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第29話 エルフの里 前半
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僕は、魔の森での出来事を屋敷の者とゴードンに話し、リリとの取引について意見を求めた。
「ロッシュ村長。こう言っては何ですが、家具ごときで村の若者をエルフの里に派遣するというのは、割に合わないのではありませんか? それに、労働力ならいざ知らず、種馬の如き扱いを受けるなど、言語道断ではありませんか。家具なら、なんとか村人でも作れるではないですか? 」
ゴードンの言っていることはもっともだ。僕もただの家具なら、同じ意見だが、魔界でそれほどまでに評価されていると聞かされると、気になってしまう。
「ゴードンさん。エルフの家具は、生活が一変してしまうほど素晴らしいものよ。私の城にも、エルフの家具があったけど、エルフが魔界から去ってしまってから、以後手に入ることはなかったわ。魔界中の職人が、同じようなものを作ろうと挑戦したけど、出来なかったものよ。こう言っては何だけど、あの家具の価値を考えれば、村の男の派遣で済むなら、安い取引だと思うわ」
ミヤが、すごい評価をしている。実物を知っているだけあって説得力があるな。やっぱり、気になってしまうな。エルフの家具。是非とも、拝みたいものだ。
「ゴードン、相談しておいてすまないが、ミヤの意見を考慮してみようと思う。家具の価値を見極める必要がある。それためには、誰か、里に赴かなければならないな。それは、僕にしかできないだろう。」
言葉に真っ先に反応したのが、ミヤだった。
「ダメよ!! エルフの里に行ったら、ロッシュが毒されてしまうわ」
「どうゆうことなの? ミヤ。ロッシュ様が、毒されるって」
「エリス。エルフは、男を魅了する力があるのよ。その効果は絶大よ。男子がいない種族だから当然の能力だと思うけど、ロッシュも子供とは言え、男子。あの魅了の力に抗えるとは思えないわ」
エリスが僕の方をちらっと見た。僕の決意は変わらないことを悟ったようだ。
「ミヤ。諦めなさい。ロッシュ様は、行くと決めたら行くお方よ。だったら、ミヤ、私達も行くしかないわね。ロッシュ様をエルフの魅了から守れるのは、私達だけなんだから!! 」
ミヤが力強く頷いて、エリスと握手して、気合を入れている。この二人、いつの間にこんなに仲良くなったんだ? とりあえず、皆の賛同?を得ることが出来たと判断した。ゴードンは、ため息をついて、呆れてただけだけど。
雪をかき分け、魔の森に到達できた。いつの間に、こんなに積もったんだ? 豪雪地帯とは知っていたが、ここまでとは……。
魔の森は相変わらず、穏やかな気候だった。暑くもなく寒くもなく。魔獣がいなければ、住みたいくらいだよ。
僕は、リリからもらった鈴を鳴らした……しかし、何も起きなかった。あれ? もしかして、リリに騙されたのかな? それとも使い方が違う? ミヤとエリスの方を向いても、首を傾げるだけだった。その時、ミヤが明後日の方向に目を向けた。僕もミヤが向いた方をみると、リリの姿に似ている女性が木の上に立っていた。長い金髪、緑色の瞳、長く尖った耳が特徴だ。この女性は、ちゃんと服を着ていた。彼女が、エルフなのかな?
木の上にいるものだから、下から、下着が丸見えなんだけど……言うべきか。とりあえず、見てないふりをして、ミヤに確認すると、エルフのようだ。
「貴方達が、エルフの鈴を鳴らした者たちか? 」
エルフの鈴? この鈴のことかな? 僕は、鈴をエルフに見える様に掲げると、エルフは木から降りてきた。気になって仕方なかったからね。降りてくれて助かった。
「リリ様がお待ちよ。案内するわ」
言葉少なめに、僕達を里へ誘導してくれるようだ。エルフが、僕を見る目が獲物を狙うような感じを時々受けるけど……。
エルフの案内は、森を右に左に移動するため、僕達がどっちに向かっているのか、どこにいるのかが全くわからなくなっていた。僕が、少々不安に感じ始めた時、里の門らしい建造物が目の前に現れた。
「着いたわよ。ここがエルフの里。エルーダ村よ。ようこそいらっしゃいました。ロッシュ殿」
急に、歓迎の言葉を掛けられてびっくりしたが、ここは冷静にならなくては。
「案内、助かった。君のことは、リリに感謝しておこう」
エルフは頭を下げ、村の中へ案内してくれた。僕はちらっと、門を見た。門には細やかな細工が施されており、技術の高さを感じることが出来た。家具への期待が高まってくる。
村には、多くのエルフが暮らしているようだ。表に出てきたエルフだけでも100人はいるだろう。すべてのエルフが、見た目が若く、そして、美形揃いだった。ただ、みんな、胸は小さめだ。そんなエルフたちが、僕のことを、獲物のように見てくることに、戦慄を覚えていた。ちょっと、怖いかも。こんな村に、男子を派遣したら、どんなことになるか、想像も難くなかった。ちょっと、考え直してた方がいいかな。
