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番外編:うさぎになったアンジェラ
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子猫のルナは、小さく鳴くと足音を立てずにやって来た。エメラルド色の瞳をキラキラ光らせ、わたしに甘えるように小首をかしげる。そして、しなやかにジャンプ。肩にちょこんと座って、ほうをすりすりしてくる。ふかふかで、柔らかい毛が首筋に触れた。
「ふふ。くすぐったいよ」
手のひらにのせて、なでてやるとうれしそうに喉を鳴らしてご機嫌だ。テーブルの籠からルナのお気に入りのパンを1個つまみあげた。小さくちぎって食べさせる。お皿にミルクを移すと待ってましたとばかりに、舐めはじめた。ルナが来てからは、ひとりぼっちの食事じゃない。
ルナは、毛並みは真っ白で、目の色はわたしと同じエメラルド色の子猫。魔法の国の王様、グリーン十六世が下さったクリスマスプレゼントなの。去年のクリスマスの夜、王様はサンタになって空から降りてきた。あの時、一緒だったロビンとノアは、今頃どうしているのだろう。
ロビンとノアは魔法国の王子なのだけれど、今は魔法のない国の学校で勉強している。
わたしの名前は、アンジェラ。亡くなったお母さんが大好きだったバラと同じ名前らしい。ピンク色の小さな花をつけるつるバラで、家の庭にたくさん植えられている。けっこう広い家だけど、今は、わたし一人しかいない。
お父さんのミカエルは、ママと、赤ちゃんを連れて魔法の国を旅行中。お父さんは、私も旅行に連れて行きたかったみたいだけど、ママが嫌な顔をしたからね。
わかるよ。ママは、本当のお母さんじゃないから。私はいないほうがいいんだ。だから、『行きたくない。家で留守番してる。もう、十二歳だもん。自分でなんでもできるから』って、ママに言っちゃった。
でも、ひとりぼっちだと寂しくなる。わたしも、家から飛び出してちょっと違った世界へ行ってみたい。どうせなら、生まれ育った魔法の国を飛び出して、魔法のない国へ、遊びに行ってみよう。
わたしは、ルナをポケットに入れてスマホを取り出した。魔法のアプリを開いて、カメラマークをタツプした。
突然目の前が真っ白になって、目を閉じた。
「ふふ。くすぐったいよ」
手のひらにのせて、なでてやるとうれしそうに喉を鳴らしてご機嫌だ。テーブルの籠からルナのお気に入りのパンを1個つまみあげた。小さくちぎって食べさせる。お皿にミルクを移すと待ってましたとばかりに、舐めはじめた。ルナが来てからは、ひとりぼっちの食事じゃない。
ルナは、毛並みは真っ白で、目の色はわたしと同じエメラルド色の子猫。魔法の国の王様、グリーン十六世が下さったクリスマスプレゼントなの。去年のクリスマスの夜、王様はサンタになって空から降りてきた。あの時、一緒だったロビンとノアは、今頃どうしているのだろう。
ロビンとノアは魔法国の王子なのだけれど、今は魔法のない国の学校で勉強している。
わたしの名前は、アンジェラ。亡くなったお母さんが大好きだったバラと同じ名前らしい。ピンク色の小さな花をつけるつるバラで、家の庭にたくさん植えられている。けっこう広い家だけど、今は、わたし一人しかいない。
お父さんのミカエルは、ママと、赤ちゃんを連れて魔法の国を旅行中。お父さんは、私も旅行に連れて行きたかったみたいだけど、ママが嫌な顔をしたからね。
わかるよ。ママは、本当のお母さんじゃないから。私はいないほうがいいんだ。だから、『行きたくない。家で留守番してる。もう、十二歳だもん。自分でなんでもできるから』って、ママに言っちゃった。
でも、ひとりぼっちだと寂しくなる。わたしも、家から飛び出してちょっと違った世界へ行ってみたい。どうせなら、生まれ育った魔法の国を飛び出して、魔法のない国へ、遊びに行ってみよう。
わたしは、ルナをポケットに入れてスマホを取り出した。魔法のアプリを開いて、カメラマークをタツプした。
突然目の前が真っ白になって、目を閉じた。
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