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第383話 レントーク王国との交易締結
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公国はレントーク王国との交易の締結をすることになった。ただ、七家筆頭当主であるサルーンにはその権限がなかった。レントーク王国では外交の全てが王家に属する事柄のため、例え次期国王である筆頭当主と言えども口出しが出来るものではないのだ。
つまり、この締結の効力はサルーンがレントーク王国の国王となってから効力が発揮することになっている。または、この地の実質的な支配者になれば、国王と同等と認められ、外交政策を執ることができることになる。これについてはサルーンも承知しており、各貴族も公国との交易を実現するために、サルーンを次期国王への後押しをするという念書まで取り交わされていた。その代償として、王家が独占していた外国との交易権を各領主にも譲渡することとなったが、サルーンは大して後悔はしていないようだ。
それらのことがあり、貴族たちはすっかり公国寄りになり、公国とそれぞれの領との間で交易を結ぶこととなった。公国に各領主が求めるものは、食料のみだった。中には、領民を公国で農業生産の技術を身につけさせたいという領もあったが、サルーンによって却下された。レントーク王国では食料生産を拡充するべく、公国から技術者が派遣されることで話が付いており、技術者はレントーク王国を通じて各領に派遣されるようになっている。そのため、公国で技術習得をする必要がないことを告げると、その領主は安心して、交易の品を食料としていた。
各領の交易品は各地の天然の産物がほとんどだった。この辺りは熱帯性の気候のせいか、南国にある果物が豊富に実っているのである。それらを交易の対象としている。一方、現在産物がなく、鉱石の可能性が期待されている領については、将来採掘される鉱石に対しての予約権を交易の対象物として認めたのだ。もっとも、鉱石の権利や採掘などの利権など様々に絡み合うようで、話はそんなに簡単ではなかったが、なんとか決着することになった。
ただ、問題点がなかったわけではない。それは果実を交易の対象にする領についてだ。レントークの民は農業が不得意だ。天然の果実を収穫し続けると果実が無くなってしまうため、安定した交易が出来なくなるのだ。それでは交易に差し障りが出てくることを言うと、対処法がなく、その領主がサルーンに泣きつく場面があった。
そこで一つ提案をした。本当は望ましくないんだが。
「この辺りで果物が栽培できる環境は限られている。そこで、サントーク王国内に公国の菜園を作ろうと考えている。各領主は果物の種を供給して欲しいのだ」
それだと非難が集まるのは必須だ。だって、各領は安定的な食料供給が欲しいのだから。菜園なんて作られたら、交易ができなくなると考えたのだろう。
「その通りだ。そこで種を譲ってくれた場合、向こう二十年間食料を供給する契約をしよう。それは果物をどれほど生産されるか予想をしなければならないが、それに見合うだけの食料だ。これならば、各領に損はないと思うが」
そうなると二十年が過ぎたら、食料がもらえなくなるという話になってしまった。
「それならば、この話はなかったことにしよう。公国としては安定的に供給されることが重要なのだ。野生の果実がどれほど採れるかは分からないが、収穫量は年ごとに増減するはずだ。減った場合、その代償を各領は支払えるのか? 交易の取り決めでは、取引の量は年の始めに決めることになっている。減れば、その分を補填しなければならない。僕の提案はその心配が二十年間はしなくても良いということなのだが」
この話を聞いて、各領主は唸りながらも口を閉ざした。しかし、やはり変わり者がいるものだ。それならば、自領に菜園を作ってくれと言ってくる者がいる。
「済まないが、各領に菜園を作るのはあまり効率的とはいかないな。サントーク王国に作るのは、品目に限りがないからだ。少なくとも各領で行えば、その地の交易品だけを生産することになるだろう。それではこちらがやる意味がないのだ」
ここでサルーンが言葉を発した。
「それならば、レントーク王国の直轄領を利用しては?」
