ヨーコとあの白い灯台と

こいちろう

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8月

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 ヨーイチは卓球部に入っている。弱い部活だし、怖い先輩がいない。朝練もないし土日に練習することもない。楽だからだ。
 釣り友達のヨシキくんもタケちゃんも卓球部だ。島内四つの中学校で一位のチームが県大会に出場するんだけど、これまで一度も勝った事がない。練習場所だって公民館の講堂を使っているから、町内の行事があるたびに中止になる。卓球台は二台しかない。でも一台は女子が使う。だから男子も一台だ。
 屋ノ浦中はあまり部活が強くない。県大会に出場するのはヒロ兄のいる柔道部とヨーコのいるテニス部くらいだ。大体、生徒の数のわりに部活の数が多すぎるんだ。設備だってほとんどないのに。
 夏休みは、女子と男子が午前と午後に分けて練習する。だから本気で練習をしようと思えばできる。講堂全体を使って、卓球台も二台使って練習できるんだ。ところが、七月の終わりにあった島内の県大会予選で負けた。すると三年生は引退だ。あとは一二年生の五人だけ。気の弱い二年生の新キャプテンと副キャプテンじゃあ一年生三人はやる気も出ない。おまけにお盆から先はずっと休みだ。

 三人で「釣り部」にでもするか。
 夏の波止は暑くて釣りどころじゃない。でも、やっぱり釣りをするかあとは泳ぐくらいしかやることがないんだ。『真っ青な海!そして青い空』といえば観光雑誌にでも出ていそうだが、それっきりだ。あとは何もない。
 東京にいるときはこんな青い空なんて見たことがなかった。晴れていてもどんよりとススけて汚れた空。街中を歩いていると光化学スモッグでめまいがしてくる。それに比べたら、屋ノ浦の自然は天国だ。天国の中で自由に遊べるんだ。不満を言ってちゃバチが当たるぞ!ほら、雲一つない青い空を見ていると、気持ちよく吸い込まれていきそうじゃないか。
 それにしても暑い!ユーイチ先生の家も暑い!離れの二間は西向きの障子張りだ。あとは押し入れと壁だから風が全然通らない。一番涼しいのは土間の上、直に土だ。ユーイチ先生も土間に桟板をいっぱい並べてそこで生活し始めた。学校の古い壊れた桟板を譲ってもらったらしい。技術の西野先生に修理してもらったんだそうだ。ユーイチ先生はその上に座卓を置いてステテコ姿で勉強している。新任の教師は夏休みも研修会が多いし宿題もたくさんあるらしい。
 今日も釣り部の三人が、釣り練習の帰りがけにユーイチ先生の勉強を邪魔しにいった。なんたって、行き先のない一年三組の連中には居心地のいい避暑地だ。土間の桟板に座り込んで、もらったアイスキャンデーを食べていると、とんでもない大男が突然出現した。ひげがもじゃもじゃでまるでクマみたいな男だ。
「おう、兼田。よく一人で来れたな」
「いや参った。小川の手紙を見ながらやってきたが、とんでもない田舎だな!」
 ユーイチの大学時代の友達だそうだ。東京の小学校の先生、二年生の担任なんだそうだ。こんな大男が担任なんて、小学校二年生には怖くてしょうがないだろうに。
「小川が書いていたとおり、新幹線を降りて屋ノ浦行きのバスを探したがこれが全然無いんだ。案内所で聞いたら、大屋島行きに乗って橋を渡った所にバスセンターがあるから、循環バスに乗り換えろって教えてもらった。バスセンターというからどんな大きな所かと思ったらただのバス停じゃないか。循環内回りってのがすぐに来たからそれに飛び乗ったらこれが時間がかかること。運転手さんに聞いたら、外回りの方が半分の時間ですんだみたいだな」
「それは手紙に書いただろ。よく読めよ。相変わらずだなあ」
「しかしだ、のんびりして空気がいい。実にいいところだ。気に入ったぞ。この三人は小川の教え子かい?」
いちいち声が大きいから、なんか叱られているみたいだ。
「うちのクラスの仲良し三人組だ」
「おっ、五右衛門風呂があるじゃないか。入れてもらうぞ。汗でびしゃびしゃだ」
クマ男はさっそく着ているものを脱ぎ捨てた。そして、土間の隅にあるクモの巣だらけの風呂に入ろうとする。
「薪で焚くから湧かすのに時間がかかるぜ」
「なに、水風呂でじゅうぶんだ」
大男はそんなことお構いなしだ。
「それなら、しばらくは鉄さびが出るだろうから、蛇口をひねって出しっぱなしにしてから入るといい」
 なんたって下半分だけ仕切られた、時代劇に出てくるような五右衛門風呂だ。上半分は丸見えだ。顔だけじゃなく体中が毛むくじゃら。立ったままで鉄さびの茶色い水を何度もかぶって、大声で気分良さそうに鼻歌を歌っている。こんなやつ、東京人じゃあない。文明とはほど遠い野蛮人だ。よほど、屋ノ浦の人の方が都会人だ。
「おっ、君らいい釣り竿を持ってるじゃないか。そうか、これからいくのか。ちょうどいい、一緒に連れてってくれよ」
今行って帰った所なのに大男の強引な誘いに付き合うことになった。
 夕方の波止は、沈んでいく夕陽がギラギラ照り返してまぶしい。陽が沈みきるまではまだ暑いんだ。でもこれからが一番よく釣れる時間帯だ。灯台にも明かりがついた。入れ食い状態だ。いつものベラやメゴチやエソに混ざって、イトヨリやメバルもよくあがる。
「こりゃあ楽しいや。君らと出会って今日は運がよかった。おっ、へんな魚がかかったぞ。これは新種か?」
うれしそうに大男は言って、針に引っかかったハオコゼを手のひらでぎゅっと握った。
「あっ、それ触っちゃ・・・」
「わっ痛てえぞお!」
言わんこっちゃない。手が腫れ上がるぞ。
「こいつは小さいけれど毒針があるんだ」
ユーイチ先生は友人が刺されたのに楽しそうに笑っている。近くの船だまりにいたヨーコのおじさんに、家まで連れて行かれて手当をしてもらった。大男は情けない顔でユーイチの家に帰っていった。

