餌付けしてしまった

けんたん

文字の大きさ
1 / 60

1話

 これは夢だ、だってあの二人はもういるはずないんだ。だってあの二人はあの日……いつものように仕事に行ってくるねと言ってかっこいい笑顔で俺を抱きしめて空港に向ってその飛行機で帰らぬ人となってしまったんだから。



「敬斗いつもごめんね、でもあと少しできっと三人で一緒にいれるからね。そしたらあなたには、私たちの補助からしてもらってパパの跡を継いでもらおうかしら」



「うん、早く俺もパパみたいに料理でたくさんの人を笑顔にさせれるようになりたい。ママ達が帰って来たら新作料理あるから食べてくれよ」



「えー楽しみにしているわ、未来のスーパーシェフさん」それが最後の親子としての会話だった。




 グハッいきなりの衝撃に俺は一気に夢から目を覚ます。



「アハハハ、グハッだってケー兄おもしろーいおもしろーい、ねーお腹空いちゃった。朝ごはん作ってよー、ケー兄のご飯大好き」



「はいはい、もう年頃の女の子なんだからいい加減じゃれてくるのやめてくれよ。昨日下ごしらえは終えてるからササッと作ってくるよ」



「そうですよ、もうゆいったらいつになったらもう少しおしとやかになってくれるのかしら?それとゆいあなたさっきから丸見えよ、敬斗さんは優しいから目をそらしてくれてるけどいいのかしら?」



 俺が目を覚ましてすぐ気づいたが、言ったら不味いなと思ったことを遠慮なく言われてしまった。



「えっ丸見えってな……にが?キャッキャ~ケー兄のエッチこっち見ちゃだっダメ~」



 はーだから言わんこっちゃない、さっこれで朝ごはんが出来るまでは大人しくしてくれるだろう。



「敬斗さん、お手伝いしますね。私も敬斗さんの作るご飯大好きです。昨日下ごしらえしてくれてましたよね?なにを作るんですか?」



「昨日はスープの下ごしらえをしていたのであとは仕上げに味を整えて、サラダとパンにオムレツなんかどうかな?オムレツは俺がやるからサラダは任せてもいいかな?」



「はい、敬斗さん特製のドレッシングがまだあるのでサラダは任せてください」



 今では簡単にだがサラダ程度なら任せることは出来る。初めて出会った頃は全く出来ないどころか火を使う料理に関わらせたらなぜか炭のような物になってしまいカーボンマスターの異名がついてしまったほどだ。



 全く今では慣れた風景だがあの頃はこんな風になるなんて思いもよらなかった。そんな風に考えていると着替え終わったゆいが再び飛びついてきた。



「ケー兄着替えてきたよ、ほらほら今日もカワカワなゆいちゃんだよ」



「分かった分かった今日もカワイイよ、ほらっ今からオムレツ作るからゆいはパンを焼いて皿を並べておいてくれ」



「は~い、じゃぁあっちで待ってるね」



 さっ今日も朝ごはんから1日を始めよう。
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

黒瀬部長は部下を溺愛したい

桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。 人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど! 好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。 部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。 スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。

同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。

ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。 真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。 引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。 偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。 ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。 優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。 大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん

菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)

義姉と押し入れに隠れたら、止まれなくなった

くろがねや
恋愛
父の再婚で、義姉ができた。 血は繋がっていない。でも——家族だ。そう言い聞かせながら、涼介はずっと沙耶から距離を取ってきた。 夏休み。田舎への帰省。甥っ子にせがまれて始まったかくれんぼ。急いで飛び込んだ押し入れの中に、先客がいた。 「……涼介くん」 薄い水色の浴衣。下ろした髪。橙色の光に染まった、沙耶の顔。 逃げ場のない暗闇の中で、二人分の体温が混ざり合う。 夜、来て。 その一言が——涼介の、全部を壊した。 甘くて、苦しくて、止まれない。 これは、ある夏の、秘密の話。