ふむ? どういうことだ? サルーンが言うには、レントーク王国が所有する土地で、公国が菜園を運営するということだ。その菜園の土地の権利は当然レントーク王国が所有する。そして、菜園の畑で各領の果物や野菜を生産する。各領は生産する畑の地代を王国に払えば、そこから生み出される産物は各領に帰属することになる。もちろん、菜園を経営する公国にも各領から手数料が支払われる。それは交易品の食料や生産された農産物の量で調整をすることで、各領も安定した交易が可能となる。レントーク王国に支払う地代も、支払えなければ、生産物で充填するというものだ。
実に理に適った制度だ。そして、その場を技術指導の場として利用するということも決まった。その期間は二十年間ということになる。それ以降は、王国の農業技術者が栽培を継続することになる。各領は、菜園で技術を習得した領民が、各領で農業に従事し、さらに技術の浸透を図る。それほど、レントークの民の中には、農業に対する苦手意識があるといういうことなのだろう。
サルーンの話によって、各領は今後二十年を超えてからも公国からの食料を受け取ることが出来るようになったため、皆、もろ手を上げてその提案を受け入れた。
公国と各領主との会合が終わり、無事に交易の話をまとめることが出来た。ただ、サントーク王国に菜園を作る話をなくすつもりはない。手元にはサツマイモが大量にあるのだ。それを量産するため場として使うつもりだ。ちなみにサツマイモの栽培についてはサルーンから権利を譲ってもらったので、問題はないはずだ。
サルーンと共に会議室からサルーンの私室に移動した。サルーンの個人的な客を招く部屋と言った感じの作りの部屋だ。ソファーとテーブルが置かれ、サルーンが個人的に集めているのだろうか? 貝殻がたくさん置かれていた。その部屋にはすでにエリスとクレイが待っており、僕コーヒーを差し出してくれた。
「義兄上。先程の各領主に対する発言は見事でした。私も感心することばかりで大変勉強になりました」
「何を言っている。美味しいところは全てサルーンが持っていってしまったではないか」
「私がただサントーク王国に作るくらいならレントークに作ってもらいたいと思っただけで。他意はありませんよ」
「本当にそうなのか? 僕はサルーンには大きな思惑があったと思ったが」
「なんです? その思惑っていうのは」
「場所だ。レントーク王家直轄領だ。その場所は七家でも手出しが出来ない場所なんだろ?」
「まぁそうですけど」
「その場所で交易品を生産しているということは、結果的に見れば各領の食料を握ることに他ならないだろ? これほど強い支配力はないと思ったのだ」
「あっ!! 確かに思ってみればそのとおりですね」
「今頃、各領主はそれに気付いて歯噛みしているかも知れないな。まぁ契約は全て終わっているのだ。今更、変更は出来ないがな。それにしてもサルーンは着実に王に近づいているな。クレイも立派な弟が持てて幸せだな?」
「本当にそうですね。まさか、サルーンがそんなにずる賢いことを考える子に育っているとは思ってもいませんでした。ただ、誇らしくもありますね」
「いや、本当に私は何も考えずに……そうだ!! エリス様はサントーク王家の縁の者と伺ったのですが。本当なんですか? それが本当ならば、我々の態度を改めなければなりません」
そんな言葉にエリスは恐縮してしまって、何度も首を横に振った。
「私はロッシュ様の妻である以外、何者でもありませんよ。サントークの国王陛下はそのように勝手に認められていますが。私としては、その気持ちを利用する形になってしまい、申し訳ない気持ちで一杯なんです」
「ん? それは僕のことかな? サントークの旗を使っただけでなく、サントークの兵を私兵の如く使ったことかな?」
「ロッシュ様は悪くありません。ただ、私がもっと強く否定をしていれば……。国王陛下の将来の希望が時々胸につっかえてしまうのです」
「そんなことはないさ。あの王はエリスがいる時は本当に孫に接しているようだった。実のところ、王が何を考えているかわからないし、エリスが本当の孫じゃないと思っているかも知れない。でもな、そんなことはどうでもいいことなんだと思うぞ。王は死別したと思っていた孫が帰ってきた。そう思えるだけで十分なんだと思う。王の表情を見ていると、そんな気がするんだ」
エリスとの話を聞いていると、サルーンが唸るような声を上げてきた。
「結局、どっちなんですかね? でも、エリス様をサントークの王が孫と認めたわけですから正真正銘、サントークの姫君なんですよ。それは揺らがない事実だと思います。だとしたら、私の婚約者となっていただきたかったです。……残念です」
