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第80話 三年目の新年会①
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僕がこの村にやってきて三年目になった。今日は、その最初の日。日本的には元日に当たる日だ。この世界では、誕生日というのは存在せず、年の始まりの日に一歳、年を取る。そんな日のため、地域によっては成人式をやったりするところもあるようだ。アウーディア王国ではというと、春に行われることが多いようだ。今年は、僕が成人するため、今年から再び成人式を執り行うことになったのだ。マグ姉が主催すると大いに張り切っていたが、続報がまだ届いていない。春に執り行われるなら、そろそろ話を聞いておかないとな。たしか、村人でも何人か成人を迎えた者がいた気がしたが。
せっかくなので、少しお正月らしい雰囲気を出してみようと思う。去年も新年を迎え、祝いをやろうと考えたが、実際はそういう雰囲気ではなかった。食料も乏しく、豪勢に食事をすると言ったことが出来なかった。しかし、今年は違う。作物の種類も増え、料理方法も豊富になってきた。この屋敷限定では、魔牛乳や魔トマトも使うことが出来る。酒も用意できるしね。
僕はエリスと相談をして、屋敷の者達とささやかな宴を開き、新年を祝うことにした。今、屋敷には、僕の他にエリス、ミヤ、マグ姉、マリーヌ、リードが共に暮らしている。マグ姉が、ルドも誘ってみると言って、出ていった。これで、ルドも参加すれば、賑やかな宴となるだろう。
ココは、最近、ゴードンの家に預けることにしている。年齢を考えると、大人がいる場所で生活するほうがココにとって良いのではないかと判断したからだ。この屋敷には、成人しているとは言え、若い未婚の男女しかおらず、子供にいい影響があるとは思えないからだ。日中は、メイドとして仕事をしてもらっているが、夜はゴードン宅に戻している。本日は、休日を与えているので、屋敷に来ることはない。
エリスが料理を担当し、ミヤには魔牛牧場から魔牛乳と魔トマトを取ってくるように指示した。ミヤはもの凄く嫌な顔をしたが、今日は魔酒を解禁すると言った瞬間、屋敷を飛び出していった。必要な量とか伝えてないんだけどな。まぁいいか……。マグ姉はルドを呼びに行ってしまったから、居ないんだな。マリーヌは、最近部屋に引き篭もっているみたいだ。食材を倉庫から持ってくるのに人手が必要だから、手伝ってもらいたいな。
僕は、マリーヌの部屋をノックした。中からは返事がない。再び、強めにノックをすると、中からがさごそと音がして、ドアが半分開いた。そこから、ぬッとマリーヌが顔を出した。
「ああ、ロッシュさんですか。もう、御飯の時間ですか?」
なんだろう……このダメダメな感じになっている気がする。会った時は、もうすこし気品と言うか高貴さがあって、美しい人だと思えたんだけど。今は、せっかくのキレイな紫色の髪はボサボサになり、目に力がない感じがした。このままでは、ダメだ。彼女を外に連れ出すために、外に出るように促した。
最初は、なんとか理由を付けて出たがらなかったが、僕がしつこつ言うため、ついには折れて外に出てきてくれた。うん。これは良くない。きれいな女性がこんな残念な格好をしていてはダメだ。それに、風呂にいれなければ。何日も風呂に入っていないのか、少し汚れが目立った。僕は、マリーヌをそこに残し、急ぎ風呂の支度をして、彼女を風呂にいれた。抵抗するかと思ったが、風呂は好きみたいで、すんなり入ってくれた。ただ、毎日はいるのが面倒だったようだ。服も最近、服飾店のトールから魔力糸で作られた服を持ってきてくれるので、それを着てもらうことにした。
もちろん、魔力がなければ着たら透けるような服ではない。普段着になるように派手さを抑え、特性を無くすことで魔力消費をなくしたため、魔力がなくとも着られる服になっている。それでも、シルクのような上品さだけは残っているが、マリーヌのような美人が着れば、よく似合うだろう。
