爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介

文字の大きさ
30 / 408

第29話 エルフの里 前半

しおりを挟む
 僕は、魔の森での出来事を屋敷の者とゴードンに話し、リリとの取引について意見を求めた。

 「ロッシュ村長。こう言っては何ですが、家具ごときで村の若者をエルフの里に派遣するというのは、割に合わないのではありませんか? それに、労働力ならいざ知らず、種馬の如き扱いを受けるなど、言語道断ではありませんか。家具なら、なんとか村人でも作れるではないですか? 」

 ゴードンの言っていることはもっともだ。僕もただの家具なら、同じ意見だが、魔界でそれほどまでに評価されていると聞かされると、気になってしまう。

 「ゴードンさん。エルフの家具は、生活が一変してしまうほど素晴らしいものよ。私の城にも、エルフの家具があったけど、エルフが魔界から去ってしまってから、以後手に入ることはなかったわ。魔界中の職人が、同じようなものを作ろうと挑戦したけど、出来なかったものよ。こう言っては何だけど、あの家具の価値を考えれば、村の男の派遣で済むなら、安い取引だと思うわ」

 ミヤが、すごい評価をしている。実物を知っているだけあって説得力があるな。やっぱり、気になってしまうな。エルフの家具。是非とも、拝みたいものだ。

 「ゴードン、相談しておいてすまないが、ミヤの意見を考慮してみようと思う。家具の価値を見極める必要がある。それためには、誰か、里に赴かなければならないな。それは、僕にしかできないだろう。」

 言葉に真っ先に反応したのが、ミヤだった。

 「ダメよ!! エルフの里に行ったら、ロッシュが毒されてしまうわ」

 「どうゆうことなの? ミヤ。ロッシュ様が、毒されるって」

 「エリス。エルフは、男を魅了する力があるのよ。その効果は絶大よ。男子がいない種族だから当然の能力だと思うけど、ロッシュも子供とは言え、男子。あの魅了の力に抗えるとは思えないわ」

 エリスが僕の方をちらっと見た。僕の決意は変わらないことを悟ったようだ。

 「ミヤ。諦めなさい。ロッシュ様は、行くと決めたら行くお方よ。だったら、ミヤ、私達も行くしかないわね。ロッシュ様をエルフの魅了から守れるのは、私達だけなんだから!! 」

 ミヤが力強く頷いて、エリスと握手して、気合を入れている。この二人、いつの間にこんなに仲良くなったんだ? とりあえず、皆の賛同?を得ることが出来たと判断した。ゴードンは、ため息をついて、呆れてただけだけど。

 雪をかき分け、魔の森に到達できた。いつの間に、こんなに積もったんだ? 豪雪地帯とは知っていたが、ここまでとは……。
 魔の森は相変わらず、穏やかな気候だった。暑くもなく寒くもなく。魔獣がいなければ、住みたいくらいだよ。

 僕は、リリからもらった鈴を鳴らした……しかし、何も起きなかった。あれ? もしかして、リリに騙されたのかな? それとも使い方が違う? ミヤとエリスの方を向いても、首を傾げるだけだった。その時、ミヤが明後日の方向に目を向けた。僕もミヤが向いた方をみると、リリの姿に似ている女性が木の上に立っていた。長い金髪、緑色の瞳、長く尖った耳が特徴だ。この女性は、ちゃんと服を着ていた。彼女が、エルフなのかな?

 木の上にいるものだから、下から、下着が丸見えなんだけど……言うべきか。とりあえず、見てないふりをして、ミヤに確認すると、エルフのようだ。

 「貴方達が、エルフの鈴を鳴らした者たちか? 」

 エルフの鈴? この鈴のことかな? 僕は、鈴をエルフに見える様に掲げると、エルフは木から降りてきた。気になって仕方なかったからね。降りてくれて助かった。

 「リリ様がお待ちよ。案内するわ」

 言葉少なめに、僕達を里へ誘導してくれるようだ。エルフが、僕を見る目が獲物を狙うような感じを時々受けるけど……。

 エルフの案内は、森を右に左に移動するため、僕達がどっちに向かっているのか、どこにいるのかが全くわからなくなっていた。僕が、少々不安に感じ始めた時、里の門らしい建造物が目の前に現れた。