確かに考えてみるとその通りだな。まぁ、僕個人としてはサルーンの妻には人間を迎えてもらいたいと思っているけどね。レントーク王国という亜人の国には、人間という種族に対する恐怖や侮蔑が多分にある。それをサルーンという新しい王が変えていってほしいと思うのだが……。そればかりはサルーンが決めることだろう。
「そういえば、サルーン。レントーク王家がこちらに向かっているという話を聞いたが?」
「ええ。たしかにこちらに向かっていますよ。父であるレントーク王とシス姉上が」
僕にはあまり関係のないことだが、今後どうなるかだけ聞いてみたいな。
「王には退いてもらうつもりです。姉上に唆されたとはいえ、レントークを王国に売り払った張本人ですから、待遇はそれなりになると思います。シス姉上は残念ながら反逆の罪で捕らえるつもりです」
しかし、レントークのしきたりには詳しいわけではないが、そう簡単に退いてくれるものだろうか? 七家でも口出しできるものではないだろう。
「そうですが、私には七家全員の当主とレントーク王国の貴族たちが味方に付いていますからね。最悪はレントーク王国を一度潰してしまうのも良いかと考えています」
その言葉にクレイは驚いたような表情を浮かべたが、じっと考える様に腕を組んだ。
「それがいいかも知れませんね。シス姉上が王家の権限をそう簡単に手放すとは思えませんから」
なるほど。サルーンも相当の覚悟で臨むつもりなのか。それならば何も言うことはないな。僕が納得しているとサルーンが訳のわからないことを言ってきた。
「義兄上にもその場に参加してもらいますね。クレイは立派な七家筆頭家の一員なのですから、その夫となれば十分に臨席する権利があるはずです。それに、今回の戦の協力者として、公国側の人にも居てもらわなくてはいけません。それには義兄上以上の方は居ませんから」
そんな……絶対に修羅場になるような場にいたくないのだが。クレイも期待に満ち溢れた表情をしている。どうやら僕に逃げ道はなさそうだな。
その後、なぜ僕はここに? と言うくらい場違いな場所にいた。筆頭当主家の屋敷には謁見の間があり、当主の座にサルーン。僕はサルーンの横に用意された椅子に座っている。気持ち、サルーンより豪華な椅子のような気もするが。シス姉上と呼ばれていた人にすごく睨まれているような気がする。
さて、どうなることやら。
つまり、この締結の効力はサルーンがレントーク王国の国王となってから効力が発揮することになっている。または、この地の実質的な支配者になれば、国王と同等と認められ、外交政策を執ることができることになる。これについてはサルーンも承知しており、各貴族も公国との交易を実現するために、サルーンを次期国王への後押しをするという念書まで取り交わされていた。その代償として、王家が独占していた外国との交易権を各領主にも譲渡することとなったが、サルーンは大して後悔はしていないようだ。
それらのことがあり、貴族たちはすっかり公国寄りになり、公国とそれぞれの領との間で交易を結ぶこととなった。公国に各領主が求めるものは、食料のみだった。中には、領民を公国で農業生産の技術を身につけさせたいという領もあったが、サルーンによって却下された。レントーク王国では食料生産を拡充するべく、公国から技術者が派遣されることで話が付いており、技術者はレントーク王国を通じて各領に派遣されるようになっている。そのため、公国で技術習得をする必要がないことを告げると、その領主は安心して、交易の品を食料としていた。
各領の交易品は各地の天然の産物がほとんどだった。この辺りは熱帯性の気候のせいか、南国にある果物が豊富に実っているのである。それらを交易の対象としている。一方、現在産物がなく、鉱石の可能性が期待されている領については、将来採掘される鉱石に対しての予約権を交易の対象物として認めたのだ。もっとも、鉱石の権利や採掘などの利権など様々に絡み合うようで、話はそんなに簡単ではなかったが、なんとか決着することになった。
ただ、問題点がなかったわけではない。それは果実を交易の対象にする領についてだ。レントークの民は農業が不得意だ。天然の果実を収穫し続けると果実が無くなってしまうため、安定した交易が出来なくなるのだ。それでは交易に差し障りが出てくることを言うと、対処法がなく、その領主がサルーンに泣きつく場面があった。
