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第27話 続・酒造り
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エールの製造に成功した僕達は、次の酒造りにチャレンジした。この酒は、長い熟成の果てに、美味しさがある。そのために、倉庫は十分な広さとなるべく気温、湿度が一定にする必要がある。倉庫は、総レンガ造りで、外壁には、漆喰を塗り、内側には珪藻土の漆喰を塗ることにした。珪藻土は、海底から土魔法で採取することが出来た。
出来上がった倉庫は、村で一番大きな建物となった。ゴードンが呆れ顔になっていたのが印象的だ。一方、ミヤは、大はしゃぎしていた。
ハナによる樽づくりも効率が良くなってきており、日に日に樽が量産されていった。本当に、樽がこの倉庫を埋め尽く日は遠くないだろう。
前回、エールづくりをした時は、僕が、指揮をとっていたが、これからは、付きっきりというわけにはいかない。そのために、この倉庫の責任者兼製造責任者を決めたいと思っている。すると、真っ先に手を上げたのは、エール作りに携わってくれたミヤの眷属の一人と、自警団の一人だった。この二人は、エール作りの時は、一生懸命にやってくれたことは覚えている。
眷属の一人を任命することについて、ミヤは反対しなかった。聞いたら、眷属の子の家業は魔酒の蔵元だったらしい。道理で、手際がいいと思ったよ。
この他に、特に名乗り出るものがいなかったので、僕は二人を任命した。元自警団のルドットには、倉庫の管理人と製造責任者助手にした。眷属の一人の子には、製造責任者を任命した。
恒例になったが、ミヤの眷属の命名をさせられた。名は、スイと名乗らせることにした。
「スイとルドットよ。これからの酒の品質は君たちの腕にかかっているから、肝に銘じて欲しい。僕も最初は手伝うが、それからは、君たちにすべてを任せたいと思っている。よろしく頼む」
二人は、頷く。真剣な眼差しをしている……いい眼だ。しかし、気が抜けたのか、ルドットが、スイのことをチラッと見ては、恥ずかしそうにしている。ルドットもいい年だし、スイも美形だからな……ここは、暖かく二人を見守っていこう。
さて、準備も出来たことだし、早速、酒造りをしよう。基本的にはエールと同じだ。酵母には、天然酵母ではなく、エールを作る過程で出来たエール酵母を使うことにした。大量に手に入るし、短時間で発酵が出来るのだ。
「ロッシュ村長」
スイが話しかけてきた。
「ここまでは、エールと大して違いはないと思うですけど……」
「そうだね。これから、蒸留という過程を行うのだよ。そうすることで、アルコールと香りを濃縮することが出来るんだ」
「ロッシュ村長は、その知識をどこで手に入れたのですか? それは、魔酒作りの秘伝中の秘伝。口伝のみでしか伝えられないものなんですよ!! 」
え!? そうなの? さすがに、転生者なので知っていますとは言えないよな。 すると、エリスがすかさず、助けてくれた。
「ロッシュ様の知らないことはないのです。スイもロッシュ様の偉大さがこれでわかったことでしょ? 」
スイは、急に僕に対して、尊敬の眼差しを向けだした。
「ロッシュ村長に失礼なことを申しました。その……ここでは、無理だと思って諦めていたんですが、魔酒作りも行ってもよろしいでしょうか? 」
前にミヤが言っていた魔酒って言葉が出てきたな。ミヤを虜にする酒か……すごく気になるな。蒸留するってことは、分類的には蒸留酒になるよな。原料が違うのかな?
