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第370話 サツマイモに夢中
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旨いな……僕がこの言葉を呟く少し前。取りたてのサツマイモを早速食べてみることにした。レントークではサツマイモを焼くだけで食べるという習慣はないそうだ。単体で食べるには大味過ぎて、大量に食べるのに適していないらしい。料理に混ぜたりして、なんとか腹をふくらませるために使う食材という認識だ。それにこぶし大程度の大きさでも十分な大きさという評価らしい。想像よりかなり小さいな。
それゆえ、掘ったばかりのサツマイモが屋敷に届けられた時、アロンはまじまじと見てから一言。
「これはサツマイモではありませんね。私の知っている物とかなり乖離がありますよ。残念ならが、ロッシュ公は間違ったものを作ってしまったのかも。食べることも難しいかも知れませんな……」
アロン。僕は思うのだ。これがサツマイモのあるべき形だ。大きさは腕ほどあり、丹念に洗えば赤っぽい色の皮が姿を現す。一体、どう見ればこれがサツマイモに見えないのだろうか? とにかく焼いてみよう。
「サルーン、済まないがこれを庭先で焼いてもらえないか?」
「えっ!? サツマイモなんて焼いてどうするんですか? 料理に使うなら、そのまま切って鍋に入れればいいではないですか」
「えっ!? 焼き芋だよ。焼いて食べるんだよ。もしかして、食べたこと無いのか?」
「いやいやいや。義兄上でもそれはいくらなんでも。サツマイモは料理に加えることでようやく食べられるものなんですよ? それをそのままだなんて……私は公国の評価をし直さなければならないほどの衝撃ですよ」
僕は大きなため息をした。そうか、この国の者たちは焼き芋の素晴らしさを知らずに生きてきたのだな。
「義兄上? その哀れな者を見る目を止めてくださいよ。えっ!? 本当に焼き芋なんて食べ物があるんですか? 信じられない。それでは本当に焼きますよ? 食材を粗末にしないのがレントーク国の習慣なんですから。残さないでくださいよ?」
僕は頷き、折角ならと薄い銀色のシートを作り出し、それで芋を包んでから焼くように指示をした。これで包むと水分が程よく残り、焼き芋としてのランクを一段上げることが出来るのだ。サルーンは訝しげに銀色のシートを見つめながら、僕の指示に従ってくれるようだ。
それから一時間以上が過ぎた。テーブルに大量の……と言っても人数分なんだが、大きさがでかいせいでテーブルに山積みになった焼き芋が湯気を立てながら置かれていた。これだ!! これを待っていたのだ。
さっそく銀色のシートを剥がし、中から出てくる瑞々しい……いや、光沢すらある皮をめくり、黄金色に輝くサツマイモにかぶりつく。口の中でとろけるような甘さが広がり、噛まなくても消えてしまうような感覚だ。まさか、これほどのサツマイモに出会える日が来るとは……おっと、もう食べきってしまった。しかしサツマイモは人数分しかない。我慢だ。そんな僕の表情を皆が見ている。どうやら、僕に毒味をさせているみたいだ。サルーンはいつまでも疑っている。
「義兄上。本当に美味しいんですか? 無理をしていないですか?」
なんと疑り深い性格なんだ。こんな美味しい食べ物を前にそのようなことを言うとは。僕はちょっと苛立ちを感じながらも、さっさと食べるように促した。それでも、一口入れるまでにどれほどの時間を有したことか。やっとひとくち食べて、サルーンは自分の過ちに気付いたようだ。
「なんだ、これは!! おい、アロン。ロッシュ公に何を渡したのだ? これは正真正銘、サツマイモだ。しかし、我々の知っているサツマイモではない。甘さ、大きさ、食感……全てにおいて超越した存在だ。サツマイモにこれほどの潜在能力があったとは……義兄上はこれを瞬時に見抜き、たった数日でこれほどの物を作るとは……現神としか思えない」
サルーンの混じりっ気のない感想に今まで躊躇していたアロンも口に入れだした。その瞬間、爆発したような声を上げ、サツマイモを貪り尽くしていく。
「こ、これならば百本でも二百本でも楽々食べれますよ!!」