 その夜、ヨーイチは置き忘れた釣り竿を取りにユーイチ先生の家へ行った。土間に入りかけたとき、ユーイチと兼田先生がビールを飲みながら大声で話していた。
「ようやっと受け持ちの子たちに慣れてきたよ。でもさっきいた中本陽一、クラスの中であの子が一番難しい。声をかけることくらいいくらでもできるんだが、返事がちょっと返ってくるだけで、話が続かないんだ。何を話しかけても話が続かない。どうしても気持ちをつかめない子だ。心から笑ったことがないんじゃないかな。生徒の気持ちって難しいよ」
ヨーイチは釣り竿を忘れたままにして帰っていった。
 一年三組の問題児って田嶋じゃなくてヨーイチだったんだ。
 そうか、オレ、心から笑ったことがないのか・・・


 次の日、大男が学校にやってきた。ユーイチについてきたんだ。卓球部が練習をしていた公民館に、顧問の森下先生と一緒にやってきた。森下先生は年配の先生でほとんど部活に顔を出さない。
「こちらの兼田先生は東京で有名な卓球の指導者です。今日一日だけですが、しっかり指導してもらいなさい」
 えっ!東京で有名な?知らないぞ!
 でも、確かに卓球はうまかった。教え方もうまい。タケちゃんなんか見る見るうちに上達した。二時間びったり。こんなに部活で疲れたのは初めてだ。
「最初君たちを見たときにさ。なんかつまんなそうに、ダラダラと練習していたよなあ」
床にぐったりしてしゃがみこんだ五人を前に兼田先生は言った。
「つまんない顔をしていたら、つまんない気持ちがみんなに伝染してしまって、余計つまんない練習になっちまうぜ。笑って部活を楽しもうよ。『わらう』って漢字はさ、たけかんむりに犬って書くじゃないか」
「えっ、たけかんむりに犬かァ?確か犬じゃなかったような」
「いや、もとは犬だったんだよ」
そう言って兼田先生が話してくれた。