「スイ。その魔酒っていうのは、何が原料なんだい? 」
「はい。魔界で採れるべガーブという植物の茎からつくります」
「しかし、ここは魔界じゃないぞ。べガーブというのはないんじゃないのか? 」
「いえ。魔の森で、以前発見しております。魔素が豊富なあの土地ならば、べガーブの品質はそれなりになると思うので、すばらしい魔酒が出来るものと考えています」
「そこまで、考えているのなら、魔酒の製造もよろしく頼むぞ。蒸留の装置は、間もなく到着するだろう。先程、カーゴの工房から連絡が来たからな」
麦汁を、2度程蒸留し、ハナの作った樽に、注ぎ込んでいった。今年の収穫分の麦だから、大して出来なかったが、10樽ほど作ることが出来た。ここからは、スイとルドットに任せることにしよう。
数日後、スイが屋敷を訪ねてきた。どうやら、魔酒づくりのための、べガーブの実を採取するための許可と採取隊の結成をお願いだった。僕も、べガーブの実とやらがすごく気になっていたので、僕を含め、ミヤの眷属で構成する採取隊が結成された。
村は、すでに雪に覆われ、身動きも難しくなってきているのだが、すぐ南の魔の森は、冬を感じさせなかった。雪もなく、以前は秋に行ったが、その時と全く変わっていなかった。ここだけは、ずっと季節が一定なのだろうか。
ミヤの眷属達は、軽い足取りで、魔の森に入っていく。僕は、息を切らせながら何とか付いていったが、やがて、付いていくことが難しくなった。ミヤ達は、僕に気を使って、少し開けたところに拠点を作って、休むことが出来るようにしてくれた。
ミヤと眷属達は、そのまま、採取をするため、先に進むようだ。拠点には最小限の眷属だけが残った。眷属達は、僕にピッタリとくっついて離れようとしない。美女にくっつかれると、居たたまれなくなってくる。僕は、ちょっと用を足しに言ってくる、と告げると、眷属達が付いてこようとしたので、さすがに、付いてこないでくれと懇願した。
結局、少し離れた場所から護衛することで妥協することになった。僕は、拠点から、少し森に入った。すると、眼の前には、湖が広がっていた。その湖は、森に覆われ、木漏れ日が差し、少し薄暗いが、湖面が光を反射して、キラキラと輝いていた。これほどの透明な湖なんて見たことがないな。
僕は、湖に足を入れ、湖の縁に腰を下ろした。すごく気持ちいいや……ん? なんか動いたな。まさか、魔獣か?
遠目だが、はっきりと分かった。そこでは、裸の女性が水浴びをしていた
出来上がった倉庫は、村で一番大きな建物となった。ゴードンが呆れ顔になっていたのが印象的だ。一方、ミヤは、大はしゃぎしていた。
ハナによる樽づくりも効率が良くなってきており、日に日に樽が量産されていった。本当に、樽がこの倉庫を埋め尽く日は遠くないだろう。
前回、エールづくりをした時は、僕が、指揮をとっていたが、これからは、付きっきりというわけにはいかない。そのために、この倉庫の責任者兼製造責任者を決めたいと思っている。すると、真っ先に手を上げたのは、エール作りに携わってくれたミヤの眷属の一人と、自警団の一人だった。この二人は、エール作りの時は、一生懸命にやってくれたことは覚えている。
眷属の一人を任命することについて、ミヤは反対しなかった。聞いたら、眷属の子の家業は魔酒の蔵元だったらしい。道理で、手際がいいと思ったよ。
この他に、特に名乗り出るものがいなかったので、僕は二人を任命した。元自警団のルドットには、倉庫の管理人と製造責任者助手にした。眷属の一人の子には、製造責任者を任命した。
恒例になったが、ミヤの眷属の命名をさせられた。名は、スイと名乗らせることにした。
「スイとルドットよ。これからの酒の品質は君たちの腕にかかっているから、肝に銘じて欲しい。僕も最初は手伝うが、それからは、君たちにすべてを任せたいと思っている。よろしく頼む」