いや、さすがに飽きないか? 僕は今食べた一本で十分だ。公国で暮らしているニードとイハサも同じような感じだ。ガモンも貪り尽くす方か……。そんな匂いにつられて、ミヤが顔を出してきた。
「エリスの鼻が匂いを掴んだみたいよ。さぁ、焼き芋を出しなさい!!」
僕は顔面を蒼白にしてしまった。しまった!! すっかり忘れていた。すぐにサルーンに焼き芋を作らせ、ミヤの説得に多くの時間を費やす羽目になった。焼き芋を食べるまではへそを曲げていたミヤだが、なんとか落ち着きを取り戻し、人数分以上の焼き芋を持って部屋に向かっていった。
サルーンもミヤの後ろ姿を見て、恐怖を覚えたようだ。
「まるで嵐のようでしたね。それにしてもサツマイモは本当に美味しいですね。これだけのものであれば、領民にも食べさせてやりたかったです」
「ん? 何を言っているんだ? 領民にも配れるぞ?」
「ご冗談を。アロンから聞いた畑の大きさからすれば、取れる量もおのずと分かります。我々の感覚だと軍でなんとか少しの期間食べられる量だと。それとももっと多くの量が採れているのですか?」
「どうだろうな? 僕もその辺りはよく分からないが……少なくとも領民に配っても一月は食べられるんじゃないのか? それくらい作らなければ、食料問題を解決したとは言えないだろ?」
サルーンは何に驚いているのか分からなかったが、愕然とした表情をしていた。
「公国が何故王国と対等にわたり歩けるかがわかったような気がします。それは義兄上の存在ですね。何から何まで規格外のお人だ。私は……そんな義兄上と家族となれたことに幸運さえ感じますよ」
うん。とりあえず落ち着いてくれ。なんとかサルーンを宥め、作戦会議の続きをすることになった。ちなみに後で聞いた話だが、サツマイモの収量は僕の予想よりも遥かに多かったのだ。それを聞いたせいか、ますますサルーンの目が僕に突き刺さるようになっていった。
しかし、作戦会議は難航していた。基本戦略は挟撃により一網打尽というのが作戦だ。それはいいのだが、こちらの被害が大きくなる恐れがあるため、それを回避する方法を模索しているのだが良い案が出てこない。西の道を王国が選んでくれた場合は、大森林がこちらに味方してくれるおかげで戦い方も自ずと見えてくる。北の道は平野部で、山も丘も川も池もない本当に開けた場所だ。
そのような場所で同等程度の兵力がぶつかりあえば、相当の被害を覚悟しなければならない。それに公国軍が背後に回るまでの間、七家軍は単独で王国軍と戦わなければならない。アロンも悩んでいて、サツマイモを手にしてからテーブルに置いた。
「一層のこと、サツマイモを戦場に撒きましょう!!」
ん? 何を言っているんだ?
「こんな美味しいものを前に冷静でいられる者などいません。きっと王国軍は戦意を無くすはずです。そこを叩くんですよ!!」
駄目だ!! アロンはサツマイモを食べてからすっかり頭がおかしくなってしまった。どうして戦場にサツマイモを撒き散らすことで戦意を無くすのかさっぱり分からない。しかし、その案に微妙にサルーンとガモンが食いついているのが気になる。そこにイハサが咳払いを一つした。
「さ、そんな冗談は止めましょう」
一蹴したぞ!! 取り付く島も与えずにこの話を流した。これにはアロンも追撃をすることは出来ないだろう。なにやら落ち込んだ様子になってしまった。アロンにしたら起死回生の一手だったのかも知れないな。しかし、困ったぞ。公国の戦い方は基本的に兵力の差が大きい戦いばかりだったため、奇襲と混乱しかないのだ。今回もその方法をとりたいが、平野部ではなかなか難しい。奇襲と混乱はどちらも見えないという条件が必要だ。
するとニードが珍しく言葉を発する。
「どうですか? 大砲による一斉砲撃というのは。これによる衝撃は類を見ないほどでしょう。王国もさぞかし肝が冷えると思うのですが」
一斉砲撃……なんとも良い響きだ。
「しかし、我が方には移動式は二門しかないではないか。それでは十分な効力はないのではないのか?」
「船から持ってくるのはどうですか? 取り外し、荷台に乗せればなんとかならないでしょうか?」