マリーヌが入浴している間に、リードの部屋に向かった。リードは先日屋敷に来たばかりで、やっと生活も落ち着いてきたところだろう。一応、エリスやミヤと面識はあるが、あまり交流をしていないので、今回で少しは打ち解けてほしいと思っている。僕は、リードの部屋をノックしたが、中から物音がしなかった。寝ているのかな? 僕はもう一度ノックをしたが出てこなかったので、ドアをゆっくりと開けた。部屋には、整理ができていない荷物がいくつかあったがリードの姿は見えなかった。点々と下着のようなものが転がっていたが、見なかったことにしよう。
僕は、リードを探すために、エリスに聞きに行くと、作業場にいるかもというので、作業場に向かった。作業場は、資材置き部屋に隣接する部屋を改造して作った部屋だ。作業場は、いつもは僕しか使わない。そのため、真っ暗になっているのが常だが、今は明かりが灯っていた。そこでは、リードが家具のメンテナンスをしていた。
「リード。ここにいたのか。探したよ」
「あ、これはロッシュ殿。すこし家具のメンテナンスをやっておりました。特に問題はないと思いますが、作業場を発見したら、家具を触りたくなりまして……すぐに戻しますね」
「満足するまでやってくれて構わないぞ。隣の資材置き部屋は覗いたか? 家具作りに必要なものがあったら何でも使ってもいいからな」
リードの長い耳がピクリと動いた。
「それでしたら、アダマンタイトを少々いただけないでしょうか。希少金属を埋め込んで、家具の強度や性能がどう変わるかを調べてみたいのです。里でも、なかなか手に入らず、私が決して手にすることが出来ないものですから」
僕は、資材置き部屋に入り、アダマンタイトのインゴットを持ってきて、リードに渡した。リードは、恐る恐るインゴットを手にし、恍惚とした瞳でインゴットに頬をスリスリしていた。そんなに憧れの金属だったんだ。
「すみません。ロッシュ殿。このインゴットを加工しては頂けませんか? 私はアダマンタイトの加工を教えてもらっていないので……」
えっ⁉ リードできないの? 僕も出来ないけど?
「こんなにきれいなインゴットが作れるのに、ですか?」
僕は頷く。土魔法を使えば、インゴットにすることはできる。しかし、加工となると話は別だ。土魔法で出来なくはないが、魔力消費が半端ないのだ。土魔法は進化させていてもだ。そのため、アダマンタイトの加工は諦め、蔵の肥やしにしていたのだ。
せっかくなので、少しお正月らしい雰囲気を出してみようと思う。去年も新年を迎え、祝いをやろうと考えたが、実際はそういう雰囲気ではなかった。食料も乏しく、豪勢に食事をすると言ったことが出来なかった。しかし、今年は違う。作物の種類も増え、料理方法も豊富になってきた。この屋敷限定では、魔牛乳や魔トマトも使うことが出来る。酒も用意できるしね。
僕はエリスと相談をして、屋敷の者達とささやかな宴を開き、新年を祝うことにした。今、屋敷には、僕の他にエリス、ミヤ、マグ姉、マリーヌ、リードが共に暮らしている。マグ姉が、ルドも誘ってみると言って、出ていった。これで、ルドも参加すれば、賑やかな宴となるだろう。
ココは、最近、ゴードンの家に預けることにしている。年齢を考えると、大人がいる場所で生活するほうがココにとって良いのではないかと判断したからだ。この屋敷には、成人しているとは言え、若い未婚の男女しかおらず、子供にいい影響があるとは思えないからだ。日中は、メイドとして仕事をしてもらっているが、夜はゴードン宅に戻している。本日は、休日を与えているので、屋敷に来ることはない。
エリスが料理を担当し、ミヤには魔牛牧場から魔牛乳と魔トマトを取ってくるように指示した。ミヤはもの凄く嫌な顔をしたが、今日は魔酒を解禁すると言った瞬間、屋敷を飛び出していった。必要な量とか伝えてないんだけどな。まぁいいか……。マグ姉はルドを呼びに行ってしまったから、居ないんだな。マリーヌは、最近部屋に引き篭もっているみたいだ。食材を倉庫から持ってくるのに人手が必要だから、手伝ってもらいたいな。
