョンのラスボス戦に向けて準備を進めている。  しかし実は旦那様にも何やら秘密があるようで……?  他サイトでは「お飾り妻の趣味はダンジョン攻略です」のタイトルで公開している作品を加筆修正しております。  誤字脱字報告ありがとうございます!

処理中です...