たしかに船には数十門の大砲が据え付けられているが、それを簡単に運び出すことが可能なのだろうか? 大砲を戦争の端緒で使うというのはいい考えだとは思うのだが。そういえば、戦場から海までの距離はどれほどなのだ? 僕が地図を眺めるとさすがに海は記載されていない。アロンに聞いてみると首を傾げている。
「どうでしょうか。計測をしたことがないので分かりませんが、十キロメートル以上はあると思いますが。何ゆえでしょうか?」
「アロンは公国の船を見たことがあるか?」
そういうとアロンは首を横に振る。
「実はな、移動式大砲を先の森林戦で初めて使用したのだが数が足りない。海上からの砲撃という選択肢があったのではないかと思ったのだが……十キロメートルか。難しそうだな」
「いや、イルス公。それは面白いかも知れません。当たらずとも大量の砲弾が、王国陣地近くに落ちればそれだけで萎縮する効果があるはずです。是非とも導入しましょう」
おっ!! 採用された。これで少しはこちらの被害が少なく済むだろうか? もう少し移動式の大砲があればな……僕はふとガムドからの手紙に再び目を通した。そこには離れ島に運び込まれている物のリストがあるからだ。その中に戦争に使える物があればと思ったのだが……やはり見当たらないか。クロスボウは使えるな。七家軍にも一部導入してもいいかもしれない。バリスタもあるか。以前みたく火薬玉を投げてみるか? しかし、今回バリスタを扱えるものがいないのだ。これ以外に使えそうなものは……ん? 文末になぐり書きをしたような文が。こんな文あったか?
「リストには書けませんでしたが、飛び込みで移動式大砲を船に積むことが出来ました。是非ともご利用ください。ガムドより」
くっ……大事な一文を見逃していた。
「ニード。移動式大砲が離れ島にあるようだ。すぐに取ってきてくれ。それと漁村に停泊している船から砲弾と火薬をすべて持ってくるように。残った兵士達には、すぐに北の道方面で攻撃拠点を作らせろ」
「承知しました!!」
僕とニードの掛け合いに訳も分からず、見ているだけのサルーンとアロン。説明しようとしたが、なかなか理解してもらえず今回は実物を見てもらうということで話を終わらせた。これで戦争は有利にすすめることが出来るだろう。僕達は少し安堵した心持ちで焼き芋を頬張るのであった。
それゆえ、掘ったばかりのサツマイモが屋敷に届けられた時、アロンはまじまじと見てから一言。
「これはサツマイモではありませんね。私の知っている物とかなり乖離がありますよ。残念ならが、ロッシュ公は間違ったものを作ってしまったのかも。食べることも難しいかも知れませんな……」
アロン。僕は思うのだ。これがサツマイモのあるべき形だ。大きさは腕ほどあり、丹念に洗えば赤っぽい色の皮が姿を現す。一体、どう見ればこれがサツマイモに見えないのだろうか? とにかく焼いてみよう。
「サルーン、済まないがこれを庭先で焼いてもらえないか?」
「えっ!? サツマイモなんて焼いてどうするんですか? 料理に使うなら、そのまま切って鍋に入れればいいではないですか」
「えっ!? 焼き芋だよ。焼いて食べるんだよ。もしかして、食べたこと無いのか?」
「いやいやいや。義兄上でもそれはいくらなんでも。サツマイモは料理に加えることでようやく食べられるものなんですよ? それをそのままだなんて……私は公国の評価をし直さなければならないほどの衝撃ですよ」
僕は大きなため息をした。そうか、この国の者たちは焼き芋の素晴らしさを知らずに生きてきたのだな。
「義兄上? その哀れな者を見る目を止めてくださいよ。えっ!? 本当に焼き芋なんて食べ物があるんですか? 信じられない。それでは本当に焼きますよ? 食材を粗末にしないのがレントーク国の習慣なんですから。残さないでくださいよ?」
僕は頷き、折角ならと薄い銀色のシートを作り出し、それで芋を包んでから焼くように指示をした。これで包むと水分が程よく残り、焼き芋としてのランクを一段上げることが出来るのだ。サルーンは訝しげに銀色のシートを見つめながら、僕の指示に従ってくれるようだ。
それから一時間以上が過ぎた。テーブルに大量の……と言っても人数分なんだが、大きさがでかいせいでテーブルに山積みになった焼き芋が湯気を立てながら置かれていた。これだ!! これを待っていたのだ。