僕は、マリーヌの部屋をノックした。中からは返事がない。再び、強めにノックをすると、中からがさごそと音がして、ドアが半分開いた。そこから、ぬッとマリーヌが顔を出した。
「ああ、ロッシュさんですか。もう、御飯の時間ですか?」
なんだろう……このダメダメな感じになっている気がする。会った時は、もうすこし気品と言うか高貴さがあって、美しい人だと思えたんだけど。今は、せっかくのキレイな紫色の髪はボサボサになり、目に力がない感じがした。このままでは、ダメだ。彼女を外に連れ出すために、外に出るように促した。
最初は、なんとか理由を付けて出たがらなかったが、僕がしつこつ言うため、ついには折れて外に出てきてくれた。うん。これは良くない。きれいな女性がこんな残念な格好をしていてはダメだ。それに、風呂にいれなければ。何日も風呂に入っていないのか、少し汚れが目立った。僕は、マリーヌをそこに残し、急ぎ風呂の支度をして、彼女を風呂にいれた。抵抗するかと思ったが、風呂は好きみたいで、すんなり入ってくれた。ただ、毎日はいるのが面倒だったようだ。服も最近、服飾店のトールから魔力糸で作られた服を持ってきてくれるので、それを着てもらうことにした。
もちろん、魔力がなければ着たら透けるような服ではない。普段着になるように派手さを抑え、特性を無くすことで魔力消費をなくしたため、魔力がなくとも着られる服になっている。それでも、シルクのような上品さだけは残っているが、マリーヌのような美人が着れば、よく似合うだろう。
マリーヌが入浴している間に、リードの部屋に向かった。リードは先日屋敷に来たばかりで、やっと生活も落ち着いてきたところだろう。一応、エリスやミヤと面識はあるが、あまり交流をしていないので、今回で少しは打ち解けてほしいと思っている。僕は、リードの部屋をノックしたが、中から物音がしなかった。寝ているのかな? 僕はもう一度ノックをしたが出てこなかったので、ドアをゆっくりと開けた。部屋には、整理ができていない荷物がいくつかあったがリードの姿は見えなかった。点々と下着のようなものが転がっていたが、見なかったことにしよう。
僕は、リードを探すために、エリスに聞きに行くと、作業場にいるかもというので、作業場に向かった。作業場は、資材置き部屋に隣接する部屋を改造して作った部屋だ。作業場は、いつもは僕しか使わない。そのため、真っ暗になっているのが常だが、今は明かりが灯っていた。そこでは、リードが家具のメンテナンスをしていた。
「リード。ここにいたのか。探したよ」
「あ、これはロッシュ殿。すこし家具のメンテナンスをやっておりました。特に問題はないと思いますが、作業場を発見したら、家具を触りたくなりまして……すぐに戻しますね」
「満足するまでやってくれて構わないぞ。隣の資材置き部屋は覗いたか? 家具作りに必要なものがあったら何でも使ってもいいからな」
リードの長い耳がピクリと動いた。
「それでしたら、アダマンタイトを少々いただけないでしょうか。希少金属を埋め込んで、家具の強度や性能がどう変わるかを調べてみたいのです。里でも、なかなか手に入らず、私が決して手にすることが出来ないものですから」
僕は、資材置き部屋に入り、アダマンタイトのインゴットを持ってきて、リードに渡した。リードは、恐る恐るインゴットを手にし、恍惚とした瞳でインゴットに頬をスリスリしていた。そんなに憧れの金属だったんだ。
「すみません。ロッシュ殿。このインゴットを加工しては頂けませんか? 私はアダマンタイトの加工を教えてもらっていないので……」
えっ⁉ リードできないの? 僕も出来ないけど?
「こんなにきれいなインゴットが作れるのに、ですか?」
僕は頷く。土魔法を使えば、インゴットにすることはできる。しかし、加工となると話は別だ。土魔法で出来なくはないが、魔力消費が半端ないのだ。土魔法は進化させていてもだ。そのため、アダマンタイトの加工は諦め、蔵の肥やしにしていたのだ。
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