僕は、エリスとミヤから離れないように、移動をし、ある屋敷に到着した。屋敷から、一人のエルフが現れ、右手を上げると、案内してくれたエルフが頭を下げ、去っていった。
「リリ様がお待ちです。中へどうぞ」
新たに現れたエルフが、僕達を屋敷内に誘導した。彼女は、僕に色目を使わなかったぞ。この村に来て、初めて、安心感を覚えた。
とある部屋に着くと、そこには、リリが椅子に座っていた。最初に思ったのは、服を着ててくれて良かったということだ。だけど、短いスカートから出る長い足がすらりと伸び、わざとらしく足を組み直す様が妙に色っぽい。
「よくぞ参ったの。あれから、間もなく来たの、妾に逢いたくて仕方なかったのだな。愛しの君よ」
君? ってなんだ? さっきから、足を組み直すせいで、集中して話を聞けない。
「お久しぶりですね。リリさん。ミヤです」
「ん? まさか、魔王の娘か? 大きくなったなぁ。妾が魔界にいた頃は、赤ん坊だったろうに……」
「さすがにそこまで小さくなかったですわ。今日は、ロッシュの付き添いで来たのよ。私の横にいるのがエリスよ。私達は、ロッシュの妻になる予定ですのよ」
そんな話、初めて聞いたよ。エリスが、この話を聞いて動じないってことは、何かの作戦なのかな? とりあえず、邪魔はしないほうがいいな。
「そうか。さすが、愛しの君よ。魔王の娘まで手篭めにするとは。さすが、妾が認めた男よ。なぁに、妾は、君の種を貰えれば、それでよい。そなたらの邪魔はせぬよ」
ミヤが悔しそうな顔をしている。よくわからないけど、リリのほうが一枚上手だったのかな?
「話は、ここまでにしないか。目的を忘れてもらっては困る。リリ。僕は、まず、エルフの作ったという家具を見てみたいのだが……」
「せっかちよな。君よ。妾は嫌いではないがな」
なんか、リリが言うと、性的な意味で聞こえるのが不思議。でも、僕は子供だから、分からないふりをするのが正解だな。
「ロッシュ村長。こう言っては何ですが、家具ごときで村の若者をエルフの里に派遣するというのは、割に合わないのではありませんか? それに、労働力ならいざ知らず、種馬の如き扱いを受けるなど、言語道断ではありませんか。家具なら、なんとか村人でも作れるではないですか? 」
ゴードンの言っていることはもっともだ。僕もただの家具なら、同じ意見だが、魔界でそれほどまでに評価されていると聞かされると、気になってしまう。
「ゴードンさん。エルフの家具は、生活が一変してしまうほど素晴らしいものよ。私の城にも、エルフの家具があったけど、エルフが魔界から去ってしまってから、以後手に入ることはなかったわ。魔界中の職人が、同じようなものを作ろうと挑戦したけど、出来なかったものよ。こう言っては何だけど、あの家具の価値を考えれば、村の男の派遣で済むなら、安い取引だと思うわ」
ミヤが、すごい評価をしている。実物を知っているだけあって説得力があるな。やっぱり、気になってしまうな。エルフの家具。是非とも、拝みたいものだ。
「ゴードン、相談しておいてすまないが、ミヤの意見を考慮してみようと思う。家具の価値を見極める必要がある。それためには、誰か、里に赴かなければならないな。それは、僕にしかできないだろう。」
言葉に真っ先に反応したのが、ミヤだった。
「ダメよ!! エルフの里に行ったら、ロッシュが毒されてしまうわ」
「どうゆうことなの? ミヤ。ロッシュ様が、毒されるって」
「エリス。エルフは、男を魅了する力があるのよ。その効果は絶大よ。男子がいない種族だから当然の能力だと思うけど、ロッシュも子供とは言え、男子。あの魅了の力に抗えるとは思えないわ」
エリスが僕の方をちらっと見た。僕の決意は変わらないことを悟ったようだ。
「ミヤ。諦めなさい。ロッシュ様は、行くと決めたら行くお方よ。だったら、ミヤ、私達も行くしかないわね。ロッシュ様をエルフの魅了から守れるのは、私達だけなんだから!! 」
ミヤが力強く頷いて、エリスと握手して、気合を入れている。この二人、いつの間にこんなに仲良くなったんだ? とりあえず、皆の賛同?を得ることが出来たと判断した。ゴードンは、ため息をついて、呆れてただけだけど。
雪をかき分け、魔の森に到達できた。いつの間に、こんなに積もったんだ? 豪雪地帯とは知っていたが、ここまでとは……。
魔の森は相変わらず、穏やかな気候だった。暑くもなく寒くもなく。魔獣がいなければ、住みたいくらいだよ。
僕は、リリからもらった鈴を鳴らした……しかし、何も起きなかった。あれ? もしかして、リリに騙されたのかな? それとも使い方が違う? ミヤとエリスの方を向いても、首を傾げるだけだった。その時、ミヤが明後日の方向に目を向けた。僕もミヤが向いた方をみると、リリの姿に似ている女性が木の上に立っていた。長い金髪、緑色の瞳、長く尖った耳が特徴だ。この女性は、ちゃんと服を着ていた。彼女が、エルフなのかな?