さっそく銀色のシートを剥がし、中から出てくる瑞々しい……いや、光沢すらある皮をめくり、黄金色に輝くサツマイモにかぶりつく。口の中でとろけるような甘さが広がり、噛まなくても消えてしまうような感覚だ。まさか、これほどのサツマイモに出会える日が来るとは……おっと、もう食べきってしまった。しかしサツマイモは人数分しかない。我慢だ。そんな僕の表情を皆が見ている。どうやら、僕に毒味をさせているみたいだ。サルーンはいつまでも疑っている。
「義兄上。本当に美味しいんですか? 無理をしていないですか?」
なんと疑り深い性格なんだ。こんな美味しい食べ物を前にそのようなことを言うとは。僕はちょっと苛立ちを感じながらも、さっさと食べるように促した。それでも、一口入れるまでにどれほどの時間を有したことか。やっとひとくち食べて、サルーンは自分の過ちに気付いたようだ。
「なんだ、これは!! おい、アロン。ロッシュ公に何を渡したのだ? これは正真正銘、サツマイモだ。しかし、我々の知っているサツマイモではない。甘さ、大きさ、食感……全てにおいて超越した存在だ。サツマイモにこれほどの潜在能力があったとは……義兄上はこれを瞬時に見抜き、たった数日でこれほどの物を作るとは……現神としか思えない」
サルーンの混じりっ気のない感想に今まで躊躇していたアロンも口に入れだした。その瞬間、爆発したような声を上げ、サツマイモを貪り尽くしていく。
「こ、これならば百本でも二百本でも楽々食べれますよ!!」
いや、さすがに飽きないか? 僕は今食べた一本で十分だ。公国で暮らしているニードとイハサも同じような感じだ。ガモンも貪り尽くす方か……。そんな匂いにつられて、ミヤが顔を出してきた。
「エリスの鼻が匂いを掴んだみたいよ。さぁ、焼き芋を出しなさい!!」
僕は顔面を蒼白にしてしまった。しまった!! すっかり忘れていた。すぐにサルーンに焼き芋を作らせ、ミヤの説得に多くの時間を費やす羽目になった。焼き芋を食べるまではへそを曲げていたミヤだが、なんとか落ち着きを取り戻し、人数分以上の焼き芋を持って部屋に向かっていった。
サルーンもミヤの後ろ姿を見て、恐怖を覚えたようだ。
「まるで嵐のようでしたね。それにしてもサツマイモは本当に美味しいですね。これだけのものであれば、領民にも食べさせてやりたかったです」
「ん? 何を言っているんだ? 領民にも配れるぞ?」
「ご冗談を。アロンから聞いた畑の大きさからすれば、取れる量もおのずと分かります。我々の感覚だと軍でなんとか少しの期間食べられる量だと。それとももっと多くの量が採れているのですか?」
「どうだろうな? 僕もその辺りはよく分からないが……少なくとも領民に配っても一月は食べられるんじゃないのか? それくらい作らなければ、食料問題を解決したとは言えないだろ?」
サルーンは何に驚いているのか分からなかったが、愕然とした表情をしていた。
「公国が何故王国と対等にわたり歩けるかがわかったような気がします。それは義兄上の存在ですね。何から何まで規格外のお人だ。私は……そんな義兄上と家族となれたことに幸運さえ感じますよ」
うん。とりあえず落ち着いてくれ。なんとかサルーンを宥め、作戦会議の続きをすることになった。ちなみに後で聞いた話だが、サツマイモの収量は僕の予想よりも遥かに多かったのだ。それを聞いたせいか、ますますサルーンの目が僕に突き刺さるようになっていった。
しかし、作戦会議は難航していた。基本戦略は挟撃により一網打尽というのが作戦だ。それはいいのだが、こちらの被害が大きくなる恐れがあるため、それを回避する方法を模索しているのだが良い案が出てこない。西の道を王国が選んでくれた場合は、大森林がこちらに味方してくれるおかげで戦い方も自ずと見えてくる。北の道は平野部で、山も丘も川も池もない本当に開けた場所だ。
そのような場所で同等程度の兵力がぶつかりあえば、相当の被害を覚悟しなければならない。それに公国軍が背後に回るまでの間、七家軍は単独で王国軍と戦わなければならない。アロンも悩んでいて、サツマイモを手にしてからテーブルに置いた。
「一層のこと、サツマイモを戦場に撒きましょう!!」
ん? 何を言っているんだ?