 「着いたわよ。ここがエルフの里。エルーダ村よ。ようこそいらっしゃいました。ロッシュ殿」

 急に、歓迎の言葉を掛けられてびっくりしたが、ここは冷静にならなくては。

 「案内、助かった。君のことは、リリに感謝しておこう」

 エルフは頭を下げ、村の中へ案内してくれた。僕はちらっと、門を見た。門には細やかな細工が施されており、技術の高さを感じることが出来た。家具への期待が高まってくる。

 村には、多くのエルフが暮らしているようだ。表に出てきたエルフだけでも100人はいるだろう。すべてのエルフが、見た目が若く、そして、美形揃いだった。ただ、みんな、胸は小さめだ。そんなエルフたちが、僕のことを、獲物のように見てくることに、戦慄を覚えていた。ちょっと、怖いかも。こんな村に、男子を派遣したら、どんなことになるか、想像も難くなかった。ちょっと、考え直してた方がいいかな。

 僕は、エリスとミヤから離れないように、移動をし、ある屋敷に到着した。屋敷から、一人のエルフが現れ、右手を上げると、案内してくれたエルフが頭を下げ、去っていった。

 「リリ様がお待ちです。中へどうぞ」

 新たに現れたエルフが、僕達を屋敷内に誘導した。彼女は、僕に色目を使わなかったぞ。この村に来て、初めて、安心感を覚えた。

 とある部屋に着くと、そこには、リリが椅子に座っていた。最初に思ったのは、服を着ててくれて良かったということだ。だけど、短いスカートから出る長い足がすらりと伸び、わざとらしく足を組み直す様が妙に色っぽい。

 「よくぞ参ったの。あれから、間もなく来たの、妾に逢いたくて仕方なかったのだな。愛しの君よ」

 君? ってなんだ? さっきから、足を組み直すせいで、集中して話を聞けない。

 「お久しぶりですね。リリさん。ミヤです」

 「ん? まさか、魔王の娘か? 大きくなったなぁ。妾が魔界にいた頃は、赤ん坊だったろうに……」

 「さすがにそこまで小さくなかったですわ。今日は、ロッシュの付き添いで来たのよ。私の横にいるのがエリスよ。私達は、ロッシュの妻になる予定ですのよ」

 そんな話、初めて聞いたよ。エリスが、この話を聞いて動じないってことは、何かの作戦なのかな? とりあえず、邪魔はしないほうがいいな。

 「そうか。さすが、愛しの君よ。魔王の娘まで手篭めにするとは。さすが、妾が認めた男よ。なぁに、妾は、君の種を貰えれば、それでよい。そなたらの邪魔はせぬよ」

 ミヤが悔しそうな顔をしている。よくわからないけど、リリのほうが一枚上手だったのかな?

 「話は、ここまでにしないか。目的を忘れてもらっては困る。リリ。僕は、まず、エルフの作ったという家具を見てみたいのだが……」

 「せっかちよな。君よ。妾は嫌いではないがな」

 なんか、リリが言うと、性的な意味で聞こえるのが不思議。でも、僕は子供だから、分からないふりをするのが正解だな。
しおりを挟む
感想 38

あなたにおすすめの小説

異世界に転生した社畜は調合師としてのんびりと生きていく。~ただの生産職だと思っていたら、結構ヤバい職でした~

夢宮
ファンタジー
台風が接近していて避難勧告が出されているにも関わらず出勤させられていた社畜──渡部与一《わたべよいち》。 雨で視界が悪いなか、信号無視をした車との接触事故で命を落としてしまう。 女神に即断即決で異世界転生を決められ、パパっと送り出されてしまうのだが、幸いなことに女神の気遣いによって職業とスキルを手に入れる──生産職の『調合師』という職業とそのスキルを。 異世界に転生してからふたりの少女に助けられ、港町へと向かい、物語は動き始める。 調合師としての立場を知り、それを利用しようとする者に悩まされながらも生きていく。 そんな与一ののんびりしたくてものんびりできない異世界生活が今、始まる。 ※2話から登場人物の描写に入りますので、のんびりと読んでいただけたらなと思います。 ※サブタイトル追加しました。