二人は、頷く。真剣な眼差しをしている……いい眼だ。しかし、気が抜けたのか、ルドットが、スイのことをチラッと見ては、恥ずかしそうにしている。ルドットもいい年だし、スイも美形だからな……ここは、暖かく二人を見守っていこう。
さて、準備も出来たことだし、早速、酒造りをしよう。基本的にはエールと同じだ。酵母には、天然酵母ではなく、エールを作る過程で出来たエール酵母を使うことにした。大量に手に入るし、短時間で発酵が出来るのだ。
「ロッシュ村長」
スイが話しかけてきた。
「ここまでは、エールと大して違いはないと思うですけど……」
「そうだね。これから、蒸留という過程を行うのだよ。そうすることで、アルコールと香りを濃縮することが出来るんだ」
「ロッシュ村長は、その知識をどこで手に入れたのですか? それは、魔酒作りの秘伝中の秘伝。口伝のみでしか伝えられないものなんですよ!! 」
え!? そうなの? さすがに、転生者なので知っていますとは言えないよな。 すると、エリスがすかさず、助けてくれた。
「ロッシュ様の知らないことはないのです。スイもロッシュ様の偉大さがこれでわかったことでしょ? 」
スイは、急に僕に対して、尊敬の眼差しを向けだした。
「ロッシュ村長に失礼なことを申しました。その……ここでは、無理だと思って諦めていたんですが、魔酒作りも行ってもよろしいでしょうか? 」
前にミヤが言っていた魔酒って言葉が出てきたな。ミヤを虜にする酒か……すごく気になるな。蒸留するってことは、分類的には蒸留酒になるよな。原料が違うのかな?
「スイ。その魔酒っていうのは、何が原料なんだい? 」
「はい。魔界で採れるべガーブという植物の茎からつくります」
「しかし、ここは魔界じゃないぞ。べガーブというのはないんじゃないのか? 」
「いえ。魔の森で、以前発見しております。魔素が豊富なあの土地ならば、べガーブの品質はそれなりになると思うので、すばらしい魔酒が出来るものと考えています」
「そこまで、考えているのなら、魔酒の製造もよろしく頼むぞ。蒸留の装置は、間もなく到着するだろう。先程、カーゴの工房から連絡が来たからな」
麦汁を、2度程蒸留し、ハナの作った樽に、注ぎ込んでいった。今年の収穫分の麦だから、大して出来なかったが、10樽ほど作ることが出来た。ここからは、スイとルドットに任せることにしよう。
数日後、スイが屋敷を訪ねてきた。どうやら、魔酒づくりのための、べガーブの実を採取するための許可と採取隊の結成をお願いだった。僕も、べガーブの実とやらがすごく気になっていたので、僕を含め、ミヤの眷属で構成する採取隊が結成された。
村は、すでに雪に覆われ、身動きも難しくなってきているのだが、すぐ南の魔の森は、冬を感じさせなかった。雪もなく、以前は秋に行ったが、その時と全く変わっていなかった。ここだけは、ずっと季節が一定なのだろうか。
ミヤの眷属達は、軽い足取りで、魔の森に入っていく。僕は、息を切らせながら何とか付いていったが、やがて、付いていくことが難しくなった。ミヤ達は、僕に気を使って、少し開けたところに拠点を作って、休むことが出来るようにしてくれた。
ミヤと眷属達は、そのまま、採取をするため、先に進むようだ。拠点には最小限の眷属だけが残った。眷属達は、僕にピッタリとくっついて離れようとしない。美女にくっつかれると、居たたまれなくなってくる。僕は、ちょっと用を足しに言ってくる、と告げると、眷属達が付いてこようとしたので、さすがに、付いてこないでくれと懇願した。
結局、少し離れた場所から護衛することで妥協することになった。僕は、拠点から、少し森に入った。すると、眼の前には、湖が広がっていた。その湖は、森に覆われ、木漏れ日が差し、少し薄暗いが、湖面が光を反射して、キラキラと輝いていた。これほどの透明な湖なんて見たことがないな。
僕は、湖に足を入れ、湖の縁に腰を下ろした。すごく気持ちいいや……ん? なんか動いたな。まさか、魔獣か?
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