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第8章
永遠の愛(3)
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桃華を見つめながら、ゆっくり近づく拓人の顔。
桃華はそっと目を閉じる。
そして、そっと2人の唇は重なり合った──。
その直後、薄暗かった教会は、歓声とともに明るくなった。
唇を離し、2人が光のさす方向を見ると、目の前の大きなガラス張りの壁の向こうには、海の青、空の青が広がっていた。
真っ青な空はまるで、海と繋がっているようで、無限にその世界が広がっているようにさえ感じた。
拓人と桃華が見つめ合うと、お互いの目は涙で潤んでいた。
拓人と腕を組み、ゆっくりと歩く桃華。
みんなが笑顔で拍手をして祝福してくれる。
派手に号泣する拓人の両親。
離れたところからでも、目立つくらいに派手に頭上で拍手を送るNEVERのメンバー。
その隣で微笑ましく拓人を見守る、マネージャーの松本、事務所関係者。
反対側には、目頭をハンカチで拭う桃華の両親
優しく拍手を送るユウスケの姿
願い叶え隊の隊長、城ケ崎を先頭に新井や、桃華がボランティアを通して知り合ったボランティア隊員も優しい笑みを浮かべていた。
フラワーシャワーをくぐりながら、チャペルの外に出ると、教会の中でも見えた、綺麗な海の青と空の青が広がる。
まだ春先の冷たい風が頬を撫でる。
遠くに見える水族館──。
あそこの海岸でペアリングをもらい、プロポーズを受けた。
2人の思い出の場所──。
真上を見ると、少し大きな丸い雲と少し小さな丸い雲が、まるで寄り添って歩く拓人と桃華のようにフワフワと流れていた。
桃華の周りに集まる独身の女性──。
みんな桃華の手元にあるブーケを待っているのだ。
その中には、ミカの姿もあった。
拓人は桃華のことを考えて、はじめは呼ぶのをためらっていたが、
「ミカさんが来たいと思ってくれてるなら呼んであげて」と桃華が言ってくれたからだ。
桃華は今もミカを恐く感じてしまうけれど、同じように拓人を好きだったことには変わりない人──。
拓人を好きになってしまう気持ちは、桃華もよく分かっている。
だからこそ、ミカには幸せになって欲しいなとは願っていた。
──みんなに幸せが届きますように……。
そんな想いをブーケに込めた。
桃華の手を離れ、空高く舞い上がるブーケ。
その時、フワッと優しい風が流れた。
風に乗って斜めに流されるブーケ。
「あ……」
桃華は不安そうにその先を見つめる。
「……いてっ! って、えっ!? 俺……!?」
桃華の不安も束の間で、ちゃんと人の手によってブーケは受け止められた。
「何でおまえやねんっ!」
カイトの大きな声が飛ぶ。
風に流されたブーケは、深紅の髪にぶつかり、ヒロの手へと渡ったのだ。
自分には飛んで来ないと思ってよそ見をしていたヒロは、自分の手元にあるブーケを見つめ、大きな目を真ん丸にしている。
NEVERのメンバーに散々からかわれるヒロを、拓人と桃華は顔を見合わせて笑った。
桃華はそっと目を閉じる。
そして、そっと2人の唇は重なり合った──。
その直後、薄暗かった教会は、歓声とともに明るくなった。
唇を離し、2人が光のさす方向を見ると、目の前の大きなガラス張りの壁の向こうには、海の青、空の青が広がっていた。
真っ青な空はまるで、海と繋がっているようで、無限にその世界が広がっているようにさえ感じた。
拓人と桃華が見つめ合うと、お互いの目は涙で潤んでいた。
拓人と腕を組み、ゆっくりと歩く桃華。
みんなが笑顔で拍手をして祝福してくれる。
派手に号泣する拓人の両親。
離れたところからでも、目立つくらいに派手に頭上で拍手を送るNEVERのメンバー。
その隣で微笑ましく拓人を見守る、マネージャーの松本、事務所関係者。
反対側には、目頭をハンカチで拭う桃華の両親
優しく拍手を送るユウスケの姿
願い叶え隊の隊長、城ケ崎を先頭に新井や、桃華がボランティアを通して知り合ったボランティア隊員も優しい笑みを浮かべていた。
フラワーシャワーをくぐりながら、チャペルの外に出ると、教会の中でも見えた、綺麗な海の青と空の青が広がる。
まだ春先の冷たい風が頬を撫でる。
遠くに見える水族館──。
あそこの海岸でペアリングをもらい、プロポーズを受けた。
2人の思い出の場所──。
真上を見ると、少し大きな丸い雲と少し小さな丸い雲が、まるで寄り添って歩く拓人と桃華のようにフワフワと流れていた。
桃華の周りに集まる独身の女性──。
みんな桃華の手元にあるブーケを待っているのだ。
その中には、ミカの姿もあった。
拓人は桃華のことを考えて、はじめは呼ぶのをためらっていたが、
「ミカさんが来たいと思ってくれてるなら呼んであげて」と桃華が言ってくれたからだ。
桃華は今もミカを恐く感じてしまうけれど、同じように拓人を好きだったことには変わりない人──。
拓人を好きになってしまう気持ちは、桃華もよく分かっている。
だからこそ、ミカには幸せになって欲しいなとは願っていた。
──みんなに幸せが届きますように……。
そんな想いをブーケに込めた。
桃華の手を離れ、空高く舞い上がるブーケ。
その時、フワッと優しい風が流れた。
風に乗って斜めに流されるブーケ。
「あ……」
桃華は不安そうにその先を見つめる。
「……いてっ! って、えっ!? 俺……!?」
桃華の不安も束の間で、ちゃんと人の手によってブーケは受け止められた。
「何でおまえやねんっ!」
カイトの大きな声が飛ぶ。
風に流されたブーケは、深紅の髪にぶつかり、ヒロの手へと渡ったのだ。
自分には飛んで来ないと思ってよそ見をしていたヒロは、自分の手元にあるブーケを見つめ、大きな目を真ん丸にしている。
NEVERのメンバーに散々からかわれるヒロを、拓人と桃華は顔を見合わせて笑った。
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