木の上にいるものだから、下から、下着が丸見えなんだけど……言うべきか。とりあえず、見てないふりをして、ミヤに確認すると、エルフのようだ。
「貴方達が、エルフの鈴を鳴らした者たちか? 」
エルフの鈴? この鈴のことかな? 僕は、鈴をエルフに見える様に掲げると、エルフは木から降りてきた。気になって仕方なかったからね。降りてくれて助かった。
「リリ様がお待ちよ。案内するわ」
言葉少なめに、僕達を里へ誘導してくれるようだ。エルフが、僕を見る目が獲物を狙うような感じを時々受けるけど……。
エルフの案内は、森を右に左に移動するため、僕達がどっちに向かっているのか、どこにいるのかが全くわからなくなっていた。僕が、少々不安に感じ始めた時、里の門らしい建造物が目の前に現れた。
「着いたわよ。ここがエルフの里。エルーダ村よ。ようこそいらっしゃいました。ロッシュ殿」
急に、歓迎の言葉を掛けられてびっくりしたが、ここは冷静にならなくては。
「案内、助かった。君のことは、リリに感謝しておこう」
エルフは頭を下げ、村の中へ案内してくれた。僕はちらっと、門を見た。門には細やかな細工が施されており、技術の高さを感じることが出来た。家具への期待が高まってくる。
村には、多くのエルフが暮らしているようだ。表に出てきたエルフだけでも100人はいるだろう。すべてのエルフが、見た目が若く、そして、美形揃いだった。ただ、みんな、胸は小さめだ。そんなエルフたちが、僕のことを、獲物のように見てくることに、戦慄を覚えていた。ちょっと、怖いかも。こんな村に、男子を派遣したら、どんなことになるか、想像も難くなかった。ちょっと、考え直してた方がいいかな。
僕は、エリスとミヤから離れないように、移動をし、ある屋敷に到着した。屋敷から、一人のエルフが現れ、右手を上げると、案内してくれたエルフが頭を下げ、去っていった。
「リリ様がお待ちです。中へどうぞ」
新たに現れたエルフが、僕達を屋敷内に誘導した。彼女は、僕に色目を使わなかったぞ。この村に来て、初めて、安心感を覚えた。
とある部屋に着くと、そこには、リリが椅子に座っていた。最初に思ったのは、服を着ててくれて良かったということだ。だけど、短いスカートから出る長い足がすらりと伸び、わざとらしく足を組み直す様が妙に色っぽい。
「よくぞ参ったの。あれから、間もなく来たの、妾に逢いたくて仕方なかったのだな。愛しの君よ」
君? ってなんだ? さっきから、足を組み直すせいで、集中して話を聞けない。
「お久しぶりですね。リリさん。ミヤです」
「ん? まさか、魔王の娘か? 大きくなったなぁ。妾が魔界にいた頃は、赤ん坊だったろうに……」
「さすがにそこまで小さくなかったですわ。今日は、ロッシュの付き添いで来たのよ。私の横にいるのがエリスよ。私達は、ロッシュの妻になる予定ですのよ」
そんな話、初めて聞いたよ。エリスが、この話を聞いて動じないってことは、何かの作戦なのかな? とりあえず、邪魔はしないほうがいいな。
「そうか。さすが、愛しの君よ。魔王の娘まで手篭めにするとは。さすが、妾が認めた男よ。なぁに、妾は、君の種を貰えれば、それでよい。そなたらの邪魔はせぬよ」
ミヤが悔しそうな顔をしている。よくわからないけど、リリのほうが一枚上手だったのかな?
「話は、ここまでにしないか。目的を忘れてもらっては困る。リリ。僕は、まず、エルフの作ったという家具を見てみたいのだが……」
「せっかちよな。君よ。妾は嫌いではないがな」
なんか、リリが言うと、性的な意味で聞こえるのが不思議。でも、僕は子供だから、分からないふりをするのが正解だな。
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