おっさんが雑魚キャラに転生するも、いっぱしを目指す。

お茶飲み人の愛自好吾(あいじこうご)
ファンタジー
どこにでも居るような冴えないおっさん、山田 太郎(独身)は、かつてやり込んでいたファンタジーシミュレーションRPGの世界に転生する運びとなった。しかし、ゲーム序盤で倒される山賊の下っ端キャラだった。女神様から貰ったスキルと、かつてやり込んでいたゲーム知識を使って、生き延びようと決心するおっさん。はたして、モンスター蔓延る異世界で生き延びられるだろうか?ザコキャラ奮闘ファンタジーここに開幕。

神様の忘れ物

mizuno sei
ファンタジー
 仕事中に急死した三十二歳の独身OLが、前世の記憶を持ったまま異世界に転生した。  わりとお気楽で、ポジティブな主人公が、異世界で懸命に生きる中で巻き起こされる、笑いあり、涙あり(?)の珍騒動記。

称号チートで異世界ハッピーライフ!~お願いしたスキルよりも女神様からもらった称号がチートすぎて無双状態です~

しらかめこう
ファンタジー
「これ、スキルよりも称号の方がチートじゃね?」 病により急死した主人公、突然現れた女神によって異世界へと転生することに?! 女神から様々なスキルを授かったが、それよりも想像以上の効果があったチート称号によって超ハイスピードで強くなっていく。 そして気づいた時にはすでに世界最強になっていた!? そんな主人公の新しい人生が平穏であるはずもなく、行く先々で様々な面倒ごとに巻き込まれてしまう...?! しかし、この世界で出会った友や愛するヒロインたちとの幸せで平穏な生活を手に入れるためにどんな無理難題がやってこようと最強の力で無双する!主人公たちが平穏なハッピーエンドに辿り着くまでの壮大な物語。 異世界転生の王道を行く最強無双劇!!! ときにのんびり!そしてシリアス。楽しい異世界ライフのスタートだ!! 小説家になろう、カクヨム等、各種投稿サイトにて連載中。毎週金・土・日の18時ごろに最新話を投稿予定!!

(完結)魔王討伐後にパーティー追放されたFランク魔法剣士は、超レア能力【全スキル】を覚えてゲスすぎる勇者達をザマアしつつ世界を救います

しまうま弁当
ファンタジー
魔王討伐直後にクリードは勇者ライオスからパーティーから出て行けといわれるのだった。クリードはパーティー内ではつねにFランクと呼ばれ戦闘にも参加させてもらえず場美雑言は当たり前でクリードはもう勇者パーティーから出て行きたいと常々考えていたので、いい機会だと思って出て行く事にした。だがラストダンジョンから脱出に必要なリアーの羽はライオス達は分けてくれなかったので、仕方なく一階層づつ上っていく事を決めたのだった。だがなぜか後ろから勇者パーティー内で唯一のヒロインであるミリーが追いかけてきて一緒に脱出しようと言ってくれたのだった。切羽詰まっていると感じたクリードはミリーと一緒に脱出を図ろうとするが、後ろから追いかけてきたメンバーに石にされてしまったのだった。

転生貴族のスローライフ

マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である *基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします

独身貴族の異世界転生~ゲームの能力を引き継いで俺TUEEEチート生活

髙龍
ファンタジー
MMORPGで念願のアイテムを入手した次の瞬間大量の水に押し流され無念の中生涯を終えてしまう。 しかし神は彼を見捨てていなかった。 そんなにゲームが好きならと手にしたステータスとアイテムを持ったままゲームに似た世界に転生させてやろうと。 これは俺TUEEEしながら異世界に新しい風を巻き起こす一人の男の物語。

スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~

深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】 異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!

処理中です...