そこで一つ提案をした。本当は望ましくないんだが。
「この辺りで果物が栽培できる環境は限られている。そこで、サントーク王国内に公国の菜園を作ろうと考えている。各領主は果物の種を供給して欲しいのだ」
それだと非難が集まるのは必須だ。だって、各領は安定的な食料供給が欲しいのだから。菜園なんて作られたら、交易ができなくなると考えたのだろう。
「その通りだ。そこで種を譲ってくれた場合、向こう二十年間食料を供給する契約をしよう。それは果物をどれほど生産されるか予想をしなければならないが、それに見合うだけの食料だ。これならば、各領に損はないと思うが」
そうなると二十年が過ぎたら、食料がもらえなくなるという話になってしまった。
「それならば、この話はなかったことにしよう。公国としては安定的に供給されることが重要なのだ。野生の果実がどれほど採れるかは分からないが、収穫量は年ごとに増減するはずだ。減った場合、その代償を各領は支払えるのか? 交易の取り決めでは、取引の量は年の始めに決めることになっている。減れば、その分を補填しなければならない。僕の提案はその心配が二十年間はしなくても良いということなのだが」
この話を聞いて、各領主は唸りながらも口を閉ざした。しかし、やはり変わり者がいるものだ。それならば、自領に菜園を作ってくれと言ってくる者がいる。
「済まないが、各領に菜園を作るのはあまり効率的とはいかないな。サントーク王国に作るのは、品目に限りがないからだ。少なくとも各領で行えば、その地の交易品だけを生産することになるだろう。それではこちらがやる意味がないのだ」
ここでサルーンが言葉を発した。
「それならば、レントーク王国の直轄領を利用しては?」
ふむ? どういうことだ? サルーンが言うには、レントーク王国が所有する土地で、公国が菜園を運営するということだ。その菜園の土地の権利は当然レントーク王国が所有する。そして、菜園の畑で各領の果物や野菜を生産する。各領は生産する畑の地代を王国に払えば、そこから生み出される産物は各領に帰属することになる。もちろん、菜園を経営する公国にも各領から手数料が支払われる。それは交易品の食料や生産された農産物の量で調整をすることで、各領も安定した交易が可能となる。レントーク王国に支払う地代も、支払えなければ、生産物で充填するというものだ。
実に理に適った制度だ。そして、その場を技術指導の場として利用するということも決まった。その期間は二十年間ということになる。それ以降は、王国の農業技術者が栽培を継続することになる。各領は、菜園で技術を習得した領民が、各領で農業に従事し、さらに技術の浸透を図る。それほど、レントークの民の中には、農業に対する苦手意識があるといういうことなのだろう。
サルーンの話によって、各領は今後二十年を超えてからも公国からの食料を受け取ることが出来るようになったため、皆、もろ手を上げてその提案を受け入れた。
公国と各領主との会合が終わり、無事に交易の話をまとめることが出来た。ただ、サントーク王国に菜園を作る話をなくすつもりはない。手元にはサツマイモが大量にあるのだ。それを量産するため場として使うつもりだ。ちなみにサツマイモの栽培についてはサルーンから権利を譲ってもらったので、問題はないはずだ。
サルーンと共に会議室からサルーンの私室に移動した。サルーンの個人的な客を招く部屋と言った感じの作りの部屋だ。ソファーとテーブルが置かれ、サルーンが個人的に集めているのだろうか? 貝殻がたくさん置かれていた。その部屋にはすでにエリスとクレイが待っており、僕コーヒーを差し出してくれた。
「義兄上。先程の各領主に対する発言は見事でした。私も感心することばかりで大変勉強になりました」
「何を言っている。美味しいところは全てサルーンが持っていってしまったではないか」
「私がただサントーク王国に作るくらいならレントークに作ってもらいたいと思っただけで。他意はありませんよ」
「本当にそうなのか? 僕はサルーンには大きな思惑があったと思ったが」
「なんです? その思惑っていうのは」
「場所だ。レントーク王家直轄領だ。その場所は七家でも手出しが出来ない場所なんだろ?」
「まぁそうですけど」
「その場所で交易品を生産しているということは、結果的に見れば各領の食料を握ることに他ならないだろ? これほど強い支配力はないと思ったのだ」
「あっ!! 確かに思ってみればそのとおりですね」
