爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介

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第50話 ラエルの街 三人の亜人 視点

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 私達は、兎系の亜人。兄弟ではないけど、兄弟みたいに育ってきた。人間のご主人様の趣味みたいで、私達みたいな兎系の亜人の子がいっぱいいた。ご主人様は、街を出ていく時に、お気に入りの子だけを連れていってしまった。残された私達に残されたのは、飢えて死ぬだけだった。でも、ラーナおばさんがそんな私達に食べ物を分けてくれた。

 ラーナおばさんが、これから新しいご主人様だといったら、怒られた。これから、互いに互いを助け合う仲間だと教えられた。それからは、畑を耕し、種を撒いて、野菜を収穫する日々を送っていた。辛く、飢えに苦しむような時期だったけど、皆が一緒にいたから、あまり苦しさを感じなかった。そんな日々も徐々に良くなっていった。食料の備蓄も少しずつ増え、食べられる量も少しは増えた。もっと、頑張れば、生活は良くなっていく。私達はそんな明るい未来を想像していた。

 でも、私達をどん底に突き落とす事が起きた。毎朝、毎晩欠かさず耕していた畑が、洪水に飲み込まれてしまったのだ。水が引けた時、畑には、大きな木や大きな石が転がり、細かな石が大量に土に混ざっていた。私達のやってきた事がすべて無に帰してしまったのだ。

 それでも、ラーナおばさんは、私達を励まし、また一からやり直そうとした。ラーナおばさんが頑張っているのに、私達が悲しんでいる場合ではない。私達は、すぐに畑を作り直すことを始めた。それでも、どうしようもないことって、なんで起きるんだろう? 近所の人が、病気で倒れた。病人が出ることは珍しくもない。私達だって、時々熱を出して寝込むことがある。でも、違うの。どんどん、病気の人が出て、倒れていく。中には、起きることすら出来ないほどに衰弱していっている。私達の目からしても、この人は死んでしまうってことが分かった。

 ラーナおばさんは、健康な人を食堂に集めた。私達もすぐに行った。ラーナおばさんは、前に来ていた二人の女性を探すために領都に調べに行くという話をしていた。私達は、意見を言うことなく、話の行方をずっと追っていた。皆の意見は、最終的には領都に向かうという話になった。すると、ラーナおばさんが私達を呼び、領都に行ってくれるようにお願いされた。危険なことだけど、あなた達が最適なんだと言われた。

 私達は嬉しかった。ラーナおばさんの役に立てる時が来たのだ。私達は、すぐに準備をして出立することになり、そのとき、貴重な食料をたくさん渡された。最初は断ったけど、あなた達が頼りだと言われ、無理やり持たされた。この領都行きがどれだけ重要なのかが、私達には分かっていなかったのだ。

 私達の任務は、とにかく早く領都に行き、情報を集めて、すぐに街に戻ること。それだけである。私達は、街道を東に向かい領都に向かった。領都までは、街道で一本だ。軍用道路として使われていたからか、広く、凸凹が少ない歩きやすい道だ。領都までは直線距離で20キロメートルほどだけど、途中で魔の森にぶつかるせいで、大きく迂回しないといけない。そのせいで、1.5倍ほどの距離になってしまう。今は、とにかく急がなければいけない。危険を冒して、魔の森を抜けることにした。ただ、魔の森と行っても、魔の森に接する平原だから、私達は大丈夫だと思ってしまった。

 しかし、それは、本当に甘い考えだった。魔の森の平原を駆け抜けていたが、その途中で、建物ほどの大きさのサイ型の魔獣がいた。私達は、魔の森の魔獣をこの時、初めてみた。こんな化物みたいなものが存在するとは信じられなかった。私達は、十分な距離をとって、回避しようとしたが、魔獣にすぐに気付かれてしまった。私達は、すぐに逃げ出したが、魔獣がものすごい速度でこちらに近づいてきた。私達は全速力で走ったものの、魔獣との距離は近づく一方。私達は、任務を優先するために、三方に別れることにした。


 私は、カイ。他の二人は、ミイとレイ。私はなんとか、魔獣を振り切り、魔の森を抜け、街道に出てこれた。ここまで来れば、領都はすぐのはず。私は、街道をひたすら駆けていった。すると、眼前に信じられない光景が広がっていた。川には巨大な堤防が延々と続き、その外側には、緑緑した水面が広がり、きれいに区画された畑には信じられないほど野菜が育っていた。畑には人がたくさんいて、農作業をしていた。

 私は、涙が止まらなかった。未来が……明るい未来への希望が見えてきた。ここなら、街を救える何かがあるかもしれない。私は、初めて会った人にマーガレットとマリーヌという女性を知らないか? と声を掛けたが、その人は私を訝しがるだけで、答えようとしなかった。諦めて、他の人に話しかけようとして、その人から離れようとしたら腕を掴まれた。私はとっさに腕を払おうとしたが、払えなかった。私は、度重なる飢えで相当に力を失っていたのだ。一方、相手は女性ながら、体つきが大きく、力が強そうに見えた。私は、抵抗することが出来ず、連行されていった。

 連行された途中、色々見た。どれもが、豊かだった昔の景色だった。子どもたちが元気に遊び、老人たちがのんびりとゲームをしていた。若者は、明るい顔で働いており、皆に暗い影などなかった。まるで、別天地だ。

 着いた場所は、倉庫のような建物だった。看板があり、そこには自警団本部と書いてあった。私は、そこに連れていかれ、狼系の亜人に引き渡された。建物の一室に連れて行かれ、色々と質問された。この村に来た目的を聞かれた私は、街で起きた出来事を事細かく説明した。私に出来るのは、この人の信頼を得ること。だから、嘘をつこうなんて全く考えなかった。

 その人は、私から話を聞いてから、最後にと確認された。一人で来たのか、と。私は、素直に三人で来たと答えると、その人は笑顔になってわかりましたと答えた。

 すると、部屋の外から、ミイとレイが現れた。私は、すぐにミイとレイに近づき抱き合った。まさか、会えると思わなかった。みんな、怪我もなくて、本当に良かった。私と同じ方法で領都にたどり着いたのかな?

 「ミイは、あの魔獣に追いかけられて、すごく逃げたの。逃げて逃げて、でも追いつかれて、大怪我を負ったの。ミイは、死ぬと思ったんだけど、助けられたの。それで、ここまで運ばれて、治療してもらったの」

 ミイが助かって本当に良かった。領都には、あの魔獣を追い払える戦力があるというの? 回復魔法が使える人がいる? 信じられないけど、実際、ミイが助けられたのだから……

 私は、自警団の人に、回復魔法が使える人にあわせてもらえるように、土下座をして頼み込んだ。その人なら、きっと病気になった人を助けてことが出来る。自警団の人は、上の人に相談すると言って、部屋を出ていった。私は、土下座したまま、そこから動けなかった。私が動いたら、願いが叶わないのではないか、と思ってしまったのだ。

 すぐに、違う人が来た。赤い髪をした狼系の亜人だ。その人は、すぐに私を起こし、村長に会わせると一言言って、私達を連れ出した。

 私達は、村長に会った。これで、街が救われる……。
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