 昔ね、中国で戦争ばっかりしていた時代があったんだ。日本の戦国時代みたいなもんだね。もう何年も何十年も戦争が続いた。農村からも若者がみんな戦争にかり出されて、働き手がいなくなった。村は年寄りばかりになって、すっかり寂しくなったんだ。
 そのうち村の人はみんなわらわなくなった。わらう気力もなくなったんだね。そんなみんなが暗い気持ちなっていた時に、村にようやく一人の若者が帰ってきた。あんまり戦争が続くもんだから、どちらの国も兵隊がたくさん死んで、武器もなくなり食べ物もなくなって、戦争を続けられなくなったんだね。それで生き残った兵隊はちりじりになったんだ。
 ようやっと若者が一人帰ってきた。でも、昼間なのに村じゅうみんな元気がない。あちこちですわりこんで全く動こうとしない。若者も元気のなくなった故郷の人たちをみてがっかりした。戦争が故郷まで変えてしまったんだ。
 突然一匹の犬が一目散に若者のそばに駆け寄った。飼い主を覚えていたんだね。犬はもう、うれしくてうれしくてたまらない。若者の足下でじゃれついてはちょっと離れて吠えかけたり、周りをぐるぐる走り回ったり。広場じゅうを飛び跳ね回って、いつまでも若者の帰りを歓迎した。あんまり飛び回るもんだから、その辺りのいろんな物にぶつかったりして、そのうち干してあった竹カゴにぶつかったんだな。思いっきりぶつかったものだから、竹カゴは宙高く、くるくる舞って、走り回ってる犬の頭にすっぽりかぶさった。
 急に前が見えなくなった!慌てたんだろうね。犬は跳ねのけようと必死に飛び回る。飛んだり跳ねたり、自分の頭の上のじゃまものを取ろうと必死で飛び回ったんだ。でも、跳ねても跳ねても、竹カゴは頭に乗っかったままだ。走って跳ねて、まるで踊ってるみたいだった。やがて、ご主人様がわらいながらカゴを取って、体を抱き寄せ頭をなでてくれた。目の前がやっと明るくなって、犬は思いっきり尻尾を振った。そしてご主人様に甘えた声で鳴きながら、疲れた若者の顔を長い舌で嘗め回した。
 その姿があんまりおかしくてみんなが大わらいした。みんなうれしかったんだ。若者が村に帰ってきた事と、犬がご主人様のお帰りを喜んで思いっきりはしゃいでいるのが、おかしくて、うれしくて仕方なかったんだよ。みんな楽しいことに飢えていたんだ。もうずっとわらうってことを忘れていたんだね。だから、いつまでもいつまでもわらったんだ。
「犬が竹かごをかぶってわらう!だからたけかんむりに犬で『笑う』なんだよ。いいかい、一人が楽しいと思えばその周りのみんなも楽しくなるんだ。一人が笑えばそれにつられてみんなが笑い出す。逆に一人がつまらなそうにしているとそんな気持ちがみんなに伝染していくんだ。せっかく卓球をやるんだぞ。いやな顔をせずにみんなで卓球を楽しもうじゃないか」
 なるほど、説得力はある。でもたけかんむりに犬なんて、すぐに分かるようなうそをつくっちゃあいけないよ。
 この話をヨシキくんがあとでユーイチに話していた。
「兼田は昔から大ホラふきで有名なやつだった。でも、あいつのホラはいつも説得力があるんだ。たけかんむりに夭だろ。夭って字は若者の事を指すんだから、まあちょっとだけ合ってるか」
と言っていた。
 ユーイチ先生に足りないのはその大ホラふきだ。ホラでもなんでも生徒が納得できなきゃだめなんだ。
 卓球部で一番つまらなさそうな顔をしているやつって、ヨーイチだ。オレがユーイチを苦しめる一番の問題児?そして、卓球部をつまんなくしている一番の張本人も?
 そうだったのか・・・


