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3.黙って会いに来ないでください!
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「ちょっと奈緒! 何でそんなことになってるのよ!」
私の部屋で、梨緒は目くじらをたてて私に怒鳴る。
「私だって奈緒が本郷さんを好きなら応援したいと思ってたよ? でも、何で私の姿のまま話を進展させてるのよ」
「仕方ないじゃない。本当は今日限りにしようと思ってたんだから。そしたら、あらぬハプニングがあって、そういうことになっちゃって……」
家に帰って、本郷さんと期間限定で付き合うことになってしまったことを梨緒に話した途端、これだ。
私が悪いのなんて、百も承知で話したけれど、さすがにガミガミと怒られるのは、気持ちのいいものではない。
「仕方ないって、そうじゃないでしょ? 奈緒には自分の意思ってものがないの? そんなんじゃ、流されるままに奈緒の初めてのキスもエッチも、私の姿のまま本郷さんに持っていかれちゃうよ!」
ストレートに聞いてるこっちが照れるような単語をポンポン言ってくる梨緒に、思わず飲んでいた麦茶を吹き出しそうになる。
「も、もう! そういうこと言わないでよ、恥ずかしい!」
「二十七にもなったら普通だよ。奈緒みたいなのが少数派だって」
まぁ、確かに恋愛経験豊富な梨緒からしたら、私なんて恋愛初心者中の初心者だけどさ。
「あー、もう! 啓くんに奈緒のこと話しとこう。街中で私の姿をした奈緒と本郷さんが歩いてるのを見られて、浮気だなんて勘違いされたら、堪まったもんじゃない」
そう叫んで、ものすごい早さで梨緒はスマホの画面の上に指を滑らせ始めた。
今の梨緒の彼氏は、啓くんっていうのか。
白鳥さんの元彼だとは聞いたけど、もう一年弱は付き合ってる気がする。
わりと本気らしく、梨緒にしては長続きしてる方だ。
「また奈緒には私のメイクの仕方を教えるから。今度から自分でやってよね」
私のベッドの上にぼすんと仰向けに倒れ込んで、梨緒は天井に向かってため息を吐き出した。
「奈緒はさ、本郷さんとどうなりたいの?」
「どうって……」
「このままずるずる私の姿で進展させたって、どんどん本当のこと言いづらくなるだけだよ?」
まぁ、確かにそうなんだけどさ。
本郷店長と本郷さんが同一人物に間違いないことは、先日連絡先を交換して明らかになった。
電話帳に登録した電話番号が“本郷店長”として登録したものと一致したのだ。
もし本郷店長が、梨緒の姿で会ってる私が職場で一緒の高倉奈緒だって気づいたら、どうなるのだろう?
本郷店長は、高倉奈緒のことをそんな風に見ていないのに……。
「……三ヶ月経ったら、今度こそちゃんと本郷さんとは終わりにするよ」
やっぱり私には、本郷店長に高倉奈緒だと打ち明けることの方が無理だ。
ただ単に梨緒の代わりに行った合コンで出会った人、というだけならまだしも、職場の上司として高倉奈緒と出会ってしまってるんだから。
「奈緒って、いつもそうだよね。嫌なことは先送り。それって、本郷さんのためにも、奈緒のためにもならないよ?」
「そうかもしれないけど……」
「まぁ、奈緒がやりたいようにやってくれたらいいけど、あまり私の姿で派手なことやらないでよね?」
「う、うん。ごめん、梨緒……」
本郷店長のためにも、私のためにもならない、か……。
確かに、いずれは別れなきゃならないってわかりきってるのに、三ヶ月付き合ってみて考えるなんて、本当にナンセンスなのかもしれない。
だけど、それで“お互いのことを知った上で返事がほしい”と言った本郷店長が納得してくれるのなら、そうするしかないとも思った。
私の部屋で、梨緒は目くじらをたてて私に怒鳴る。
「私だって奈緒が本郷さんを好きなら応援したいと思ってたよ? でも、何で私の姿のまま話を進展させてるのよ」
「仕方ないじゃない。本当は今日限りにしようと思ってたんだから。そしたら、あらぬハプニングがあって、そういうことになっちゃって……」
家に帰って、本郷さんと期間限定で付き合うことになってしまったことを梨緒に話した途端、これだ。
私が悪いのなんて、百も承知で話したけれど、さすがにガミガミと怒られるのは、気持ちのいいものではない。
「仕方ないって、そうじゃないでしょ? 奈緒には自分の意思ってものがないの? そんなんじゃ、流されるままに奈緒の初めてのキスもエッチも、私の姿のまま本郷さんに持っていかれちゃうよ!」
ストレートに聞いてるこっちが照れるような単語をポンポン言ってくる梨緒に、思わず飲んでいた麦茶を吹き出しそうになる。
「も、もう! そういうこと言わないでよ、恥ずかしい!」
「二十七にもなったら普通だよ。奈緒みたいなのが少数派だって」
まぁ、確かに恋愛経験豊富な梨緒からしたら、私なんて恋愛初心者中の初心者だけどさ。
「あー、もう! 啓くんに奈緒のこと話しとこう。街中で私の姿をした奈緒と本郷さんが歩いてるのを見られて、浮気だなんて勘違いされたら、堪まったもんじゃない」
そう叫んで、ものすごい早さで梨緒はスマホの画面の上に指を滑らせ始めた。
今の梨緒の彼氏は、啓くんっていうのか。
白鳥さんの元彼だとは聞いたけど、もう一年弱は付き合ってる気がする。
わりと本気らしく、梨緒にしては長続きしてる方だ。
「また奈緒には私のメイクの仕方を教えるから。今度から自分でやってよね」
私のベッドの上にぼすんと仰向けに倒れ込んで、梨緒は天井に向かってため息を吐き出した。
「奈緒はさ、本郷さんとどうなりたいの?」
「どうって……」
「このままずるずる私の姿で進展させたって、どんどん本当のこと言いづらくなるだけだよ?」
まぁ、確かにそうなんだけどさ。
本郷店長と本郷さんが同一人物に間違いないことは、先日連絡先を交換して明らかになった。
電話帳に登録した電話番号が“本郷店長”として登録したものと一致したのだ。
もし本郷店長が、梨緒の姿で会ってる私が職場で一緒の高倉奈緒だって気づいたら、どうなるのだろう?
本郷店長は、高倉奈緒のことをそんな風に見ていないのに……。
「……三ヶ月経ったら、今度こそちゃんと本郷さんとは終わりにするよ」
やっぱり私には、本郷店長に高倉奈緒だと打ち明けることの方が無理だ。
ただ単に梨緒の代わりに行った合コンで出会った人、というだけならまだしも、職場の上司として高倉奈緒と出会ってしまってるんだから。
「奈緒って、いつもそうだよね。嫌なことは先送り。それって、本郷さんのためにも、奈緒のためにもならないよ?」
「そうかもしれないけど……」
「まぁ、奈緒がやりたいようにやってくれたらいいけど、あまり私の姿で派手なことやらないでよね?」
「う、うん。ごめん、梨緒……」
本郷店長のためにも、私のためにもならない、か……。
確かに、いずれは別れなきゃならないってわかりきってるのに、三ヶ月付き合ってみて考えるなんて、本当にナンセンスなのかもしれない。
だけど、それで“お互いのことを知った上で返事がほしい”と言った本郷店長が納得してくれるのなら、そうするしかないとも思った。
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