「こんな美味しいものを前に冷静でいられる者などいません。きっと王国軍は戦意を無くすはずです。そこを叩くんですよ!!」
駄目だ!! アロンはサツマイモを食べてからすっかり頭がおかしくなってしまった。どうして戦場にサツマイモを撒き散らすことで戦意を無くすのかさっぱり分からない。しかし、その案に微妙にサルーンとガモンが食いついているのが気になる。そこにイハサが咳払いを一つした。
「さ、そんな冗談は止めましょう」
一蹴したぞ!! 取り付く島も与えずにこの話を流した。これにはアロンも追撃をすることは出来ないだろう。なにやら落ち込んだ様子になってしまった。アロンにしたら起死回生の一手だったのかも知れないな。しかし、困ったぞ。公国の戦い方は基本的に兵力の差が大きい戦いばかりだったため、奇襲と混乱しかないのだ。今回もその方法をとりたいが、平野部ではなかなか難しい。奇襲と混乱はどちらも見えないという条件が必要だ。
するとニードが珍しく言葉を発する。
「どうですか? 大砲による一斉砲撃というのは。これによる衝撃は類を見ないほどでしょう。王国もさぞかし肝が冷えると思うのですが」
一斉砲撃……なんとも良い響きだ。
「しかし、我が方には移動式は二門しかないではないか。それでは十分な効力はないのではないのか?」
「船から持ってくるのはどうですか? 取り外し、荷台に乗せればなんとかならないでしょうか?」
たしかに船には数十門の大砲が据え付けられているが、それを簡単に運び出すことが可能なのだろうか? 大砲を戦争の端緒で使うというのはいい考えだとは思うのだが。そういえば、戦場から海までの距離はどれほどなのだ? 僕が地図を眺めるとさすがに海は記載されていない。アロンに聞いてみると首を傾げている。
「どうでしょうか。計測をしたことがないので分かりませんが、十キロメートル以上はあると思いますが。何ゆえでしょうか?」
「アロンは公国の船を見たことがあるか?」
そういうとアロンは首を横に振る。
「実はな、移動式大砲を先の森林戦で初めて使用したのだが数が足りない。海上からの砲撃という選択肢があったのではないかと思ったのだが……十キロメートルか。難しそうだな」
「いや、イルス公。それは面白いかも知れません。当たらずとも大量の砲弾が、王国陣地近くに落ちればそれだけで萎縮する効果があるはずです。是非とも導入しましょう」
おっ!! 採用された。これで少しはこちらの被害が少なく済むだろうか? もう少し移動式の大砲があればな……僕はふとガムドからの手紙に再び目を通した。そこには離れ島に運び込まれている物のリストがあるからだ。その中に戦争に使える物があればと思ったのだが……やはり見当たらないか。クロスボウは使えるな。七家軍にも一部導入してもいいかもしれない。バリスタもあるか。以前みたく火薬玉を投げてみるか? しかし、今回バリスタを扱えるものがいないのだ。これ以外に使えそうなものは……ん? 文末になぐり書きをしたような文が。こんな文あったか?
「リストには書けませんでしたが、飛び込みで移動式大砲を船に積むことが出来ました。是非ともご利用ください。ガムドより」
くっ……大事な一文を見逃していた。
「ニード。移動式大砲が離れ島にあるようだ。すぐに取ってきてくれ。それと漁村に停泊している船から砲弾と火薬をすべて持ってくるように。残った兵士達には、すぐに北の道方面で攻撃拠点を作らせろ」
「承知しました!!」
僕とニードの掛け合いに訳も分からず、見ているだけのサルーンとアロン。説明しようとしたが、なかなか理解してもらえず今回は実物を見てもらうということで話を終わらせた。これで戦争は有利にすすめることが出来るだろう。僕達は少し安堵した心持ちで焼き芋を頬張るのであった。
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