「今頃、各領主はそれに気付いて歯噛みしているかも知れないな。まぁ契約は全て終わっているのだ。今更、変更は出来ないがな。それにしてもサルーンは着実に王に近づいているな。クレイも立派な弟が持てて幸せだな?」
「本当にそうですね。まさか、サルーンがそんなにずる賢いことを考える子に育っているとは思ってもいませんでした。ただ、誇らしくもありますね」
「いや、本当に私は何も考えずに……そうだ!! エリス様はサントーク王家の縁の者と伺ったのですが。本当なんですか? それが本当ならば、我々の態度を改めなければなりません」
そんな言葉にエリスは恐縮してしまって、何度も首を横に振った。
「私はロッシュ様の妻である以外、何者でもありませんよ。サントークの国王陛下はそのように勝手に認められていますが。私としては、その気持ちを利用する形になってしまい、申し訳ない気持ちで一杯なんです」
「ん? それは僕のことかな? サントークの旗を使っただけでなく、サントークの兵を私兵の如く使ったことかな?」
「ロッシュ様は悪くありません。ただ、私がもっと強く否定をしていれば……。国王陛下の将来の希望が時々胸につっかえてしまうのです」
「そんなことはないさ。あの王はエリスがいる時は本当に孫に接しているようだった。実のところ、王が何を考えているかわからないし、エリスが本当の孫じゃないと思っているかも知れない。でもな、そんなことはどうでもいいことなんだと思うぞ。王は死別したと思っていた孫が帰ってきた。そう思えるだけで十分なんだと思う。王の表情を見ていると、そんな気がするんだ」
エリスとの話を聞いていると、サルーンが唸るような声を上げてきた。
「結局、どっちなんですかね? でも、エリス様をサントークの王が孫と認めたわけですから正真正銘、サントークの姫君なんですよ。それは揺らがない事実だと思います。だとしたら、私の婚約者となっていただきたかったです。……残念です」
確かに考えてみるとその通りだな。まぁ、僕個人としてはサルーンの妻には人間を迎えてもらいたいと思っているけどね。レントーク王国という亜人の国には、人間という種族に対する恐怖や侮蔑が多分にある。それをサルーンという新しい王が変えていってほしいと思うのだが……。そればかりはサルーンが決めることだろう。
「そういえば、サルーン。レントーク王家がこちらに向かっているという話を聞いたが?」
「ええ。たしかにこちらに向かっていますよ。父であるレントーク王とシス姉上が」
僕にはあまり関係のないことだが、今後どうなるかだけ聞いてみたいな。
「王には退いてもらうつもりです。姉上に唆されたとはいえ、レントークを王国に売り払った張本人ですから、待遇はそれなりになると思います。シス姉上は残念ながら反逆の罪で捕らえるつもりです」
しかし、レントークのしきたりには詳しいわけではないが、そう簡単に退いてくれるものだろうか? 七家でも口出しできるものではないだろう。
「そうですが、私には七家全員の当主とレントーク王国の貴族たちが味方に付いていますからね。最悪はレントーク王国を一度潰してしまうのも良いかと考えています」
その言葉にクレイは驚いたような表情を浮かべたが、じっと考える様に腕を組んだ。
「それがいいかも知れませんね。シス姉上が王家の権限をそう簡単に手放すとは思えませんから」
なるほど。サルーンも相当の覚悟で臨むつもりなのか。それならば何も言うことはないな。僕が納得しているとサルーンが訳のわからないことを言ってきた。
「義兄上にもその場に参加してもらいますね。クレイは立派な七家筆頭家の一員なのですから、その夫となれば十分に臨席する権利があるはずです。それに、今回の戦の協力者として、公国側の人にも居てもらわなくてはいけません。それには義兄上以上の方は居ませんから」
そんな……絶対に修羅場になるような場にいたくないのだが。クレイも期待に満ち溢れた表情をしている。どうやら僕に逃げ道はなさそうだな。
その後、なぜ僕はここに? と言うくらい場違いな場所にいた。筆頭当主家の屋敷には謁見の間があり、当主の座にサルーン。僕はサルーンの横に用意された椅子に座っている。気持ち、サルーンより豪華な椅子のような気もするが。シス姉上と呼ばれていた人にすごく睨まれているような気がする。
さて、どうなることやら。
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