 お盆に入ると急に大屋島の人口が増えてくる。帰省してきた人でどこに行ってもいっぱい人であふれている。夕方、中町の商店街を通ったら、まるで銀座みたいな賑わいだ。ふだんは雨戸を閉めたっきり開いていないような店も開いていて、店先に赤々と提灯を並べてぶら下げている。
 ヨーイチの母親も帰ってきた。映子は付きっきりでしゃべっている。これが長いんだ。ヨーイチも言いたいことはある。でももういい、映子をさえぎってまで話すようなことじゃない。面倒くさい。
 父さんと母さんのことだろ。そんなことなんてどうだっていいじゃないか。
 今夜は大屋島の花火大会だ。ヨーコの家に夕方から呼ばれている。家の前が波止場で、その向こうに屋ノ浦湾が広がっている。浜を向いた縁側は花火見物には絶好の場所だ。その庭先でおじさんがバーベキューの準備をしている。おばさんと母さんはそれを手伝いながら二人でいつまでもしゃべっている。ヨーコと映子が時々それに口を挟む。なんか四人は仲がいい。
 ヨーイチは一人で波止の先っぽまで出てみた。昼間は太陽がギラギラして暑かったが、陽がかげてくると浜風が涼しく吹いてくる。波止の先っぽの白い灯台。その横に階段があって、外海の波消ブロックに降りれるようになっている。そこでヒロ兄と二人の仲間が座り込んでいた。頭をくっつけ合って何かしている。
 煙だ!タバコの煙だ。タバコを吸っている。こんな所に隠れて。
 ヨーイチは初めてヒロ兄がタバコを吸っているところを見た。灯台のそばからのぞいているヨーイチを見上げて、ヒロ兄は怖い顔をして言った。
「こらヨーイチ、人にしゃべるんじゃないどォ」
初めてヒロ兄のことを怖いと思った。
「お前もここへ下りてきて、一本吸わんか」
ヒロ兄にいつもくっついている杉田が言った。
「バカタレ!ヨーイチを誘うんじゃない!」
ヒロ兄はそう言って、ヨーイチを手で追い払うようにして帰れといった。
 完全に日が沈み辺りが暗くなった。ポーンと最初の花火が打ち上がった。沖永家のバーベキューも始まった。
「さと子お帰り、久しぶりじゃったのオ」
さと子というのはヨーイチの母親だ。おじさんもおばさんも同級生で昔から仲が良かったらしい。
「乾杯!」
三人でビールを飲んで楽しそうに思い出話をしている。気楽なもんだ。ヒロ兄は二人の仲間を連れてバーベキューの周りを占領した。
 ヨーイチは一人離れて花火を見ていた。沖永家の直ぐ先が船だまりになっている。その船だまりを囲むように防波堤がへの字に曲がっていて、先っぽに立った灯台が白い光を点滅している。船の出入り口を挟んでもう一本防波堤があって、ずっと向こうの東浜の方から伸びている。そちらには赤い灯台。二つの灯台の向こうは真っ暗な海だ。その上空の暗闇に次から次へと花火が打ち上がった。一瞬周りの海が花火色に染まる。そのたび明るく輝いてまたすぐに暗くなる。
「ねえ、どうしたん?一人で」
いつの間にかヨーコと映子がそばに来た。
「ねえ、なんでおばさんとしゃべらんの?おばさん、寂しそうにしとったよ」
「別に・・・。別にしゃべることもねえし」
「そうなん?でも、久しぶりじゃろ」
「久しぶりだろうが何だろうが、こっちにはしゃべることなんて何にもねえしな」
 うそだ。母さんが来たらあれも話そう、これも話そうと今まで思っていた。でも、久しぶりに母親を前にするとしゃべれなくなった。
 いや、軽々しくしゃべっちゃいけないんだ。こっちからしゃべっちゃいけない。もっと重いんだよ!
なぜかそう思った。
「ヨーちゃん、まだ怒ってるんだ」
映子が言う。図星だ。でもただ怒ってるだけじゃない。なんと言ったらいいのか、自分でもよく分からない。
「怒ってなんかねえよ。でもな、しゃべることなんてねえし・・・。なんにもねえよ。オレ一人で帰るからそう言っといてくれ」
そう言って、ヨーイチはじいちゃんちまで帰って行った。
 母親は寂しそうに言った。
「陽一が一番寂しいんだよね」
「そうね、ふだんは元気そうだけど。男の子って難しいよね」
おばさんがそう言ってうなずく。
「いや、陽一は素直なええ子じゃ。ただ、さと子の事が心配なんじゃ。自分の気持ちは押さえて母親には心配かけまいとあいつなりに気を遣ってるんじゃ」
そうおじさんが言うと、ヒロ兄は肉を頬張りながら、
「そうじゃ、そうじゃ」と相づちを討った。
「洋士くん、陽子ちゃん、陽一のことお願いね」
ヨーイチの母親は二人に手を合わせて言った。

 ヨーイチは日頃になく賑やかな中町商店街を歩いた。クラスのみんなと顔を合わせた。たいがいが家族連れで歩いている。久しぶりに親戚みんなが集まって、今までたまった話を一気に話すもんだから、いつもは静かなこの島じゅうがうるさくて仕方がない。
 人通りを避けて学校の裏道を通り、遠回りしてじいちゃんちに帰った。途中、ミカン畑のあぜ道に見慣れた小さい茶色のワゴン車が止まっていた。そのそばに二人の若い男女。ユーイチと大浜中の新任の先生だ。二人とも浴衣を着て、団扇を持って空を眺めている。
 そうかこんな所から二人で花火を見ていたんだ。でも花火はとっくに終わったんだぞ。早く帰れよ。
「あっ。流れ星だ!初めて見たッ。」
「しまった!願い事を言うのを忘れた!」
うそつけ、この間兼田先生が来たとき、波止でいくつも見てたじゃないか。
 まあ、ユーイチはユーイチで人生を楽しんでるんだ。  
でも、オレには関係ねえ。星なんかに願ったってどうしようもねえしさ。
 翌日母は帰っていった。結局ヨーイチとは何も話さなかった。
          
 
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